増村行政書士事務所は、東京都の建設業許可に特化して15年。新規許可だけでなく、更新、決算変更届、変更届、経営事項審査まで継続してサポートしています。
東京都で屋根工事業を営む会社様から、次のようなご相談をいただくことがあります。
・500万円以上の屋根工事を請け負う予定がある
・元請会社から建設業許可の取得を求められた
・板金工事業との違いがよく分からない
・営業所技術者等になれる資格を知りたい
・建設業許可を取得するための要件を確認したい
結論から申し上げます。
東京都で500万円(税込)以上の屋根工事を請け負う場合は、原則として屋根工事業の建設業許可が必要です。
また、屋根工事業は板金工事業や防水工事業と工事内容が似ているため、どの業種で許可を取得すべきか迷われるケースも少なくありません。
この記事では、東京都の建設業許可実務に基づき、屋根工事業の建設業許可が必要となる工事、取得要件、営業所技術者等になれる資格、実務経験、申請時の注意点まで分かりやすく解説します。
第1章 屋根工事業とは
建設業許可における屋根工事業とは、瓦、スレート、金属薄板などを使用して建築物の屋根をふく工事をいいます。
屋根は建物を雨風や紫外線から守る重要な部分であり、新築工事だけでなく、老朽化した屋根の葺き替え工事やカバー工法による改修工事なども屋根工事業に含まれます。
建設業許可事務ガイドラインでは、次のような工事が屋根工事業の代表例として挙げられています。
- 瓦屋根工事
- スレート屋根工事
- 金属屋根工事
- 屋根葺き替え工事
- 屋根カバー工法
- 屋根一体型の太陽光パネル設置工事
一方で、屋根工事業と混同されやすい工事もあります。
例えば、金属製の外壁材を施工する工事は板金工事業、屋上などの防水工事は防水工事業に該当することがあります。また、一般的な太陽光発電設備の設置工事は電気工事業に該当します。
屋根工事業は他の専門工事との業種区分を正しく理解することが重要です。業種を誤って申請すると補正の対象となる場合もあります。
次章では、屋根工事業と板金工事業、防水工事業との違いについて詳しく解説します。
第2章 屋根工事業と他業種との違い
屋根工事業は、板金工事業や防水工事業などと工事内容が似ているため、どの業種に該当するのか判断に迷うケースが少なくありません。
東京都へ建設業許可を申請する際も、工事内容によって取得すべき業種が異なります。
主な違いは次のとおりです。
・屋根工事業
瓦、スレート、金属薄板などを使用して屋根をふく工事です。屋根の葺き替え工事や屋根カバー工法、屋根一体型の太陽光パネル設置工事などが該当します。
・板金工事業
金属薄板を加工して工作物に取り付ける工事です。金属製の外壁工事や雨どい工事などが代表例です。金属屋根であっても、屋根をふく工事であれば屋根工事業に該当します。
・防水工事業
アスファルト防水、シート防水、塗膜防水などにより建築物を防水する工事です。屋上やベランダの防水工事は、防水工事業に該当することが一般的です。
・電気工事業
一般的な太陽光発電設備の設置工事は電気工事業に該当します。一方で、屋根材と一体となった太陽光パネルを施工する場合は、屋根工事業として取り扱われます。
実際の工事では複数の工事が組み合わさることも多く、どの業種で建設業許可を取得すべきか判断が難しいケースがあります。
業種選択を誤ると補正や追加資料の提出を求められることもあるため、不安な場合は申請前に確認しておくことをおすすめします。
第3章 500万円以上の屋根工事は建設業許可が必要
建設業法では、軽微な建設工事を除き、建設業許可を受けなければ建設工事を請け負うことができません。
屋根工事業の場合、1件の請負代金が500万円(税込)以上となる工事は、原則として建設業許可が必要です。
例えば、次のような工事は建設業許可が必要となる可能性があります。
・工場や倉庫の屋根葺き替え工事
・アパートやマンションの屋根改修工事
・金属屋根への全面改修工事
・屋根カバー工法による大規模改修工事
一方で、請負代金が500万円(税込)未満の工事であれば、建設業許可がなくても請け負うことができます。
ただし、500万円未満であっても、元請会社から建設業許可の取得を求められるケースや、公共工事への参加を予定しているケースでは、建設業許可を取得するメリットがあります。
また、請負代金を意図的に分割して500万円未満に見せかけることは認められていません。実質的に一つの工事である場合は、工事全体の請負金額で判断されます。
屋根工事業を継続的に受注し、事業を拡大していくのであれば、早めに建設業許可を取得しておくことをおすすめします。
第4章 屋根工事業の建設業許可を取得するための要件
東京都で屋根工事業の建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた要件を満たす必要があります。
主な要件は、次のとおりです。
・常勤役員等の要件
・営業所技術者等の要件
・財産的基礎の要件
・営業所の要件
・社会保険の加入
・欠格要件に該当しないこと
屋根工事の施工経験や屋根工事に関する資格があるだけでは、建設業許可の要件をすべて満たすわけではありません。
常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所の実態などを、それぞれ確認する必要があります。
(1)常勤役員等の要件
法人で申請する場合には、取締役などの常勤役員の中に、建設業の経営業務について一定の経験を持つ人が必要です。
個人事業主の場合には、事業主本人などが対象になります。
一般的には、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験がある場合に検討します。
ここでいう経験は、屋根工事業に限られません。
建築工事業、板金工事業、防水工事業、内装仕上工事業など、他の建設業での経営経験でも、要件を満たす可能性があります。
ただし、単に現場作業をしていた経験や、会社に勤務していた経験だけでは足りません。
取締役、個人事業主、支店長、営業所長など、建設業の経営業務に関わっていたことを確認できる資料が必要です。
東京都で申請する場合には、登記事項証明書、確定申告書、決算書、請求書、契約書などにより、経営経験の内容を確認します。
(2)営業所技術者等の要件
屋根工事業では、営業所ごとに、屋根工事業に対応する営業所技術者等を置く必要があります。
営業所技術者等は、以前は専任技術者と呼ばれていた要件です。
屋根工事業の場合には、建築施工管理技士や建築士、かわらぶき技能士などの資格を持つ人のほか、一定の実務経験を有する人が営業所技術者等になることができます。
ただし、資格や実務経験があるだけでは足りません。
その人が申請会社の営業所に常勤していることが必要です。
外注先、協力会社、非常勤の技術者は、原則として自社の営業所技術者等にはなれません。
屋根工事業の営業所技術者等については、第6章で詳しく解説します。
(3)財産的基礎の要件
一般建設業許可を取得する場合には、財産的基礎の要件を満たす必要があります。
主に、自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金調達能力があることを確認します。
直近の決算書で純資産が500万円以上ある場合には、財産的基礎を満たす可能性があります。
純資産が500万円未満の場合には、500万円以上の残高証明書などにより確認することがあります。
屋根工事では、材料費や足場費用、外注費などを先に支払うケースもあります。
そのため、許可取得時だけでなく、許可取得後の資金繰りも考慮しておくことが大切です。
(4)営業所の要件
建設業許可を取得するためには、建設業の営業所としての実態がある事務所が必要です。
営業所とは、請負契約の締結に関する実体的な行為を行う場所をいいます。
単なる登記上の本店、郵便物を受け取るだけの場所、倉庫や資材置場だけでは、原則として営業所とは認められません。
東京都で申請する場合には、営業所の外観、入口、郵便受け、看板、内部、机、電話、事務機器などの写真を提出します。
自宅兼事務所の場合には、居住部分と事務所部分が区別されているかも確認されます。
賃貸物件の場合には、建設業の営業所として使用できる契約内容になっているかも確認が必要です。
(5)社会保険の加入
建設業許可では、適切な社会保険に加入していることも確認されます。
法人の場合には、原則として健康保険、厚生年金保険への加入が必要です。
従業員を雇用している場合には、雇用保険の加入も確認します。
屋根工事業では、職人や施工管理技術者などを雇用している会社も多いため、会社の実態に応じて必要な社会保険へ加入していることが重要です。
(6)欠格要件に該当しないこと
建設業許可を受けるためには、申請者や役員等が欠格要件に該当しないことも必要です。
過去に一定の処分を受けている場合、一定の刑罰を受けている場合、暴力団員等に該当する場合などは、許可を受けられないことがあります。
法人の場合には、会社だけでなく、役員等についても確認されます。
屋根工事業の建設業許可を取得するには、資格や実務経験だけでなく、会社全体として建設業許可の要件を満たしているかを確認することが大切です。
第5章 常勤役員等の要件
屋根工事業の建設業許可を取得するためには、建設業の経営業務について一定の経験を有する常勤役員等が必要です。
法人で申請する場合は、代表取締役や取締役などの常勤役員が対象となります。
個人事業主の場合は、事業主本人などが対象です。
一般的には、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験がある場合に要件を満たす可能性があります。
また、令和2年10月の建設業法改正により、5年以上の経営経験がない場合でも、一定の経営経験と、それを補佐する体制を備えることで要件を満たせる制度も設けられています。
ここでいう建設業の経営経験は、屋根工事業に限られません。
例えば、建築工事業、板金工事業、防水工事業、内装仕上工事業、電気工事業など、他の建設業での経営経験でも要件を満たす可能性があります。
一方で、現場作業だけを行っていた職人や、会社員として勤務していただけでは、原則として常勤役員等の要件を満たしません。
東京都では、登記事項証明書、確定申告書、決算書、請求書、契約書などをもとに、実際に建設業の経営業務に携わっていたかを確認します。
個人事業主から法人化して建設業許可を取得するケースでは、個人事業時代の経営経験を利用できる場合もあります。
常勤役員等の要件は、多くの申請で確認が必要となる重要なポイントです。不安がある場合は、申請前に要件を整理しておくことをおすすめします。
【東京都対応】常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件を徹底解説
第6章 屋根工事業の営業所技術者等の要件
屋根工事業の建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者等を配置する必要があります。
営業所技術者等とは、以前は「専任技術者」と呼ばれていた要件です。
営業所技術者等は、建設工事の技術面を管理する重要な役割を担います。
屋根工事業では、次のいずれかに該当する人が営業所技術者等となることができます。
・屋根工事業に対応した国家資格を有している人
・指定学科を卒業し、一定期間の実務経験を有している人
・屋根工事業について10年以上の実務経験を有している人
代表的な資格には、次のようなものがあります。
・一級建築施工管理技士
・二級建築施工管理技士(仕上げ)
・一級建築士
・二級建築士
・かわらぶき技能士
・建築板金技能士(一定の区分)
また、令和5年7月の建設業法改正により、一定の実務経験を組み合わせることで営業所技術者等となることができる資格区分も設けられています。
営業所技術者等は、資格や実務経験があるだけでは足りません。
申請会社の営業所に常勤し、原則として営業所ごとの専任性が求められます。
外注先や協力会社の職人、非常勤の技術者は、原則として営業所技術者等になることはできません。
また、10年以上の実務経験で要件を満たす場合には、請求書や契約書などの工事実績を確認できる資料に加え、入金を確認できる通帳などの資料が必要になることがあります。
東京都では、資格証や卒業証明書、実務経験証明書類、常勤性を確認する資料などについて詳細な審査が行われます。
営業所技術者等の要件は、屋根工事業の建設業許可で最も重要なポイントの一つです。資格区分や実務経験の判断に迷う場合は、申請前に確認しておくことをおすすめします。
【東京都対応】営業所技術者等の要件を徹底解説|一般建設業許可・特定建設業許可の違い
第7章 東京都でよくある補正と注意点
屋根工事業の建設業許可申請では、申請書類に不備があると補正を求められることがあります。
東京都で特に多い注意点をご紹介します。
(1)工事内容と業種区分が一致していない
屋根工事業は、板金工事業や防水工事業と混同されることが多い業種です。
例えば、金属屋根を施工する工事は屋根工事業ですが、金属製の外壁工事は板金工事業となります。
また、屋上の防水工事は防水工事業に該当することが一般的です。
提出する工事実績や請求書の内容と取得する業種が一致しているかを確認することが重要です。
(2)営業所技術者等の資格区分を誤っている
資格を保有していても、屋根工事業の営業所技術者等として認められる資格でなければ要件を満たしません。
また、技能検定の一部資格では、合格後に一定期間の実務経験が必要となる場合があります。
資格証だけで判断せず、対象業種や実務経験の要否まで確認することが大切です。
(3)実務経験を証明する資料が不足している
10年以上の実務経験で営業所技術者等の要件を満たす場合には、請求書や契約書だけでなく、通帳など入金を確認できる資料も必要になります。
工事内容が屋根工事であることが分かる資料を継続して準備することが重要です。
(4)営業所の使用権限が確認できない
営業所が賃貸物件の場合には、建設業の営業所として使用できる契約内容になっているかを確認します。
自宅兼営業所の場合には、居住スペースと事務所スペースが明確に区分されていることも重要です。
(5)社会保険や常勤性の確認資料が不足している
営業所技術者等や常勤役員等については、資格や経営経験だけでなく、申請会社に常勤していることも確認されます。
社会保険関係の資料や勤務実態を確認できる資料が不足していると、補正となる場合があります。
屋根工事業は、板金工事業や防水工事業との区分で迷われるケースが多い業種です。
申請前に工事内容や証明資料を整理しておくことで、補正を防ぎ、スムーズに手続きを進めることができます。
第8章 屋根工事業の建設業許可取得後に必要な手続き
屋根工事業の建設業許可を取得した後も、許可を維持するためには継続して各種手続きが必要です。
建設業許可は取得して終わりではありません。
必要な届出を怠ると、更新時に過去の届出をまとめて提出しなければならない場合や、許可の維持に支障が生じることがあります。
主な手続きは次のとおりです。
(1)決算変更届
建設業許可業者は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
5年間提出しなければ、建設業許可の更新を受けることができません。
建設業許可の決算変更届(決算報告書)とは?提出期限・必要書類・出さないリスクを解説
(2)変更届
役員、営業所、商号、資本金、営業所技術者等などに変更があった場合には、内容に応じて変更届を提出する必要があります。
提出期限は変更事項によって異なります。
(3)建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は5年間です。
東京都では、有効期間満了日の2か月前から30日前までが更新申請の受付期間となります。
更新時には、過去5年分の決算変更届が提出済みであることが前提となります。
(4)経営事項審査(経審)
公共工事への入札参加を予定している場合には、建設業許可だけでは足りません。
経営事項審査を受けたうえで、入札参加資格申請を行う必要があります。
屋根工事業でも、公共施設や学校、庁舎などの屋根改修工事へ参加する場合には、経営事項審査が必要となります。
建設業許可を取得した後は、各種届出や更新手続きを適切に行うことで、許可を維持しながら継続して事業を行うことができます。
第9章 屋根工事業で公共工事を受注するには経営事項審査(経審)が必要
屋根工事業で国や東京都、市区町村などの公共工事を受注するためには、建設業許可を取得しているだけでは足りません。
公共工事の入札に参加するためには、経営事項審査(経審)を受けたうえで、入札参加資格申請を行う必要があります。
経営事項審査とは、会社の経営状況や経営規模、技術力、社会性などを総合的に評価する制度です。
審査結果は「P点」として数値化され、発注機関はこの点数を参考に入札参加資格や格付けを行います。
屋根工事業では、学校や公共施設、都営住宅などの屋根改修工事や公共建築物の屋根工事などで経営事項審査が必要となるケースがあります。
経営事項審査では、完成工事高だけでなく、技術者数や自己資本、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況なども評価対象となります。
公共工事への参入を検討している場合は、建設業許可を取得した後、経営事項審査や入札参加資格申請まで見据えて準備を進めることが重要です。
当事務所では、屋根工事業の建設業許可だけでなく、決算変更届、経営事項審査、東京都の入札参加資格申請まで継続してサポートしております。
経営事項審査(経審)とは?P点の仕組みと評価項目をわかりやすく解説
まとめ
屋根工事業の建設業許可は、500万円(税込)以上の屋根工事を請け負う場合に必要となる重要な許可です。
東京都で建設業許可を取得するためには、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所、社会保険などの要件を満たし、適切な証明書類を準備しなければなりません。
また、屋根工事業は板金工事業や防水工事業と工事内容が似ているため、取得すべき業種を誤らないことも重要です。
申請前に業種区分や資格区分、実務経験を整理しておくことで、補正を防ぎ、スムーズに許可取得を進めることができます。
当事務所は、東京都の建設業許可に特化して15年。屋根工事業の新規許可だけでなく、決算変更届、変更届、更新、経営事項審査まで継続してサポートしております。
東京都で屋根工事業の建設業許可をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。









