東京都台東区で建設業を営む会社様から、現在の一般建設業許可を特定建設業許可へ切り替えたいとのご相談をいただきました。
今回の会社様は、すでに一般建設業許可を取得しており、建築工事業や内装仕上工事業などを営んでいました。
事業規模の拡大に伴い、今後さらに大きな元請工事に対応していくため、一般建設業から特定建設業への切り替えを検討されていました。
今回のポイントは、特定建設業許可特有の要件を満たしているかどうかを、一つずつ確認することでした。
代表取締役である社長は、一級建築施工管理技士の資格を保有していたため、特定営業所技術者の要件については資格で整理することができました。
また、特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい財産的基礎の要件を満たす必要があります。
直近の決算書を確認したところ、欠損額、流動比率、資本金、自己資本の各要件について、いずれも基準を上回っていました。
一方で、確認を進める中で、過去に増資をしていたにもかかわらず、建設業許可上の資本金変更の届出が提出されていないことが判明しました。
そこで、特定建設業への般・特新規申請とあわせて、未提出となっていた変更届も整理することにしました。
この記事では、一般建設業許可を取得している会社様について、一級建築施工管理技士の資格、特定建設業の財産的基礎、増資未届という論点を整理し、特定建設業許可へ切り替えた事例をご紹介します。
第1章 ご相談の内容
今回ご相談いただいたのは、東京都台東区で建設業を営んでいる会社様です。
すでに一般建設業許可を取得しており、建築工事業や内装仕上工事業などを営んでいましたが、今後の事業拡大を見据えて、特定建設業許可への切り替えを検討されていました。
特定建設業許可を取得するためには、一般建設業許可とは異なる要件も確認する必要があります。
そのため、現在の許可内容を確認したうえで、
・常勤役員等の要件
・特定営業所技術者の要件
・社会保険の加入状況
・特定建設業に必要な財産的基礎
・営業所の状況
・過去の変更届の提出状況
を一つずつ確認することになりました。
常勤役員等については、代表取締役である社長がすでに一般建設業許可の要件を満たしており、引き続き常勤役員等として配置することができました。
また、社長は一級建築施工管理技士の資格を保有していたため、特定営業所技術者についても資格面から要件を確認することができました。
一方で、特定建設業許可では財産的基礎の要件が一般建設業許可よりも厳しくなります。
そのため、直近の決算書を確認し、欠損額、流動比率、資本金、自己資本について、それぞれ基準を満たしているかを確認しました。
その結果、財産的基礎については十分に要件を満たしていることが確認できました。
ただし、確認を進める中で、過去に増資をしていたにもかかわらず、建設業許可上の資本金変更の届出が提出されていないことが判明しました。
そこで今回の申請では、特定建設業への般・特新規申請だけではなく、未提出となっていた変更届もあわせて整理することになりました。
一般建設業許可をすでに取得している会社様でも、特定建設業へ切り替える場合には、現在の許可内容だけでなく、財産的基礎や技術者資格、過去の変更届まで含めて確認することが重要です。
第2章 一般建設業から特定建設業へ切り替えるための要件を確認
今回の会社様は、すでに一般建設業許可を取得していました。
そのため、まったくの新規申請ではなく、現在の一般建設業許可を特定建設業許可へ切り替えるための「般・特新規申請」として手続きを進めることになりました。
一般建設業と特定建設業では、許可を受けた後にできることが異なります。
特に、元請として工事を請け負い、その工事について一定額以上を下請業者へ発注する場合には、特定建設業許可が必要になります。
今回の会社様では、今後の受注規模の拡大を見据え、一般建設業許可のままでは対応しにくい案件にも対応できるよう、特定建設業許可への切り替えを検討されていました。
ただし、一般建設業許可を持っているからといって、そのまま特定建設業許可へ移行できるわけではありません。
特定建設業許可では、特定営業所技術者の要件や財産的基礎など、一般建設業許可よりも厳しい基準を満たす必要があります。
そこで今回の申請では、
・現在の常勤役員等を引き続き配置できるか
・特定営業所技術者の要件を満たしているか
・財産的基礎の4つの要件を満たしているか
・現在の許可内容と会社情報に相違がないか
・未提出となっている変更届がないか
を確認しました。
常勤役員等については、現在の一般建設業許可で社長が要件を満たしていたため、引き続き社長を配置することができました。
また、特定営業所技術者については、社長が一級建築施工管理技士の資格を保有していたため、資格面から要件を確認することができました。
一方で、特定建設業許可で特に重要となるのが財産的基礎です。
一般建設業許可では一定の財産的基礎があれば足りますが、特定建設業許可では、欠損額、流動比率、資本金、自己資本について、それぞれ基準を満たす必要があります。
今回の会社様では、直近の決算内容を確認した結果、これらの基準をいずれも満たしていました。
そのため、技術者要件と財産的基礎の両面から、特定建設業許可への切り替えが可能であることを確認することができました。
第3章 一級建築施工管理技士で特定営業所技術者の要件を確認
今回の会社様では、特定建設業許可へ切り替えるにあたり、特定営業所技術者の要件を誰が満たすのかを確認しました。
一般建設業許可の場合と比べて、特定建設業許可では営業所技術者等に求められる要件が厳しくなります。
今回、代表取締役である社長は、一級建築施工管理技士の資格を保有していました。
そのため、建築工事業や内装仕上工事業などについて、社長自身を特定営業所技術者として配置する方向で整理することができました。
特定建設業許可では、業種によって一級の国家資格などが必要となるケースがあります。
今回の会社様では、社長が一級建築施工管理技士を保有していたため、技術者要件については比較的スムーズに確認することができました。
また、社長はすでに常勤役員等として一般建設業許可の要件を満たしていました。
そのため今回の申請では、
代表取締役である社長
=常勤役員等
=特定営業所技術者
という体制で申請を進めました。
一般建設業から特定建設業へ切り替える場合、現在の営業所技術者等がそのまま特定営業所技術者として認められるとは限りません。
そのため、特定建設業許可を検討する際には、まず現在の技術者がどの資格を保有しているのか、そしてその資格が申請する業種の特定営業所技術者として認められるのかを確認することが重要です。
今回の会社様については、一級建築施工管理技士の資格を活用することで、特定建設業許可に必要な技術者要件を満たすことができました。
第4章 特定建設業の財産的基礎4要件を確認
一般建設業から特定建設業へ切り替える場合、特に重要となるのが財産的基礎の要件です。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい財務要件が設けられており、次の4つをすべて満たす必要があります。
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金が2,000万円以上であること
・自己資本が4,000万円以上であること
今回の会社様について、直近の決算書を確認したところ、これらの要件はいずれも十分に満たしていました。
そのため、特定建設業許可への切り替えにあたり、財産的基礎そのものについて大きな問題はありませんでした。
ただし、確認を進める中で一つ注意すべき点が見つかりました。
会社ではすでに増資を行っており、資本金は特定建設業許可の基準を上回っていましたが、その増資について建設業許可上の変更届が提出されていなかったのです。
特定建設業許可の申請では、現在の会社情報と建設業許可上の届出内容が一致していることも重要です。
そのため、今回の申請では、直近の決算内容から財産的基礎4要件を確認するとともに、増資後の資本金についても建設業許可上の情報を最新の状態に整える必要がありました。
一般建設業から特定建設業へ切り替える場合は、単に自己資本や資本金の金額だけを見るのではなく、過去の増資や会社情報の変更が適切に届け出られているかまで確認することが重要です。
今回の会社様についても、財産的基礎の要件を満たしていることを確認したうえで、未提出となっていた資本金変更の届出を整理し、般・特新規申請へ進めることになりました。
第5章 増資の変更届を整理して般・特新規申請へ
今回の会社様では、特定建設業許可に必要な財産的基礎そのものは問題なく満たしていました。
ただし、申請準備の過程で、過去に増資をしていたにもかかわらず、その内容について建設業許可上の変更届が提出されていないことが判明しました。
建設業許可では、資本金に変更があった場合、その内容を適切に届け出る必要があります。
今回の会社様では、実際の会社登記上の資本金と、建設業許可上で把握されている内容に差がある状態となっていました。
そのため、特定建設業への般・特新規申請だけを進めるのではなく、まず増資後の資本金について変更届を整理し、現在の会社情報と建設業許可上の届出内容を一致させる必要がありました。
今回の申請では、
・直近決算で特定建設業の財産的基礎4要件を満たしていること
・増資後の資本金が2,000万円以上であること
・会社登記上の資本金と建設業許可上の届出内容に相違があること
・未提出となっていた資本金変更の届出を整理すること
を確認したうえで、般・特新規申請と必要な変更届をあわせて進めました。
すでに一般建設業許可を持っている会社様の場合、「今まで問題なく許可を維持できているから、特定建設業への切り替えもそのまま進められる」と考えてしまうことがあります。
しかし、特定建設業への切り替えをきっかけに過去の変更届の未提出が判明するケースもあります。
特に、増資、役員変更、営業所移転など、会社側ではすでに手続が済んでいても、建設業許可上の変更届が別途必要になることがあります。
今回の会社様についても、増資そのものは完了していましたが、建設業許可上の変更届だけが未提出となっていました。
そこで、未提出となっていた変更届を整理し、現在の会社情報を最新の状態に整えたうえで、特定建設業への般・特新規申請を進めることができました。
第6章 特定建設業許可を取得
特定営業所技術者、財産的基礎、常勤役員等、営業所、社会保険の加入状況など、特定建設業許可に必要となる要件を一つずつ確認し、申請書類を整えました。
今回の会社様では、代表取締役である社長が一級建築施工管理技士の資格を保有していたため、建築工事業や内装仕上工事業などについて、特定営業所技術者の要件を満たすことができました。
また、直近の決算内容についても、
・欠損の額
・流動比率
・資本金
・自己資本
の4つの財産的基礎要件をすべて満たしていることを確認しました。
一方で、過去に行った増資について、建設業許可上の資本金変更の届出が未提出となっていました。
そのため、未提出となっていた変更届を整理し、現在の会社情報を最新の状態に整えたうえで、一般建設業から特定建設業への般・特新規申請を行いました。
申請は無事に受理され、その後、建築工事業や内装仕上工事業などについて特定建設業許可を取得することができました。
今回の事例では、
・すでに一般建設業許可を保有している
・社長が一級建築施工管理技士を保有している
・特定建設業の財産的基礎4要件を満たしている
・増資の変更届が未提出となっている
という状況を一つずつ整理し、特定建設業への切り替えを進めました。
一般建設業許可を持っている会社様でも、特定建設業へ切り替える場合には、技術者要件や財産的基礎だけでなく、過去の変更届が適切に提出されているかまで確認することが重要です。
今回の会社様についても、未提出となっていた変更届を含めて許可内容を整理することで、特定建設業許可の取得につなげることができました。









