目次
東京都で防水工事業の建設業許可(知事許可)を取得するには
東京都内で防水工事を営む事業者の中には、次のような場面で建設業許可の必要性を検討されるケースが増えています。
・マンション大規模修繕の防水区画を受注するようになり、請負金額が大きくなってきた
・屋上改修・バルコニー防水で500万円(税込)を超える案件が増えている
・元請会社から許可の提示を求められた
・管理組合や大手管理会社案件で「許可が前提」と言われた
防水工事は、比較的小規模な補修(漏水部の部分補修など)から始まることも多い一方で、事業規模の拡大とともに一件あたりの金額が大きくなりやすい業種です。特に東京都では、集合住宅・ビルの改修需要が大きく、屋上・外壁・バルコニー等を含む防水改修一式として発注される場面も多いため、許可の要否が現実的な問題になります。
しかし、申請を検討する段階で、次のような疑問が生じます。
・自社の工事内容は本当に「防水工事業」に該当するのか
・シーリング工事単体は防水工事に該当するのか(または別整理が必要か)
・塗膜防水は「塗装工事業」ではないのか
・屋上改修一式の業種は、防水だけで整理できるのか(他業種が混在しないか)
・下地補修(斫り・左官補修等)を含む場合、どこまでが防水工事として整理できるのか
・10年実務経験で申請したいが、工種が混在していて整理できない
東京都の建設業許可では、単に「防水工事をやっていた」という事実だけでは足りません。
重要なのは、その工事が「防水工事」に該当することを、工事内容の具体性と客観資料の整合性により説明できるかどうかです。
防水工事業は、塗装工事業・左官工事業・とび・土工・コンクリート工事業などと施工範囲が近接しており、工事名が「改修一式」「防水一式」となっているだけでは説明が弱くなることがあります。東京都実務では、混在しやすい工種が含まれていないか、含まれる場合にどの部分が防水工事に該当するのか、という整理が求められます。
本記事では、東京都知事許可(一般建設業・新規申請)を前提に、
・防水工事業の範囲
・他業種との境界線(防水×塗装×左官×とび)
・許可取得の要件
・10年実務経験の整理方法
・東京都で実際に生じやすい補正事例
を体系的に解説します。
東京都で防水工事業の建設業許可が必要となる基準
防水工事業は、アスファルト防水、シート防水、塗膜防水、シーリング等により、雨水等の浸入を防止するための工事を中心とする専門工事です。屋上・バルコニー・外壁・屋根まわりの改修工事で防水工程を担うケースも多く見られます。
東京都内でこれらの工事を請け負う場合、1件の請負金額が500万円(税込)以上となるときは、建設業許可が必要になります。
※材料費を含めた「請負代金の総額」で判断します。
ここで注意すべきポイントは次のとおりです。
✔ 消費税込みで判断する
✔ 元請・下請を問わず適用される
✔ 同一工事であれば分割契約でも合算される
✔ 継続的な少額工事でも、1件ごとの金額で判断する
「防水は補修が多いから不要」「シーリングが中心だから許可は関係ない」と誤解されるケースがありますが、工事の名称ではなく、請負金額と工事内容で判断します。
また、防水工事は、足場・下地処理・仮設等を伴い請負代金が上がりやすい傾向があります。特に、屋上改修や外壁改修の一部として受注する場合、工事の内訳上は防水工程以外の作業が含まれていることもあるため、**契約範囲(どこまでを一括で請け負っているか)**を整理して、金額基準の該当性を確認することが重要です。
500万円未満の工事のみを請け負う場合は許可は不要ですが、事業の拡大や元請・管理会社からの要請により、許可取得を検討される事業者も増えています。
防水工事業は、他業種との境界が曖昧になりやすいことに加え、改修工事の中で工種が混在しやすい特徴があります。したがって、許可の要否を判断する段階から、工事内容が本当に「防水工事」に該当するかどうかを事前に整理しておくことが、東京都実務では特に重要です。
東京都で防水工事業の許可を取得するための要件(一般建設業)
東京都知事許可(一般建設業・新規申請)を取得するためには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。
① 常勤役員等がいること
② 営業所技術者等を配置できること
③ 財産的要件を満たしていること
④ 営業所要件を満たしていること
⑤ 欠格要件に該当しないこと
これらは、単に書類を提出すればよいという形式的な要件ではありません。東京都の建設業許可実務では、提出された資料が相互に矛盾していないか、そして会社の事業実態と整合しているかが確認されます。つまり、各要件を「書類として提出できるか」ではなく、「内容として説明できるか」という観点で整理しておくことが重要です。
防水工事業の申請で特につまずきやすいのは、②営業所技術者等の要件です。資格で証明する場合は比較的明確ですが、防水業者では10年以上の実務経験で証明するケースも多く見られます。この場合、従事していた工事が建設業法上の「防水工事」に該当することを、工事内容の具体性と客観資料の裏付けによって説明する必要があります。
防水工事は、屋上改修工事や外壁改修工事の一部として施工されることが多く、工事の内容には下地補修、左官補修、足場設置、シーリング、塗装など複数の工種が含まれることがあります。工事名が「屋上改修工事」「防水改修一式」などとなっているだけでは、防水工事としての実務経験を十分に説明できない場合があります。東京都では、その工事の中でどの部分が防水工事に該当するのか、そして実際にどのような作業に従事していたのかを整理することが求められます。
①常勤役員等についても、単に役員として登記されていた事実だけでは足りません。建設業の経営に実際に関与していたことが、登記事項証明書、確定申告書(法人の場合は決算関係書類)、請求書や契約書などの客観資料と整合しているかが確認されます。例えば、防水工事業を営んでいる会社であるにもかかわらず、防水工事に関する売上や取引実態が資料上確認できない場合には、経営経験の説明が弱くなる可能性があります。
③財産的要件については、一般建設業の場合、自己資本500万円以上、または500万円以上の残高証明書等によって資力を証明します。防水工事業では、職人中心の事業形態で固定資産が少ない会社も多いため、残高証明書による証明を利用するケースも見られます。東京都では、残高証明書の金額だけでなく、直前決算の内容との整合性も確認されることがあります。例えば、直前決算で債務超過となっている場合や、資金の動きに不自然な点がある場合には、追加説明を求められることがあります。
④営業所要件は、単に住所が存在するだけでは足りません。東京都では、事務所としての実体性、独立性、使用権原などが確認されます。具体的には、事務所用途として使用できる契約内容であること、執務スペースが確保されていること、外部から事業所として認識できること、郵便物の受領体制があることなどが確認されます。写真資料によって営業所の実態を説明することが一般的です。防水業者の場合、現場作業が中心で事務所の規模が小さいケースもありますが、申請時には事業の拠点としての実体があることを示す必要があります。
⑤欠格要件については、申請会社だけでなく役員等も対象となります。暴力団関係者である場合や、一定の刑罰を受けている場合などは許可を受けることができません。申請前に該当の有無を確認し、問題がないことを前提として手続きを進めます。
東京都で防水工事業の許可を取得するうえでは、「防水工事として説明できる実務内容があるか(業種区分)」「10年実務経験等の裏付けが客観資料で組めるか(営業所技術者等)」「提出資料全体が矛盾なく整理されているか(整合性)」の3点が、実務上の重要なポイントになります。
営業所技術者等(防水工事業)の判断基準|10年実務経験で証明する場合
防水工事業の許可申請において、最も重要かつ論点となりやすいのが「営業所技術者等」の要件です。資格によって証明する場合は比較的明確ですが、東京都では10年以上の実務経験で証明するケースも多く、その整理方法が審査結果を左右します。
■ 営業所技術者等の基本要件
一般建設業における営業所技術者等は、原則として次のいずれかに該当する必要があります。
・所定の国家資格を有する者
・当該業種について10年以上の実務経験を有する者
防水工事業では、防水施工技能士などの資格を有している場合を除き、10年以上の実務経験で申請するケースが多く見られます。しかし、単に「防水工事に従事していた」という説明だけでは足りません。重要なのは、その実務が建設業法上の「防水工事」に該当することを、具体的かつ客観的に説明できるかどうかです。
■ 実務経験の数え方と注意点
実務経験は、防水工事に関する工事に実際に従事していた期間を通算して計算します。ただし、次の点に注意が必要です。
・他業種の実務と混在している期間は慎重に整理する
・重複期間は二重に計算できない
・単なる補助作業や雑務は実務として認められない場合がある
・客観資料(契約書・請求書・注文書等)との整合が必要
東京都実務では、提出する工事経歴書の内容と、裏付け資料との一致が特に重視されます。工事名が「防水改修工事」「屋上改修工事」となっているだけでは、防水工事としての内容が明確でない場合もあります。そのため、防水工事の具体的な施工内容を整理して記載することが重要です。
■ 防水工事と他業種との境界整理
10年実務経験で最も問題となるのは、「その工事が本当に防水工事に該当するか」という業種区分の整理です。防水工事は改修工事の中で複数の工種と混在することが多く、次のような論点が生じます。
● シーリング工事
外壁改修工事や防水改修工事では、シーリング打替えが含まれることが多くあります。一般に、建築物の防水を目的として行われるシーリング工事は、防水工事として整理されることがあります。ただし、工事内容や施工範囲によっては、外壁改修工事の一部として扱われる場合もあり、実務経験として説明する際には工事の目的や施工内容を具体的に示す必要があります。
● 塗膜防水
塗膜防水は施工方法としては塗装に近い工程を含みますが、目的は建築物の防水機能を確保することにあります。そのため、防水工事として整理されるのが一般的です。ただし、外壁の塗替えを主目的とする工事の場合には塗装工事と判断される可能性もあるため、工事の主目的が防水であることを示すことが重要です。
● 下地補修
防水工事では、施工前に下地補修やモルタル補修を行う場合があります。これらの作業は左官工事との関係が問題になることがあります。防水工事として整理する場合は、防水施工の前提作業として行われていることを説明する必要があります。下地補修が主目的の工事である場合には、左官工事として整理される可能性があります。
● 屋上改修工事
マンションやビルの改修工事では、「屋上改修工事」「防水改修工事」といった名称で契約されることがあります。これらの工事には、防水施工のほか、下地補修、シーリング、手すり補修、塗装などが含まれる場合があります。東京都では、工事名称だけで判断するのではなく、その工事の中でどの部分が防水工事に該当するのかを整理することが求められます。
● 土木系の防水工事
トンネルや地下構造物などにおける防水施工は、建築系の防水とは別の扱いになる場合があります。防水工事業として整理するには、建築物における防水施工であることが前提となります。
■ 客観資料による裏付け
実務経験の証明では、単なる自己申告では足りません。請求書、契約書、注文書、発注書、確定申告書などの客観資料によって、工事内容・期間・立場(元請・下請)を裏付ける必要があります。
東京都では、工事経歴書の記載内容と客観資料の整合性が重視されます。例えば、工事経歴書では防水工事として記載しているにもかかわらず、請求書では別工種の工事名になっている場合には、説明を求められることがあります。
■ 東京都実務の特徴
東京都では、防水工事業の実務経験についても、業種区分と工事内容の具体性が確認されます。特に防水工事は、塗装工事や左官工事、外壁改修工事などと混在しやすいため、工事内容の整理が不十分な場合には補正が入りやすい傾向があります。
10年実務経験での申請では、「何年防水工事に関わってきたか」という年数だけでなく、「どの工事を、どの立場で、どの内容で行ってきたのか」を説明できることが重要です。工事内容と客観資料を整理し、防水工事としての実務経験を明確に示すことが、東京都での申請における実務上の核心となります。
防水工事と他業種との区分整理|東京都実務での判断基準
防水工事業は、建築物への雨水や地下水の浸入を防止するための防水処理を行う専門工事です。しかし実務では、改修工事や建物メンテナンスの中で複数の工種が同時に施工されることが多く、「どこまでが防水工事なのか」という業種区分が問題になる場面があります。
東京都の建設業許可実務においても、防水工事業の申請では、他業種との境界が整理されていないことを理由に補正が生じるケースがあります。業種区分は工事の名称ではなく、「工事の主たる目的」と「施工内容」によって判断されます。
以下では、防水工事業と他業種との代表的な境界論点を整理します。
■ 防水工事と塗装工事との区分
防水工事と塗装工事は、施工方法が似ているため混同されやすい業種です。特に塗膜防水は、施工工程としては塗装と類似しているため、業種区分が問題になることがあります。
塗装工事は、主として建築物の美観維持や防錆などを目的として塗料を塗布する工事です。一方、防水工事は建築物への水の浸入を防止することを目的として施工されます。
例えば、外壁塗替えを中心とした工事は塗装工事業に該当しますが、屋上のウレタン塗膜防水やFRP防水など、防水機能の確保を目的とする施工は防水工事として整理されるのが一般的です。
東京都実務では、施工方法よりも工事の目的が重視されます。塗料を使用しているという理由だけで塗装工事と判断されるわけではなく、その施工が防水機能の確保を目的としているかどうかが判断基準になります。
■ 防水工事と左官工事との区分
防水工事では、防水施工の前提としてモルタル補修や下地補修を行うことがあります。このような作業は左官工事との区分が問題になることがあります。
左官工事は、モルタルやプラスターなどを用いて壁や床の仕上げを行う工事をいいます。一方、防水工事におけるモルタル補修は、防水施工の下地を整えるための作業として行われることがあります。
例えば、防水施工前にクラック補修や欠損補修を行う場合、その作業は防水工事の前提作業として整理されることがあります。しかし、モルタル仕上げそのものを主目的とする工事である場合には、左官工事として判断される可能性があります。
東京都実務では、下地補修の作業が防水施工の一部として行われているのか、それとも独立した工事として行われているのかという点が判断のポイントになります。
■ 防水工事ととび・土工・コンクリート工事との区分
防水工事では、足場設置や躯体補修などが伴う場合があります。このような作業は、とび・土工・コンクリート工事との関係が問題になることがあります。
とび・土工・コンクリート工事業には、足場の組立てやコンクリート補修、掘削などの工事が含まれます。例えば、防水改修工事の中で足場を設置する場合、その足場工事はとび・土工工事に該当します。
ただし、防水工事の施工のために必要な仮設足場が附帯工事として施工される場合には、防水工事の一部として整理されることもあります。工事の主目的が防水施工である場合、足場はその施工のための付帯的な作業として扱われることがあります。
一方で、コンクリート補修や躯体補修が主目的となる工事である場合には、とび・土工・コンクリート工事として整理される可能性があります。
■ シーリング工事の取扱い
シーリング工事は、防水工事業の代表的な工種の一つですが、外壁改修工事の一部として施工されることも多いため、業種区分が問題になることがあります。
一般に、建築物の防水機能を確保する目的で行われるシーリング工事は、防水工事として整理されることがあります。例えば、外壁目地やサッシまわりのシーリング打替えは、防水性能の維持を目的とする施工であるため、防水工事業に含まれる場合があります。
ただし、外壁改修工事の中で複数の工種が含まれている場合には、シーリング工事だけで工事全体を防水工事として整理できるとは限りません。工事の主目的や施工範囲によって判断が分かれることがあります。
東京都実務では、シーリング工事の施工内容や目的を具体的に示すことが重要になります。
■ 屋上改修工事の取扱い
マンションやビルの改修工事では、「屋上改修工事」「防水改修工事」などの名称で工事が発注されることがあります。このような工事には、防水施工のほか、下地補修、塗装、シーリング、手すり補修など複数の工種が含まれることがあります。
東京都では、工事名称だけで業種を判断するのではなく、工事内容を分解して整理することが求められます。つまり、その工事の中でどの部分が防水工事に該当するのかを具体的に説明する必要があります。
例えば、屋上改修工事の中で防水施工が主要な工程となっている場合には、防水工事として整理できる可能性があります。一方で、躯体補修や外壁改修が中心で、防水施工が付帯的な作業である場合には、別の業種として整理されることがあります。
■ 土木系の防水工事との区分
防水工事という名称から、すべての防水施工が防水工事業に該当するわけではありません。トンネルや地下構造物などの土木構造物に対する防水施工は、防水工事業ではなく、とび・土工・コンクリート工事に該当する場合があります。
防水工事業として整理するためには、建築物における防水施工であることが前提になります。したがって、実務経験として整理する場合にも、その工事が建築系の防水工事であることを確認する必要があります。
■ 業種区分整理の重要性
防水工事業は、改修工事の中で複数の工種と混在することが多く、業種区分の整理が不十分な場合には、営業所技術者等の実務証明や工事経歴書の作成において補正が入りやすい業種です。
業種区分は、工事の名称ではなく「工事内容の実態」によって判断されます。主たる工種は何か、工事の目的は何か、どの部分を自社が施工したのかを整理することが重要です。
東京都で防水工事業の許可を取得する際には、防水施工の内容を具体的に整理し、他業種との境界を論理的に説明できるようにしておくことが、実務上の重要なポイントになります。
常勤役員等・財産的要件・営業所要件の整理|東京都での申請実務
防水工事業の建設業許可を取得するためには、営業所技術者等の要件だけでなく、常勤役員等、財産的要件、営業所要件といった基礎的要件を満たす必要があります。これらの要件は他の業種と共通ですが、東京都の申請実務では提出書類の整合性や事業実態との一致が重視されます。
ここでは、防水工事業の申請において特に整理しておきたいポイントを解説します。
■ 常勤役員等の要件
常勤役員等とは、建設業の経営について一定の経験を有し、会社の経営に常勤で従事している役員等をいいます。建設業許可制度では、建設業の適正な経営を確保するため、この要件が設けられています。
一般的には、次のいずれかの経験によって証明します。
・建設業の経営業務を管理する立場で5年以上の経験
・建設業に関する経営業務を補佐した経験など
東京都での申請では、単に役員として登記されているだけでは足りず、実際に建設業の経営に関与していたことを客観資料によって説明する必要があります。例えば、登記事項証明書、決算書、確定申告書、請求書などの資料によって、会社が建設業を営んでいた実態と役員としての関与が確認されます。
防水工事業の場合、個人事業から法人化したケースや、親族経営の小規模法人で申請するケースも見られます。このような場合には、過去の事業実態を整理し、建設業の経営経験が継続していることを説明することが重要になります。
■ 財産的要件
一般建設業の許可を受けるためには、一定の資力があることを示す必要があります。具体的には、次のいずれかによって証明します。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
法人の場合は直前決算の貸借対照表によって自己資本を確認することが一般的です。自己資本が500万円未満の場合には、金融機関の残高証明書などによって資金調達能力を証明する方法もあります。
防水工事業では、設備投資が比較的少ない業種であるため、固定資産が多くない会社も少なくありません。そのため、残高証明書による証明を利用するケースも見られます。
東京都実務では、残高証明書の金額だけでなく、直前決算の内容との整合性が確認されることがあります。例えば、直前決算が債務超過となっている場合や、資金の動きに不自然な点がある場合には、追加説明を求められることがあります。申請前には決算内容を確認し、財産的要件の説明が可能かどうかを整理しておくことが望ましいでしょう。
■ 営業所要件
建設業許可では、営業所としての実体を有する事務所を確保していることが必要です。営業所とは、契約の締結など建設業に関する業務を継続的に行う拠点をいいます。
東京都では、営業所要件について次のような点が確認されます。
・事務所として使用できる契約内容であること
・執務スペースが確保されていること
・事業所として外部から認識できること
・郵便物の受領体制があること
申請時には、事務所の外観写真、内部写真、入口表示などの資料を提出し、営業所の実態を説明します。
防水工事業では、現場作業が中心となるため、事務所の規模が比較的小さいケースも見られます。また、資材置場や倉庫とは別に事務所を設けている場合もあります。東京都実務では、営業所としての機能が確保されているかどうかが確認されるため、単なる作業場や資材置場だけでは営業所として認められない場合があります。
一方で、近年ではシェアオフィスやレンタルオフィスを利用する事業者も増えています。東京都では、営業所としての独立性や事業実態が確認できる場合には、これらの利用が直ちに否定されるわけではありません。ただし、専用スペースの有無や契約内容などによって判断が分かれるため、事前に整理しておくことが重要です。
■ 要件整理の実務ポイント
常勤役員等、財産的要件、営業所要件は、いずれも建設業許可の基礎要件ですが、東京都の申請実務では、提出書類全体の整合性が確認されます。例えば、会社の決算書、工事経歴書、請求書などの内容が一致していない場合には、補正が求められることがあります。
防水工事業の申請では、営業所技術者等の実務経験や業種区分の整理に注目が集まりがちですが、これらの基礎要件についても事前に確認しておくことが重要です。申請前に各要件を整理し、提出資料が矛盾なく説明できる状態にしておくことが、東京都での許可申請を円滑に進めるうえでの実務上のポイントになります。
東京都で生じやすい補正事例|防水工事業の申請実務
東京都で防水工事業の建設業許可を申請する場合、書類の不足や形式的な誤りだけでなく、工事内容や業種区分の整理が不十分であることを理由に補正を求められるケースがあります。防水工事業は、改修工事の中で複数の工種が混在することが多いため、工事内容の説明が不十分な場合には追加資料や説明を求められることがあります。
ここでは、東京都の申請実務で比較的見られる補正事例を整理します。
■ 工事経歴書と客観資料の工事名が一致していない
防水工事業の申請では、営業所技術者等の実務経験を証明するために工事経歴書を作成します。しかし、工事経歴書に記載した工事名と、請求書や契約書などの客観資料の工事名が一致していない場合には、補正を求められることがあります。
例えば、工事経歴書では「防水改修工事」と記載しているにもかかわらず、請求書では「外壁改修工事」や「建物改修工事」となっている場合、その工事が防水工事として整理できるのかが問題になります。
このような場合には、工事の具体的な施工内容を説明する資料や、工事内訳が分かる書類の提出を求められることがあります。
■ 防水工事と他業種の区分が整理されていない
防水工事は、外壁改修工事や屋上改修工事の中で施工されることが多く、塗装工事や左官工事、シーリング工事などが含まれる場合があります。工事の内容が十分に整理されていない場合には、防水工事としての実務経験を認められるかどうかが確認されることがあります。
例えば、工事名称が「屋上改修工事」となっているだけでは、防水工事としての施工内容が明確ではありません。東京都では、その工事の中で防水施工がどの部分に該当するのかを具体的に説明することが求められることがあります。
■ 実務経験の期間と資料の整合性
営業所技術者等を10年実務経験で申請する場合、実務経験の期間と提出資料の整合性が確認されます。例えば、工事経歴書では一定期間の実務経験を記載しているにもかかわらず、その期間の客観資料が確認できない場合には、補足資料の提出を求められることがあります。
また、複数の会社で実務経験を積んでいる場合には、それぞれの会社でどのような工事に従事していたのかを整理する必要があります。実務経験の年数だけでなく、工事内容の具体性や資料との一致が確認される点が東京都実務の特徴です。
■ 営業所の実態確認
営業所要件についても、事務所の実体性が確認されることがあります。申請時には事務所の写真資料を提出しますが、事務所としての機能が確認できない場合には、追加説明や写真の差替えを求められることがあります。
防水工事業では、現場作業が中心となるため、事務所が小規模である場合もあります。しかし、契約締結や事務作業を行う拠点としての実態が必要になります。資材置場や倉庫のみでは営業所として認められない場合があるため、事務所としての使用状況を整理しておくことが重要です。
■ 防水工事の実態が資料から確認できない
防水工事業の申請では、会社の売上内容や工事内容から、防水工事を実際に行っている事業者であることが確認されます。例えば、決算書や請求書などの資料から防水工事の売上が確認できない場合には、工事内容の説明を求められることがあります。
このような場合には、防水工事に関する契約書、請求書、工事写真などを整理し、防水施工の実態を説明することが必要になる場合があります。
■ 補正を避けるための整理
東京都で防水工事業の許可を申請する際には、工事内容の整理と客観資料の整合性を事前に確認しておくことが重要です。特に、防水工事は改修工事の中で複数の工種と混在することが多いため、防水施工の内容を具体的に説明できるようにしておく必要があります。
申請前に工事内容、工事名称、請求書などの資料を整理し、防水工事として説明できるかどうかを確認しておくことが、補正を避けるための実務上のポイントになります。
防水工事業の建設業許可に関するQ&A
ここでは、防水工事業の建設業許可について、実務上よくある疑問を整理します。防水工事は改修工事の中で複数の工種と関係することが多いため、業種区分や許可の要否について迷うケースも少なくありません。
■ シーリング工事だけでも防水工事業の許可は必要ですか?
シーリング工事は、建築物の目地やサッシまわりなどに充填材を施工し、水の浸入を防止する工事です。一般に、防水機能を確保することを目的として行われるシーリング工事は、防水工事として整理されることがあります。
ただし、許可の要否は工事内容だけでなく請負金額によって判断されます。1件の請負金額が500万円(税込)以上となる場合には、防水工事業の建設業許可が必要になります。500万円未満の工事のみを請け負う場合には、許可がなくても施工することは可能です。
■ 塗膜防水は塗装工事業ではないのですか?
塗膜防水は、ウレタン防水やFRP防水など、液状材料を塗布して防水層を形成する施工方法です。施工工程が塗装に近いことから、塗装工事と混同されることがあります。
しかし、塗膜防水は建築物への水の浸入を防止することを目的とする施工であるため、防水工事として整理されるのが一般的です。外壁の塗替えなど美観維持を主目的とする工事は塗装工事に該当しますが、防水性能の確保を目的とする施工は防水工事として判断されます。
■ 防水工事は下請でも許可が必要ですか?
建設業許可の要否は、元請・下請の別によって判断されるものではありません。元請工事であっても下請工事であっても、1件の請負金額が500万円(税込)以上となる場合には、防水工事業の許可が必要になります。
そのため、防水工事を下請として施工している場合でも、工事金額が500万円以上となる場合には許可が必要になります。
■ 500万円未満の工事しか請け負わない場合は許可は不要ですか?
建設業法では、1件の請負金額が500万円(税込)未満の工事のみを請け負う場合には、建設業許可は必須ではありません。防水工事でも同様です。
ただし、事業規模の拡大や元請会社からの要請などにより、許可取得を検討する事業者も少なくありません。特にマンション改修工事やビル改修工事では、防水工事でも請負金額が大きくなる場合があります。
■ 個人事業でも防水工事業の許可は取得できますか?
防水工事業の建設業許可は、法人だけでなく個人事業でも取得することができます。個人事業の場合でも、常勤役員等、営業所技術者等、財産的要件、営業所要件などの要件を満たしていれば申請することが可能です。
ただし、10年実務経験で営業所技術者等を証明する場合には、工事内容を裏付ける客観資料が必要になります。過去の請求書や契約書などの資料を整理しておくことが重要です。
■ 防水工事の経験はどのように証明するのですか?
防水工事業の営業所技術者等を10年実務経験で申請する場合には、工事経歴書と客観資料によって実務経験を証明します。具体的には、請求書、契約書、注文書などの資料によって、工事内容や従事期間を裏付けることが必要になります。
防水工事は改修工事の中で複数の工種と混在することが多いため、防水施工の内容を具体的に整理しておくことが重要です。
防水工事業の許可取得後に必要となる管理手続き
防水工事業の建設業許可は、取得して終わりではありません。許可を維持するためには、建設業法に基づく各種届出や更新手続きを継続的に行う必要があります。これらの手続きを適切に管理しておくことが、許可を継続して活用するための前提となります。
まず、毎事業年度終了後には「決算変更届」の提出が必要になります。これは、事業年度終了後4か月以内に提出することとされており、工事経歴書や財務諸表などを作成して提出します。防水工事業の場合、改修工事の中で複数の工種が混在することが多いため、工事内容を整理して工事経歴書を作成することが重要になります。
また、建設業許可には有効期間があります。一般建設業の許可は5年間有効であり、許可を継続する場合には更新申請を行う必要があります。更新手続きは、許可満了日の30日前までに申請することとされており、期限を過ぎると許可が失効する可能性があります。そのため、更新時期を事前に確認し、必要な準備を進めておくことが重要です。
このほか、役員の変更、営業所の所在地変更、営業所技術者等の変更などがあった場合には、変更届出の提出が必要になります。これらの届出は内容によって提出期限が異なるため、変更が生じた場合には速やかに手続きを確認する必要があります。
防水工事業では、事業規模の拡大や元請会社からの要請などにより、公共工事への参加や経営事項審査の受審を検討するケースも見られます。このような場合には、許可取得後の各種手続きを適切に管理しておくことが前提になります。
建設業許可は、適切に管理することで事業の継続的な基盤として活用することができます。許可取得後も、決算変更届、更新申請、各種変更届出などの手続きを整理し、許可の維持管理を行っていくことが重要です。
許可取得後の管理体制について詳しく知りたい方は、
建設業許可取得後の管理について
もあわせてご覧ください。
東京都で防水工事業許可をご検討の方へ
防水工事業の許可申請では、業種区分の整理と実務内容の説明が重要になります。特に10年実務経験での申請では、事前の整理によって結果が大きく変わります。
現在の工事内容で許可が必要かどうか迷われている場合は、工事内容と実務経験を一度整理してみることが重要です。整理の段階で不明点がある場合は、早めに確認しておくことで、申請時の補正リスクを抑えることにつながります。
東京都内でも台東区や墨田区では、防水工事業の建設業許可に関する相談が多くあります。
台東区や墨田区で防水工事業の建設業許可を取得する場合については、こちらの記事で詳しく解説しています。









