東京都世田谷区で塗装工事を営む会社様から、一般建設業許可(塗装工事業)の新規取得についてご相談をいただきました。
こちらの会社様は、個人事業主として長年塗装工事を行った後に法人化された会社様です。
これまでは500万円未満の工事を中心に請け負っていましたが、元請会社から「建設業許可を取得すれば、もっと大きな工事を発注できる」と言われたことをきっかけに、許可取得を検討されました。
代表取締役は2級塗装技能士(建築塗装)を保有しており、営業所技術者等については、この資格と必要な実務経験を確認して要件を整理しました。
一方、常勤役員等については、個人事業主時代と法人設立後の経験を通算して確認することになりました。
ただし、個人事業主時代の確定申告書を確認すると、一部の年度に給与収入の記載があり、その期間をそのまま経営経験として使用できるか慎重に確認する必要がありました。
そこで、確定申告書の内容を年度ごとに確認し、あわせて塗装工事の請求書や入金資料を整理して、常勤役員等として必要な経験期間を積み上げていきました。
また、直前決算の純資産額は500万円未満でしたが、500万円以上の預金残高証明書を準備して財産的基礎を確認しました。
営業所については、登記上の本店である社長様の自宅とは別に、会社所有のマンションを営業所として使用しており、建物登記簿や営業所内部の状況を確認して申請を進めました。
個人事業主時代の経験、資格、財産的基礎、営業所などの要件を一つずつ整理したうえで東京都へ新規申請を行い、一般建設業許可(塗装工事業)を取得した事例です。
第1章 個人事業から法人化後に塗装工事業の許可取得を検討
今回の会社様は、東京都世田谷区で塗装工事を専門に行っている会社様です。
代表取締役は、法人化する前から個人事業主として長年にわたり塗装工事に携わっていました。
法人設立後も引き続き塗装工事を請け負っていましたが、これまでは500万円未満の工事が中心であったため、建設業許可を取得せずに営業していました。
その後、取引先である元請会社から、「建設業許可を取得すれば、より大きな工事を発注できる」と言われたことをきっかけに、一般建設業許可(塗装工事業)の取得を検討されることになりました。
建設業許可を取得するには、単に塗装工事の経験が長いというだけでは足りません。
常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所、社会保険など、それぞれの要件を確認する必要があります。
今回の会社様では、代表取締役が2級塗装技能士(建築塗装)を保有していたため、営業所技術者等については資格と実務経験の内容を確認しました。塗装工事業の営業所技術者等の資格・実務経験要件も解説しています。
一方、常勤役員等については、個人事業主時代と法人設立後の経験を使って要件を満たせるかどうかを確認する必要がありました。
特に個人事業主時代の確定申告書には、一部の年度で給与収入の記載があったため、すべての期間をそのまま経営経験として使用するのではなく、年度ごとに内容を確認していくことになりました。
そこで、確定申告書、塗装工事の請求書、入金資料などを確認しながら、建設業許可の取得に必要な経験期間を一つずつ整理していきました。
第2章 個人事業主時代の確定申告書を年度ごとに確認
今回の申請で一つのポイントになったのが、代表取締役の常勤役員等としての経験をどのように証明するかという点です。
社長様は、法人化する前から個人事業主として長年にわたり塗装工事を営んでおり、法人設立後の期間も含めると十分なキャリアがありました。
ただし、個人事業主として事業を行っていた期間であれば、すべてそのまま建設業の経営経験として使えるわけではありません。
今回、個人事業主時代の確定申告書を確認したところ、一部の年度に給与収入の記載がありました。
そのため、その年度については他社等で勤務していた可能性も含めて慎重に確認し、経営経験として使用する期間から外して整理しました。
一方、給与収入の記載がない年度については、塗装工事の請求書や入金資料も確認し、個人事業主として実際に建設業を営んでいたことを確認していきました。
こうして、個人事業主時代の資料を年度ごとに確認し、使用できる期間を積み上げた結果、法人設立後の取締役としての経験と合わせて、常勤役員等に必要な5年以上の建設業の経営経験を証明することができました。
個人事業主として長く建設業を営んでいた場合でも、確定申告書の内容によっては、すべての年度をそのまま経験期間として使えないケースがあります。
今回のように、確定申告書、工事請求書、入金資料などを照らし合わせながら、使用できる期間を丁寧に整理することが重要です。経営経験については常勤役員等の経営経験要件も参考になります。
第3章 2級塗装技能士と実務経験で営業所技術者等の要件を確認
今回の会社様では、代表取締役ご本人を塗装工事業の営業所技術者等として配置することになりました。
社長様は、技能検定の2級塗装技能士(建築塗装)を保有していました。
塗装工事業では、この資格を営業所技術者等の要件に使用できる場合がありますが、資格を持っているだけで直ちに要件を満たすとは限りません。
取得した資格の内容や合格時期を確認し、必要に応じて実務経験もあわせて確認する必要があります。
今回のケースでは、社長様が個人事業主時代から長年にわたり塗装工事に携わっていたため、資格取得後の実務経験についても十分な期間を確認することができました。
実務経験については、個人事業主時代と法人設立後の塗装工事に関する請求書や入金資料などを確認し、実際に塗装工事を行っていたことを整理しました。
その結果、2級塗装技能士(建築塗装)の資格と実務経験をもとに、社長様を塗装工事業の営業所技術者等として配置することができました。
今回のように、技能検定の資格を使って営業所技術者等の要件を満たす場合は、資格証だけを見るのではなく、取得時期や実務経験の有無まで含めて確認しておくことが重要です。
資格と実務経験の両方を整理したことで、一般建設業許可(塗装工事業)の申請を進めることができました。
第4章 純資産500万円未満のため預金残高証明書で財産的基礎を確認
一般建設業許可を取得するためには、人的要件だけでなく、財産的基礎の要件も満たす必要があります。
今回の会社様では、直前の決算書を確認したところ、貸借対照表の純資産額が500万円を下回っていました。
一般建設業許可では、自己資本が500万円以上あれば財産的基礎の要件を満たすことができますが、500万円未満であっても、500万円以上の資金調達能力を確認できれば申請することができます。
そこで今回は、金融機関から500万円以上の預金残高証明書を取得していただきました。
これにより、直前決算の純資産額は500万円未満でしたが、一般建設業許可に必要な財産的基礎を確認することができました。
建設業許可の相談では、「決算書の純資産が500万円未満だから許可は取れない」と考えている会社様も少なくありません。
しかし、一般建設業許可については、預金残高証明書などによって500万円以上の資金調達能力を確認する方法もあります。
今回の会社様も、常勤役員等と営業所技術者等の要件だけでなく、財産的基礎まで一つずつ確認したうえで、塗装工事業の新規申請に向けた準備を進めました。
第5章 自宅とは別の会社所有マンションを営業所として申請
今回の会社様では、登記上の本店所在地は社長様のご自宅でしたが、建設業の営業所は本店とは別のマンションに設けていました。
営業所として使用していたマンションは会社名義で所有していたため、建物の登記簿を確認し、会社がその場所を使用できる権限を有していることを明らかにしました。
建設業許可上の営業所は、単に住所を届け出ればよいわけではありません。
実際に建設業の営業活動を行う場所として使用されており、事務所としての実態があることを確認する必要があります。
今回の営業所については、実際に現地を確認し、
・事務机
・商談スペース
・電話設備
・複合機などの事務機器
・営業所として使用している室内の状況
を確認しました。
あわせて、申請に必要な営業所の写真も撮影し、建設業の営業所として使用していることが分かるよう資料を整えました。
本店所在地と建設業許可上の営業所が異なる場合でも、実際にその場所で建設業の営業を行っており、使用権原や事務所としての実態を確認できれば申請することができます。
今回の会社様では、会社所有のマンションについて建物登記簿と営業所の状況を確認することで、営業所要件についても問題なく整理することができました。
こうして、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所の各要件を確認し、東京都へ一般建設業許可(塗装工事業)の新規申請を行うための準備が整いました。
第6章 塗装工事業の建設業許可を取得し受注体制を整備
今回の会社様は、元請会社から「建設業許可を取得すれば、より大きな工事を発注できる」と言われたことをきっかけに、一般建設業許可(塗装工事業)の取得を検討されました。
代表取締役には、個人事業主時代から法人設立後まで長年にわたる塗装工事の経験がありました。
一方で、個人事業主時代の確定申告書には一部の年度で給与収入の記載があったため、常勤役員等の経験については、使用できる年度を一つずつ確認して整理しました。
営業所技術者等については、社長様が保有する2級塗装技能士(建築塗装)の資格と実務経験を確認しました。
また、直前決算の純資産額は500万円未満でしたが、500万円以上の預金残高証明書を準備することで財産的基礎の要件を確認しました。
営業所についても、登記上の本店とは別に所有していたマンションについて、建物登記簿や営業所内部の状況を確認して申請資料を整えました。
こうして、
・個人事業主時代と法人設立後の経営経験
・2級塗装技能士と実務経験
・預金残高証明書による財産的基礎
・会社所有マンションの営業所要件
をそれぞれ確認したうえで、東京都へ一般建設業許可(塗装工事業)の新規申請を行いました。
申請は問題なく受理され、その後、塗装工事業の建設業許可を取得することができました。
今回のように、個人事業から法人化した会社では、過去の確定申告書や請求書、入金資料、資格証などを丁寧に確認することで、建設業許可の要件を満たせるケースがあります。
建設業許可を取得したことで、これまで請け負っていた軽微な工事だけでなく、元請会社からより大きな工事を受注できる体制を整えることができました。









