東京都で電気工事業を営む会社様から、次のようなご相談をいただくことがあります。
500万円以上の電気工事を請け負うことになった。
元請会社から「建設業許可はありますか」と確認された。
電気工事業者登録も必要だと言われた。
個人事業から法人化したが、登録や届出をどうすればよいか分からない。
第一種電気工事士や第二種電気工事士はいるが、建設業許可の要件を満たすか不安がある。
太陽光発電設備工事、照明設備工事、受変電設備工事を請け負っている。
電気工事業は、建設業許可の中でも特に注意が必要な業種です。
理由は、建設業法上の「電気工事業の建設業許可」と、電気工事業法上の「電気工事業者登録」が別制度として存在するためです。
建設業許可は、一定規模以上の電気工事を請け負うために必要となる許可です。
一方、電気工事業者登録は、電気工事を業として行うために必要となる登録制度です。
つまり、電気工事業の場合は、
「500万円以上の工事を請け負うから建設業許可が必要」
という話だけでは終わりません。
建設業許可を取得した後も、電気工事業法上の登録や届出が必要になるケースがあります。
特に東京都で電気工事業を営む場合、建設業許可の要件だけでなく、主任電気工事士、実務経験、営業所、法人化した場合の手続き、みなし登録電気工事業者の届出なども整理しておく必要があります。
また、電気工事は、電気通信工事、消防施設工事、管工事、機械器具設置工事などと工事内容が近く見えることがあります。
そのため、自社の工事が本当に電気工事業に該当するのか、どの許可や登録が必要なのかを、契約内容や施工内容に応じて確認することが重要です。
この記事では、東京都で電気工事業を営む会社様向けに、電気工事業の建設業許可、電気工事業者登録との違い、500万円基準、営業所技術者等の要件、主任電気工事士、許可取得後の手続き、経営事項審査まで、実務上よく問題になるポイントを整理して解説します。
目次
第1章 電気工事業とは?東京都で建設業許可が必要となる工事
電気工事業とは、建設業法上の29業種のうちの1つで、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事をいいます。
簡単にいうと、建物や施設で電気を安全に使用できるようにするための設備工事です。
住宅、店舗、事務所、工場、倉庫、マンション、商業施設、公共施設など、電気設備がある建物であれば、電気工事業が関係する場面は多くあります。
東京都で電気工事業を営む会社様の場合、次のような工事を請け負っているケースがあります。
- 屋内配線工事
- 受変電設備工事
- 照明設備工事
- 動力設備工事
- 非常用電気設備工事
- 分電盤、配電盤の設置工事
- コンセント、スイッチの増設工事
- 太陽光発電設備の設置工事
- 店舗や事務所の電気設備工事
これらの工事を1件500万円以上で請け負う場合には、原則として電気工事業の建設業許可が必要になります。
電気工事業は、内装仕上工事業や管工事業と同じく、建設業許可における専門工事の1つです。
そのため、建築一式工事業の許可を持っているからといって、500万円以上の電気工事を単独で請け負えるわけではありません。
また、管工事業、電気通信工事業、消防施設工事業など、隣接する業種の許可を持っている場合でも、電気工事を単独で請け負うのであれば、電気工事業の許可が必要になることがあります。
(1)屋内配線工事
電気工事業で最も分かりやすいものが、屋内配線工事です。
屋内配線工事とは、建物内に電線を配線し、照明器具、コンセント、スイッチ、分電盤、各種設備などに電気を供給できるようにする工事です。
新築建物の電気設備工事だけでなく、店舗改装、事務所移転、レイアウト変更、設備増設に伴う配線工事も含まれます。
東京都では、飲食店、美容室、クリニック、オフィス、物販店舗などの内装工事に伴い、電気工事が発生することも多くあります。
内装工事と一体で行われる場合でも、電源工事や配線工事を請け負う場合には、電気工事業の許可が問題になります。
(2)受変電設備工事
受変電設備工事も、電気工事業に該当する代表的な工事です。
受変電設備とは、電力会社から供給される高圧の電気を、建物や設備で使用できる電圧に変換するための設備です。
キュービクル、変圧器、遮断器、配電盤、高圧ケーブルなどが関係します。
工場、ビル、マンション、商業施設、学校、病院、倉庫などでは、受変電設備の設置や更新が必要になることがあります。
受変電設備工事は工事金額が大きくなりやすく、1件500万円以上になるケースもあります。
そのため、建設業許可が必要かどうかを早めに確認しておくことが重要です。
(3)照明設備工事
照明設備工事も、電気工事業に含まれる代表的な工事です。
照明器具の設置、交換、移設、配線、スイッチ設置、制御設備の設置などがこれに該当します。
東京都では、店舗、オフィス、マンション共用部、工場、倉庫、学校、公共施設などで、照明設備工事のご相談が多くあります。
近年では、LED照明への更新工事も増えています。
照明器具の単純な販売や軽微な交換だけであれば、建設業許可の対象となる工事に該当しないケースもあります。
しかし、配線、電源工事、制御盤、スイッチ、天井内配線などを含めて請け負う場合には、電気工事業に該当する可能性があります。
(4)動力設備工事
動力設備工事とは、工場設備、空調設備、ポンプ、コンプレッサー、厨房機器、機械設備などを動かすための電源設備を設置する工事です。
工場や倉庫では、新しい機械設備を導入する際に、動力電源の増設工事や配線工事が必要になることがあります。
飲食店では、業務用冷蔵庫、食洗機、オーブン、製氷機、空調機器などの設置に伴い、専用電源工事が必要になることがあります。
これらの工事は、機械器具設置工事や管工事と関係するように見えることもあります。
しかし、電源設備や配線工事を請け負う場合には、電気工事業として整理されることがあります。
(5)電気通信工事との違い
電気工事業と混同されやすい業種に、電気通信工事業があります。
電気通信工事業は、LAN設備、電話設備、放送設備、監視カメラ設備、インターホン設備、ネットワーク設備など、通信設備を設置する工事です。
一方、電気工事業は、建物や設備に電力を供給するための工事です。
分電盤、照明、コンセント、動力電源、受変電設備、非常用電源などは、電気工事業として整理されることが多いです。
実務上は、1つの現場で電気工事と電気通信工事が同時に発生することがあります。
たとえば、オフィス移転工事では、コンセント増設や照明工事と一緒に、LAN配線や電話設備工事を行うことがあります。
このような場合には、どの工事を主たる工事として請け負うのか、契約金額の内訳はどうなっているのか、附帯工事として整理できるのかを確認する必要があります。
電気工事業と電気通信工事業は近い分野に見えますが、建設業許可上は別の業種です。
電気工事業の許可だけで、500万円以上の電気通信工事を単独で請け負うことはできません。
逆に、電気通信工事業の許可だけで、500万円以上の電気工事を単独で請け負うこともできません。
東京都で電気設備工事、通信設備工事、店舗設備工事、オフィス工事を請け負う会社様は、自社の工事内容に応じて、必要な許可業種を整理しておくことが大切です。
第2章 建設業許可と電気工事業者登録の違い
電気工事業で特に注意が必要なのが、建設業許可と電気工事業者登録の違いです。
この2つは、どちらも電気工事に関係する制度ですが、根拠となる法律も、制度の目的も、必要になる場面も異なります。
東京都で電気工事業を営む場合には、
- 建設業法上の建設業許可
- 電気工事業法上の電気工事業者登録
この2つを分けて考える必要があります。
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負うための許可です。
一方、電気工事業者登録は、電気工事を業として行うための登録制度です。
つまり、建設業許可は「請負金額」に着目する制度であり、電気工事業者登録は「電気工事を業として行うこと」に着目する制度です。
この違いを理解していないと、
建設業許可を取ったから電気工事業者登録は不要だと思っていた
500万円未満の工事だから何の登録もいらないと思っていた
個人事業から法人化したのに、電気工事業者登録の手続きをしていなかった
第一種電気工事士がいるので、建設業許可も取れると思っていた
建設業許可と電気工事業者登録の主任者要件を混同していた
このような誤解が起こりやすくなります。
電気工事業は、他の建設業許可業種と比べても、許可と登録の関係を整理しておくことが特に重要な業種です。
建設業法
建設業許可は、建設業法に基づく制度です。
建設業法では、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設工事を請け負う営業を行う者は、建設業許可を受ける必要があります。
電気工事業の場合、1件の請負代金が500万円以上となる電気工事を請け負う場合には、原則として電気工事業の建設業許可が必要です。
建設業許可では、主に次のような点が審査されます。
- 常勤役員等の要件を満たしているか
- 営業所技術者等の要件を満たしているか
- 財産的基礎を満たしているか
- 営業所の実態があるか
- 社会保険に適切に加入しているか
- 欠格要件に該当していないか
建設業許可は、工事を請け負う会社の経営体制、技術者体制、財産的基礎、営業所の実態などを確認する制度です。
そのため、電気工事士の資格を持っている人がいるだけでは、建設業許可を取得できるわけではありません。
例えば、第一種電気工事士が在籍していても、常勤役員等の要件を満たす人がいなければ、建設業許可の取得はできません。
また、営業所技術者等になれる資格者がいても、その人が他社で常勤している場合や、営業所に常勤していない場合には、要件を満たさない可能性があります。
建設業許可は、単に「電気工事の技術があるか」を見る制度ではなく、建設業者として一定規模以上の工事を請け負う体制があるかを確認する制度です。
電気工事業法
一方、電気工事業者登録は、電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づく制度です。
一般的には、電気工事業法と呼ばれることが多いです。
電気工事業者登録は、電気工事を業として営む者について、施工の安全性や適正な業務運営を確保するための制度です。
ここで重要なのは、電気工事業者登録は、建設業許可の500万円基準とは別に考える必要があるという点です。
建設業許可は、原則として500万円以上の工事を請け負う場合に問題になります。
しかし、電気工事業者登録は、500万円未満の工事であっても、電気工事を業として行う場合に必要となる制度です。
つまり、
500万円以上の電気工事を請け負う場合は、建設業許可が必要になる可能性がある
電気工事を業として行う場合は、電気工事業者登録が必要になる可能性がある
というように、判断の軸が違います。
このため、「うちは500万円未満の電気工事しかやらないから何もいらない」という判断は危険です。
建設業許可は不要でも、電気工事業者登録は必要になることがあります。
反対に、建設業許可を取得した場合でも、電気工事業法上の手続きが不要になるわけではありません。
建設業許可を受けた建設業者が電気工事業を営む場合には、電気工事業法上、「みなし登録電気工事業者」としての届出が必要になります。
ここが、電気工事業の実務で非常に混同されやすいところです。
500万円基準
建設業許可の要否を考えるときに重要なのが、500万円基準です。
電気工事業は建築一式工事ではなく専門工事ですので、1件の請負代金が500万円以上となる場合には、原則として建設業許可が必要です。
この500万円は、消費税込みで判断します。
また、材料費込みで判断する点にも注意が必要です。
注文者から材料を支給される場合でも、その材料の市場価格や運送費を請負金額に加えて判断することがあります。
そのため、契約書上の金額が500万円未満であっても、支給材を含めると500万円以上になる場合には、建設業許可が必要になる可能性があります。
また、1つの工事を複数の契約に分けた場合にも注意が必要です。
例えば、同じ現場の電気設備工事について、
照明設備工事 280万円
コンセント増設工事 180万円
分電盤改修工事 120万円
というように契約を分けたとしても、実質的に1つの工事であれば、合計580万円として判断される可能性があります。
この場合、「1契約ごとは500万円未満だから建設業許可は不要」とは言い切れません。
正当な理由なく契約を分割している場合には、合算して判断されます。
500万円基準は、電気工事業の建設業許可が必要かどうかを判断するうえで重要ですが、電気工事業者登録とは別の基準です。
つまり、
500万円以上かどうかは、建設業許可の問題
電気工事を業として行うかどうかは、電気工事業者登録の問題
というように分けて考える必要があります。
登録制度
電気工事業者登録は、電気工事を業として営むための制度です。
建設業許可が「一定規模以上の建設工事を請け負うための許可」であるのに対し、電気工事業者登録は「電気工事を適正に施工するための登録制度」です。
電気工事業者登録では、主に次のような点が問題になります。
- 主任電気工事士を置いているか
- 主任電気工事士に必要な資格や実務経験があるか
- 営業所の所在地はどこか
- 一般用電気工作物等の電気工事を行うのか
- 自家用電気工作物の電気工事を行うのか
- 登録電気工事業者なのか、みなし登録電気工事業者なのか
- 個人事業なのか、法人なのか
- 登録や届出の内容に変更が生じていないか
建設業許可では、営業所技術者等が重要になります。
一方、電気工事業者登録では、主任電気工事士が重要になります。
この2つは似ているように見えますが、別の制度上の役割です。
建設業許可の営業所技術者等になれる人が、そのまま電気工事業者登録の主任電気工事士になれるとは限りません。
また、主任電気工事士がいるからといって、その人が建設業許可の営業所技術者等の要件を満たすとも限りません。
特に第二種電気工事士の場合、電気工事業者登録と建設業許可で実務経験の見方が異なることがあります。
そのため、電気工事士の資格者がいる場合でも、その資格で建設業許可の営業所技術者等になれるのか、電気工事業者登録の主任電気工事士になれるのかを、別々に確認する必要があります。
また、個人事業から法人化した場合にも注意が必要です。
個人事業で電気工事業者登録をしていた場合でも、法人化すれば事業主体が変わります。
そのため、法人として新たに電気工事業法上の手続きを行う必要があります。
「個人事業のときに登録していたから、法人でもそのまま使える」と考えてしまうと、登録や届出が漏れてしまうことがあります。
両方必要になるケース
東京都で電気工事業を営む会社様の場合、建設業許可と電気工事業者登録の両方が必要になるケースがあります。
典型的なのは、次のようなケースです。
- 東京都内で電気工事業を営んでいる
- 1件500万円以上の電気工事を請け負う予定がある
- 第一種電気工事士や第二種電気工事士が在籍している
- 電気工事業者登録をしている、またはこれから登録する
- 建設業許可を取得して元請や大きな工事に対応したい
このような場合、まず電気工事業の建設業許可を取得する必要があります。
そして、建設業許可を取得した後は、電気工事業法上の「みなし登録電気工事業者」としての届出を行う必要があります。
建設業許可を受けていない状態で電気工事業を営む場合は、登録電気工事業者として登録を行います。
一方、建設業許可を受けた建設業者が電気工事業を営む場合は、みなし登録電気工事業者として届出を行います。
つまり、電気工事業法上の手続きは、建設業許可の有無によって整理が変わります。
この点を整理すると、次のようになります。
500万円未満の電気工事のみを請け負う場合でも、電気工事を業として行うなら、電気工事業者登録が必要になることがあります。
500万円以上の電気工事を請け負う場合には、原則として電気工事業の建設業許可が必要になります。
建設業許可を取得した後に電気工事業を営む場合には、みなし登録電気工事業者としての届出が必要になります。
個人事業から法人化した場合には、法人として改めて電気工事業法上の手続きが必要になります。
主任電気工事士や営業所に変更があった場合には、電気工事業法上の変更届が必要になることがあります。
実務上、電気工事業で多い誤解は、「建設業許可を取れば全部解決する」というものです。
しかし、建設業許可と電気工事業者登録は別制度です。
建設業許可を取得しても、電気工事業法上の登録や届出の確認は必要です。
反対に、電気工事業者登録をしていても、500万円以上の電気工事を請け負う場合には、建設業許可が必要になる可能性があります。
東京都で電気工事業を営む場合には、まず自社の工事内容と請負金額を確認し、そのうえで建設業許可と電気工事業者登録の両方を整理することが重要です。
第3章 東京都で建設業許可が必要となる500万円基準
東京都で電気工事業の建設業許可が必要になるかどうかは、原則として請負金額で判断します。
電気工事業は、建築一式工事ではなく専門工事です。
そのため、1件の請負代金が500万円以上となる電気工事を請け負う場合には、原則として電気工事業の建設業許可が必要になります。
ここでいう500万円は、消費税込みの金額です。
税抜金額ではないため、税抜では500万円未満でも、税込で500万円以上になる場合には注意が必要です。
(1)軽微な建設工事
建設業許可が不要とされる工事を、軽微な建設工事といいます。
電気工事業のような専門工事では、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な建設工事にあたります。
そのため、500万円未満の電気工事だけを請け負う場合、建設業許可は不要です。
ただし、建設業許可が不要であっても、電気工事業者登録まで不要になるとは限りません。
電気工事業者登録は、建設業許可とは別の制度です。
500万円未満の工事だけを行う場合でも、電気工事を業として営むのであれば、電気工事業法上の登録が必要になることがあります。
(2)材料費込みで判断する
500万円基準は、材料費込みで判断します。
電気工事では、照明器具、分電盤、配電盤、ケーブル、キュービクル、変圧器、パワーコンディショナーなど、材料や機器の金額が大きくなることがあります。
そのため、施工費だけを見て500万円未満だから大丈夫、と判断するのは危険です。
たとえば、施工費が350万円でも、材料費が180万円であれば、合計530万円になります。
この場合、500万円以上の電気工事として、建設業許可が必要になる可能性があります。
また、注文者から材料の支給を受ける場合にも注意が必要です。
契約書上の請負金額が500万円未満でも、支給された材料の市場価格や運送費を加えると500万円以上になる場合には、建設業許可が必要になる可能性があります。
(3)分割契約に注意する
1つの工事を複数の契約に分けている場合も注意が必要です。
正当な理由なく契約を分割している場合には、各契約の金額を合計して判断されることがあります。
たとえば、同じ店舗の電気設備工事について、
・照明設備工事 250万円
・コンセント増設工事 180万円
・分電盤改修工事 120万円
と分けて契約していても、実質的に1つの工事であれば、合計550万円として判断される可能性があります。
この場合、1契約ごとは500万円未満でも、建設業許可が不要とは言い切れません。
同じ現場、同じ発注者、同じ工期、同じ目的の工事であれば、契約書の分け方だけで判断するのではなく、工事全体の一体性を確認する必要があります。
(4)よくある誤解
電気工事業の500万円基準では、次のような誤解がよくあります。
・税抜500万円未満なら許可不要
・材料費を除けば500万円未満なので許可不要
・契約書を分ければ500万円基準を回避できる
・下請だから建設業許可は不要
・建築一式工事業の許可があれば電気工事も請け負える
・電気工事業者登録をしていれば建設業許可は不要
・電気工事士がいれば建設業許可は不要
いずれも注意が必要です。
建設業許可の500万円基準は、税込、材料費込み、分割契約の合算可能性を踏まえて判断します。
また、元請か下請かは関係ありません。
下請として500万円以上の電気工事を請け負う場合でも、原則として電気工事業の建設業許可が必要です。
電気工事業者登録や電気工事士の資格があっても、500万円以上の電気工事を請け負う場合には、建設業許可が必要になることがあります。
東京都で電気工事業を営む会社様は、500万円を超える案件が発生する前に、建設業許可が必要かどうかを確認しておくことが大切です。
第4章 東京都で電気工事業の建設業許可を取得するための要件
東京都で電気工事業の建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた要件を満たす必要があります。
電気工事士の資格者がいるだけでは、建設業許可を取得できるわけではありません。
建設業許可では、技術者だけでなく、経営体制、財産的基礎、営業所の実態、社会保険の加入状況、欠格要件などが総合的に確認されます。
電気工事業の建設業許可で主に確認される要件は、次のとおりです。
- ・常勤役員等の要件
- ・営業所技術者等の要件
- ・財産的基礎の要件
- ・営業所の要件
- ・社会保険の加入
- ・欠格要件に該当しないこと
以下、それぞれの要件を簡単に整理します。
(1)常勤役員等
建設業許可を取得するためには、常勤役員等の要件を満たす人が必要です。
一般的には、法人であれば取締役、個人事業であれば事業主本人などが、この要件を満たすかどうかを確認します。
もっとも多いのは、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験があるケースです。
ここでいう建設業の経験は、電気工事業に限られません。
内装仕上工事業、管工事業、電気通信工事業など、他の建設業での経営経験も対象になる可能性があります。
ただし、単に会社に在籍していたというだけでは足りません。
取締役、個人事業主、支店長、営業所長など、建設業の経営業務について一定の責任を持つ立場であったことが必要です。
また、常勤役員等は、原則として主たる営業所に常勤している必要があります。
他社で常勤している人や、通勤が現実的でない人は、要件を満たさない可能性があります。
【東京都対応】常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件を徹底解説
(2)営業所技術者等
電気工事業の建設業許可では、営業所ごとに営業所技術者等を置く必要があります。
営業所技術者等とは、以前の「専任技術者」にあたるものです。
電気工事業で営業所技術者等として使われる代表的な資格には、1級電気工事施工管理技士、2級電気工事施工管理技士、第一種電気工事士、第二種電気工事士などがあります。
ただし、第二種電気工事士については、資格を持っているだけで直ちに営業所技術者等になれるわけではありません。
免状交付後の実務経験などを確認する必要があります。
また、電気工事業では、他の業種のように「10年以上の実務経験があるから大丈夫」と安易に判断することは避けるべきです。
電気工事士法など他法令との関係もあるため、資格、免状交付日、実務経験、常勤性を個別に確認する必要があります。
なお、営業所技術者等は、電気工事業者登録における主任電気工事士とは別の制度です。
同じ人が両方を兼ねられる場合もありますが、それぞれの要件は別々に確認します。
【東京都対応】営業所技術者等の要件を徹底解説|一般建設業許可・特定建設業許可の違い
(3)財産的基礎
一般建設業許可を取得するためには、財産的基礎の要件も必要です。
代表的な確認方法は、自己資本が500万円以上あることです。
法人であれば、直近決算の貸借対照表で純資産の額を確認します。
自己資本が500万円未満の場合でも、500万円以上の資金調達能力を示すことで要件を満たせる場合があります。
東京都の実務では、金融機関が発行する残高証明書を使用することがあります。
電気工事業では、材料費や機器代が大きくなる工事もあるため、許可申請の段階で財産的基礎を確認しておくことが重要です。
建設業許可の財産的要件とは?500万円の資金調達能力と純資産要件を行政書士が解説
(4)営業所要件
東京都で建設業許可を取得するためには、建設業の営業所としての実態も必要です。
営業所とは、請負契約の締結に関する実体的な行為を行う事務所のことです。
見積り、入札、契約締結、工事に関する打ち合わせなどを行う場所が営業所になります。
単なる登記上の本店、郵便物を受け取るだけの場所、資材置場、現場の詰所などは、原則として営業所とはいえません。
東京都では、営業所の外観、入口、郵便受け、看板、事務所内部、机、電話、事務機器などの写真を提出します。
自宅兼事務所の場合には、居住部分と事務所部分が区別されているかも確認されます。
賃貸物件の場合は、営業用事務所として使用できる契約になっているかも重要です。
建設業許可における営業所とは?要件・判断基準を行政書士が解説(東京都基準)
(5)社会保険
建設業許可では、適切な社会保険に加入していることも要件になります。
法人の場合、原則として健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況が確認されます。
従業員を雇用している場合には、雇用保険の加入も問題になります。
電気工事業では、現場作業員や職人を雇用している会社も多いため、社会保険の整理は重要です。
また、将来的に経営事項審査を受ける場合にも、社会保険の加入状況は評価に関係します。
建設業許可と社会保険の加入要件|未加入だと新規・更新はできる?東京都対応で解説
(6)欠格要件
建設業許可を取得するためには、欠格要件に該当しないことも必要です。
欠格要件とは、一定の事情がある場合に、建設業許可を受けることができないとされる要件です。
法人の場合には、会社だけでなく役員等についても確認されます。
過去の処分歴、一定の刑罰、暴力団員等への該当、申請書類への虚偽記載などが問題になることがあります。
実務上、欠格要件で問題になるケースは多くありません。
しかし、申請内容に誤りがあると、許可申請全体に影響する可能性があります。
東京都で電気工事業の建設業許可を取得する場合には、これらの要件を事前に確認しておくことが大切です。
特に重要なのは、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所要件です。
電気工事業では、第一種電気工事士や第二種電気工事士などの資格に注目しがちですが、それだけでは許可は取得できません。
建設業許可の要件と、電気工事業者登録の要件を分けて整理しながら、申請準備を進める必要があります。
第5章 営業所技術者等の要件(一般建設業)
電気工事業の建設業許可を取得する場合、営業所ごとに営業所技術者等を置く必要があります。
営業所技術者等とは、建設業許可における技術者要件を満たす人のことです。
以前の「専任技術者」にあたるもので、現在の東京都手引では「営業所技術者等」という表現が使われています。
電気工事業で営業所技術者等として使われる代表的な資格は、次のとおりです。
- 1級電気工事施工管理技士
- 2級電気工事施工管理技士
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士
- 技術士のうち一定の部門
- 指定学科卒業後、一定年数の実務経験がある人
この中でも、電気工事施工管理技士や第一種電気工事士は、電気工事業の営業所技術者等として使いやすい資格です。
一方、第二種電気工事士については注意が必要です。
第二種電気工事士の資格を持っているだけで、直ちに営業所技術者等になれるわけではありません。
免状交付後の実務経験が必要になるため、免状交付日、実務経験の期間、工事内容、常勤性を確認する必要があります。
「試験に合格した日」ではなく、「免状交付後」の実務経験が問題になる点に注意が必要です。
また、指定学科卒業を使う場合も、卒業後に一定年数の実務経験が必要です。
ただし、学科名だけで判断できないこともあるため、指定学科に該当するかは個別に確認する必要があります。
電気工事業で特に注意したいのは、他の業種のように「10年以上の実務経験があるから営業所技術者等になれる」と安易に整理しないことです。
電気工事は、電気工事士法など他法令との関係が強い業種です。
そのため、無資格での実務経験を10年積み上げても、営業所技術者等として認められません。
電気工事業では、まず資格の有無を確認し、そのうえで必要に応じて免状交付後の実務経験や指定学科卒業後の実務経験を確認します。
また、営業所技術者等は、その営業所に常勤している必要があります。
他社で常勤している人、他社の建設業許可の技術者になっている人、遠方に居住していて通勤が現実的でない人などは、営業所技術者等として認められません。
なお、建設業許可の営業所技術者等と、電気工事業者登録における主任電気工事士は別の制度です。
同じ人が両方を兼ねることができる場合もありますが、要件はそれぞれ別に確認する必要があります。
東京都で電気工事業の建設業許可を申請する場合には、資格証、免状交付日、実務経験、常勤性を早い段階で確認しておくことが重要です。
第6章 電気工事業者登録のポイント
電気工事業では、建設業許可だけでなく、電気工事業者登録の確認も必要です。
建設業許可は、500万円以上の電気工事を請け負うための制度です。
一方、電気工事業者登録は、電気工事を業として行うための制度です。
そのため、500万円未満の電気工事しか請け負わない場合でも、電気工事業者登録が必要になることがあります。
また、電気工事業の建設業許可を取得した場合でも、それで電気工事業者登録の問題がすべて解決するわけではありません。
建設業許可を受けた建設業者が電気工事業を営む場合には、電気工事業法上、「みなし登録電気工事業者」として届出を行う必要があります。
この点が、電気工事業で特に混同されやすいところです。
主任電気工事士
電気工事業者登録で重要になるのが、主任電気工事士です。
主任電気工事士は、電気工事業者登録において、営業所ごとに置く必要がある技術者です。
建設業許可でいう営業所技術者等とは別の制度です。
同じ人が営業所技術者等と主任電気工事士を兼ねることができる場合もありますが、要件は別々に確認します。
主任電気工事士になれる代表的な人は、第一種電気工事士です。
また、第二種電気工事士でも、一定の実務経験があれば主任電気工事士になれる場合があります。
ここで注意したいのは、単に電気工事士の資格を持っているだけでは足りない場合があることです。
特に第二種電気工事士の場合、実務経験の有無や期間が問題になります。
そのため、主任電気工事士を誰にするかを決める際には、資格証、免状交付日、実務経験の内容、勤務状況を確認しておく必要があります。
実務経験
主任電気工事士の要件で問題になりやすいのが、実務経験です。
特に第二種電気工事士を主任電気工事士とする場合、一定期間の実務経験が必要になります。
この実務経験は、単に「電気工事会社に勤めていた」というだけでは足りません。
実際にどのような電気工事に従事していたのか。
どの期間、どの会社で勤務していたのか。
その期間中、常勤で勤務していたのか。
資格取得後の経験として確認できるのか。
このような点を確認する必要があります。
実務経験を証明する資料としては、過去の勤務先による証明書、在籍確認資料、工事内容を確認できる資料などが必要になることがあります。
建設業許可の営業所技術者等の実務経験と、電気工事業者登録の主任電気工事士の実務経験は、同じように見えても確認の目的が異なります。
建設業許可では、建設業法上の営業所技術者等として認められるかが問題になります。
電気工事業者登録では、電気工事業法上の主任電気工事士として認められるかが問題になります。
そのため、実務経験を使う場合には、どちらの制度のための経験確認なのかを分けて考える必要があります。
法人化
電気工事業者登録で非常に多い相談が、個人事業から法人化した場合の手続きです。
個人事業で電気工事業者登録をしていたとしても、法人化すれば事業主体が変わります。
個人事業主と法人は、法律上は別の事業者です。
そのため、個人事業の登録をそのまま法人で使い続けることはできません。
法人として電気工事業を営むのであれば、法人名義で電気工事業法上の手続きを行う必要があります。
また、法人化と同時に建設業許可を取得する場合には、建設業許可と電気工事業者登録の順番や内容を整理する必要があります。
たとえば、法人として電気工事業の建設業許可を取得する場合、建設業許可取得後に、みなし登録電気工事業者として届出を行う流れになることがあります。
一方、建設業許可をまだ取得していない状態で電気工事業を始める場合には、登録電気工事業者としての登録が必要になることがあります。
法人化の際には、次の点を確認しておくことが重要です。
個人事業の登録をどうするか
法人として新たにどの手続きが必要か
主任電気工事士は誰にするか
営業所の所在地はどこか
建設業許可を取得する予定があるか
建設業許可取得後にみなし登録の届出が必要か
個人事業のときに登録していたから、法人でもそのまま使えると考えてしまうと、手続き漏れが起こりやすくなります。
建設業許可との違い
建設業許可と電気工事業者登録は、根拠法令も目的も異なります。
建設業許可は、建設業法に基づく制度です。
一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となります。
電気工事業者登録は、電気工事業法に基づく制度です。
電気工事を業として行うために必要となります。
建設業許可では、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所、社会保険、欠格要件などが問題になります。
電気工事業者登録では、主任電気工事士、営業所、施工する電気工事の種類、登録や届出の内容などが問題になります。
つまり、建設業許可は「建設業者として工事を請け負う体制」を確認する制度です。
電気工事業者登録は「電気工事を安全かつ適正に行う体制」を確認する制度です。
この違いを理解しておかないと、次のような誤解が生じます。
建設業許可を取ったので電気工事業者登録は不要だと思っていた。
電気工事業者登録をしているので500万円以上の工事も請け負えると思っていた。
主任電気工事士がいるので建設業許可の営業所技術者等も問題ないと思っていた。
営業所技術者等がいるので主任電気工事士も当然に満たすと思っていた。
いずれも注意が必要です。
建設業許可と電気工事業者登録は、別々に要件を確認する必要があります。
変更届
電気工事業者登録は、登録や届出をして終わりではありません。
登録内容に変更があった場合には、変更届が必要になることがあります。
たとえば、次のような場合です。
商号を変更した場合
法人化した場合
代表者を変更した場合
営業所を移転した場合
営業所を追加・廃止した場合
主任電気工事士を変更した場合
主任電気工事士の氏名に変更があった場合
施工する電気工事の種類に変更があった場合
建設業許可を取得した場合
特に注意したいのが、建設業許可を取得した後の手続きです。
電気工事業者登録をしている会社が、後から電気工事業の建設業許可を取得した場合、登録電気工事業者から、みなし登録電気工事業者としての整理が必要になります。
建設業許可を取得しただけで、自動的に電気工事業法上の届出が完了するわけではありません。
また、主任電気工事士が退職した場合や、別の人に変更する場合にも注意が必要です。
主任電気工事士は、電気工事業者登録における重要な要件です。
退職や異動によって主任電気工事士が不在になると、登録や届出の内容に問題が生じる可能性があります。
そのため、主任電気工事士の変更がある場合には、早めに後任者の資格や実務経験を確認しておく必要があります。
電気工事業者登録は、建設業許可と並行して管理する必要があります。
東京都で電気工事業を営む会社様は、建設業許可の変更届だけでなく、電気工事業法上の変更届も忘れないようにすることが大切です。
第7章 東京都で多い補正事例
東京都で電気工事業の建設業許可や電気工事業者登録を進める場合、補正になりやすいポイントがあります。
特に多いのは、主任電気工事士、実務経験、営業所写真、社会保険、建設業許可と電気工事業者登録の混同です。
主任電気工事士
電気工事業者登録では、主任電気工事士の確認が重要です。
第一種電気工事士であれば比較的整理しやすいですが、第二種電気工事士を主任電気工事士にする場合には、実務経験の確認が必要になります。
資格証だけで判断せず、免状交付日、実務経験の期間、勤務状況を確認することが大切です。
実務経験
第二種電気工事士や指定学科卒業後の実務経験を使う場合、実務経験の証明で補正になることがあります。
単に電気工事会社に勤務していたというだけでは足りません。
どの会社で、どの期間、どのような電気工事に従事していたのかを確認できる資料が必要になります。
過去の勤務先での経験を使う場合には、証明者の協力が必要になることもあります。
営業所写真
東京都の建設業許可申請では、営業所写真も重要です。
外観、入口、郵便受け、看板、事務スペース、机、電話、帳簿類などが確認できないと補正になることがあります。
自宅兼事務所の場合には、居住部分と事務所部分が区別されているかも確認されます。
現場作業が中心の会社でも、建設業許可では契約締結等を行う営業所の実態が必要です。
社会保険
社会保険の加入状況も確認されます。
法人の場合、原則として健康保険、厚生年金保険の加入が必要です。
従業員を雇用している場合には、雇用保険も問題になります。
役員だけの会社だから不要だと思っていた、個人事業時代の資料と法人の資料が混在していた、というケースでは注意が必要です。
電気工事業者登録との混同
電気工事業で最も多い誤解は、建設業許可と電気工事業者登録の混同です。
電気工事業者登録をしていても、500万円以上の電気工事を請け負う場合には、建設業許可が必要になることがあります。
反対に、建設業許可を取得しても、電気工事業法上の届出が不要になるわけではありません。
建設業許可を取得した後は、みなし登録電気工事業者としての届出が必要になるケースがあります。
東京都で電気工事業の手続きを進める場合には、建設業許可の要件と、電気工事業者登録の要件を分けて確認することが大切です。
第8章 電気工事業の建設業許可取得後に必要な手続き
電気工事業の建設業許可は、一度取得すれば永久に有効というものではありません。
許可取得後も、建設業法に基づき各種届出や更新手続きを行う必要があります。
また、電気工事業の場合は、建設業許可だけでなく、電気工事業法上の手続きもあわせて管理する必要があります。
東京都では、次のような手続きが必要になります。
(1)決算変更届
建設業許可業者は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
決算変更届では、
・完成工事高
・工事経歴書
・財務諸表
・納税証明書
などを提出します。
電気工事業の場合、工事経歴書には、電気工事業として請け負った工事を記載します。
例えば、照明設備工事、屋内配線工事、受変電設備工事、動力設備工事、太陽光発電設備工事などが該当します。
電気通信工事、管工事、消防施設工事などと工事内容が近い場合は、どの業種の工事として整理するかを確認することが重要です。
期限を過ぎても提出できますが、更新申請の際には過去5年分の決算変更届が必要となるため、毎年忘れずに提出することが大切です。
建設業許可の決算変更届(決算報告書)とは?提出期限・必要書類・出さないリスクを解説
(2)建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は5年間です。
引き続き建設業を営むためには、有効期間満了前に更新申請を行う必要があります。
東京都では、許可満了日の30日前までに更新申請を行う必要があるため、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。
更新時には、常勤役員等、営業所技術者等、営業所、社会保険などの状況が改めて確認されます。
特に電気工事業では、営業所技術者等や主任電気工事士の退職・変更があると、建設業許可と電気工事業法上の手続きの両方に影響することがあります。
(3)変更届の提出
許可取得後に届出事項へ変更があった場合は、変更届を提出しなければなりません。
例えば、
・営業所技術者等の変更
・常勤役員等の変更
・営業所の新設、廃止
などが該当します。
変更内容によって提出期限や必要書類が異なるため、早めに確認することが重要です。
また、電気工事業の場合は、建設業許可の変更届だけでなく、電気工事業者登録やみなし登録電気工事業者の届出内容にも変更が必要になることがあります。
建設業許可の手続きだけで完了したと考えず、電気工事業法上の手続きも確認しましょう。
(4)電気工事業者登録・みなし登録電気工事業者の手続き
電気工事業の建設業許可を取得した場合、電気工事業法上の「みなし登録電気工事業者」としての届出が必要になることがあります。
これは、建設業許可を受けた建設業者が電気工事業を営む場合の手続きです。
建設業許可を取得しただけで、自動的に電気工事業法上の届出が完了するわけではありません。
すでに登録電気工事業者として登録していた会社が、後から建設業許可を取得した場合にも、登録電気工事業者から、みなし登録電気工事業者としての整理が必要になります。
また、主任電気工事士、営業所、代表者、商号などに変更があった場合にも、電気工事業法上の変更届が必要になることがあります。
(5)業種追加や般・特新規
事業の拡大に伴い、他の建設業許可が必要になることもあります。
例えば、
・電気通信工事業
・管工事業
・消防施設工事業
・機械器具設置工事業
などの許可を追加取得するケースがあります。
電気工事業と電気通信工事業は、現場では一緒に扱われることもありますが、建設業許可では別の業種です。
また、一般建設業から特定建設業へ変更する場合には、「般・特新規」の申請が必要です。
元請として大きな工事を請け負い、下請に出す金額が大きくなる場合には、特定建設業許可が必要になることがあります。
(6)経営事項審査を受ける場合
公共工事の入札に参加するためには、建設業許可を取得するだけでなく、経営事項審査(経審)を受審する必要があります。
経審では、完成工事高や技術者数、社会性などが評価され、総合評定値(P点)が算出されます。
電気工事業は、学校、庁舎、公営住宅、公共施設、道路照明、電気設備更新工事など、公共工事との関わりもある業種です。
公共工事への参入を目指す場合は、許可取得後の早い段階から経審を見据えた体制づくりを進めることをおすすめします。
建設業許可は取得することがゴールではなく、その後も適切に維持・管理していくことが重要です。
特に電気工事業では、建設業許可と電気工事業法上の手続きが並行して必要になるため、決算変更届、更新、変更届、みなし登録電気工事業者の届出を忘れずに管理することが大切です。
第9章 電気工事業と経営事項審査(経審)
電気工事業の建設業許可を取得した後、公共工事への参入を目指す場合には、経営事項審査(経審)の受審が必要になります。
経営事項審査とは、国や地方公共団体などが発注する公共工事の入札に参加するために必要な評価制度です。
建設業者の経営規模や財務内容、技術力、社会性などを総合的に評価し、その結果が総合評定値(P点)として数値化されます。
電気工事業は、学校や庁舎、公営住宅、公共施設、道路照明、受変電設備、非常用電源設備など、公共工事との関わりがある業種です。
そのため、将来的に公共工事への参入を目指す事業者は、建設業許可取得後から経審を意識した準備を進めることが重要です。
経営事項審査(経審)とは?P点の仕組みと評価項目をわかりやすく解説
(1)経営事項審査で評価される項目
経営事項審査では、主に次の5つの項目が評価されます。
・技術力(Z)
・社会性等(W)
これらを総合してP点が算出されます。
完成工事高だけで評価が決まるわけではなく、技術者数や社会保険への加入状況、法令遵守への取組なども重要な評価対象となります。
経営事項審査(経審)のP点とは?評点の仕組みをわかりやすく解説
(2)電気工事業と技術力評価(Z)
電気工事業では、有資格者の人数や元請完成工事高などが技術力評価に影響します。
例えば、
・1級電気工事施工管理技士
・2級電気工事施工管理技士
・第一種電気工事士
・技術士
などの資格を保有する技術者は、経審の評価向上につながります。
また、監理技術者資格者証を保有する技術者や講習を修了した技術者についても評価対象となるため、計画的な資格取得や人材育成が重要になります。
経営事項審査(経審) 技術力(Z)の評価と点数の考え方を行政書士が解説
(3)社会性等(W)の重要性
近年の経営事項審査では、社会性等(W)の配点が大きくなっています。
具体的には、
などが評価項目となっています。
比較的取り組みやすい制度も多いため、計画的に整備することでP点の向上を目指すことができます。
経営事項審査(経審) 社会性等(W)の評価と点数の考え方を行政書士が解説
(4)電気工事業と公共工事
電気工事業では、公共施設の新築・改修工事や設備更新工事が発注されています。
例えば、
・学校の照明設備更新工事
・庁舎の受変電設備改修工事
・公営住宅の電気設備工事
・公共施設の非常用電源設備工事
・道路照明や公園照明の工事
・公共施設の太陽光発電設備工事
などがあります。
電気設備は建物や施設の維持管理に欠かせないため、公共工事に参入することで継続的な受注につながる可能性があります。
(5)公共工事を目指す場合は早めの準備が重要
経営事項審査は、一度受審しただけで高い評価を得られる制度ではありません。
技術者の育成や資格取得、社会性等への取組など、日頃からの積み重ねが評価につながります。
将来的に公共工事への参入や入札参加を目指している場合は、建設業許可を取得した段階から経営事項審査を見据えた体制づくりを進めることをおすすめします。
電気工事業は民間工事だけでなく、公共施設の電気設備工事とも関わる業種です。
建設業許可の取得に加えて経営事項審査を活用することで、受注機会の拡大や会社の信用力向上につなげることができます。
まとめ
東京都で電気工事業の建設業許可を取得するためには、常勤役員等や営業所技術者等、財産的基礎、営業所要件、社会保険加入など、建設業法で定められた要件をすべて満たす必要があります。
電気工事業は、屋内配線工事、受変電設備工事、照明設備工事、動力設備工事、太陽光発電設備工事など幅広い工事を含みます。
また、電気通信工事業、管工事業、消防施設工事業、機械器具設置工事業などとの業種区分が問題となることもあります。
さらに、電気工事業では、建設業許可だけでなく、電気工事業者登録やみなし登録電気工事業者の届出も重要です。
建設業許可を取得すれば電気工事業法上の手続きがすべて不要になるわけではありません。
反対に、電気工事業者登録をしていても、500万円以上の電気工事を請け負う場合には、建設業許可が必要になることがあります。
東京都で電気工事業を営む場合には、建設業許可と電気工事業者登録を分けて整理することが大切です。
建設業許可を取得すると、税込500万円以上の電気工事を請け負えるようになるだけでなく、元請会社からの信用向上や公共工事への参入など、事業拡大につながる多くのメリットがあります。
さらに、将来的に公共工事を目指す場合は、経営事項審査(経審)を受審し、技術者の育成やCCUS、CPDなどの取組を進めることで、受注機会をさらに広げることができます。
東京都で電気工事業の建設業許可をご検討中の方は、自社の工事内容、請負金額、営業所技術者等、主任電気工事士、電気工事業者登録の状況を事前に確認することが大切です。
当事務所では、東京都知事許可に特化し、電気工事業をはじめとする建設業許可の新規申請、更新、業種追加、各種変更届、経営事項審査、電気工事業者登録・みなし登録電気工事業者の届出まで幅広くサポートしております。
東京都で電気工事業の建設業許可についてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。









