【東京都対応】営業所技術者等の要件を徹底解説|一般建設業許可・特定建設業許可の違い

東京都で建設業許可を取得する際に、最も重要な要件の一つが営業所技術者等の配置です。

営業所技術者等は、営業所ごとに配置が必要となる技術的な責任者であり、この要件を満たしていなければ建設業許可を取得することはできません。実際に建設業許可のご相談では、「自分の資格で許可が取れるのか」「実務経験だけで営業所技術者等になれるのか」「電気通信工事業と電気工事業のどちらで申請できるのか」といったご質問を数多くいただきます。

また、令和5年の建設業法改正により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者等」へと名称が変更されました。名称だけでなく制度の考え方も見直されており、現在はテレワークに関する取扱いなども公表されています。

特に東京都では、実務経験による申請の場合に工事請負契約書や注文書、請求書などの客観的資料による証明が重視されており、経験年数だけでなく工事内容や業種との整合性も確認されます。そのため、要件を誤解したまま申請準備を進めると、追加資料の提出や補正対応が必要となり、許可取得までに時間を要することがあります。

この記事では、営業所技術者等とは何か、一般建設業許可と特定建設業許可の要件、国家資格・指定学科卒業・実務経験による証明方法、東京都実務で注意すべきポイントについて、建設業許可の実務に基づいてわかりやすく解説します。

目次

第1章 営業所技術者等とは

営業所技術者等とは、建設業許可を受けようとする営業所ごとに配置しなければならない技術的な責任者です。

営業所では、建設工事の見積りや契約締結などの営業活動が行われますが、営業所技術者等は、その営業所で請け負う建設工事について技術的な観点から適切な管理を行う役割を担います。

建設業許可を取得するためには、常勤役員等や財産的要件などの各種要件を満たす必要がありますが、営業所技術者等を配置できない場合には許可を取得することができません。そのため、建設業許可において最も重要な要件の一つといえます。

令和5年の建設業法改正以前は「専任技術者」と呼ばれていましたが、現在は「営業所技術者等」という名称に変更されています。

名称は変更されましたが、営業所ごとに一定の技術的能力を有する者を配置するという基本的な考え方は変わっていません。

営業所技術者等は、許可を受けようとする業種ごとに要件を満たす必要があります。

例えば、

・建築工事業

・管工事業

・電気工事業

・電気通信工事業

・内装仕上工事業

など、それぞれの業種について対応する資格や実務経験が求められます。

そのため、同じ建設会社であっても、取得する業種によって営業所技術者等になれるかどうかが異なります。

また、営業所技術者等には常勤性が求められます。

東京都では、健康保険や厚生年金保険の加入状況、雇用関係を確認する資料などによって常勤性が確認されることがあります。

さらに、営業所技術者等は営業所においてその職務を適切に行うことが求められるため、他社の営業所技術者等や常勤を要する専任職との兼任には制限があります。

ただし、近年は働き方の多様化に対応するため、一定の条件のもとでテレワークを活用する場合の取扱いも示されています。

営業所技術者等の要件を満たす方法には、

・国家資格による方法

・指定学科卒業後の実務経験による方法

・実務経験による方法

などがあります。

どの方法で証明する場合であっても、業種との適合性や経験内容が重要となるため、まずは自社がどの方法によって要件を満たせるのかを確認することが重要です。

第2章 一般建設業許可の営業所技術者等要件

一般建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者等を配置しなければなりません。

営業所技術者等になるための要件は建設業法で定められており、大きく分けると次の4つの方法があります。

・国家資格等を有している場合

・技能検定(技能士)等による場合

・指定学科卒業後に一定期間の実務経験を有する場合

・10年以上の実務経験を有する場合

実際の建設業許可申請では、これらのいずれかによって営業所技術者等の要件を証明することになります。

2-1 国家資格等による場合

最も一般的なのが国家資格等による証明です。

例えば、

・1級建築施工管理技士

・2級建築施工管理技士

・1級土木施工管理技士

・2級土木施工管理技士

・1級管工事施工管理技士

・2級管工事施工管理技士

・1級電気工事施工管理技士

・2級電気工事施工管理技士

・一級建築士

・二級建築士

・技術士

などの資格が該当します。

ただし、資格を保有していればどの業種でも営業所技術者等になれるわけではありません。

資格ごとに認められる業種が定められているため、自社が取得しようとする業種との適合性を確認する必要があります。

2-2 技能検定(技能士)による場合

技能士資格によって営業所技術者等の要件を満たせる業種もあります。

例えば、

・とび技能士

・配管技能士

・塗装技能士

・防水施工技能士

・内装仕上げ施工技能士

などが代表的です。

ただし、資格の種類や級によっては実務経験が必要となる場合があります。

特に2級技能士については追加の実務経験が必要になるケースがあるため注意が必要です。

2-3 指定学科卒業後の実務経験による場合

大学、高等専門学校、短期大学、高等学校などで指定学科を修了した場合には、一定期間の実務経験によって営業所技術者等になることができます。

一般的には、

・大学、高等専門学校卒業 3年以上

・高等学校卒業 5年以上

の実務経験が必要となります。

東京都では、卒業証明書や成績証明書の提出を求められることがあります。

また、学科名だけで判断できない場合には、履修科目の確認が必要となることもあります。

2-4 10年以上の実務経験による場合

国家資格や指定学科卒業に該当しない場合であっても、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があれば営業所技術者等になれる可能性があります。

建設業許可のご相談では、この実務経験による申請が最も難しいケースの一つです。

東京都では、単に「10年間工事に従事していた」という申述だけでは認められません。

工事請負契約書、注文書と請書、請求書、通帳、工事台帳などの客観的資料によって実務経験を証明する必要があります。

一般建設業許可では、このように複数の方法によって営業所技術者等の要件を満たすことができます。まずは自社がどのルートで要件を証明できるのかを確認し、必要な資料を整理することが重要です。

第3章 国家資格等による営業所技術者等の要件

営業所技術者等の要件を満たす方法として、最も一般的なのが国家資格等による証明です。

国家資格を保有している場合、実務経験を証明するための大量の資料を準備する必要がないため、比較的スムーズに建設業許可申請を進めることができます。

ただし、資格を持っていればすべての業種で営業所技術者等になれるわけではありません。資格ごとに対応する業種が定められているため、取得しようとする建設業許可の業種との適合性を確認する必要があります。

3-1 施工管理技士による場合

営業所技術者等として最も利用される資格の一つが施工管理技士です。

代表的な資格として、

・1級建築施工管理技士

・2級建築施工管理技士

・1級土木施工管理技士

・2級土木施工管理技士

・1級管工事施工管理技士

・2級管工事施工管理技士

・1級電気工事施工管理技士

・2級電気工事施工管理技士

などがあります。

施工管理技士は建設業許可との関連が強く、多くの業種で営業所技術者等の要件を満たすことができます。

ただし、2級施工管理技士については種別によって認められる業種が異なるため注意が必要です。

例えば、2級建築施工管理技士(仕上げ)であれば内装仕上工事業などに対応しますが、取得している種別によっては希望する業種に対応しない場合があります。

3-2 建築士による場合

建築士も営業所技術者等として認められる代表的な国家資格です。

一級建築士はもちろん、二級建築士についても一定の業種で営業所技術者等になることができます。

建築工事業や大工工事業、内装仕上工事業など、建築系の業種を取得する際には重要な資格となります。

特に建築系の会社では、建築士資格によって営業所技術者等の要件を満たすケースが多く見られます。

3-3 技術士による場合

技術士は高度な専門知識を有する国家資格であり、建設業許可においても営業所技術者等として認められています。

ただし、技術士についても技術部門によって対応業種が異なるため、資格名だけでは判断できない場合があります。

許可を受けようとする業種との対応関係を確認することが重要です。

3-4 電気工事士などの国家資格による場合

施工管理技士や建築士以外にも、第一種電気工事士などの国家資格によって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。

ただし、資格によって認められる業種は限定されています。

例えば、第一種電気工事士は電気工事業の営業所技術者等となることができますが、電気通信工事業の営業所技術者等になれるわけではありません。

実務上も、「電気工事士を持っているので電気通信工事業も取得できると思っていた」という相談は少なくありません。

3-5 資格があっても業種との適合確認が必要

営業所技術者等の要件を資格によって証明する場合、最も重要なのは資格と業種との適合性です。

資格証を持っているだけで判断するのではなく、その資格がどの業種に対応しているのかを確認しなければなりません。

また、複数業種の取得を希望する場合には、一つの資格でどこまで対応できるのかを確認することも重要です。

建設業許可申請では、資格そのものよりも「その資格で希望する業種の営業所技術者等になれるか」が重要になります。そのため、申請前に資格と業種の対応関係を確認しておくことが大切です。

第4章 指定学科卒業後の実務経験による営業所技術者等の要件

国家資格を保有していない場合であっても、指定学科を卒業し、その後一定期間の実務経験を積んでいれば営業所技術者等になることができます。

建設業許可のご相談では、「工業高校を卒業している」「大学で建築や土木を学んでいた」という方が、この制度を利用して営業所技術者等の要件を満たすケースが少なくありません。

4-1 指定学科とは

指定学科とは、建設業法で定められた土木工学、建築学、機械工学、電気工学などの学科をいいます。

例えば、

・建築学科

・土木工学科

・電気工学科

・機械工学科

・建設工学科

などが代表的です。

ただし、学科名だけでは判断が難しい場合もあるため、個別の確認が必要となることがあります。

また、卒業した学校や学科によって認められる業種が異なる場合もあります。

4-2 必要となる実務経験年数

指定学科を卒業した場合は、資格がなくても一定期間の実務経験を積むことで営業所技術者等になることができます。

一般建設業許可の場合、

・大学、高等専門学校卒業 3年以上

・高等学校卒業 5年以上

の実務経験が必要です。

国家資格による場合と比較すると実務経験が必要になりますが、10年間の実務経験を証明する場合よりも負担は軽くなります。

そのため、建設系学科を卒業している方にとっては有力な選択肢となります。

4-3 実務経験として認められる業務

実務経験として認められるのは、許可を受けようとする業種に関する工事について、施工や施工管理、工事監督など技術的な業務に従事した経験です。

単なる事務作業や営業活動のみでは実務経験として認められません。

また、取得しようとする業種との関連性も重要です。

例えば、管工事業の営業所技術者等になろうとする場合には、原則として管工事に関する実務経験が必要になります。

4-4 東京都実務で注意すべきポイント

東京都では、指定学科卒業後の実務経験による申請であっても、実務経験の内容を確認するための資料提出が必要になります。

卒業証明書によって学歴を確認するとともに、勤務先の在籍期間や工事内容などから必要年数の実務経験を有しているかが確認されます。

実務経験の対象期間や工事内容に不明点がある場合には、追加資料の提出を求められることもあります。

そのため、指定学科を卒業している場合であっても、「卒業しているから自動的に営業所技術者等になれる」というわけではありません。

卒業した学科と取得したい業種との関係、そして必要年数の実務経験を満たしているかを事前に確認しておくことが重要です。

指定学科卒業後の実務経験による申請は、国家資格を保有していない方にとって重要なルートの一つです。まずは卒業学科と実務経験の内容を整理し、営業所技術者等の要件を満たしているか確認することをおすすめします。

第5章 10年以上の実務経験による営業所技術者等の要件

国家資格を保有しておらず、指定学科卒業にも該当しない場合であっても、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等になれる可能性があります。

建設業許可のご相談では、「資格は持っていないが長年建設業に従事している」「個人事業として長く工事を行ってきた」というケースも少なくありません。

そのような場合に利用されるのが、実務経験による営業所技術者等の認定です。

ただし、営業所技術者等の要件の中では、最も証明が難しいルートの一つでもあります。

5-1 実務経験とは

建設業許可における実務経験とは、単に建設会社に在籍していた期間を指すものではありません。

許可を受けようとする業種について、工事の施工、施工管理、工程管理、品質管理、見積り作成など、技術上の業務に従事した経験が必要となります。

例えば、管工事業の営業所技術者等になろうとする場合には、管工事に関する実務経験が必要です。

電気工事の経験しかない方が、管工事業の営業所技術者等になることはできません。

重要なのは、「建設業に従事していたか」ではなく、「取得しようとする業種について技術的な実務経験があるか」という点です。

5-2 10年間の実務経験が必要

一般建設業許可では、原則として10年以上の実務経験が必要です。

この10年は、許可を受けようとする業種に関する経験年数によって判断されます。

例えば、

・内装仕上工事業で10年以上

・管工事業で10年以上

・電気通信工事業で10年以上

など、それぞれの業種ごとに経験を確認することになります。

そのため、異なる業種の経験を単純に合算できるとは限りません。

また、経験年数だけでなく、実際にどのような工事に従事していたのかも重要になります。

5-3 東京都で重視される客観的資料

東京都では、実務経験による申請において客観的資料が重視されます。

単に「10年以上経験があります」という申述だけで認められることはありません。

実務経験を証明するためには、工事実績を裏付ける資料を提出する必要があります。

主な資料としては、

・工事請負契約書

・注文書、請書

・請求書

・入金が確認できる通帳

・工事台帳

などがあります。

特に近年は、工事の存在だけでなく、実際に工事代金の授受が行われているかについても確認されることがあります。

そのため、請求書だけではなく、通帳などの補足資料が必要になるケースも少なくありません。

5-4 工事内容と業種の整合性も重要

実務経験による申請では、経験年数だけでなく工事内容が取得しようとする業種と一致しているかも確認されます。

例えば、提出した資料に記載された工事内容が電気工事であるにもかかわらず、電気通信工事業の実務経験として申請した場合には認められない可能性があります。

また、一つの工事で複数の業種が関係する場合には、どの部分が対象業種に該当するのかを整理する必要があります。

東京都では工事名称だけではなく、実際の施工内容も確認されるため注意が必要です。

5-5 事前確認が重要

実務経験による営業所技術者等の申請は、国家資格による申請と比べて準備に時間がかかります。

資料が不足している場合には、過去の取引先や勤務先へ確認を行う必要が生じることもあります。

また、経験年数は足りていても、工事内容や証明資料の不足によって認められないケースもあります。

そのため、実務経験による申請を検討している場合には、申請直前ではなく早い段階から資料を整理し、要件を満たしているか確認しておくことが重要です。

資格がない場合であっても、適切な実務経験と証明資料があれば営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。まずは経験内容と手元の資料を確認し、どのような形で証明できるかを検討することが大切です。

第6章 特定建設業許可の営業所技術者等要件

一般建設業許可と特定建設業許可では、営業所技術者等に求められる要件が異なります。

特定建設業許可は、発注者から直接請け負った工事について、多額の下請契約を締結する元請業者を対象とした制度です。そのため、一般建設業許可よりも高い技術力と管理能力が求められます。

営業所技術者等についても、一般建設業許可より厳しい要件が定められています。

6-1 特定建設業許可が必要となるケース

特定建設業許可は、発注者から直接請け負った工事について、下請代金の額が一定金額以上となる場合に必要です。

現在の基準では、

・建築一式工事 8,000万円以上

・建築一式工事以外 5,000万円以上

の下請契約を締結する場合に特定建設業許可が必要となります。

ここでいう下請代金は、一次下請だけでなく複数の下請業者へ発注する金額の合計で判断されます。

そのため、大規模な元請工事を受注する会社では、一般建設業許可から特定建設業許可への変更を検討するケースも少なくありません。

6-2 原則は1級資格者等が必要

特定建設業許可の営業所技術者等は、原則として高度な国家資格等を保有していることが求められます。

代表的な資格としては、

・1級建築施工管理技士

・1級土木施工管理技士

・1級管工事施工管理技士

・1級電気工事施工管理技士

・一級建築士

・技術士

などがあります。

一般建設業許可では営業所技術者等になれる2級施工管理技士であっても、特定建設業許可では認められない場合があります。

そのため、将来的に特定建設業許可を取得したい場合には、早い段階から1級資格の取得を検討することが重要です。

6-3 指導監督的実務経験による場合

特定建設業許可には、国家資格等以外のルートとして「指導監督的実務経験」による制度があります。

これは、一般建設業許可の営業所技術者等となる資格又は実務経験を有している者が、元請として請け負った工事について指導監督的な立場で一定期間実務経験を積んでいる場合に認められる制度です。

ただし、この制度による申請は決して多くありません。

工事規模や立場を客観的資料によって証明する必要があり、一般的な実務経験証明よりも難易度が高いためです。

また、指定建設業については特に注意が必要です。

指定建設業とは、

・土木工事業

・建築工事業

・電気工事業

・管工事業

・鋼構造物工事業

・舗装工事業

・造園工事業

の7業種をいいます。

これらの指定建設業については、原則として1級施工管理技士や技術士、一級建築士などの国家資格等が必要とされており、指導監督的実務経験のみで営業所技術者等になることはできません。

6-4 東京都実務では資格ルートが中心

東京都の建設業許可実務では、特定建設業許可の営業所技術者等については国家資格による申請が中心となっています。

特に、

・1級施工管理技士

・一級建築士

・技術士

などによる申請が大半を占めています。

一方で、指導監督的実務経験による申請は証明資料が膨大になりやすく、事前準備にも時間を要します。

そのため、実務上は国家資格による申請の方が現実的なケースが多いといえます。

6-5 監理技術者資格者証による認定制度

特定建設業許可の営業所技術者等については、監理技術者資格者証による認定制度があります。

一定の要件を満たし監理技術者資格者証の交付を受けている者については、指定建設業以外の業種において特定建設業許可の営業所技術者等として認められる場合があります。

例えば、

・機械器具設置工事業

・電気通信工事業

・内装仕上工事業

・防水工事業

などの指定建設業以外の業種では、この制度によって営業所技術者等の要件を満たせるケースがあります。

一方で、

・土木工事業

・建築工事業

・電気工事業

・管工事業

・鋼構造物工事業

・舗装工事業

・造園工事業

の指定建設業7業種については、原則として1級施工管理技士や技術士、一級建築士などの国家資格等による要件を満たす必要があります。

そのため、監理技術者資格者証を保有している場合であっても、指定建設業については営業所技術者等として認められないことがあります。

特定建設業許可を検討する際には、自社の取得予定業種が指定建設業に該当するかどうかを確認したうえで、どの制度によって営業所技術者等の要件を満たすのか整理しておくことが重要です。

6-6 般・特新規で注意すべきポイント

一般建設業許可から特定建設業許可へ変更する「般・特新規」では、営業所技術者等の要件を改めて確認する必要があります。

現在の営業所技術者等が2級施工管理技士や実務経験によって要件を満たしている場合には、そのまま特定建設業許可へ移行できないことがあります。

また、営業所技術者等の要件だけでなく、特定建設業許可特有の財産要件も満たさなければなりません。

そのため、般・特新規を検討する場合には、工事受注状況だけでなく、技術者資格や決算内容も含めて事前に確認しておくことが重要です。

特定建設業許可の営業所技術者等要件は、一般建設業許可よりも厳しく設定されています。将来的に大規模工事や元請工事の受注拡大を目指す場合には、資格要件や財産要件を早めに確認し、計画的に準備を進めることが重要です。

第7章 東京都で営業所技術者等を申請する際の注意点

営業所技術者等の要件は、単に資格や実務経験年数を満たしていればよいというものではありません。

東京都の建設業許可実務では、資格の有無だけでなく、常勤性や実務経験の内容、工事資料との整合性なども確認されます。

そのため、要件を満たしていると思っていても、申請段階で資料不足や内容の不整合が判明し、追加資料の提出や補正対応が必要になることがあります。

7-1 常勤性の確認

営業所技術者等には常勤性が求められます。

そのため、他社で常勤勤務している方や、他社の営業所技術者等として登録されている方は、原則として営業所技術者等になることができません。

東京都では、健康保険被保険者証情報や標準報酬決定通知書などによって常勤性を確認することがあります。

また、住所地と営業所所在地が著しく離れている場合には、通勤実態について確認を求められることもあります。

営業所技術者等として申請する場合には、常勤性を説明できる状態になっているか事前に確認することが重要です。

7-2 実務経験証明は年数だけでは足りない

実務経験による申請では、「10年以上建設業に従事している」というだけでは認められません。

東京都では、どのような工事に従事していたのか、どの業種の経験なのかを客観的資料によって確認します。

例えば、

・工事請負契約書

・注文書、請書

・請求書

・通帳

などの資料によって工事内容を確認することになります。

経験年数は十分であっても、資料が不足しているために証明できないケースもあります。

実務経験による申請では、できるだけ早い段階から資料を整理しておくことが重要です。

7-3 工事内容と業種の判断

東京都実務では、工事名称だけではなく実際の施工内容によって業種判断が行われます。

例えば、

・LAN配線工事

・ネットワーク設備工事

・監視カメラ設備工事

などは電気通信工事業に該当することが多くあります。

一方で、

・照明設備工事

・コンセント工事

・受変電設備工事

などは電気工事業に該当します。

工事名称が似ている場合であっても、施工内容によって業種判断が異なることがあるため注意が必要です。

実務経験による申請では、工事内容と申請業種との整合性が重要になります。

7-4 資格だけで判断できない場合がある

国家資格を保有している場合であっても、取得しようとする業種との対応関係を確認する必要があります。

例えば、第一種電気工事士を保有していても、直ちに電気通信工事業の営業所技術者等になれるわけではありません。

また、2級施工管理技士については種別によって認められる業種が異なります。

資格があるから大丈夫と考えるのではなく、その資格で希望する業種の営業所技術者等になれるかを確認することが重要です。

7-5 営業所要件との関係

営業所技術者等は、建設業許可上の営業所に常勤している必要があります。

そのため、営業所自体が建設業許可の要件を満たしていなければなりません。

東京都では、営業所の独立性や使用権限、事務所としての実体なども確認されます。

営業所技術者等の要件だけを満たしていても、営業所要件を満たしていなければ建設業許可は取得できません。

建設業許可申請では、営業所技術者等、常勤役員等、財産的要件、営業所要件などを総合的に確認することが重要です。

営業所技術者等は建設業許可の重要な要件ですが、東京都実務では資格や経験年数だけで判断されるわけではありません。常勤性や実務経験資料、業種との整合性なども含めて事前に確認しておくことが、スムーズな許可取得につながります。

第8章 営業所技術者等に関するよくある誤解

営業所技術者等については、インターネット上の情報や過去の制度を前提とした説明が多く残っているため、誤解されやすいポイントが少なくありません。

ここでは、建設業許可のご相談でよくいただく質問について解説します。

8-1 資格を持っていればどの業種でも営業所技術者等になれる?

国家資格を保有している方から、「施工管理技士を持っているのでどの業種でも申請できますか」と質問されることがあります。

しかし、営業所技術者等は資格ごとに認められる業種が定められています。

例えば、1級電気工事施工管理技士であれば電気工事業の営業所技術者等になることができますが、すべての業種に対応しているわけではありません。

また、2級施工管理技士については種別によって認められる業種が異なります。

そのため、資格の有無だけではなく、取得しようとする業種との適合性を確認することが重要です。

8-2 10年以上建設業に従事していれば自動的に認められる?

実務経験による申請では、「建設業に20年以上従事しているので問題ないと思います」という相談を受けることがあります。

しかし、実務経験による営業所技術者等の申請では、単に勤務年数が長いだけでは認められません。

許可を受けようとする業種に関する実務経験であることに加え、その内容を客観的資料によって証明する必要があります。

そのため、経験年数が十分であっても資料が不足している場合には、営業所技術者等として認められないことがあります。

8-3 他社の営業所技術者等と兼任できる?

営業所技術者等には常勤性が求められます。

そのため、原則として他社の営業所技術者等との兼任はできません。

また、他社で常勤勤務している方が、自社の営業所技術者等になることもできません。

東京都では常勤性について確認が行われるため、兼任が疑われる場合には追加資料の提出を求められることがあります。

8-4 第一種電気工事士があれば電気通信工事業も取得できる?

電気工事業と電気通信工事業は混同されやすい業種です。

そのため、「第一種電気工事士を持っているので電気通信工事業も取得できますか」という質問を受けることがあります。

しかし、電気工事業と電気通信工事業は別の業種であり、営業所技術者等の要件も異なります。

保有資格によっては電気工事業には対応していても、電気通信工事業には対応していないことがあります。

申請前には必ず資格と業種の対応関係を確認することが重要です。

8-5 専任技術者と営業所技術者等は別の制度?

現在でも「専任技術者」という言葉が広く使われています。

しかし、令和5年の建設業法改正により、専任技術者は営業所技術者等へ名称変更されています。

そのため、基本的には同じ制度について説明しているものと考えて差し支えありません。

ただし、現在の実務では営業所技術者等という名称が使用されているため、最新の制度に基づいて確認することが重要です。

8-6 特定建設業許可は2級施工管理技士でも取得できる?

一般建設業許可では、2級施工管理技士によって営業所技術者等の要件を満たせるケースがあります。

しかし、特定建設業許可では原則として1級施工管理技士や技術士、一級建築士などの高度な資格が必要となります。

そのため、現在2級施工管理技士によって一般建設業許可を取得している会社であっても、そのまま特定建設業許可へ移行できるとは限りません。

般・特新規を検討する場合には、営業所技術者等の資格要件を事前に確認することが重要です。

営業所技術者等に関する誤解は、建設業許可申請の遅延や要件不足につながることがあります。特に資格と業種の対応関係や実務経験証明については誤解が多いため、申請前に十分確認しておくことをおすすめします。

まとめ

営業所技術者等は、建設業許可を取得するために必要となる重要な要件の一つです。

営業所技術者等になるためには、

・国家資格等による方法

・指定学科卒業後の実務経験による方法

・実務経験による方法

などがあり、会社や個人の状況によって利用できるルートが異なります。

また、一般建設業許可と特定建設業許可では要件が異なり、特定建設業許可では原則として1級施工管理技士や技術士、一級建築士などの高度な資格が求められます。

特に東京都では、実務経験による申請の場合に工事請負契約書や注文書、請求書などの客観的資料が重視されるため、単に経験年数があるだけでは要件を満たせません。工事内容と業種との整合性や常勤性についても確認されるため、事前準備が重要になります。

また、「資格を持っていればどの業種でも申請できる」「10年以上働いていれば自動的に認められる」といった誤解も少なくありません。営業所技術者等の要件は業種ごとに異なるため、資格や実務経験がどの業種に対応するのかを正確に確認する必要があります。

建設業許可申請では、営業所技術者等の要件が許可取得の可否を左右するケースも少なくありません。東京都で建設業許可の新規取得や業種追加、般・特新規をご検討の方は、まずは保有資格や実務経験の内容を整理し、営業所技術者等の要件を満たしているか確認してみましょう。

営業所技術者等の判断は業種や経歴によって異なるため、ご不安な場合は事前に専門家へ相談することをおすすめします。

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