東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得したい会社様から、次のようなご相談をいただくことがあります。
足場工事の請負金額が500万円を超えるようになってきた。
元請会社から建設業許可の取得を求められた。
外構工事やコンクリート工事も請け負っているが、どの業種の許可が必要か分からない。
解体工事業や舗装工事業との違いが分からない。
10年以上の実務経験で営業所技術者等になれるか確認したい。
とび・土工工事業は、建設業許可29業種の中でも、特に工事範囲が広い業種です。
足場工事、仮設工事、掘削工事、土留め工事、コンクリート工事、地盤改良工事、外構工事、はつり工事、アンカー工事、重量物の運搬配置など、さまざまな工事が関係します。
その一方で、実務上は他の業種との区分が問題になりやすい業種でもあります。
たとえば、建物の解体を行う場合は解体工事業、道路を舗装する場合は舗装工事業、石材やブロックを積む場合は石工事業やタイル・れんが・ブロック工事業、機械設備を設置する場合は機械器具設置工事業に該当することがあります。
また、足場工事や土工事の経験が長くても、その経験を東京都の建設業許可申請でどのように証明するかは別問題です。
特に10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、工事内容、請負実績、在籍期間、証明者との関係などを整理する必要があります。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得するためには、単に「現場経験がある」「足場工事をしていた」というだけではなく、とび・土工工事業に該当する工事を継続して行っていたことを、資料に基づいて説明できることが重要です。
この記事では、東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得するために必要な工事内容、500万円基準、他業種との違い、営業所技術者等の要件、10年実務経験の証明、許可取得後の手続き、経営事項審査まで、行政書士が実務上のポイントを整理して解説します。
目次
第1章 とび・土工工事業とは?東京都で建設業許可が必要となる工事
とび・土工工事業とは、建設業許可29業種のうちの1つで、足場の組立て、重量物の運搬配置、くい工事、土工事、コンクリート工事、地盤改良工事、外構工事などを含む業種です。
東京都で建設業許可を取得する場合、「とび・土工工事業」は非常に相談の多い業種の一つです。
特に、足場工事、仮設工事、掘削工事、コンクリート打設工事、外構工事などを行っている会社様からのご相談が多くあります。
とび・土工工事業に該当する代表的な工事には、次のようなものがあります。
- 足場工事
- 仮設工事
- 重量物の運搬配置工事
- 鉄骨組立工事
- くい工事
- くい打ち工事
- くい抜き工事
- 場所打ぐい工事
- 土工事
- 掘削工事
- 根切り工事
- 盛土工事
- 土留め工事
- コンクリート打設工事
- 地盤改良工事
- 外構工事
- はつり工事
- 切断穿孔工事
- アンカー工事
- あと施工アンカー工事
- 法面保護工事
- 道路付属物設置工事
このように、とび・土工工事業は、建設業許可の中でもかなり範囲が広い業種です。
そのため、単に「足場工事の許可」と考えるのではなく、自社が実際に請け負っている工事が、とび・土工工事業に該当するのかを確認する必要があります。
東京都で建設業許可が必要となる場合
とび・土工工事業は、建築一式工事ではなく専門工事です。
そのため、1件の請負金額が500万円以上となるとび・土工工事を請け負う場合には、原則として建設業許可が必要になります。
この500万円は、消費税込みの金額です。
また、材料費を含めて判断します。
足場材、仮設材、コンクリート、アンカー材、その他の材料費を含めると500万円以上になる場合には注意が必要です。
さらに、同じ現場で複数の契約に分けていても、実質的に1つの工事と判断される場合には、合算して500万円以上になることがあります。
東京都でとび・土工工事業を営む会社様は、足場工事、土工事、コンクリート工事、外構工事などの請負金額が大きくなる前に、建設業許可が必要かどうかを確認しておくことが大切です。
とび・土工工事業は範囲が広い分、許可が必要かどうか、どの業種で申請すべきか、実務経験をどのように証明するかが問題になりやすい業種です。
東京都で申請する場合には、自社の工事内容を具体的に整理したうえで、建設業許可の要件を確認していく必要があります。
第2章 とび・土工工事業に含まれる主な工事
とび・土工工事業は、建設業許可29業種の中でも対象となる工事の範囲が広い業種です。
足場工事だけでなく、土工事、コンクリート工事、地盤改良工事、外構工事、アンカー工事、はつり工事なども、とび・土工工事業に含まれることがあります。
そのため、東京都でとび・土工工事業の建設業許可を申請する場合には、自社が請け負っている工事内容を具体的に整理することが重要です。
(1)足場工事
足場工事は、とび・土工工事業の代表的な工事です。
建物の新築工事、外壁改修工事、塗装工事、防水工事、解体工事などに伴い、作業用の足場を組み立てる工事が該当します。
足場工事だけで1件500万円以上となる場合には、原則として、とび・土工工事業の建設業許可が必要です。
また、足場工事は他の工事と一体で請け負うこともあります。
その場合には、足場工事が主たる工事なのか、他の専門工事に付随する工事なのかを確認する必要があります。
(2)重量物の運搬配置工事
重量物の運搬配置工事も、とび・土工工事業に含まれます。
建設資材、機械設備、鉄骨部材、大型設備などの重量物を、現場で移動、据付け、配置する工事です。
ただし、機械設備そのものを組み立てて設置する工事の場合には、機械器具設置工事業との区分が問題になることがあります。
単なる重量物の運搬配置なのか、機械器具を据え付けて設備として機能させる工事なのかによって、必要となる許可業種が変わる可能性があります。
(3)くい工事・土工事
とび・土工工事業には、くい工事や土工事も含まれます。
くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事、掘削工事、根切り工事、盛土工事、埋戻し工事、土留め工事などが該当します。
建物の基礎工事、外構工事、造成工事などで、これらの工事が発生することがあります。
ただし、土工事は範囲が広いため、土木一式工事、舗装工事、解体工事などとの違いも確認する必要があります。
(4)コンクリート工事
コンクリート工事も、とび・土工工事業に含まれる代表的な工事です。
具体的には、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、土間コンクリート工事、基礎コンクリート工事などがあります。
外構工事や基礎工事の一部として、コンクリート工事を請け負うケースもあります。
一方で、建築物全体を建設する工事や、土木工作物を総合的に施工する工事の場合には、建築一式工事や土木一式工事との関係も確認する必要があります。
また、コンクリートブロックを扱う工事では、石工事業やタイル・れんが・ブロック工事業との区分が問題になることがあります。
(5)地盤改良工事
地盤改良工事とは、建物や工作物を安全に支えるために、地盤の強度や性質を改善する工事です。
軟弱地盤の改良、薬液注入、柱状改良、表層改良など、施工方法は現場によって異なります。
地盤改良工事は、とび・土工工事業に含まれる工事として整理されることがあります。
実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、どのような地盤改良工事に従事していたのかを具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
(6)外構工事
外構工事も、とび・土工工事業に該当することがあります。
たとえば、駐車場の整備、フェンス設置、門扉設置、土間コンクリート、アプローチ工事、造成を伴う外構工事などです。
ただし、外構工事は内容によって複数の業種に分かれることがあります。
土工事やコンクリート工事が中心であれば、とび・土工工事業として整理されることがあります。
一方、ブロック積みが中心であれば石工事業やタイル・れんが・ブロック工事業、舗装が中心であれば舗装工事業が問題になることがあります。
(7)はつり工事・切断穿孔工事・アンカー工事
とび・土工工事業には、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事なども含まれます。
はつり工事は、コンクリートやモルタルなどを削ったり、壊したりする工事です。
切断穿孔工事は、コンクリート構造物などを切断したり、穴をあけたりする工事です。
アンカー工事やあと施工アンカー工事は、構造物や設備を固定するためにアンカーを施工する工事です。
これらの工事は、改修工事、耐震補強工事、設備工事、外構工事などと一緒に発生することがあります。
(8)道路付属物設置工事・法面保護工事
道路付属物設置工事や法面保護工事も、とび・土工工事業に含まれることがあります。
道路付属物設置工事には、道路標識、ガードレール、フェンスなどの設置工事があります。
法面保護工事は、斜面の崩壊を防ぐために、法枠や吹付けなどを行う工事です。
これらは公共工事や土木系の工事で問題になることがあります。
とび・土工工事業は、足場工事だけでなく、多くの基礎的・準備的な工事を含む広い業種です。
その一方で、他の業種との境界が分かりにくい場面も多くあります。
東京都で建設業許可を申請する場合には、工事名だけで判断せず、実際に請け負っている工事の内容、契約内容、請求書の記載、施工実態を確認しながら、とび・土工工事業として整理できるかを検討することが大切です。
第3章 東京都で建設業許可が必要となる500万円基準
東京都でとび・土工工事業の建設業許可が必要になるかどうかは、原則として請負金額で判断します。
とび・土工工事業は、建築一式工事ではなく専門工事です。
そのため、1件の請負代金が500万円以上となるとび・土工工事を請け負う場合には、原則として、とび・土工工事業の建設業許可が必要になります。
ここでいう500万円は、消費税込みの金額です。
税抜金額ではないため、税抜では500万円未満でも、税込で500万円以上になる場合には注意が必要です。
(1)軽微な建設工事
建設業許可が不要とされる工事を、軽微な建設工事といいます。
とび・土工工事業のような専門工事では、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な建設工事にあたります。
そのため、500万円未満のとび・土工工事だけを請け負う場合、建設業許可は不要です。
たとえば、足場工事、掘削工事、コンクリート打設工事、外構工事、アンカー工事などであっても、1件の請負金額が500万円未満であれば、建設業許可が不要となる場合があります。
ただし、500万円未満の工事しか請け負わない場合でも、元請会社や取引先から建設業許可の取得を求められることがあります。
特に、マンション改修工事、ゼネコン現場、公共工事、協力会社登録などでは、請負金額にかかわらず、許可の有無が信用や取引条件に影響することがあります。
(2)材料費込みで判断する
500万円基準は、材料費込みで判断します。
とび・土工工事業では、足場材、仮設材、コンクリート、鉄筋、型枠材、アンカー材、土留め材、外構資材など、材料や資材の金額が大きくなることがあります。
そのため、施工費だけを見て500万円未満だから大丈夫、と判断するのは危険です。
たとえば、施工費が380万円でも、材料費や仮設材の費用が150万円であれば、合計530万円になります。
この場合、500万円以上の工事として、建設業許可が必要になる可能性があります。
また、注文者から材料や資材の支給を受ける場合にも注意が必要です。
契約書上の請負金額が500万円未満でも、支給された材料の市場価格や運送費を加えると500万円以上になる場合には、建設業許可が必要になる可能性があります。
(3)分割契約に注意する
1つの工事を複数の契約に分けている場合も注意が必要です。
正当な理由なく契約を分割している場合には、各契約の金額を合計して判断されることがあります。
たとえば、同じ現場で、
・足場工事 250万円
・はつり工事 120万円
・土間コンクリート工事 180万円
と分けて契約していても、実質的に1つの工事であれば、合計550万円として判断される可能性があります。
この場合、1契約ごとは500万円未満でも、建設業許可が不要とは言い切れません。
同じ現場、同じ発注者、同じ工期、同じ目的の工事であれば、契約書の分け方だけで判断するのではなく、工事全体の一体性を確認する必要があります。
(4)下請でも建設業許可は必要になる
建設業許可が必要かどうかは、元請か下請かで決まるわけではありません。
下請として工事を請け負う場合でも、1件の請負金額が500万円以上となるとび・土工工事であれば、原則として建設業許可が必要です。
足場工事や外構工事では、元請会社から一部の工事を下請として受注するケースも多くあります。
この場合でも、請負金額が500万円以上になる場合には、とび・土工工事業の建設業許可が必要になる可能性があります。
「下請だから許可はいらない」と考えていると、元請会社から許可の有無を確認された際に対応できないことがあります。
(5)よくある誤解
とび・土工工事業の500万円基準では、次のような誤解がよくあります。
・税抜500万円未満なら許可不要
・材料費を除けば500万円未満なので許可不要
・契約書を分ければ500万円基準を回避できる
・下請だから建設業許可は不要
・建築一式工事業の許可があれば足場工事も請け負える
・解体工事業の登録があれば、とび・土工工事も請け負える
・実務経験が長ければ許可がなくても500万円以上の工事を請け負える
いずれも注意が必要です。
建設業許可の500万円基準は、税込、材料費込み、分割契約の合算可能性を踏まえて判断します。
また、下請であっても、500万円以上の工事を請け負う場合には許可が必要です。
とび・土工工事業は、足場工事、土工事、コンクリート工事、外構工事など、現場で発生しやすい工事を広く含む業種です。
そのため、気づかないうちに1件500万円以上の工事を請け負う段階に近づいていることがあります。
東京都でとび・土工工事業を営む会社様は、請負金額が大きくなる前に、建設業許可が必要かどうかを確認しておくことが大切です。
第4章 とび・土工工事業と他業種との違い
とび・土工工事業は、建設業許可29業種の中でも対象範囲が広い業種です。
足場工事、土工事、コンクリート工事、外構工事、アンカー工事、重量物の運搬配置など、さまざまな工事が含まれます。
その一方で、他の業種との区分が問題になりやすい業種でもあります。
東京都で建設業許可を申請する場合には、自社の工事が本当にとび・土工工事業に該当するのか、他の業種の許可が必要ではないかを確認することが重要です。
特に、解体工事業、舗装工事業、石工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業との違いは、実務上よく問題になります。
(1)解体工事業との違い
とび・土工工事業と混同されやすい業種の一つが、解体工事業です。
かつては、工作物の解体工事がとび・土工工事業に含まれていた時期もありました。
しかし現在は、解体工事業が独立した業種として設けられています。
そのため、建物や工作物を解体する工事を請け負う場合には、解体工事業の許可が必要になることがあります。
たとえば、建物を取り壊して更地にする工事、内装解体だけでなく建物全体の解体を行う工事、工作物そのものを解体する工事などは、解体工事業として整理される可能性があります。
一方、解体工事に伴う足場工事、はつり工事、仮設工事、土工事などについては、とび・土工工事業との関係が問題になることがあります。
重要なのは、工事全体として何を完成させる契約なのかという点です。
解体そのものを請け負うのか、解体工事に付随する足場や仮設工事を請け負うのかによって、必要な許可業種が変わる可能性があります。
(2)舗装工事業との違い
外構工事や駐車場工事では、とび・土工工事業と舗装工事業の区分が問題になることがあります。
とび・土工工事業には、土工事、掘削工事、盛土工事、土間コンクリート工事、外構工事などが含まれることがあります。
一方、道路や駐車場などの地盤面をアスファルト、コンクリート、砂利、砕石などで舗装する工事は、舗装工事業として整理されることがあります。
たとえば、駐車場の造成工事のうち、掘削、整地、土留め、土間コンクリートなどが中心であれば、とび・土工工事業が問題になることがあります。
しかし、アスファルト舗装やコンクリート舗装を主たる工事として請け負う場合には、舗装工事業の許可が必要になる可能性があります。
「外構工事」という名称だけでは判断できません。
実際に請け負う工事の内容、契約金額の内訳、施工の中心がどこにあるのかを確認することが大切です。
(3)石工事業・タイル・れんが・ブロック工事業との違い
外構工事や造成工事では、石工事業やタイル・れんが・ブロック工事業との区分も問題になります。
とび・土工工事業には、コンクリートブロック据付け工事が含まれることがあります。
一方、石材やコンクリートブロックを積んだり、張ったりする工事は、石工事業やタイル・れんが・ブロック工事業として整理されることがあります。
たとえば、擁壁としてコンクリートブロックを積む工事や、建築物の内外装としてブロックやタイルを張る工事は、とび・土工工事業ではなく、他の業種が問題になることがあります。
また、エクステリア工事としてブロック塀や門柱を施工する場合も、施工内容によって必要な許可業種が変わります。
外構工事の中に、土工事、コンクリート工事、ブロック工事、舗装工事が混在している場合には、どの部分が主たる工事なのかを整理する必要があります。
(4)鋼構造物工事業との違い
鉄骨に関する工事では、とび・土工工事業と鋼構造物工事業の区分が問題になります。
とび・土工工事業における鉄骨組立工事は、すでに加工された鉄骨を現場で組み立てる工事です。
一方、鋼構造物工事業における鉄骨工事は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負う工事です。
つまり、現場での組立てのみを請け負うのか、鉄骨の製作・加工まで含めて請け負うのかによって、必要となる許可業種が変わる可能性があります。
東京都で鉄骨組立工事を行う会社様は、契約内容に製作や加工が含まれているかどうかを確認しておくことが重要です。
単に「鉄骨工事」と記載されているだけでは、とび・土工工事業なのか鋼構造物工事業なのか判断できない場合があります。
(5)機械器具設置工事業との違い
重量物の運搬配置工事では、機械器具設置工事業との区分が問題になることがあります。
とび・土工工事業には、機械器具や建設資材などの重量物を運搬し、配置する工事が含まれます。
一方、機械器具の組立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事は、機械器具設置工事業に該当することがあります。
たとえば、大型設備を現場に搬入し、所定の場所に配置するだけであれば、とび・土工工事業として整理されることがあります。
しかし、機械器具を組み立て、据え付け、設備として機能させる工事まで請け負う場合には、機械器具設置工事業が問題になることがあります。
重量物を扱う工事では、単なる搬入・配置なのか、機械器具の設置工事なのかを確認することが重要です。
(6)土木一式工事・建築一式工事との違い
とび・土工工事業は専門工事です。
一方、土木一式工事や建築一式工事は、原則として元請の立場で、総合的な企画、指導、調整のもとに工事を行う場合に問題となる業種です。
そのため、建築一式工事業の許可があるからといって、500万円以上の足場工事や土工事を単独で請け負えるわけではありません。
また、土木一式工事業の許可があるからといって、すべてのとび・土工工事を単独で請け負えるわけでもありません。
専門工事を単独で請け負う場合には、その専門工事に対応する許可業種が必要になることがあります。
とび・土工工事業に該当する工事を単独で500万円以上請け負う場合には、原則として、とび・土工工事業の許可が必要です。
(7)業種区分を整理することが重要
とび・土工工事業は、工事範囲が広い反面、他業種との境界が分かりにくい業種です。
特に、外構工事、解体関連工事、鉄骨組立、重量物据付、駐車場工事、ブロック工事などでは、工事名だけで判断すると誤ることがあります。
東京都で建設業許可を申請する場合には、次の点を整理しておくことが大切です。
・契約上、何の工事を完成させるのか
・主たる工事は何か
・他の工事は附帯工事として整理できるか
・請負金額の内訳はどうなっているか
・過去の実務経験はどの業種に該当するか
・請求書や契約書の工事名が具体的に記載されているか
とび・土工工事業の許可を取得したい場合でも、実際の工事内容によっては、解体工事業、舗装工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業など、別の許可業種が必要になることがあります。
許可申請の前に、自社の工事内容を整理し、どの業種で申請すべきかを確認しておくことが、補正や申請後のミスマッチを防ぐポイントです。
第5章 東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得するための要件
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた要件を満たす必要があります。
とび・土工工事業の実務経験があるだけでは、建設業許可を取得できるわけではありません。
建設業許可では、経営体制、営業所技術者等、財産的基礎、営業所の実態、社会保険の加入状況、欠格要件などが総合的に確認されます。
とび・土工工事業の建設業許可で主に確認される要件は、次のとおりです。
- 常勤役員等の要件
- 営業所技術者等の要件
- 財産的基礎の要件
- 営業所の要件
- 社会保険の加入
- 欠格要件に該当しないこと
以下、それぞれの要件を整理します。
(1)常勤役員等
建設業許可を取得するためには、常勤役員等の要件を満たす人が必要です。
一般的には、法人であれば取締役、個人事業であれば事業主本人などが、この要件を満たすかどうかを確認します。
もっとも多いのは、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験があるケースです。
ここでいう建設業の経験は、とび・土工工事業に限られません。
足場工事、解体工事、外構工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、管工事など、他の建設業での経営経験も対象になる可能性があります。
ただし、単に建設会社に勤務していたというだけでは足りません。
取締役、個人事業主、支店長、営業所長など、建設業の経営業務について一定の責任を持つ立場であったことが必要です。
東京都で申請する場合には、登記事項証明書、確定申告書、決算書、請求書、契約書などの資料をもとに、建設業を営んでいた実態と経営経験を確認します。
個人事業から法人化した会社や、親族経営の小規模法人では、過去の事業実態をどのように説明するかが重要になります。
【東京都対応】常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件を徹底解説
(2)営業所技術者等
とび・土工工事業の建設業許可では、営業所ごとに営業所技術者等を置く必要があります。
営業所技術者等とは、以前の「専任技術者」にあたるものです。
とび・土工工事業では、土木施工管理技士、建築施工管理技士、建設機械施工管理技士、技能士、登録基幹技能者、指定学科卒業後の実務経験、10年以上の実務経験などによって、営業所技術者等の要件を確認することがあります。
とび・土工工事業は、実務経験で申請するケースも多い業種です。
その場合には、過去にどのような工事を行っていたのか、どの会社で経験したのか、何年分の経験を証明できるのかを整理する必要があります。
単に「足場をやっていた」「現場作業をしていた」というだけではなく、足場工事、土工事、コンクリート工事、地盤改良工事、外構工事、はつり工事、アンカー工事など、とび・土工工事業に該当する工事経験であることを資料で説明できることが重要です。
また、営業所技術者等は、その営業所に常勤している必要があります。
他社で常勤している人、他社の建設業許可の技術者になっている人、遠方に居住していて通勤が現実的でない人などは、営業所技術者等として認められない可能性があります。
営業所技術者等の要件については、次章で詳しく解説します。
(3)財産的基礎
一般建設業許可を取得するためには、財産的基礎の要件も必要です。
代表的な確認方法は、自己資本が500万円以上あることです。
法人であれば、直近決算の貸借対照表で純資産の額を確認します。
自己資本が500万円未満の場合でも、500万円以上の資金調達能力を示すことで要件を満たせる場合があります。
東京都の実務では、金融機関が発行する残高証明書を使用することがあります。
とび・土工工事業では、足場材、仮設材、重機、車両、工具などを保有している会社もあれば、必要に応じてリースや外注を利用している会社もあります。
固定資産が多いか少ないかにかかわらず、建設業許可申請では、直近決算や残高証明書によって財産的基礎を確認します。
直前決算が債務超過である場合や、自己資本が500万円未満の場合には、どの方法で財産的基礎を証明するかを事前に整理しておくことが大切です。
(4)営業所要件
東京都で建設業許可を取得するためには、建設業の営業所としての実態も必要です。
営業所とは、請負契約の締結に関する実体的な行為を行う事務所のことです。
見積り、入札、契約締結、工事に関する打ち合わせなどを行う場所が営業所になります。
単なる登記上の本店、郵便物を受け取るだけの場所、資材置場、現場の詰所などは、原則として営業所とはいえません。
東京都では、営業所の外観、入口、郵便受け、看板、事務所内部、机、電話、事務機器などの写真を提出します。
自宅兼事務所の場合には、居住部分と事務所部分が区別されているかも確認されます。
賃貸物件の場合は、営業用事務所として使用できる契約になっているかも重要です。
とび・土工工事業では、現場作業が中心となるため、資材置場、車両置場、重機置場、倉庫を使用している会社もあります。
しかし、建設業許可で必要となる営業所は、あくまで契約締結等を行う事務所です。
資材置場や倉庫があるだけでは、建設業許可上の営業所としては不十分な場合があります。
(5)社会保険
建設業許可では、適切な社会保険に加入していることも要件になります。
法人の場合、原則として健康保険、厚生年金保険の加入が必要です。
従業員を雇用している場合には、雇用保険の加入も確認されます。
とび・土工工事業では、現場作業員、職人、足場作業員、重機オペレーターなどを雇用している会社も多いため、社会保険の整理は重要です。
社会保険の加入要件については、別記事で詳しく解説しています。
建設業許可と社会保険の加入要件|未加入だと新規・更新はできる?東京都対応で解説
(6)欠格要件
建設業許可を取得するためには、欠格要件に該当しないことも必要です。
欠格要件とは、一定の事情がある場合に、建設業許可を受けることができないとされる要件です。
法人の場合には、会社だけでなく役員等についても確認されます。
過去の処分歴、一定の刑罰、暴力団員等への該当、申請書類への虚偽記載などが問題になることがあります。
実務上、欠格要件で問題になるケースは多くありません。
しかし、申請内容に誤りがあると、許可申請全体に影響する可能性があります。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得する場合には、これらの要件を事前に確認しておくことが大切です。
特に重要なのは、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所要件です。
とび・土工工事業では、足場工事や土工事の実務経験、他業種との区分、10年実務経験の証明に目が向きがちですが、基礎要件が整っていなければ申請は進みません。
申請前に、経営経験、技術者、財産状況、営業所の実態、社会保険の加入状況を確認し、提出資料に矛盾がない状態にしておくことが重要です。
第6章 とび・土工工事業の営業所技術者等の要件
とび・土工工事業の建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者等を置く必要があります。
営業所技術者等とは、以前の「専任技術者」にあたるものです。
建設業許可では、営業所技術者等が、その営業所に常勤し、許可を受けようとする業種について一定の技術的な知識や経験を持っていることが求められます。
とび・土工工事業の場合、足場工事、土工事、コンクリート工事、地盤改良工事、外構工事、アンカー工事、はつり工事など、対象となる工事の範囲が広いため、どの経験や資格で営業所技術者等の要件を満たすかを整理することが重要です。
特に、10年以上の実務経験で申請する場合には、単に「現場経験が長い」というだけでは足りません。
とび・土工工事業に該当する工事経験であることを、客観的な資料で説明できる必要があります。
(1)資格で営業所技術者等になる場合
とび・土工工事業では、一定の国家資格などを持っている場合、営業所技術者等の要件を満たせることがあります。
代表的な資格には、次のようなものがあります。
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士(土木)(薬液注入)
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士(躯体)
- 1級建設機械施工管理技士
- 2級建設機械施工管理技士(第一種~第六種)
- 技術士
- 技能士
- 登録基幹技能者
資格で要件を満たす場合は、実務経験のみで証明する場合と比べて、申請が進めやすいことがあります。
ただし、資格の種類や試験区分によって、対応できる許可業種が異なります。
また、2級施工管理技士や技能士の場合には、種別や職種によって、とび・土工工事業の営業所技術者等として使えるかどうかを確認する必要があります。
「施工管理技士を持っているから大丈夫」と判断するのではなく、その資格がとび・土工工事業に対応しているかを確認することが大切です。
(2)指定学科卒業後の実務経験で証明する場合
一定の指定学科を卒業している場合には、卒業後の実務経験年数によって営業所技術者等の要件を満たせることがあります。
一般的には、高校や中等教育学校の指定学科を卒業した場合は卒業後5年以上、大学や高等専門学校などの指定学科を卒業した場合は卒業後3年以上の実務経験が必要になります。
とび・土工工事業では、土木工学、建築学、機械工学など、工事内容に関連する学科が問題になることがあります。
指定学科卒業後の実務経験で申請する場合には、卒業証明書などで学歴を確認し、さらに卒業後にとび・土工工事業に該当する工事経験を積んでいることを資料で証明する必要があります。
実務経験の年数が短縮される可能性がある一方で、学科名や履修内容の確認が必要になることもあります。
そのため、申請前に、卒業した学校、学科名、卒業年月、実務経験の内容を整理しておくことが重要です。
(3)10年以上の実務経験で証明する場合
とび・土工工事業では、10年以上の実務経験によって営業所技術者等の要件を証明するケースも多くあります。
特に、足場工事、土工事、外構工事、コンクリート工事などを長年行ってきた会社では、資格ではなく実務経験で申請を検討することがあります。
ただし、10年以上現場に出ていたというだけでは足りません。
東京都で申請する場合には、次のような点を確認する必要があります。
・実務経験の期間が10年以上あるか
・経験した工事がとび・土工工事業に該当するか
・経験期間に空白がないか
・他業種の経験と混在していないか
・証明者が誰になるか
・過去の請求書、契約書、注文書などで工事内容を確認できるか
たとえば、足場工事を10年以上行っていた場合でも、請求書に「現場作業一式」「雑工事」「改修工事一式」などとしか記載されていないと、とび・土工工事業の経験として説明しにくいことがあります。
また、解体工事、舗装工事、塗装工事、防水工事、内装工事などが混在している場合には、その中からとび・土工工事業に該当する工事を整理する必要があります。
10年実務経験で申請する場合には、年数だけでなく、工事内容の具体性が重要です。
(4)足場工事の実務経験
とび・土工工事業の実務経験として多いのが、足場工事の経験です。
足場の組立て、解体、仮設工事などを継続して行ってきた場合、とび・土工工事業の実務経験として整理できることがあります。
東京都では、マンション大規模修繕、外壁改修、塗装工事、防水工事、解体工事などに伴う足場工事の経験が問題になることがあります。
ただし、足場工事が他の工事に付随している場合には、契約内容や請求書の記載を確認する必要があります。
たとえば、塗装工事一式の中に足場が含まれている場合、その経験をとび・土工工事業としてどのように証明するかは慎重に整理する必要があります。
足場工事としての請負実績があるか、工事内容が具体的に記載されているか、元請や証明会社との関係はどうなっているかを確認しておくことが大切です。
(5)外構工事・土工事・コンクリート工事の実務経験
とび・土工工事業では、外構工事、土工事、コンクリート工事の経験も問題になることがあります。
たとえば、掘削、根切り、盛土、土留め、土間コンクリート、基礎コンクリート、アンカー工事、はつり工事などの経験です。
これらの工事は、とび・土工工事業に該当する可能性があります。
一方で、外構工事は、舗装工事、石工事、タイル・れんが・ブロック工事、造園工事などと混在しやすい分野です。
そのため、単に「外構工事を10年やっていた」というだけではなく、外構工事の中でどの部分がとび・土工工事業に該当するのかを整理する必要があります。
土間コンクリート、掘削、土留め、造成、アンカー、はつりなど、具体的な施工内容を示せるかどうかが重要です。
(6)証明者の問題
10年実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、誰がその経験を証明するかも重要です。
過去に勤務していた会社での経験を使う場合には、原則として、その会社に実務経験を証明してもらうことになります。
しかし、実務上は、過去の勤務先と連絡が取れない、証明を断られる、会社が廃業している、代表者が変わっている、といった問題が起きることがあります。
また、個人事業主として経験を積んできた場合には、自分自身の確定申告書、請求書、契約書、通帳、工事資料などをもとに、実務経験を整理する必要があります。
東京都で申請する場合には、単に実務経験証明書を作成すればよいわけではありません。
証明内容と、過去の請求書や契約書などの資料が整合していることが重要です。
(7)常勤性の確認
営業所技術者等は、許可を受ける営業所に常勤している必要があります。
そのため、技術的な要件を満たしていても、常勤性が確認できなければ営業所技術者等として認められない可能性があります。
東京都で申請する場合には、資格確認書、標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書、雇用保険関係資料などにより、常勤性を確認することがあります。
法人の役員が営業所技術者等を兼ねる場合には、役員報酬の有無や常勤実態も確認されることがあります。
また、他社で常勤している人、他社の建設業許可の営業所技術者等になっている人、他の営業所に専任している人は、原則として営業所技術者等になることはできません。
自宅が遠方にあり、営業所への通勤が現実的ではない場合にも、常勤性が問題になることがあります。
常勤性を確認する資料は、制度改正や東京都の手引の改訂により変更されることがあります。
そのため、申請時点の東京都の手引に従って、必要な確認資料を整理することが大切です。
(8)他社の技術者との兼任に注意する
営業所技術者等は、その営業所に常勤し、専らその職務に従事することが求められます。
そのため、他社の役員、従業員、技術者、専任技術者、営業所技術者等との兼任には注意が必要です。
たとえば、別会社の常勤役員である人を、自社の営業所技術者等として申請しようとしても、常勤性や専任性の面で問題になる可能性があります。
また、過去に別会社の建設業許可で営業所技術者等として登録されている場合には、現在もそのまま残っていないか確認が必要です。
退職したにもかかわらず、変更届が提出されていないケースもあります。
このような場合には、申請前に現在の登録状況を確認し、必要に応じて整理しておくことが大切です。
(9)営業所技術者等の要件整理が重要
とび・土工工事業は、営業所技術者等の要件整理が非常に重要な業種です。
資格がある場合でも、その資格がとび・土工工事業に対応しているかを確認する必要があります。
実務経験で申請する場合には、経験年数だけでなく、工事内容、証明者、請求書や契約書の記載、他業種との混在、常勤性まで整理する必要があります。
特に、足場工事、外構工事、解体関連工事、重量物据付工事などでは、他業種との区分が問題になりやすくなります。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得する場合には、申請書を作成する前に、営業所技術者等の資格、実務経験、常勤性、過去の証明資料を確認しておくことが重要です。
営業所技術者等の整理が不十分なまま申請すると、補正が長引いたり、許可取得までのスケジュールに影響したりする可能性があります。
第7章 東京都でとび・土工工事業の建設業許可申請で多い補正事例
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を申請する場合、補正になりやすいポイントがあります。
とび・土工工事業は、足場工事、土工事、コンクリート工事、外構工事、アンカー工事、重量物の運搬配置など、対象となる工事の範囲が広い業種です。
そのため、申請書上は「とび・土工工事業」として整理していても、実際の資料を見ると、他の業種の工事が混在していたり、工事内容が抽象的で判断しにくかったりすることがあります。
特に、10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、工事内容、証明期間、証明者、請求書や契約書の記載内容が重要になります。
ここでは、東京都でとび・土工工事業の建設業許可を申請する際に多い補正事例を整理します。
(1)工事内容が抽象的に記載されている
とび・土工工事業の申請で多いのが、請求書や契約書の工事名が抽象的なケースです。
たとえば、次のような記載です。
・現場作業一式
・改修工事一式
・雑工事
・外構工事一式
・土木工事一式
・解体関連作業
・手元作業
・人工代
このような記載だけでは、その工事がとび・土工工事業に該当するかどうかを判断しにくい場合があります。
特に、実務経験を証明する資料として使用する場合には、単に「工事をしていた」ことではなく、「とび・土工工事業に該当する工事をしていた」ことを説明できる必要があります。
足場工事、掘削工事、土留め工事、コンクリート打設工事、アンカー工事、はつり工事など、工事内容が具体的に分かる資料があるかを確認することが重要です。
請求書の工事名が抽象的な場合には、注文書、契約書、内訳書、工事写真、現場資料など、補足できる資料を整理することがあります。
(2)足場工事と他の工事が混在している
とび・土工工事業では、足場工事の実務経験を使って申請するケースが多くあります。
しかし、足場工事は、塗装工事、防水工事、外壁改修工事、解体工事などと一緒に行われることが多い工事です。
そのため、資料上「外壁改修工事一式」「塗装工事一式」「解体工事一式」と記載されている場合、その中に足場工事が含まれていても、とび・土工工事業の経験として整理できるか慎重に確認する必要があります。
足場工事を単独で請け負っていたのか、他の工事の一部として足場を組んでいたのかによって、説明の仕方が変わります。
たとえば、足場工事の請負実績として使うのであれば、足場の組立て、解体、仮設工事であることが資料から分かる状態が望ましいです。
「足場代」「仮設足場工事」「足場組立解体工事」など、具体的な記載がある資料は有効です。
一方で、他の工事に含まれている足場作業だけを切り出して説明する場合には、資料の整合性を慎重に確認する必要があります。
(3)解体工事と混在している
とび・土工工事業と解体工事業の区分も、補正になりやすいポイントです。
解体工事業が独立した業種として設けられているため、建物や工作物の解体工事を請け負う場合には、解体工事業の許可が必要になることがあります。
一方で、解体工事に伴う足場工事、はつり工事、仮設工事、土工事などは、とび・土工工事業と関係することがあります。
問題になるのは、過去の工事資料に「解体工事」「解体工事一式」「内装解体」「撤去工事」などと記載されている場合です。
その工事が解体工事業に該当するのか、とび・土工工事業に該当する部分を含むのかを確認する必要があります。
特に、10年実務経験で申請する場合には、解体工事の経験をそのままとび・土工工事業の経験として扱うことはできません。
とび・土工工事業として使える経験がどの部分なのか、資料上どこまで説明できるのかを整理する必要があります。
(4)外構工事の中身が整理されていない
外構工事も、とび・土工工事業の申請でよく問題になります。
外構工事には、掘削、整地、土間コンクリート、ブロック積み、フェンス設置、門扉設置、舗装、造園など、さまざまな工事が含まれることがあります。
そのため、「外構工事一式」という記載だけでは、どの業種に該当する工事なのか判断しにくい場合があります。
とび・土工工事業として整理しやすいのは、土工事、掘削工事、土留め工事、コンクリート工事、アンカー工事などが中心となる場合です。
一方で、アスファルト舗装が中心であれば舗装工事業、ブロック積みが中心であれば石工事業やタイル・れんが・ブロック工事業、植栽や庭園整備が中心であれば造園工事業が問題になることがあります。
外構工事の経験をとび・土工工事業の実務経験として使う場合には、請負内容の内訳を確認し、とび・土工工事業に該当する工事を具体的に整理することが重要です。
(5)重量物据付が機械器具設置工事と判断される可能性がある
重量物の運搬配置工事は、とび・土工工事業に含まれる工事です。
しかし、重量物を扱う工事では、機械器具設置工事業との区分が問題になることがあります。
たとえば、大型機械や設備を現場に搬入し、所定の位置に配置するだけであれば、とび・土工工事業として整理されることがあります。
一方で、機械器具を組み立て、据え付け、調整し、設備として機能させる工事まで請け負う場合には、機械器具設置工事業に該当する可能性があります。
請求書や契約書に「機械据付工事」「設備据付工事」「機械設置工事」などと記載されている場合には、単なる重量物の運搬配置なのか、機械器具設置工事なのかを確認する必要があります。
とび・土工工事業の実務経験として使う場合には、工事の目的、作業内容、完成させる対象を整理することが大切です。
(6)実務経験の期間に空白や重複がある
10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、実務経験の期間も重要です。
東京都で申請する場合、単に「10年以上働いていた」というだけではなく、その期間にとび・土工工事業に該当する工事経験があることを確認します。
補正になりやすいのは、次のようなケースです。
・証明期間に空白がある
・在籍期間と実務経験期間が合わない
・他業種の経験と混在している
・複数会社の経験を合算する際に資料が不足している
・個人事業期間の資料が不足している
・同じ期間を複数業種の実務経験として重複して使っている
とび・土工工事業は対象範囲が広い業種ですが、すべての現場経験が当然にとび・土工工事業の経験になるわけではありません。
実務経験の期間を整理する際には、年数だけでなく、各期間にどのような工事を行っていたかを確認する必要があります。
(7)証明会社との関係が整理されていない
実務経験を証明する場合、証明者との関係も重要です。
過去に勤務していた会社での経験を使う場合には、その会社に実務経験を証明してもらう必要があります。
しかし、実務上は、証明会社との関係が整理できていないケースがあります。
たとえば、次のようなケースです。
・過去の勤務先と連絡が取れない
・証明会社が証明を拒否している
・証明会社が廃業している
・証明会社の代表者が変更されている
・証明者が建設業許可を持っていなかった
・証明会社の当時の業種と証明内容が合っていない
このような場合には、証明方法を慎重に検討する必要があります。
証明者がいる場合でも、証明内容と請求書、契約書、注文書、確定申告書などの資料が整合していなければ、補正になる可能性があります。
申請前に、誰がどの期間の経験を証明するのか、その証明を裏付ける資料があるのかを確認しておくことが重要です。
(8)営業所の実態が不足している
とび・土工工事業では、現場作業が中心になるため、営業所の実態が軽視されることがあります。
しかし、東京都で建設業許可を取得するためには、建設業の営業所としての実態が必要です。
資材置場、車両置場、重機置場、倉庫だけでは、建設業許可上の営業所としては不十分な場合があります。
営業所とは、見積り、契約締結、工事に関する打ち合わせなど、請負契約の締結に関する実体的な行為を行う事務所です。
東京都では、営業所の外観、入口、郵便受け、看板、事務所内部、机、電話、事務機器などの写真を提出します。
自宅兼事務所の場合には、居住部分と事務所部分が区別されているかが問題になることもあります。
また、賃貸物件の場合には、営業用事務所として使用できる契約になっているかも確認が必要です。
現場作業が中心の会社であっても、許可申請では営業所の実態を説明できる状態にしておく必要があります。
(9)申請前の整理で補正リスクを下げる
とび・土工工事業の建設業許可申請では、工事内容、実務経験、証明者、営業所、常勤性など、複数の要素が関係します。
特に、実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、申請書を作成する前の整理が重要です。
東京都で補正を防ぐためには、次の点を確認しておくことが大切です。
・自社の工事がとび・土工工事業に該当するか
・他業種の工事と混在していないか
・請求書や契約書の工事名が具体的か
・10年以上の実務経験を資料で説明できるか
・証明者との関係が整理できているか
・営業所技術者等の常勤性を確認できるか
・営業所の実態を写真や契約書で説明できるか
とび・土工工事業は、足場工事だけでなく、多くの工事を含む広い業種です。
そのため、申請前に工事内容を丁寧に整理しておくことで、補正リスクを下げることができます。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得する場合には、「どの工事を、とび・土工工事業として説明するのか」を明確にしたうえで、申請準備を進めることが重要です。
第8章 とび・土工工事業の建設業許可取得後に必要な手続き
とび・土工工事業の建設業許可は、一度取得すれば永久に有効というものではありません。
許可取得後も、建設業法に基づき各種届出や更新手続きを行う必要があります。
これらの手続きを怠ると、更新時に必要書類の準備に時間がかかったり、許可の維持に影響したりすることがあります。
東京都では、次のような手続きが必要になります。
(1)決算変更届
建設業許可業者は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
決算変更届では、
・完成工事高
・工事経歴書
・財務諸表
・納税証明書
などを提出します。
とび・土工工事業の場合、足場工事、土工事、コンクリート工事、外構工事、アンカー工事、はつり工事など、工事内容が広いため、工事経歴書の記載にも注意が必要です。
特に、外構工事、解体関連工事、重量物据付工事などが含まれる場合には、とび・土工工事業として整理できる工事なのか、他業種として整理すべき工事なのかを確認する必要があります。
期限を過ぎても提出できますが、更新申請の際には過去5年分の決算変更届が必要となるため、毎年忘れずに提出することが大切です。
建設業許可の決算変更届(決算報告書)とは?提出期限・必要書類・出さないリスクを解説
(2)建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は5年間です。
引き続き建設業を営むためには、有効期間満了前に更新申請を行う必要があります。
東京都では、許可満了日の30日前までに更新申請を行う必要があるため、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。
更新申請では、現在も常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所、社会保険などの要件を満たしているかが確認されます。
とび・土工工事業では、営業所技術者等を10年以上の実務経験で証明しているケースも多いため、技術者の退職や異動がある場合には注意が必要です。
(3)変更届の提出
許可取得後に届出事項へ変更があった場合は、変更届を提出しなければなりません。
例えば、
・役員の変更
・商号の変更
・本店所在地や営業所所在地の変更
・営業所技術者等の変更
・常勤役員等の変更
などが該当します。
変更内容によって提出期限や必要書類が異なるため、早めに確認することが重要です。
特に、営業所技術者等や常勤役員等の変更は、建設業許可の要件に直接関係します。
変更があったにもかかわらず届出をしていないと、更新申請や業種追加の際に問題になることがあります。
(4)業種追加や般・特新規
事業の拡大に伴い、他の建設業許可が必要になることもあります。
とび・土工工事業は範囲が広い業種ですが、すべての工事を請け負えるわけではありません。
例えば、
・解体工事業
・舗装工事業
・鋼構造物工事業
・機械器具設置工事業
・石工事業
・タイル・れんが・ブロック工事業
などの許可を追加取得するケースがあります。
また、一般建設業から特定建設業へ変更する場合には、「般・特新規」の申請が必要です。
将来的に大型工事や公共工事への参入を予定している場合は、事業計画に合わせて適切なタイミングで追加申請を検討するとよいでしょう。
(5)経営事項審査を受ける場合
公共工事の入札に参加するためには、建設業許可を取得するだけでなく、経営事項審査(経審)を受審する必要があります。
経審では、完成工事高や技術者数、社会性などが評価され、総合評定値(P点)が算出されます。
とび・土工工事業では、道路付属物設置工事、法面保護工事、土工事、コンクリート工事、公共施設の外構工事など、公共工事と関係する工事もあります。
公共工事への参入を目指す場合は、許可取得後の早い段階から経審を見据えた体制づくりを進めることをおすすめします。
建設業許可は取得することがゴールではなく、その後も適切に維持・管理していくことが重要です。
決算変更届や更新申請などを計画的に行うことで、許可を継続し、安心して事業を拡大していくことができます。
第9章 とび・土工工事業と経営事項審査(経審)
とび・土工工事業の建設業許可を取得した後、公共工事への参入を目指す場合には、経営事項審査(経審)の受審が必要になります。
経営事項審査とは、国や地方公共団体などが発注する公共工事の入札に参加するために必要な評価制度です。
建設業者の経営規模や財務内容、技術力、社会性などを総合的に評価し、その結果が総合評定値(P点)として数値化されます。
とび・土工工事業は、道路付属物設置工事、法面保護工事、土工事、コンクリート工事、公共施設の外構工事、公園整備、仮設工事など、公共工事と関係する場面があります。
そのため、将来的に公共工事への参入を目指す事業者は、建設業許可取得後から経審を意識した準備を進めることが重要です。
経営事項審査(経審)とは?P点の仕組みと評価項目をわかりやすく解説
(1)経営事項審査で評価される項目
経営事項審査では、主に次の5つの項目が評価されます。
・技術力(Z)
・社会性等(W)
これらを総合してP点が算出されます。
完成工事高だけで評価が決まるわけではなく、技術者数や社会保険への加入状況、法令遵守への取組なども重要な評価対象となります。
経営事項審査(経審)のP点とは?評点の仕組みをわかりやすく解説
(2)とび・土工工事業と技術力評価(Z)
とび・土工工事業では、有資格者の人数や元請完成工事高などが技術力評価に影響します。
例えば、
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
・1級建設機械施工管理技士
・2級建設機械施工管理技士
・技術士
などの資格を保有する技術者は、経審の評価向上につながります。
また、監理技術者資格者証を保有する技術者や講習を修了した技術者についても評価対象となるため、計画的な資格取得や人材育成が重要になります。
とび・土工工事業では、10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を満たしている会社もありますが、経審の点数を伸ばすという意味では、資格者の確保や育成も重要です。
経営事項審査(経審) 技術力(Z)の評価と点数の考え方を行政書士が解説
(3)社会性等(W)の重要性
近年の経営事項審査では、社会性等(W)の配点が大きくなっています。
具体的には、
などが評価項目となっています。
とび・土工工事業では、現場作業員、足場作業員、重機オペレーター、職人などを雇用する会社も多いため、社会保険や労務管理の整備も重要です。
比較的取り組みやすい制度も多いため、計画的に整備することでP点の向上を目指すことができます。
経営事項審査(経審) 社会性等(W)の評価と点数の考え方を行政書士が解説
(4)とび・土工工事業と公共工事
とび・土工工事業では、公共施設や道路、公園、学校、庁舎などに関連する工事が発注されることがあります。
例えば、
・道路付属物設置工事
・法面保護工事
・公園や公共施設の外構工事
・学校や庁舎の改修に伴う仮設工事
・公共施設の土工事
・コンクリート工事
・アンカー工事
などがあります。
とび・土工工事業は、公共工事の中でも基礎的な工事や附帯的な工事と関係しやすい業種です。
公共工事に参入することで、受注機会の拡大や会社の信用力向上につながる可能性があります。
(5)公共工事を目指す場合は早めの準備が重要
経営事項審査は、一度受審しただけで高い評価を得られる制度ではありません。
技術者の育成や資格取得、社会性等への取組、工事経歴書の整理など、日頃からの積み重ねが評価につながります。
とび・土工工事業では、足場工事、土工事、外構工事、解体関連工事、舗装に近い工事、重量物に関する工事など、他業種との区分が問題になりやすい工事もあります。
そのため、経審を受ける予定がある場合には、毎年の決算変更届の段階から、工事経歴書と完成工事高を適切に整理しておくことが重要です。
将来的に公共工事への参入や入札参加を目指している場合は、建設業許可を取得した段階から経営事項審査を見据えた体制づくりを進めることをおすすめします。
とび・土工工事業は民間工事だけでなく、公共工事とも関わることができる業種です。
建設業許可の取得に加えて経営事項審査を活用することで、受注機会の拡大や会社の信用力向上につなげることができます。
まとめ
とび・土工工事業は、建設業許可29業種の中でも、対象となる工事の範囲が広い業種です。
足場工事、仮設工事、土工事、掘削工事、コンクリート工事、地盤改良工事、外構工事、アンカー工事、はつり工事、重量物の運搬配置など、さまざまな工事が関係します。
その一方で、解体工事業、舗装工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業、石工事業、タイル・れんが・ブロック工事業など、他の業種との区分が問題になりやすい業種でもあります。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得する場合には、単に「足場工事をしている」「外構工事をしている」「現場経験が長い」というだけではなく、自社の工事がとび・土工工事業に該当することを整理する必要があります。
特に、10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合には、工事内容、経験年数、証明者、請求書や契約書などの資料の整合性が重要になります。
また、建設業許可では、営業所技術者等だけでなく、常勤役員等、財産的基礎、営業所要件、社会保険、欠格要件なども確認されます。
どれか一つでも整理が不十分だと、申請準備に時間がかかったり、補正につながったりすることがあります。
とび・土工工事業の建設業許可は、取得後の管理も重要です。
毎年の決算変更届、役員や営業所技術者等に変更があった場合の変更届、5年ごとの更新申請、事業拡大に伴う業種追加、公共工事を目指す場合の経営事項審査など、許可取得後も継続して対応すべき手続きがあります。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を検討している場合には、早い段階で次の点を確認しておくことをおすすめします。
・自社の工事がとび・土工工事業に該当するか
・1件500万円以上の工事を請け負う予定があるか
・常勤役員等の経営経験を証明できるか
・営業所技術者等の資格または実務経験を証明できるか
・10年実務経験の場合、工事内容を資料で説明できるか
・営業所としての実態を確認できるか
・社会保険の加入状況に問題がないか
・将来的に業種追加や経審を検討するか
とび・土工工事業は、業種の範囲が広いからこそ、最初の整理が大切です。
足場工事、外構工事、解体関連工事、重量物据付工事などが混在している場合には、どの工事をどの業種として整理するかによって、申請内容が変わることがあります。
東京都でとび・土工工事業の建設業許可を取得したい方は、申請前に工事内容、実務経験、技術者、営業所、財産要件を確認し、許可取得後の更新や経審まで見据えて準備を進めることが重要です。
当事務所では、東京都知事許可を中心に、とび・土工工事業の建設業許可申請をサポートしています。
足場工事、外構工事、土工事、コンクリート工事などで建設業許可の取得をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。









