東京都世田谷区で新たに設立された会社様から、最初から特定建設業許可を取得したいとのご相談をいただきました。
今回の会社様は、親会社が一般建設業許可を取得しており、親会社で取締役を務めていた方が、新設法人の代表取締役に就任していました。
また、技術者についても、親会社から転籍した一級建築士の有資格者が在籍しており、建築工事業や内装仕上工事業などについて特定建設業許可を取得する体制が整っていました。
一方で、今回の申請で特に重要だったのが財産的基礎です。
新設法人で特定建設業許可を申請する場合、資本金4,000万円以上で設立する形が分かりやすいところですが、今回の会社様は、
・資本金2,000万円
・資本準備金2,000万円
という資本構成で設立されていました。
この場合でも、資本金と資本準備金を合わせた自己資本は4,000万円となります。
そこで、設立時の資本構成を確認できる資料として、通常の申請書類に加えて発起人決定書を提出し、特定建設業許可に必要な財産的基礎を整理しました。
さらに、代表取締役については親会社での取締役経験を使って常勤役員等の要件を確認し、一級建築士の有資格者を特定営業所技術者として配置しました。
社会保険への加入状況や営業所の実態についても確認し、東京都へ特定建設業許可の新規申請を行いました。
この記事では、新設法人が資本金2,000万円・資本準備金2,000万円という資本構成で、発起人決定書を追加提出し、建築工事業・内装仕上工事業などの特定建設業許可を取得した事例をご紹介します。
第1章 ご相談の内容
今回ご相談いただいたのは、東京都世田谷区で新たに設立された会社様です。
親会社はすでに一般建設業許可を取得しており、その親会社で取締役を務めていた方が、新設法人の代表取締役に就任していました。
会社設立後、建築工事業や内装仕上工事業などについて、最初から特定建設業許可を取得したいとのご相談でした。
新設法人の場合、過去の許可実績がありません。
そのため、代表取締役の経営経験、営業所技術者等の資格、社会保険の加入状況、営業所の実態、財産的基礎などを一つずつ確認する必要があります。
今回の会社様では、代表取締役が親会社で取締役を務めていたため、その役員経験を使って常勤役員等の要件を確認しました。
また、親会社から転籍した一級建築士の有資格者が在籍していたため、建築工事業や内装仕上工事業などの特定営業所技術者として配置できるかを確認しました。
さらに、今回の申請で特に重要だったのが財産的基礎です。
会社は、
・資本金2,000万円
・資本準備金2,000万円
という資本構成で設立されていました。
新設法人で特定建設業許可を申請する場合、資本金4,000万円以上で設立する形が分かりやすい一方、今回の会社様は資本金と資本準備金を合わせて自己資本4,000万円を構成していました。
そこで、設立時の資本構成を確認するため、通常の申請書類に加えて発起人決定書を準備し、財産的基礎を整理することになりました。
このように、新設法人で特定建設業許可を取得する場合には、会社を設立した時点の資本構成まで含めて申請内容を確認することが重要です。
第2章 親会社での取締役経験を使って常勤役員等の要件を確認
新設法人で建設業許可を取得する場合でも、常勤役員等の要件を満たす必要があります。
今回の会社様では、新設法人の代表取締役が、親会社で長年にわたり取締役を務めていました。
親会社は一般建設業許可を取得していたため、その会社での役員経験を使って、常勤役員等の要件を確認することになりました。
確認のために用意した主な資料は、
・親会社の履歴事項全部証明書
・親会社の建設業許可申請書副本
・親会社の建設業許可通知書
などです。
これらの資料から、代表取締役が親会社で取締役として在任していた期間と、親会社がその期間に建設業許可を取得していたことを確認しました。
その結果、代表取締役については、親会社での役員経験を使って常勤役員等の要件を満たすことができました。
新設法人の場合、会社そのものには建設業の経営実績がありません。
そのため、代表者や役員が前職会社や親会社でどのような立場にあり、どの程度の期間、建設業の経営に関与していたのかを資料で確認することが重要になります。
今回の会社様では、親会社が建設業許可業者であり、その親会社での取締役経験を明確に確認できたため、新設法人であっても常勤役員等の要件を整理することができました。
また、代表取締役は新設法人に常勤していたため、経営経験だけでなく、現在の常勤性についてもあわせて確認しました。
新設法人で建設業許可を取得する場合には、設立後の会社だけを見るのではなく、代表者がそれ以前にどの会社で、どのような役員経験を積んできたのかまで確認することが重要です。
第3章 一級建築士を特定営業所技術者として配置
特定建設業許可を取得するためには、申請する業種について特定営業所技術者の要件を満たす必要があります。
今回の会社様では、親会社から転籍した一級建築士の有資格者が在籍していました。
そのため、この一級建築士を特定営業所技術者として配置し、建築工事業や内装仕上工事業などについて資格要件を整理することになりました。
確認した主な内容は、
・一級建築士の資格を保有していること
・申請会社に常勤していること
・申請する建設業種について資格要件を満たしていること
です。
今回のケースでは、資格証明書を確認することで、技術者としての資格要件を確認することができました。
また、親会社から新設法人へ転籍していたため、現在の勤務先が申請会社であることについても確認しました。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも営業所技術者等に求められる要件が厳しくなります。
そのため、新設法人で最初から特定建設業許可を取得する場合には、会社設立後に技術者を探すのではなく、申請する業種に対応できる資格者をあらかじめ確保しておくことが重要です。
今回の会社様では、親会社から一級建築士の有資格者が転籍していたため、特定営業所技術者の要件をスムーズに整理することができました。
代表取締役については親会社での取締役経験を使って常勤役員等の要件を満たし、技術者については一級建築士を配置することで、新設法人として特定建設業許可を申請するための人的要件を整えることができました。
第4章 資本金2,000万円+資本準備金2,000万円で財産的基礎を整理
今回の申請で、最も重要なポイントとなったのが特定建設業許可の財産的基礎です。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい財産的基礎の要件が設けられています。
新設法人の場合、まだ最初の決算を迎えていないため、設立時の資本構成をもとに要件を確認することになります。
今回の会社様は、
・資本金2,000万円
・資本準備金2,000万円
という内容で設立されていました。
新設法人で最初から特定建設業許可を申請する場合、資本金4,000万円以上で設立する形が分かりやすい方法です。
しかし、今回の会社様は資本金そのものは2,000万円でしたが、資本準備金として2,000万円を計上していました。
そのため、資本金と資本準備金を合わせることで、自己資本4,000万円を構成している状態でした。
ここで重要だったのが、この設立時の資本構成をどのような資料で確認するかという点です。
通常の申請書類だけでは、資本金2,000万円と資本準備金2,000万円という設立時の内容を十分に確認できませんでした。
そこで今回の申請では、追加添付書類として発起人決定書を提出しました。
発起人決定書によって、
・資本金を2,000万円とすること
・資本準備金を2,000万円とすること
を確認できるようにし、新設法人として特定建設業許可に必要な財産的基礎を整理しました。
新設法人で特定建設業許可を取得する場合、単純に資本金の金額だけを確認すればよいわけではありません。
会社設立時にどのような資本構成としているのか、その内容をどの書類で証明できるのかまで含めて準備する必要があります。
今回の会社様では、資本金2,000万円、資本準備金2,000万円という資本構成とし、さらに発起人決定書を追加提出することで、特定建設業許可の財産的基礎を確認することができました。
第5章 社会保険と営業所の要件も設立時から整備
新設法人で建設業許可を取得する場合には、常勤役員等や営業所技術者等の要件だけでなく、社会保険への加入状況や営業所の実態についても確認する必要があります。
今回の会社様では、設立後すでに数名の従業員を雇用しており、健康保険・厚生年金保険などの社会保険についても加入手続が行われていました。
そのため、社会保険の加入状況については特に問題ありませんでした。
また、営業所については、登記上の本店所在地と実際に建設業を営む営業所が同じ場所にありました。
営業所内には、
・事務机
・複合機などの事務設備
・電話等の通信設備
・打ち合わせを行うためのスペース
などが設けられており、実際に建設業の営業を行うための体制が整っていました。
新設法人の場合、会社を設立しただけでは建設業許可上の営業所として認められるとは限りません。
登記上の本店所在地が存在していても、そこで実際に営業活動を行うことができる状態になっているかを確認する必要があります。
今回の会社様では、本店所在地に実際の事務所を構え、必要な設備も整っていたため、営業所の要件についても問題なく整理することができました。
これにより、
・代表取締役の常勤役員等の要件
・一級建築士による特定営業所技術者の要件
・資本金2,000万円+資本準備金2,000万円による財産的基礎
・社会保険への加入
・営業所の実態
と、新設法人で特定建設業許可を申請するために必要となる主要な要件がそろいました。
新設法人で最初から特定建設業許可を取得する場合は、会社設立と許可申請を別々に考えるのではなく、資本構成、人員配置、社会保険、営業所まで含めて設立段階から整えておくことが重要です。
第6章 東京都へ特定建設業許可を申請し無事に取得
常勤役員等、特定営業所技術者、財産的基礎、社会保険、営業所の要件を一つずつ確認し、東京都へ特定建設業許可の新規申請を行いました。
今回の会社様では、
・代表取締役について、親会社での取締役経験を使って常勤役員等の要件を確認
・親会社から転籍した一級建築士を特定営業所技術者として配置
・資本金2,000万円+資本準備金2,000万円で自己資本4,000万円を構成
・追加添付書類として発起人決定書を提出
・社会保険への加入状況を確認
・営業所の実態を確認
という形で、申請に必要な要件を整理しました。
特に今回のポイントは、新設法人でありながら、資本金4,000万円ではなく、資本金2,000万円と資本準備金2,000万円という資本構成で特定建設業許可の財産的基礎を整理したことです。
申請時には、設立時の資本構成を確認できるよう発起人決定書を追加提出し、財産的基礎を明確にしました。
必要書類を整えたうえで東京都へ申請を行い、申請は無事に受理されました。
その後、建築工事業や内装仕上工事業などについて、特定建設業許可を取得することができました。
今回の事例は、
「新設法人でも最初から特定建設業許可を取得できるのか」
「資本金が4,000万円未満でも特定建設業許可の財産的基礎を満たせるのか」
という点で、非常に参考になるケースです。
新設法人で特定建設業許可を取得する場合は、会社設立後に要件を合わせるのではなく、設立時点から役員構成、技術者、資本構成、社会保険、営業所まで含めて設計しておくことが重要です。
今回の会社様では、それぞれの要件を設立段階から整理することで、新設法人として特定建設業許可を取得することができました。









