東京都中野区にある電気工事会社様から、一般建設業許可の更新についてご相談をいただきました。
お電話では、
「更新期限が近づいているのですが、何から手を付ければよいのか分かりません」
というお話でした。
詳しく状況を確認したところ、毎年の決算変更届についてはきちんと提出されていました。
一方で、許可期間中に生じていた役員の変更と営業所技術者等の変更については、まだ建設業許可上の届出がされていないことが分かりました。
また、電気工事業を営む会社であるため、建設業許可とは別に、みなし電気工事業者に関する変更手続も確認する必要がありました。
建設業許可の更新申請では、単に更新申請書を提出すればよいわけではありません。
前回の許可以降に役員、営業所技術者等、営業所などの変更が生じている場合には、必要な変更届を整理したうえで更新申請を進める必要があります。
今回の会社様についても、まず未提出となっていた役員変更と営業所技術者等の変更を整理し、その後、一般建設業許可の更新申請を行いました。
さらに、新しい建設業許可通知書が届いた後に、みなし電気工事業者についても必要な変更手続を進めることになりました。
この事例では、更新期限が近づいてから過去の変更漏れが判明しましたが、必要な手続きを一つずつ整理することで、建設業許可の更新まで進めることができました。
第1章 建設業許可の更新期限が近づいてからご相談
今回ご相談いただいたのは、東京都中野区にある電気工事会社様です。
一般建設業許可の更新期限が近づいており、
「更新申請をしなければいけないのは分かっているけれど、何から手を付ければよいのか分からない」
ということで、お電話をいただきました。
まず確認したのは、前回の許可以降に必要な手続がきちんと行われているかどうかです。
建設業許可の更新では、現在の許可要件を満たしていることに加えて、許可期間中に生じた変更について必要な届出が済んでいるかを確認しておく必要があります。
今回の会社様では、毎年の決算変更届についてはきちんと提出されていました。
その一方で、詳しくお話を伺っていくと、
・取締役の変更があった
・営業所技術者等が交代していた
・それぞれについて建設業許可上の変更届を提出していなかった
ということが分かりました。
役員変更については、会社の変更登記そのものはすでに完了していました。
しかし、会社法上の変更登記と建設業許可上の変更届は別の手続です。
登記を変更しただけでは建設業許可の情報が自動的に変更されるわけではないため、建設業許可についても別途変更届を提出する必要があります。
また、営業所技術者等についても、前任者から新しい方へ交代していましたが、こちらも変更届が未提出となっていました。
どちらの変更もすでに発生から一定期間が経過していましたので、まずは過去の変更内容と時期を確認し、必要な書類を整理するところから対応を開始しました。
建設業許可の更新時期が近づいてから、
「そういえば役員が変わっていた」
「営業所技術者等も交代していた」
と気付くケースは珍しくありません。
更新申請をスムーズに進めるためにも、前回の許可以降に会社の状況が変わっていないかを一度整理して確認することが重要です。
第2章 役員と営業所技術者等の変更届が未提出
建設業許可の更新に向けて内容を確認したところ、今回の会社様では役員と営業所技術者等の変更届が未提出となっていました。
どちらも変更があってから1年以上が経過していました。
建設業許可では、会社の内容に変更があった場合、その内容に応じて変更届を提出する必要があります。
今回のように取締役が交代した場合、会社の変更登記を済ませただけでは建設業許可上の手続は完了しません。
履歴事項全部証明書には新しい役員が反映されていても、建設業許可については別途、役員等の変更届を提出する必要があります。
そこで、新たに就任した役員について必要な確認資料をそろえ、役員変更の届出を準備しました。
また、営業所技術者等についても前任者から新任者へ交代していました。
営業所技術者等は、許可を受けている営業所ごとに配置が必要となる重要な技術者です。
そのため、単に社内で担当者を変更するだけでは足りず、建設業許可上も正式に変更届を提出しなければなりません。
今回の会社様では、新しく営業所技術者等となる方の資格や常勤性を確認するとともに、前任者がいつまで在籍していたのかについても整理しました。
建設業許可の更新時には、こうした過去の変更事項がそのままになっていないかを確認することが重要です。
特に、
・役員が就任または退任している
・営業所技術者等が交代している
・常勤役員等が変更になっている
・営業所の所在地や名称が変わっている
といった変更がある場合には、更新申請の前に必要な届出を整理しておく必要があります。
今回については、未提出となっていた役員変更と営業所技術者等の変更について必要な書類をそろえ、更新申請とあわせて手続を進めることになりました。
第3章 第一種電気工事士を営業所技術者等として変更
今回の会社様では、前任の営業所技術者等が退任した後、新たに就任した取締役の方が第一種電気工事士の資格を保有していました。
電気工事業の一般建設業許可では、第一種電気工事士は営業所技術者等の資格要件として認められています。
そのため、この方を新しい営業所技術者等として届け出ることになりました。
営業所技術者等の変更では、資格を持っていることだけでなく、その方が申請会社に常勤していることも確認する必要があります。
今回についても、新任者の資格証明書に加えて、常勤性を確認できる資料をそろえました。
また、東京都では営業所技術者等の交代について、前任者が退任する時点まで適切に常勤していたことを確認される場合があります。
そのため、新任者の資料だけを見るのではなく、
・前任者がいつまで在籍していたのか
・新任者がいつから常勤しているのか
・営業所技術者等が不在となる期間が生じていないか
といった点まで整理しておくことが重要です。
今回の会社様では、営業所技術者等の変更からすでに1年以上が経過していましたが、過去の在籍状況や資格関係の資料を確認し、変更内容を整理したうえで届出を行いました。
建設業許可では、資格者が社内にいるだけでは足りません。
営業所技術者等が交代した場合には、その都度、建設業許可上の変更届が必要です。
特に電気工事会社では、第一種電気工事士などの有資格者が複数在籍していることもありますが、誰を営業所技術者等として届け出ているのかは明確に管理しておく必要があります。
今回については、新任の取締役が第一種電気工事士の資格を保有していたため、その方を新しい営業所技術者等として整理し、更新申請に向けた準備を進めることができました。
第4章 建設業許可の更新後にみなし電気工事業者の変更手続
今回の会社様では、建設業許可とは別に、みなし電気工事業者としての手続についても確認が必要でした。
電気工事業を営む会社の場合、建設業許可を取得しているだけで、電気工事業法上の手続がすべて完了するわけではありません。
建設業許可を受けて電気工事業を営む場合には、みなし電気工事業者としての届出が必要となり、届出内容に変更が生じた場合には、建設業許可とは別に変更手続を行う必要があります。
今回の会社様では、建設業許可の更新については認識していたものの、みなし電気工事業者についても変更手続が必要になることまでは把握されていませんでした。
そこで、まずは建設業許可側の未提出となっていた変更届を整理し、一般建設業許可の更新申請を進めました。
みなし電気工事業者の変更については、建設業許可の更新申請と同時に行うのではなく、更新後の新しい建設業許可通知書が届いてから手続を行います。
そのため、今回の流れは、
・役員変更届の整理
・営業所技術者等の変更届の整理
・一般建設業許可の更新申請
・新しい建設業許可通知書の受領
・みなし電気工事業者の変更手続
という順番になりました。
電気工事会社では、建設業許可と電気工事業法上の手続が並行して存在するため、どちらか一方だけを管理していると変更漏れが生じることがあります。
特に、役員、営業所、商号などに変更があった場合には、建設業許可だけでなく、みなし電気工事業者の届出内容についても変更が必要か確認しておくことが重要です。
今回についても、建設業許可の更新だけで終わらせず、その後のみなし電気工事業者の変更まで含めて整理することで、会社の許認可情報を適切な状態に整えることができました。
第5章 更新申請では500万円以上の自己資本がなくても更新できる
一般建設業許可の更新申請では、財産的基礎についても確認する必要があります。
一般建設業の財産的基礎は、次のいずれかに該当することが求められています。
・自己資本の額が500万円以上あること
・500万円以上の資金調達能力があること
・直前5年間、東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があること
東京都の手引でも、この3つのいずれかに該当すれば一般建設業の財産的基礎を満たすものとされています。
そのため、更新申請の場合には、直前5年間に東京都知事許可を受けて継続して営業していれば、直近の決算書上の自己資本が500万円を下回っていても、それだけを理由に更新できないわけではありません。
今回の会社様も、現在有効な東京都知事許可を持ち、その許可を受けて継続して営業していました。
したがって、新規申請のときのように、500万円以上の預金残高証明書をあらためて用意する必要はありませんでした。
建設業許可の新規申請と更新申請では、この財産的基礎の確認方法が異なることがあります。
そのため、
「最近の決算で純資産が500万円を下回っているので、更新できないのではないか」
と心配される会社様もありますが、一般建設業許可については、直前5年間の許可を受けた継続営業実績によって要件を満たせる場合があります。
今回についても、財産的基礎に問題がないことを確認したうえで、未提出となっていた変更届とあわせて一般建設業許可の更新申請を進めました。
第6章 未提出の変更届を整理して建設業許可を更新
今回の会社様では、建設業許可の更新期限が近づいている中で、役員と営業所技術者等の変更届が未提出となっていました。
そこで、まず過去の変更内容を確認し、必要な書類をそろえたうえで変更届を整理しました。
営業所技術者等については、新任の取締役が第一種電気工事士の資格を保有していたため、その方を新しい営業所技術者等として届け出ました。
また、毎年の決算変更届についてはきちんと提出されており、財産的基礎についても直前5年間に東京都知事許可を受けて継続して営業していたため、更新申請を進めるうえで問題はありませんでした。
こうして必要な変更届を整理したうえで、一般建設業許可の更新申請を行い、無事に受理されました。
今回のように、更新時期が近づいてから過去の変更漏れが分かるケースは珍しくありません。
建設業許可の更新では、更新申請書だけを準備するのではなく、前回の許可以降に役員、常勤役員等、営業所技術者等、営業所などに変更がなかったかを確認することが重要です。
変更があったにもかかわらず届出をしていない場合には、その内容を整理したうえで更新手続を進める必要があります。
また、電気工事会社の場合には、建設業許可の更新後、新しい許可通知書が届いてから、みなし電気工事業者についても必要な変更手続を行います。
今回の会社様についても、建設業許可だけを見るのではなく、関連する許認可まで含めて一つずつ整理することで、今後も安心して電気工事業を継続できる状態に整えることができました。









