東京都で塗装工事業を営んでいる事業者様の中には、
「500万円以上の工事を受注する予定がある」
「建設業許可が必要と言われた」
「防水工事との違いがよく分からない」
「実務経験で許可を取得できるのか知りたい」
といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
塗装工事業は、外壁塗装や屋根塗装、鉄骨塗装など比較的身近な工事である一方、建設業許可の取得要件や業種区分については誤解されやすい業種でもあります。
特に東京都では、実務経験の証明方法や防水工事との区分、営業所要件などについて細かな確認が行われるため、事前準備が重要です。
また、許可取得後も決算変更届や更新申請、役員変更などの手続きが継続して発生するため、単に許可を取得するだけではなく、その後の維持管理についても理解しておく必要があります。
この記事では、東京都で塗装工事業の建設業許可を取得するための要件、営業所技術者等になれる資格、10年実務経験の証明方法、防水工事との違い、許可取得後に必要となる手続きまで、実務上のポイントを交えながら詳しく解説します。
東京都で塗装工事業の建設業許可取得を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
第1章 塗装工事業とは?(東京都の審査基準)
建設業法上の塗装工事は、
- 外壁塗装
- 屋根塗装
- 鉄骨塗装・防錆塗装
- 吹付塗装
- 塗膜形成を目的とした仕上工事
が対象です。
ポイントは、塗料塗布が主目的であること。
足場設置や下地補修が含まれていても、主たる目的が塗装であれば塗装工事業として認められます。
東京都ではこの判断が非常に厳格です。
曖昧な記載で申請すると補正の対象となります。
第2章 防水工事との違い(東京都で特に重要)
塗装工事と防水工事の違いを整理します。
工事種別 主目的 対象工事例
塗装工事 美観維持・保護 外壁塗装、屋根塗装、鉄骨塗装、吹付塗装
防水工事 雨水の侵入防止 ウレタン防水、シート防水、FRP防水、シーリング防水
東京都では、工事内容より主目的で業種判断を行います。
よくあるグレーケース
ウレタン塗膜防水 → 防水工事業
外壁塗装+シーリング補修 → 主目的が塗装なら塗装工事業
屋上トップコート塗替え → 防水層保護が主なら防水工事
この判断を誤ると、実務経験証明で否認される可能性があります。
第3章 建設業許可が必要になるケース
塗装工事業を営んでいる事業者様の中には、「どのような場合に建設業許可が必要になるのか分からない」という方も少なくありません。
建設業法では、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業許可を取得しなければなりません。
塗装工事業の場合、請負金額が税込500万円以上となる工事を受注する際には建設業許可が必要です。
500万円基準の考え方
許可の要否を判断する際は、単純に工事代金だけを見るわけではありません。
次のような費用を含めた請負契約金額で判断します。
* 材料費
* 足場費用
* 諸経費
* 養生費
* 廃材処分費
* 消費税
例えば、
* 塗装工事本体 450万円
* 足場工事 70万円
* 消費税 52万円
の場合、請負金額は500万円を超えるため建設業許可が必要になります。
また、契約を複数に分けたとしても、実質的に一体の工事と判断されれば合算して審査されます。
外壁塗装工事
戸建住宅やアパート、マンションの外壁塗装工事は、塗装工事業の代表的な工事です。
比較的小規模な工事であれば許可不要で対応できますが、
* マンション大規模修繕
* 商業ビル改修
* 公共施設改修
などでは500万円を超えるケースが多く、建設業許可が必要になります。
屋根塗装工事
屋根塗装工事も塗装工事業に該当します。
特に近年は外壁塗装と屋根塗装をセットで受注するケースが多く、契約金額が高額になりやすいため注意が必要です。
外壁工事と屋根工事を別契約にしていても、実質的に同一工事と判断される場合があります。
鉄骨塗装・防錆塗装工事
工場や倉庫、橋梁などの鉄骨部分に対する塗装工事も塗装工事業に含まれます。
特に鉄骨塗装は工事規模が大きくなる傾向があり、許可が必要となるケースが少なくありません。
元請業者から建設業許可の有無を確認されることも多いため、事前の取得を検討する価値があります。
吹付塗装工事
吹付塗装による仕上工事も塗装工事業に該当します。
住宅だけでなく商業施設や工場などでも施工されるため、継続的に受注している場合は建設業許可の必要性が高まります。
元請工事・下請工事は関係ない
「下請専門だから許可は不要」と考えている方もいますが、これは誤解です。
建設業許可の要否は元請か下請かではなく、請負金額で判断されます。
下請工事であっても、1件の請負金額が税込500万円以上となる場合は建設業許可が必要です。
今後500万円を超える予定がある場合は早めの準備を
建設業許可は申請してすぐ取得できるものではありません。
実務経験証明書類の収集や営業所資料の準備などに時間がかかるため、
* 元請から許可取得を求められている
* マンション改修案件を受注予定
* 公共工事への参加を検討している
* 今後工事規模を拡大したい
という場合は、500万円を超える案件が決まってからではなく、早めに準備を進めることをおすすめします。
第4章 東京都で塗装工事業の建設業許可を取得するための要件
東京都で塗装工事業の建設業許可を取得するためには、単に塗装工事の経験があるだけでは足りません。
建設業法で定められた要件を満たしていることを客観的な資料によって証明する必要があります。
主な要件は次の5つです。
・常勤役員等がいること
・営業所技術者等がいること
・財産的基礎があること
・営業所要件を満たしていること
・社会保険に適切に加入していること
それぞれ確認していきます。
4-1 常勤役員等を配置する
常勤役員等とは、建設業の経営面を管理する責任者です。
以前は「経営業務の管理責任者(経管)」と呼ばれていました。
法人であれば代表取締役や取締役、個人事業であれば事業主本人が該当するケースが一般的です。
主な要件としては、
・建設業の役員経験が5年以上ある
・一定の補佐体制を整えたうえで所定の経験年数を満たしている
などが求められます。
東京都では経験年数だけではなく、役員就任期間や会社の事業内容も確認されます。
【東京都対応】常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件を徹底解説
4-2 営業所技術者等を配置する
営業所技術者等とは、塗装工事に関する技術的な管理を行う責任者です。
営業所ごとに常勤で配置しなければなりません。
塗装工事業の場合、
・国家資格を保有している
・指定学科卒業後の実務経験がある
・10年以上の実務経験がある
といった方法で要件を満たします。
営業所技術者等の要件については、次章で詳しく解説します。
【東京都対応】営業所技術者等の要件を徹底解説|一般建設業許可・特定建設業許可の違い
4-3 財産的基礎を満たす
一般建設業許可の場合、次のいずれかを満たしている必要があります。
・自己資本500万円以上
・500万円以上の資金調達能力がある
・許可を受けて継続して営業した実績がある
新規申請では、金融機関が発行する残高証明書によって証明するケースが多く見られます。
個人事業主や設立間もない法人でも、残高証明書によって要件を満たせる場合があります。
建設業許可の財産的要件とは?500万円の資金調達能力と純資産要件を行政書士が解説
4-4 営業所要件を満たす
東京都では営業所の実態確認が行われます。
単に住所が存在するだけでは足りません。
次のような点が確認されます。
・建設業の営業活動を行う独立した事務所であること
・事務机や書庫などが設置されていること
・郵便物の受領が可能であること
・電話設備があること
・営業所として継続利用できること
申請時には営業所の写真や賃貸借契約書などの提出が必要になります。
なお、バーチャルオフィスや単なる住所貸しは原則として認められません。
自宅兼営業所の場合も、生活スペースとの区分状況などを確認されます。
建設業許可における営業所とは?要件・判断基準を行政書士が解説(東京都基準)
4-5 社会保険への加入
現在の建設業許可制度では、社会保険への適切な加入が求められています。
法人の場合は、
・健康保険
・厚生年金保険
への加入が原則です。
また、従業員を雇用している場合には雇用保険への加入状況も確認されます。
社会保険の加入漏れがある場合は、申請前に手続きを行う必要があります。
建設業許可と社会保険の加入要件|未加入だと新規・更新はできる?東京都対応で解説
4-6 要件確認は申請前に行うことが重要
塗装工事業の許可申請では、営業所技術者等の資格や実務経験に注目が集まりがちですが、実際には営業所要件や社会保険、財産要件などが原因で準備が長引くケースも少なくありません。
特に東京都では提出資料が多いため、申請を検討し始めた段階で全体の要件を確認しておくことが重要です。
第5章 塗装工事業の営業所技術者等になれる主な資格
塗装工事業の建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者等を配置しなければなりません。
営業所技術者等とは、塗装工事に関する専門的な知識や技術を有し、営業所において技術面を管理する責任者です。
営業所技術者等になる方法としては、
・国家資格を利用する方法
・指定学科卒業後の実務経験を利用する方法
・10年以上の実務経験を利用する方法
があります。
ここでは、塗装工事業で利用される主な資格や実務経験について解説します。
5-1 1級建築施工管理技士
1級建築施工管理技士は、塗装工事業の営業所技術者等となることができる代表的な国家資格です。
建築工事全般の施工管理能力を証明する資格であり、塗装工事業の建設業許可においても活用できます。
また、将来的に特定建設業許可を取得する場合や、公共工事への参入を検討する場合にも有利となる資格です。
5-2 2級建築施工管理技士(仕上げ)
2級建築施工管理技士のうち「仕上げ」の資格を保有している場合も、塗装工事業の営業所技術者等となることができます。
実際の塗装会社では、この資格を利用して建設業許可を取得するケースが多く見られます。
資格取得後に営業所技術者等として登録する場合には、常勤性の確認資料なども必要になります。
5-3 技能検定(塗装)
職業能力開発促進法に基づく技能検定の塗装職種も、一定の条件を満たすことで営業所技術者等の要件に利用できます。
ただし、等級によっては資格取得後に実務経験が必要となる場合があります。
資格証だけで判断できるものではないため、申請前に要件を確認することが重要です。
5-4 指定学科卒業後の実務経験
国家資格を保有していない場合でも、指定学科を卒業し、その後一定期間の実務経験を積むことで営業所技術者等となることができます。
例えば、
・建築学
・土木工学
・都市工学
などの指定学科が対象となります。
卒業した学校区分によって必要となる実務経験年数が異なります。
申請時には卒業証明書や成績証明書などを提出します。
5-5 10年以上の実務経験
一般建設業許可における塗装工事業では、資格がない場合でも10年以上の実務経験を証明することで営業所技術者等になることができます。
実際に東京都で申請を行う場合、この方法を利用するケースも少なくありません。
ただし、「10年以上塗装業界で働いていた」というだけでは足りず、塗装工事に従事していたことを客観的資料で証明する必要があります。
工事内容が確認できる請求書や注文書、契約書などをもとに実務経験を立証していきます。
5-6 実務経験証明は事前準備が重要
東京都では営業所技術者等の実務経験について詳細な確認が行われます。
特に塗装工事業の場合は、防水工事との区分が問題となることがあります。
そのため、
・どの工事を実務経験として使用するのか
・必要資料が揃っているか
・工事内容が塗装工事として確認できるか
を事前に整理しておくことが重要です。
次章では、東京都で塗装工事業許可を取得する際に特に重要となる10年実務経験の証明方法について詳しく解説します。
第6章 10年実務経験を証明する際のポイント
塗装工事業の建設業許可では、資格を保有していない場合でも10年以上の実務経験を証明することで営業所技術者等の要件を満たすことができます。
実際に東京都で申請を行う際も、この方法で許可を取得するケースは少なくありません。
しかし、「10年以上塗装工事に従事していた」という説明だけでは認められません。
東京都では、実務経験の内容や期間について客観的な資料による立証が求められます。
6-1 実務経験として認められる工事
実務経験として認められるのは、塗装工事業に該当する工事です。
例えば、
・外壁塗装工事
・屋根塗装工事
・鉄骨塗装工事
・吹付塗装工事
・防錆塗装工事
などが該当します。
一方で、防水工事や内装仕上工事などが混在している場合は、塗装工事部分を明確に区分して説明できることが重要です。
6-2 証明資料として使用される書類
実務経験を証明するためには、工事の実在性と従事期間を確認できる資料が必要になります。
代表的な資料としては、
・請求書
・注文書+請書
・契約書
・入金確認できる通帳
などがあります。
東京都では工事内容が確認できることが重要となるため、単に金額だけが記載された資料では補足説明を求められる場合があります。
6-3 実務経験期間の考え方
実務経験は原則として連続した10年間が必要となります。
ただし、複数の会社で経験を積んでいる場合でも、必要資料を揃えることができれば通算できるケースがあります。
過去に勤務していた会社の協力が必要になることもあるため、転職歴がある場合は早めに資料収集を進めることが重要です。
6-4 東京都で多い補正事例
実務経験証明では、次のような理由で補正となるケースがあります。
・工事内容が確認できない
・塗装工事か防水工事か判別できない
・経験期間に空白がある
・証明資料と実務経験証明書の内容が一致しない
・請求書や契約書の保存状況が不十分
特に塗装工事業では、防水工事との区分について説明を求められることがあります。
6-5 実務経験証明は事前確認が重要
10年実務経験による申請では、要件を満たしていても証明資料が不足しているために申請準備が進まないケースがあります。
そのため、
・どの工事を使用するのか
・何年分の資料が残っているのか
・防水工事との区分が明確か
を事前に確認しておくことが重要です。
実務経験証明は塗装工事業許可の中でも特に重要なポイントです。資料収集には時間がかかることも多いため、許可取得を検討している場合は早めに準備を始めることをおすすめします。
第7章 東京都で多い補正事例
塗装工事業の建設業許可申請では、必要書類を提出しただけで必ず受理されるわけではありません。
東京都では提出書類の内容確認が行われ、不明点や不足資料がある場合には補正を求められます。
特に実務経験による申請では、工事内容や経験年数の確認が慎重に行われるため注意が必要です。
ここでは、東京都で実際によく見られる補正事例を紹介します。
7-1 工事内容が確認できない
最も多い補正事例の一つが、提出資料から工事内容が確認できないケースです。
例えば、
・改修工事一式
・建築工事一式
・メンテナンス工事
といった記載だけでは、塗装工事業としての実務経験であることが分かりません。
請求書や契約書に工事内容が具体的に記載されていない場合には、追加資料の提出を求められることがあります。
7-2 防水工事との区分が不明確
塗装工事業では、防水工事との区分が問題となることがあります。
例えば、
・ウレタン塗膜防水
・シーリング工事
・屋上防水工事
などは、防水工事業として扱われる場合があります。
実務経験証明に使用する工事について、塗装工事として説明できるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
7-3 実務経験期間に空白がある
10年実務経験で申請する場合、経験期間の連続性も確認されます。
提出資料によっては、
・数年間の資料が不足している
・勤務先変更時の資料がない
・経験年数の計算が合わない
といった問題が発生することがあります。
実務経験証明書を作成する前に、期間の整理を行うことが大切です。
7-4 営業所資料の不足
東京都では営業所の実態確認も行われます。
そのため、
・営業所写真が不足している
・事務所内部が確認できない
・賃貸借契約書の内容が不十分
・使用権限を確認できない
といった場合には補正となることがあります。
特に自宅兼営業所の場合は、業務スペースの独立性について説明を求められるケースがあります。
7-5 社会保険関係資料の確認
社会保険の加入状況についても確認が行われます。
法人の場合、
・健康保険
・厚生年金保険
への加入状況が確認されます。
また、従業員を雇用している場合には雇用保険関係書類の提出を求められることもあります。
7-6 補正を減らすためには事前準備が重要
補正そのものは珍しいことではありませんが、事前に必要資料を整理しておくことで大幅に減らすことができます。
特に塗装工事業では、
・実務経験証明
・防水工事との区分
・営業所資料
の3点が重要な確認ポイントになります。
許可取得までの期間を短縮するためにも、申請前に資料を確認し、不足がない状態で申請を行うことが重要です。
第8章 塗装工事業許可取得後に必要な手続き
塗装工事業の建設業許可は、取得したら終わりではありません。
許可取得後も、決算変更届や各種変更届、更新申請などの手続きを継続的に行う必要があります。
これらの手続きを怠ると、許可更新ができなくなったり、経営事項審査(経審)の申請に支障が生じたりすることがあります。
建設業許可を維持するためには、取得後の管理も重要です。
8-1 決算変更届(事業年度終了届)
建設業許可業者は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
決算変更届では、
・工事経歴書
・直前3年の施工金額
・財務諸表
・納税証明書
などを提出します。
決算変更届を提出していない場合、建設業許可の更新申請を受け付けてもらうことができません。
そのため、毎年忘れずに提出することが重要です。
建設業許可の決算変更届(決算報告書)とは?提出期限・必要書類・出さないリスクを解説
8-2 役員変更や本店移転
許可取得後に会社情報へ変更が生じた場合には、変更届の提出が必要になります。
代表的なものとして、
・役員変更
・商号変更
・本店移転
・資本金変更
などがあります。
変更内容によって提出期限や必要書類が異なるため注意が必要です。
建設業許可の役員変更とは?手続き・期限・必要書類を行政書士が解説
8-3 営業所技術者等の変更
営業所技術者等が退職した場合や変更があった場合には、変更届を提出しなければなりません。
営業所技術者等は建設業許可の重要な要件であるため、後任者がいない状態が続くと許可維持に影響する可能性があります。
資格者の退職や人事異動があった場合は早めに確認することが重要です。
8-4 建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は5年間です。
引き続き塗装工事業を営む場合には、有効期間満了前に更新申請を行う必要があります。
更新申請では、
・過去5年分の決算変更届
・各種変更届
などの提出状況も確認されます。
許可期限直前になって慌てないよう、計画的に準備を進めることが重要です。
8-5 業種追加や特定建設業許可の取得
事業拡大に伴い、
・防水工事業
・内装仕上工事業
・とび・土工工事業
などの業種追加を検討する事業者もいます。
また、下請契約金額が大きくなる場合には、一般建設業許可から特定建設業許可への切替を検討することもあります。
会社の成長に合わせて許可内容を見直していくことが重要です。
8-6 公共工事を目指す場合は経営事項審査(経審)
公共工事への参加を検討している場合には、経営事項審査(経審)の受審が必要になります。
塗装工事業は、
・学校施設
・公営住宅
・公共建築物
・橋梁塗装
など公共工事との相性が良い業種です。
将来的に公共工事への参入を目指している場合は、建設業許可取得後から経審を意識した体制整備を進めることをおすすめします。
塗装工事業の建設業許可は、取得後の管理を適切に行うことで事業拡大や公共工事への参入につなげることができます。毎年の届出や更新手続きを確実に行い、許可を有効に活用していくことが大切です。
第9章 塗装工事業と経営事項審査(経審)
塗装工事業の建設業許可を取得した後、公共工事への参入を検討している場合には経営事項審査(経審)の受審が必要になります。
経営事項審査とは、国や地方公共団体などが発注する公共工事の入札に参加するために必要となる評価制度です。
建設業者の経営規模や財務内容、技術力、社会性などを総合的に評価し、その結果が総合評定値(P点)として数値化されます。
塗装工事業は公共施設や公営住宅、学校、橋梁などの維持管理工事との関係が深く、公共工事への参入を目指す事業者も少なくありません。
経営事項審査(経審)とは?P点の仕組みと評価項目をわかりやすく解説
9-1 経営事項審査で評価される項目
経営事項審査では、主に次の5つの項目が評価されます。
・技術力や元請実績(Z)
・社会性等(W)
これらを総合してP点が算出されます。
完成工事高が大きいだけでは高得点にならず、技術者の配置や法令遵守体制なども重要な評価対象となります。
経営事項審査(経審)のP点とは?評点の仕組みをわかりやすく解説
9-2 塗装工事業と技術力評価(Z)
塗装工事業では、資格を保有する技術者の人数が技術力評価に影響します。
例えば、
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
・技能検定合格者
などの有資格者は、経審における評価向上につながります。
そのため、許可取得後も資格取得を進めることが重要です。
経営事項審査(経審) 技術力(Z)の評価と点数の考え方を行政書士が解説
9-3 社会性等(W)の重要性
近年の経営事項審査では、社会性等(W)の評価も重要になっています。
具体的には、
などが評価項目となっています。
比較的取り組みやすい項目も多いため、計画的に整備することでP点向上を目指すことができます。
経営事項審査(経審) 社会性等(W)の評価と点数の考え方を行政書士が解説
9-4 公共工事を目指す場合は早めの準備が重要
経営事項審査は申請してすぐに高得点が取れる制度ではありません。
技術者育成や社会性評価への取組は、継続的な積み重ねが必要です。
そのため、
・将来的に公共工事へ参入したい
・自治体の入札に参加したい
・元請工事を増やしたい
という場合は、建設業許可取得後の早い段階から経審を意識した会社運営を行うことをおすすめします。
塗装工事業は公共工事との親和性が高い業種です。建設業許可の取得だけでなく、経営事項審査を活用することで受注機会の拡大や会社の成長につなげることができます。
まとめ
塗装工事業は、外壁塗装や屋根塗装、鉄骨塗装など、建物や構造物の保護や美観維持を目的とした重要な工事です。
請負金額が税込500万円以上となる工事を受注する場合には、原則として建設業許可(塗装工事業)が必要になります。
東京都で塗装工事業の建設業許可を取得するためには、
・常勤役員等
・営業所技術者等
・財産的基礎
・営業所要件
・社会保険加入
といった要件を満たさなければなりません。
また、塗装工事業では防水工事との業種区分や10年実務経験の証明が重要なポイントとなります。
実務経験を利用して申請する場合には、請求書や契約書などの証明資料を事前に整理し、塗装工事として説明できる状態にしておくことが大切です。
さらに、建設業許可取得後も、
・決算変更届
・各種変更届
・更新申請
・業種追加
などの手続きが継続的に発生します。
将来的に公共工事への参入を検討している場合には、経営事項審査(経審)も視野に入れながら会社体制を整備していくことが重要です。
東京都で塗装工事業の建設業許可取得をご検討中の方や、自社で許可要件を満たしているか確認したい方は、お気軽にご相談ください。東京都の建設業許可申請に多数対応している行政書士が、許可取得から取得後の管理までサポートいたします。









