経営事項審査(経審)の結果通知書を見ると、「X1(完成工事高)」という項目が記載されています。
X1は、建設会社がどれだけ工事を受注し、完成させているかを評価する項目であり、P点を構成する重要な評価要素の一つです。一般的に、完成工事高が大きい会社ほど高い評価を受ける傾向があるため、多くの建設会社が最も注目する項目でもあります。
実際に経審結果通知書を受け取った際、
「売上が増えたのに思ったほど点数が上がらなかった」
「2年平均と3年平均はどちらを選べばよいのか分からない」
「完成工事高を増やせばP点も必ず上がるのか」
といった疑問を持つ方は少なくありません。
また、完成工事高は経審の中でも影響の大きい評価項目ですが、技術者の資格取得や社会性等(W)の改善とは異なり、短期間で大幅に点数を向上させることが難しいという特徴があります。そのため、単に売上を増やすことだけを考えるのではなく、完成工事高がどのように評価されるのか、その仕組みを正しく理解することが重要です。
さらに、経審では許可業種ごとに完成工事高を評価する仕組みが採用されているため、自社がどの業種で経審を受けるのかによっても結果が変わることがあります。適切な業種選択や平均年数の選択によって、評価結果に差が生じるケースもあります。
この記事では、経営事項審査における完成工事高(X1)の仕組みや評価方法、2年平均・3年平均の考え方、業種別完成工事高の取扱い、そして点数向上のための実務上のポイントについて詳しく解説します。
完成工事高(X1)だけでなく、経営事項審査(経審)の全体像について詳しく知りたい方は、「経営事項審査(経審)とは?P点の仕組みや評価項目を解説」もあわせてご覧ください。
目次
第1章 完成工事高(X1)とは
完成工事高(X1)とは、経営事項審査(経審)において建設会社の施工規模を評価するための項目です。
簡単に言えば、
「どれだけ工事を受注し、完成させたか」
を数値として評価するものであり、P点を構成する重要な要素の一つとなっています。
建設会社の規模を判断する際、多くの人が売上高をイメージしますが、経審においては単なる会社全体の売上高ではなく、建設工事による完成工事高が評価対象となります。
そのため、不動産収入や資材販売収入など、建設工事以外の売上は原則として評価対象にはなりません。
経審は建設会社としての実力を評価する制度であるため、実際にどれだけ工事を施工しているかが重視されているのです。
また、完成工事高(X1)は経審の評価項目の中でも影響が大きい項目として知られています。
完成工事高が大きい会社ほど高い評価を受ける傾向があるため、公共工事を積極的に受注している建設会社では特に重要な指標となります。
実際に経審結果通知書を見ると、完成工事高が大きく変動した年度はP点にも大きな影響が出ることがあります。
一方で、完成工事高には他の評価項目にはない特徴があります。
それは、短期間で大幅に改善することが難しいという点です。
例えば、社会性等(W)は制度への加入や体制整備によって比較的短期間で評価向上を図れる場合があります。
また、技術力(Z)についても資格取得や技術者の確保によって改善できる可能性があります。
しかし、完成工事高を増やすためには実際に工事を受注し、完成させる必要があります。
そのため、X1の改善は経営戦略そのものに関わるテーマであり、短期的な経審対策だけで大きく変化させることは容易ではありません。
だからこそ、経審では完成工事高が会社の施工能力や事業規模を示す重要な指標として位置付けられています。
また、完成工事高は単に金額だけを集計するのではなく、許可業種ごとに区分して評価される仕組みとなっています。
例えば、
・建築一式工事
・電気工事
・管工事
・電気通信工事
など、それぞれの業種ごとに完成工事高を集計します。
そのため、自社がどの業種で経審を受けるのかによって評価結果が変わることもあります。
完成工事高(X1)を正しく理解するためには、単なる売上高ではなく、業種別の完成工事高をどのように評価する制度なのかを把握することが重要です。次章では、完成工事高がどのように計算されるのか、2年平均・3年平均の考え方も含めて詳しく解説します。
第2章 完成工事高(X1)はどのように計算されるのか
完成工事高(X1)は、単純に直近の売上高だけを基に評価されるわけではありません。
経営事項審査(経審)では、一定期間の完成工事高を基に算出する仕組みが採用されており、建設会社の事業規模をできるだけ適正に評価できるようになっています。
そのため、完成工事高が大きい会社が必ず有利になるとは限らず、どの業種で申請するか、また2年平均と3年平均のどちらを選択するかによって評価結果が変わることがあります。
経審対策を考えるうえでは、まず完成工事高の計算方法を正しく理解することが重要です。
2-1 完成工事高は業種ごとに評価される
経審では、会社全体の完成工事高をそのまま評価するわけではありません。
建設業許可の業種ごとに完成工事高を集計し、その業種ごとに評価が行われます。
例えば、
・建築一式工事
・土木一式工事
・電気工事
・管工事
・電気通信工事
など、それぞれの業種ごとに完成工事高を集計します。
そのため、会社全体では大きな売上があったとしても、経審を受ける業種の完成工事高が少なければ、期待した評価にならない場合があります。
反対に、特定の業種に完成工事高が集中している場合には、その業種で高い評価を受けられる可能性があります。
2-2 2年平均と3年平均を選択できる
経審では、完成工事高について
・2年平均
・3年平均
のいずれかを選択できます。
これは、建設業の売上が年度によって大きく変動することがあるためです。
例えば、
前々期 1億円
前期 1億2,000万円
の場合には、
2年平均は1億1,000万円となります。
一方、
前々々期 8,000万円
前々期 1億円
前期 1億2,000万円
の場合には、
3年平均は1億円となります。
このように、売上が右肩上がりで増加している会社では、2年平均の方が有利になるケースがあります。
反対に、一時的な売上減少が発生している会社では、3年平均を選択することで評価の下落を抑えられる場合があります。
どちらが有利かは会社ごとの状況によって異なるため、実際には両方を試算して比較検討することが重要です。
2-3 許可業種の選択も重要になる
経審では、どの許可業種で評価を受けるかも重要なポイントになります。
例えば、
・電気工事業
・電気通信工事業
の両方の許可を持っている会社であっても、完成工事高の内訳によって評価結果は異なります。
そのため、実際の工事内容や完成工事高の状況を確認しながら、どの業種で経審を受けるのが適切かを検討する必要があります。
完成工事高の集計方法や業種区分の考え方によっては、評価結果に大きな差が生じることもあります。
2-4 単純な売上高とは考え方が異なる
完成工事高(X1)は、経営事項審査における評価項目であり、一般的な会計上の売上高とは必ずしも一致しません。
また、経審では建設工事として認められる内容で集計する必要があるため、すべての収入が完成工事高として評価されるわけではありません。
経審の完成工事高は、会社の施工能力や事業規模を評価するための指標です。
そのため、単純な売上規模だけを見るのではなく、どの業種で、どの程度の工事実績を積み上げているかが重要になります。
完成工事高(X1)の仕組みを理解するうえでは、2年平均・3年平均の選択や業種ごとの集計方法が大きなポイントとなります。実際の経審では、これらの選択によって評価結果が変わることもあるため、事前の検討が重要です。
第3章 完成工事高(X1)はP点にどのような影響を与えるのか
完成工事高(X1)は、経営事項審査(経審)の評価項目の中でも特に重要な項目の一つです。
完成工事高は建設会社の事業規模を示す指標であり、公共工事を発注する行政機関にとっても、企業の施工能力を判断するうえで重要な要素となります。
そのため、一般的には完成工事高が大きい会社ほど高い評価を受ける傾向があります。
しかし、
「完成工事高を増やせば必ずP点も大きく上がる」
というわけではありません。
経審では、完成工事高(X1)だけでなく、
・利益率等(X2)
・経営状況(Y)
・技術力(Z)
・社会性等(W)
も含めて総合的に評価されます。
そのため、完成工事高が大きくても他の評価項目が低い場合には、期待したほどP点が伸びないことがあります。
3-1 完成工事高はP点の重要な構成要素
P点は、複数の評価項目を組み合わせて算出されます。
その中でも完成工事高(X1)は、会社の規模を評価する代表的な項目です。
公共工事の発注者から見ると、
「どの程度の工事を継続的に施工している会社なのか」
を判断する材料となるため、完成工事高は重要視されています。
実際に、完成工事高の差によってP点に大きな差が生じることもあります。
そのため、公共工事を積極的に受注している会社では、完成工事高の推移を毎年確認することが重要になります。
3-2 完成工事高とP点は比例関係ではない
完成工事高が増えれば評価は上がりますが、その増加幅がそのままP点へ反映されるわけではありません。
例えば、
完成工事高が5,000万円から1億円へ増加した場合と、
10億円から10億5,000万円へ増加した場合では、
同じ5,000万円の増加であっても評価への影響は異なります。
また、完成工事高だけが増加しても、
・技術者が不足している
・経営状況分析の評価が低い
・社会性等の加点を活用できていない
といった状況では、P点全体としては思ったほど伸びないこともあります。
そのため、完成工事高だけに注目するのではなく、各評価項目とのバランスを見ることが重要です。
3-3 会社ごとに重視すべき項目は異なる
経審結果通知書を見ると、同じP点の会社であっても評価項目の内訳は大きく異なります。
例えば、
完成工事高は高いが技術者評価が低い会社もあります。
反対に、
完成工事高はそれほど大きくないものの、技術力(Z)や社会性等(W)の評価によって高いP点を維持している会社もあります。
そのため、
「まずは完成工事高を増やすべきなのか」
「技術者育成を優先すべきなのか」
「社会性等の加点を活用すべきなのか」
は会社ごとに異なります。
経審対策では、自社の評価項目を分析し、どこに改善余地があるのかを把握することが重要です。
3-4 完成工事高は中長期的な経営課題である
完成工事高(X1)の特徴は、短期間で大幅な改善が難しいことです。
技術者の資格取得や社会性等の加点は比較的短期間で対応できる場合があります。
しかし、完成工事高を増やすためには、
・受注件数を増やす
・工事規模を拡大する
・元請工事を増やす
など、経営戦略そのものに関わる取組みが必要になります。
そのため、X1の改善は単なる経審対策ではなく、会社の成長戦略と密接に関係しています。
完成工事高はP点の重要な構成要素ですが、単独で評価を見るのではなく、他の評価項目とのバランスを踏まえて分析することが重要です。経審結果を活用する際には、完成工事高の増減だけではなく、会社全体の評価構造を見る視点が求められます。
第4章 完成工事高が高ければ有利なのか
完成工事高(X1)は、経営事項審査(経審)の中でも重要な評価項目であるため、
「完成工事高が高い会社ほど有利である」
と考えられることがあります。
実際に、完成工事高が大きい会社は高い評価を受けやすく、公共工事の入札においても一定の優位性を持つことがあります。
しかし、経審は完成工事高だけで評価される制度ではありません。
完成工事高が高い会社が必ずしも有利とは限らず、反対に完成工事高がそれほど大きくない会社であっても高い評価を受けるケースがあります。
そのため、完成工事高の意味を正しく理解することが重要です。
4-1 完成工事高は会社規模を示す重要な指標
完成工事高は、
「どれだけの工事を継続的に施工しているか」
を示す指標です。
公共工事を発注する行政機関から見れば、完成工事高が大きい会社ほど施工実績が豊富であり、一定の施工能力を有していると判断しやすくなります。
また、完成工事高が大きい会社は、
・施工体制
・人員体制
・資金力
なども充実している傾向があるため、経審においても重要な評価項目として位置付けられています。
そのため、一般的には完成工事高が大きい会社ほど有利になる傾向があります。
4-2 入札参加資格や格付けにも影響する
完成工事高はP点を構成する要素であるため、結果として入札参加資格の格付けにも影響します。
多くの自治体では、
・Aランク
・Bランク
・Cランク
などの格付け制度を採用しています。
格付けはP点だけで決まるわけではありませんが、完成工事高が増加することでP点が向上し、より上位の格付けにつながる可能性があります。
また、格付けが上がれば参加できる入札案件の幅が広がることもあります。
そのため、公共工事への参入や受注拡大を目指す会社にとって、完成工事高は重要な経営指標といえます。
4-3 完成工事高だけでは評価は決まらない
一方で、完成工事高が高いことだけで高いP点が保証されるわけではありません。
経審では、
・利益率等(X2)
・経営状況(Y)
・技術力(Z)
・社会性等(W)
も評価対象となります。
例えば、
完成工事高は大きいものの技術者数が不足している会社や、社会性等の加点を十分に活用できていない会社では、期待したほどP点が伸びないことがあります。
反対に、完成工事高はそれほど大きくなくても、
・有資格者が多い
・CCUSを活用している
・CPDや防災協定などの加点を取得している
といった会社は高い評価を受けることがあります。
そのため、完成工事高だけを見るのではなく、会社全体の評価構造を確認することが重要です。
4-4 中小建設会社でも十分に戦える
公共工事というと、
「売上規模の大きい会社しか有利にならない」
というイメージを持たれることがあります。
しかし実際には、地域密着型の中小建設会社が公共工事を受注しているケースも数多くあります。
経審では完成工事高だけではなく、技術力や社会性等も評価されるためです。
また、自治体によっては中小企業向けの発注枠が設けられていることもあります。
そのため、完成工事高で大手企業に及ばない場合であっても、技術者育成や社会性等の取組みによって競争力を高めることは十分可能です。
4-5 重要なのは会社の成長段階に応じた考え方
完成工事高は重要な評価項目ですが、すべての会社が同じ目標を目指す必要はありません。
例えば、
・まずは公共工事へ参入したい会社
・現在の格付けを維持したい会社
・より上位ランクを目指す会社
では必要な戦略が異なります。
完成工事高を伸ばすことは重要ですが、それだけを追い求めるのではなく、自社の事業計画や経営方針に合わせて経審対策を進めることが大切です。
完成工事高(X1)は会社規模を示す重要な指標ですが、経審ではそれだけで評価が決まるわけではありません。完成工事高の意味を正しく理解し、技術力や社会性等とのバランスを考えながら評価向上を目指すことが重要です。
第5章 完成工事高(X1)を改善するための考え方
完成工事高(X1)は、経営事項審査(経審)の評価項目の中でも大きな影響を持つ項目です。
そのため、
「X1を上げたい」
「完成工事高を増やしてP点を向上させたい」
と考える建設会社は少なくありません。
しかし、完成工事高は技術力(Z)や社会性等(W)のように短期間で改善できる項目ではありません。
実際に工事を受注し、完成させた結果として評価されるため、会社の営業力や施工体制、事業戦略そのものが影響します。
そのため、X1の改善を考える際には、単なる経審対策としてではなく、中長期的な経営戦略として取り組むことが重要です。
5-1 まずは現状を正しく把握する
完成工事高の改善を考える際に最初に行うべきことは、自社の現状分析です。
経審結果通知書や決算書を確認し、
・どの業種の完成工事高が多いのか
・どの業種で経審を受けているのか
・2年平均と3年平均のどちらが有利なのか
を把握します。
実際には、会社全体の売上規模は大きくても、経審を受ける業種の完成工事高が少ないケースもあります。
まずは現在の状況を正確に分析することが重要です。
5-2 2年平均と3年平均を比較検討する
経審では、完成工事高について2年平均または3年平均を選択できます。
そのため、どちらを選択するかによって評価結果が変わることがあります。
例えば、
売上が毎年増加している会社であれば、2年平均の方が有利になるケースがあります。
反対に、
一時的な売上減少があった会社では、3年平均を選択することで評価の下落を抑えられる場合があります。
どちらが有利かは会社によって異なるため、経審申請前には必ず試算を行い、比較検討することが重要です。
5-3 許可業種と完成工事高を整理する
完成工事高は業種ごとに評価されます。
そのため、
・実際にどの工事を施工しているのか
・どの業種で売上が発生しているのか
を整理することも重要です。
例えば、
電気工事と電気通信工事の両方を行っている会社では、どちらの業種で完成工事高を計上するかによって評価結果が変わることがあります。
また、複数業種の許可を持っている会社では、経審を受ける業種の選択が重要になるケースもあります。
完成工事高の集計方法を理解し、自社の実態に合った整理を行うことが必要です。
5-4 元請工事の比率も重要になる
完成工事高を増やす方法として、元請工事の受注拡大を目指す会社もあります。
元請工事を増やすことで、完成工事高の拡大だけでなく、技術力(Z)の評価向上につながる場合もあります。
もちろん、すべての会社が元請中心の経営を目指す必要はありません。
しかし、公共工事への参入や格付け向上を目指す場合には、元請工事の比率についても検討する価値があります。
完成工事高だけではなく、会社全体の評価向上という視点で考えることが重要です。
5-5 短期間での改善を期待しすぎない
完成工事高(X1)の特徴は、短期間で大きく変化させることが難しい点にあります。
例えば、
技術者が資格を取得した場合には比較的早期に評価へ反映される可能性があります。
また、社会性等(W)の加点項目も比較的短期間で対応できるものがあります。
しかし、完成工事高は実際の受注実績が反映されるため、数か月で大きく改善することは現実的ではありません。
そのため、
・来年の経審
・再来年の経審
・3年後の経審
といった視点で計画的に取り組むことが重要です。
5-6 完成工事高だけを追い求めない
完成工事高は重要な評価項目ですが、それだけを追い求めるべきではありません。
売上規模の拡大だけを優先すると、
・利益率の低下
・技術者不足
・施工体制の負担増加
といった問題が発生する可能性があります。
経審は企業の総合力を評価する制度です。
そのため、完成工事高だけではなく、
・利益率等(X2)
・経営状況(Y)
・技術力(Z)
・社会性等(W)
とのバランスを考えながら改善を進めることが重要です。
完成工事高(X1)の向上は、一朝一夕で実現できるものではありません。しかし、現状分析を行い、自社に合った戦略を継続的に実践することで、中長期的な評価向上につなげることができます。
第6章 完成工事高(X1)に関するよくある誤解
完成工事高(X1)は経営事項審査(経審)の中でも重要な評価項目であるため、多くの建設会社が関心を持っています。
しかし、実際の相談では完成工事高について誤解されているケースも少なくありません。
完成工事高の仕組みを正しく理解していないと、期待した評価が得られなかったり、誤った経審対策を行ってしまったりすることがあります。
ここでは、実務上よくある誤解について解説します。
6-1 売上が増えれば必ず高評価になる
完成工事高(X1)は工事売上を評価する項目であるため、
「売上が増えれば必ず高評価になる」
と考える方もいます。
確かに完成工事高が増加すれば評価向上につながる可能性があります。
しかし、経審は完成工事高だけで評価される制度ではありません。
利益率等(X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)、社会性等(W)も含めて総合的に評価されます。
そのため、完成工事高が増えても他の評価項目が低下している場合には、期待したほどP点が伸びないことがあります。
6-2 会社全体の売上高が評価される
経審では会社全体の売上高が評価されると考えている方もいます。
しかし、経審で評価されるのは建設工事として計上された完成工事高です。
例えば、
・不動産収入
・資材販売収入
・その他事業収入
などは原則として完成工事高には含まれません。
経審は建設会社としての施工実績を評価する制度であるため、建設工事による実績が重視されます。
6-3 2年平均が常に有利である
完成工事高の計算では2年平均と3年平均を選択できます。
そのため、
「新しい数字が反映される2年平均の方が有利」
と考える方もいます。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
売上が継続的に増加している会社であれば2年平均が有利になることがあります。
一方で、一時的な売上減少があった会社では3年平均の方が高い評価となるケースもあります。
どちらが有利かは会社ごとの状況によって異なるため、申請前の試算が重要です。
6-4 完成工事高だけでP点は決まる
完成工事高は経審の中でも影響が大きい項目ですが、
「完成工事高さえ増やせば高いP点になる」
というわけではありません。
例えば、完成工事高は大きいものの有資格者が少ない会社と、完成工事高はそれほど大きくないものの技術者や社会性等の評価が高い会社を比較すると、後者の方が高いP点となる場合もあります。
経審は企業の総合力を評価する制度であるため、完成工事高だけを見るのではなく、全体のバランスを確認することが重要です。
6-5 公共工事を受注していなければ意味がない
完成工事高というと公共工事の実績だけを評価しているように思われることがあります。
しかし、経審では民間工事の完成工事高も評価対象となります。
そのため、現在公共工事を受注していない会社であっても、将来的な公共工事参入を見据えて経審を受けるケースはあります。
また、元請企業から経審結果の提出を求められることもあり、経審は公共工事以外の場面でも活用されることがあります。
6-6 完成工事高は短期間で改善できる
技術者の資格取得や社会性等の加点項目は比較的短期間で改善できる場合があります。
しかし、完成工事高は実際の受注実績が反映されるため、短期間で大幅に改善することは容易ではありません。
完成工事高を増やすためには、
・受注件数を増やす
・工事規模を拡大する
・元請工事を増やす
といった経営上の取組みが必要になります。
そのため、X1の改善は短期的なテクニックではなく、中長期的な経営戦略として考えることが重要です。
完成工事高(X1)は経審の重要な評価項目ですが、その仕組みを正しく理解しなければ効果的な対策を行うことはできません。誤解を避け、自社の状況に応じた改善策を検討することが、評価向上への近道となります。
第7章 許可取得後の管理
完成工事高(X1)は毎年の決算内容によって変動するため、一度経審を受けて終わりではありません。
公共工事への参加を継続するためには、決算変更届の提出や経営状況分析、経営規模等評価申請などを適切に行う必要があります。
また、完成工事高だけでなく、技術者の配置状況や社会性等の取組みについても継続的な管理が重要です。
経審結果通知書を毎年確認しながら、自社の評価項目を分析し、計画的に改善を進めていくことが評価向上につながります。
許可取得後の管理体制について詳しく知りたい方は、建設業許可取得後の管理についてもあわせてご覧ください。
まとめ
完成工事高(X1)は、経営事項審査(経審)において建設会社の施工規模を評価する重要な項目です。
P点を構成する評価項目の中でも影響が大きく、公共工事への参加や格付けにも関係するため、多くの建設会社が注目する評価指標となっています。
しかし、完成工事高は単純な売上高ではなく、許可業種ごとの完成工事高を基に評価される仕組みです。また、2年平均と3年平均を選択できるため、会社の状況によって有利な方法が異なる場合があります。
さらに、完成工事高が大きいことは重要ですが、それだけで高いP点が決まるわけではありません。経審では、利益率等(X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)、社会性等(W)も含めて総合的に評価されます。
そのため、経審対策では完成工事高だけを見るのではなく、自社の経審結果通知書を分析し、どの評価項目に改善余地があるのかを把握することが重要です。
完成工事高(X1)の向上は短期間で実現できるものではありません。しかし、適切な業種選択や継続的な受注拡大、計画的な経営戦略によって、中長期的な評価向上につなげることができます。
まずは自社の完成工事高がどのように評価されているのかを確認し、経審全体の視点から改善策を検討することが大切です。









