東京都江東区の建設会社様から、一般建設業許可(とび・土工工事業)を取得したいとのご相談をいただきました。
こちらの会社様は、現場に搬入された鉄骨を組み立てる工事を専門としていました。
鉄骨を扱う工事というと、鋼構造物工事業の許可をイメージされる方も多いですが、建設業許可では実際の施工内容によって業種を判断します。
鉄骨の製作や加工から組立てまでを一貫して請け負う場合は鋼構造物工事に該当しますが、すでに加工された鉄骨を現場で組み立てる工事は、とび・土工・コンクリート工事に該当します。
今回の会社様も、実際の仕事内容を確認した結果、申請業種は一般建設業許可のとび・土工工事業と整理しました。
代表取締役は、個人事業主時代と会社設立後を通算して10年以上の実務経験を有していたため、その経験を使って営業所技術者等の要件を証明しました。
また、常勤役員等については、会社設立後の取締役としての経験を確認し、営業所については登記上の本店とは別に、一軒家の一室を会社名義で賃借して使用していました。
工事内容の業種判定、10年以上の実務経験、営業所の状況、財産的基礎などを一つずつ確認したうえで東京都へ新規申請を行い、一般建設業許可(とび・土工工事業)を取得することができました。
第1章 鉄骨組立て工事はとび・土工工事業に該当
今回のお客様は、東京都江東区で鉄骨組立て工事を専門に行っている建設会社様です。
会社設立から6年が経過し、今後さらに大きな工事を受注していくため、建設業許可の取得をご検討されていました。
まず確認したのが、どの業種の建設業許可を取得するべきかという点です。
鉄骨を扱う工事というと、鋼構造物工事業をイメージされることがあります。
しかし、建設業許可では「鉄骨を扱っている」というだけで業種を判断するのではなく、実際にどのような施工を請け負っているかを確認する必要があります。
国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して請け負う工事は鋼構造物工事に該当し、すでに加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う工事は、とび・土工・コンクリート工事に該当すると整理されています。
今回の会社様の仕事は、工場などで製作・加工された鉄骨が現場へ搬入された後、その鉄骨を現場で組み立てる工事が中心でした。
そのため、実際の施工内容を確認した結果、申請業種は鋼構造物工事業ではなく、とび・土工工事業と判断しました。
建設業許可の業種選択を誤ると、許可を取得しても実際に請け負っている工事に対応できない可能性があります。
特に鉄骨関係の工事は、とび・土工工事業と鋼構造物工事業の区分を確認することが重要です。
今回の申請では、鉄骨組立て工事の内容を確認したうえで、一般建設業許可(とび・土工工事業)の取得に向けて要件確認を進めました。
第2章 10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を証明
今回の会社様では、代表取締役ご本人をとび・土工工事業の営業所技術者等として配置することになりました。
社長様は二級建築施工管理技士(躯体)の資格を保有していましたが、今回の申請では、個人事業主時代から法人設立後までの経験を通算し、10年以上の実務経験によって営業所技術者等の要件を証明する方針としました。
実務経験を証明する場合は、単に建設業に10年以上携わっていたというだけでは足りません。
許可を受けようとする、とび・土工工事業に該当する工事を実際に施工していたことを、客観的な資料によって確認する必要があります。
今回の会社様では、個人事業主として活動していた期間について、確定申告書を確認しました。
あわせて、鉄骨組立て工事を請け負っていたことが分かる請求書と、その工事代金が入金されていることを確認できる通帳を整理しました。
法人設立後の期間についても同様に、会社の請求書と入金履歴を確認し、とび・土工工事業に該当する鉄骨組立て工事の実績を積み上げていきました。
個人事業主時代と法人設立後の経験を合わせることで、10年以上の実務経験を確認することができました。
鉄骨関係の工事では、請求書に単に「鉄骨工事」「鍛冶工事」などと記載されているだけでは、実際の施工内容が分かりにくいことがあります。
そのため、どのような工事を請け負っていたのかを確認し、加工済みの鉄骨を現場で組み立てる工事であることを整理したうえで、とび・土工工事業の実務経験として証明していきました。
今回のケースでは、社長様の個人事業主時代から現在までの工事資料が残っていたため、10年以上の実務経験を証明し、一般建設業許可(とび・土工工事業)の営業所技術者等として配置することができました。
第3章 取締役として5年以上の経験を常勤役員等の要件に使用
建設業許可を取得するためには、営業所技術者等とは別に、建設業の経営業務を適切に管理する常勤役員等を置く必要があります。
今回の会社様では、代表取締役ご本人を常勤役員等として申請することになりました。
会社設立から6年が経過しており、社長様は設立当初から取締役として会社経営に携わっていました。
そのため、取締役として5年以上の経験を有していることを確認したうえで、その期間に会社が実際に建設業を営んでいたことを証明していきました。
常勤役員等の要件では、単に法人の登記簿上で5年以上取締役になっていればよいというわけではありません。
その期間について、建設業に関する経営経験を有していたことを確認する必要があります。
今回の会社様では、会社設立後の鉄骨組立て工事に関する請求書と入金履歴を確認し、社長様が取締役として在任していた期間に継続して建設業を営んでいたことを整理しました。
営業所技術者等については、個人事業主時代と法人設立後の経験を合わせて10年以上の実務経験を証明しましたが、常勤役員等については法人設立後の取締役としての経験によって要件を確認しています。
このように、一人の代表者が常勤役員等と営業所技術者等の両方を兼ねる場合でも、それぞれの要件について必要な経験期間や証明資料を分けて確認することが重要です。
今回のケースでは、社長様が取締役として5年以上建設業の経営に携わっていたことを確認できたため、常勤役員等の要件についても問題なく申請を進めることができました。
第4章 登記上の本店とは別に一軒家の一室を営業所として申請
今回の会社様では、登記上の本店とは別の場所を建設業許可上の営業所として使用していました。
営業所として使用していたのは、一軒家の一室です。
この建物は会社名義で賃借しており、営業所の使用権原を確認するため、賃貸借契約書の写しを用意しました。
建設業許可上の営業所は、単に会社の所在地として登記されていればよいわけではありません。
請負契約の見積りや契約締結など、建設業に関する営業活動を実際に行うことができる事務所としての実態が必要です。
今回の営業所は、玄関から廊下を通って営業所として使用している部屋へ入ることができ、居住スペースとは明確に区分されていました。
室内には事務机や複合機などの事務設備があり、打ち合わせを行うためのスペースも確保されていました。
また、建物内のどの部分を営業所として使用しているのか確認できるよう、建物平面図も準備しました。
自宅や住宅の一部を建設業の営業所として使用する場合でも、営業所部分と居住部分が適切に区分され、建設業の営業を行うための実態が確認できれば、営業所として認められる場合があります。
一方で、ワンルームのように居住スペースとの区分が難しい物件や、賃貸借契約上、事業利用が認められていない物件では、営業所として使用できないことがあります。
今回の会社様では、会社名義の賃貸借契約、建物平面図、営業所内部の状況などを確認し、登記上の本店とは別の場所を主たる営業所として一般建設業許可(とび・土工工事業)の申請を進めました。
第5章 純資産500万円以上で財産的基礎を確認
一般建設業許可を取得するためには、財産的基礎の要件も満たす必要があります。
今回の会社様は、すでに設立から6年が経過しており、直前の決算書を確認することができました。
そこで、会社の決算書をもとに建設業許可申請用の財務諸表を作成し、貸借対照表の純資産額を確認しました。
一般建設業許可では、自己資本が500万円以上ある場合、財産的基礎の要件を満たすことができます。
今回の会社様は、直前決算の純資産額が500万円を上回っていたため、預金残高証明書を用意することなく財産的基礎を確認することができました。
一方、直前決算の自己資本が500万円未満の場合でも、500万円以上の資金調達能力を確認できれば、一般建設業許可を取得できる場合があります。
その場合には、金融機関が発行した500万円以上の預金残高証明書を用意して申請する方法があります。
今回の申請では、
・鉄骨組立て工事がとび・土工工事業に該当すること
・社長様の10年以上の実務経験
・取締役として5年以上の経営経験
・登記上の本店とは別に設けた営業所
・純資産500万円以上の財産的基礎
をそれぞれ確認し、一般建設業許可(とび・土工工事業)の申請に必要な要件を整えていきました。
建設業許可の新規申請では、技術者や経営経験だけでなく、会社の直前決算の内容も早い段階で確認しておくことが重要です。
第6章 鉄骨組立て工事の内容を整理して建設業許可を取得
今回の会社様は、東京都江東区で鉄骨組立て工事を専門に行っていました。
鉄骨を扱う工事であるため、一見すると鋼構造物工事業の許可が必要にも見えますが、実際の施工内容を確認すると、工場などで加工された鉄骨を現場で組み立てる工事が中心でした。
そのため、今回取得する建設業許可は鋼構造物工事業ではなく、一般建設業許可のとび・土工工事業として整理しました。
営業所技術者等については、社長様の個人事業主時代と法人設立後の経験を合わせて10年以上の実務経験を証明しました。
常勤役員等については、法人設立後の取締役として5年以上にわたり建設業の経営に携わっていた経験を確認しています。
また、登記上の本店とは別に設けていた営業所についても、会社名義の賃貸借契約書や建物平面図などを用意し、営業所としての実態を確認しました。
財産的基礎については、直前決算の純資産額が500万円以上あったため、この要件についても問題ありませんでした。
こうして、
・実際の施工内容に基づく許可業種の判定
・10年以上の実務経験による営業所技術者等の証明
・取締役としての経営経験
・営業所の使用権原と実態
・財産的基礎
を一つずつ確認したうえで、東京都へ一般建設業許可(とび・土工工事業)の新規申請を行いました。
申請は無事に受理され、その後、とび・土工工事業の建設業許可を取得することができました。
建設業許可では、会社が普段使っている「鉄骨工事」「鍛冶工事」といった名称だけで申請業種を決めることはできません。
実際にどの工程を請け負っているのかを確認し、建設業法上どの業種に該当するのかを整理することが重要です。
今回の事例は、加工済みの鉄骨を現場で組み立てる工事について、とび・土工工事業として一般建設業許可を取得したケースとなりました。









