埼玉県八潮市で型枠工事を中心に行っている会社様から、大工工事業の建設業許可を取得したいとのご相談をいただきました。
今回のポイントは、代表取締役である社長のこれまでの経験と保有資格、そして自宅兼営業所の要件をどのように整理するかでした。
社長は、法人を設立する前に個人事業主として約3年間、型枠工事を中心とした大工工事業を営んでいました。
その後、法人を設立し、代表取締役として約3年間、引き続き建設業の経営に携わっていました。
そこで、個人事業主時代と法人設立後の経営経験をあわせて整理し、常勤役員等の要件を確認しました。
また、社長は一級型枠施工技能士の資格を保有していたため、大工工事業の営業所技術者等についても社長自身が要件を満たしていました。
さらに、営業所は社長のご自宅を兼ねていたため、自宅兼営業所として建設業許可上の要件を満たしているかも確認する必要がありました。
今回は、これらの人的要件、営業所要件、財産的基礎を一つずつ整理し、埼玉県へ大工工事業の一般建設業許可を申請し、無事に許可を取得しました。
この記事では、個人事業主時代と法人設立後の経験を組み合わせて常勤役員等の要件を整理し、一級型枠施工技能士の資格と自宅兼営業所を使って、大工工事業の建設業許可を取得した事例をご紹介します。
第1章 ご相談の内容
今回ご相談いただいたのは、埼玉県八潮市で型枠工事を中心に行っている会社様です。
会社として大工工事業の一般建設業許可を取得したいとのことで、代表取締役である社長のこれまでの経歴や保有資格、営業所の状況などを確認するところからスタートしました。
社長は、法人を設立する前に個人事業主として約3年間、型枠工事を中心とした建設業を営んでいました。
その後、法人を設立し、代表取締役として約3年間、引き続き型枠工事を中心に事業を続けていました。
今回の申請では、法人設立後の経歴だけを見るのではなく、個人事業主時代の経験も含めて、常勤役員等の要件を満たしているかを整理することが重要なポイントとなりました。
また、営業所技術者等について確認したところ、社長は一級型枠施工技能士の資格を保有していました。
そのため、大工工事業の営業所技術者等についても、社長自身が資格によって要件を満たせる可能性がありました。
さらに、今回の会社様では、社長の自宅を会社の営業所として使用していました。
建設業許可では、自宅を営業所として使用する場合でも、実際に建設業の営業を行うことができる独立したスペースや使用状況を確認する必要があります。
今回の申請では、
・個人事業主時代の約3年間の経験
・法人設立後の約3年間の経営経験
・一級型枠施工技能士の資格
・自宅兼営業所の使用状況
・一般建設業許可に必要な財産的基礎
を一つずつ確認し、大工工事業の建設業許可を取得できるか整理していきました。
第2章 個人事業主時代と法人設立後の経験を通算して常勤役員等の要件を確認
建設業許可を取得するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有する常勤役員等を置く必要があります。
今回の会社様では、代表取締役である社長が、その要件を満たしているかを確認しました。
社長は、現在の法人を設立する前に、個人事業主として約3年間、型枠工事を中心とした建設業を営んでいました。
その後、法人を設立し、代表取締役として約3年間、引き続き建設業の経営に携わっていました。
そのため、法人設立後の経営経験だけで判断するのではなく、個人事業主時代の経験も含めて、社長の建設業に関する経営経験を整理しました。
今回のケースでは、
個人事業主としての経営経験 約3年
法人設立後の代表取締役としての経営経験 約3年
という経歴がありました。
個人事業主から法人成りしている場合、会社を設立した時点で、それ以前の経営経験がなくなるわけではありません。
個人事業主として建設業を営んでいたこと、そして法人設立後も役員として建設業の経営に携わっていたことを確認できれば、それぞれの期間を通算して常勤役員等の要件を検討することができます。
ただし、「以前から型枠工事をしていた」という説明だけで認められるものではありません。
今回の申請では、個人事業主時代について、確定申告書や工事関係資料などを確認し、実際に建設業を営んでいた期間を整理しました。
法人設立後についても、会社の登記事項や決算関係資料などから、社長が代表取締役として建設業の経営に携わっていた期間を確認しました。
このように、個人事業主時代と法人設立後の経歴をつなげて整理することで、代表取締役である社長を常勤役員等として申請することができました。
法人成りしてからの年数だけを見ると経験が足りないように見える場合でも、法人設立前に個人事業主として建設業を営んでいた経験があれば、許可要件を満たせる可能性があります。
そのため、法人成りした会社が建設業許可を検討する際には、現在の法人での経歴だけではなく、社長が個人事業主としてどのくらいの期間、建設業を営んでいたのかまで確認することが重要です。
第3章 一級型枠施工技能士で営業所技術者等の要件をクリア
今回の会社様では、常勤役員等の要件とあわせて、大工工事業の営業所技術者等を誰にするかについても確認しました。
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに、許可を受けようとする業種について一定の資格または実務経験を有する営業所技術者等を置く必要があります。
今回、代表取締役である社長は、一級型枠施工技能士の資格を保有していました。
一級型枠施工技能士は、大工工事業の一般建設業許可において、営業所技術者等の要件を満たす資格の一つです。
そのため、営業所技術者等について別途10年の実務経験を証明したり、新たに技術者を確保したりする必要はありませんでした。
資格証の内容を確認したうえで、社長自身を大工工事業の営業所技術者等として申請することができました。
また、今回の会社様では、社長が常勤役員等の要件も満たしていました。
常勤役員等と営業所技術者等は、それぞれ別の許可要件ですが、双方の要件を満たしており、同一の営業所に常勤している場合には、一人の者が兼ねることができます。
そのため今回の申請では、
代表取締役である社長
=常勤役員等
=大工工事業の営業所技術者等
という体制で申請を進めました。
型枠工事を中心に行っている会社では、社長自身が長年現場に携わり、型枠施工技能士などの資格を取得しているケースがあります。
このような場合、社長自身が常勤役員等と営業所技術者等の両方の要件を満たせれば、建設業許可を取得するために新たな役員や技術者を確保する必要はありません。
今回の会社様も、社長のこれまでの経営経験と一級型枠施工技能士の資格をそれぞれ整理することで、現在の会社体制のまま大工工事業の建設業許可申請を進めることができました。
第4章 自宅兼営業所として営業所要件を確認
今回の会社様では、社長の自宅を会社の営業所として使用していました。
建設業許可では、自宅を営業所として使用すること自体が認められないわけではありません。
ただし、実際に建設業の営業を行う事務所としての実態があり、居住部分と適切に区分されていることなど、営業所としての要件を満たしている必要があります。
今回の申請では、自宅の一部を営業所として使用していたため、まず事務所として使用するスペースと生活スペースとの区分を確認しました。
また、外部から営業所として利用していることが分かる状態になっているか、来客対応や請負契約に関する業務を行うことができる環境が整っているかについても確認しました。
自宅兼営業所の場合には、単に会社の登記上の本店所在地になっているだけでは足りません。
実際に、
・事務作業を行うための机やスペースがあること
・建設業の営業に必要な書類などを保管できること
・来客や打ち合わせに対応できること
・生活スペースと営業所部分が適切に区分されていること
・営業所として使用する権限が確認できること
などを確認する必要があります。
今回の会社様についても、営業所として使用している部分の状況を確認し、自宅兼営業所として建設業許可上の営業所要件を満たす形で申請を進めました。
自宅を会社の本店として登記している建設会社は少なくありません。
特に、個人事業主から法人成りした会社では、それまで事業に使用していた自宅を、そのまま法人の営業所として使用しているケースもあります。
このような場合でも、営業所としての実態や独立性を確認できれば、建設業許可の営業所として申請できる場合があります。
今回の会社様では、社長の経営経験や一級型枠施工技能士の資格だけでなく、自宅兼営業所についても要件を一つずつ確認することで、大工工事業の建設業許可申請を進めることができました。
第5章 財産的基礎は残高証明書で確認
大工工事業の一般建設業許可を取得するためには、人的要件や営業所要件だけでなく、財産的基礎の要件も満たす必要があります。
今回の会社様では、財産的基礎について、金融機関の残高証明書を用いて確認することにしました。
一般建設業許可では、一定の財産的基礎または金銭的信用を有していることが必要です。
今回の申請では、500万円以上の資金を有していることを残高証明書で確認し、財産的基礎の要件を満たす形で申請を進めました。
建設業許可の新規申請では、会社を設立してからまだ年数が浅い場合や、直前の決算内容だけでは財産的基礎の確認が難しい場合でも、残高証明書を使用できるケースがあります。
そのため、今回の会社様では、
・個人事業主時代と法人設立後の経験による常勤役員等
・一級型枠施工技能士による営業所技術者等
・自宅兼営業所としての営業所要件
・残高証明書による財産的基礎
をそれぞれ確認し、大工工事業の一般建設業許可申請に必要な要件を整えました。
建設業許可は、一つの要件だけを満たせば取得できるものではありません。
経営経験、技術者、営業所、財産的基礎などを一つずつ確認し、すべての要件を満たした状態で申請することが重要です。
今回の会社様についても、各要件を整理したうえで埼玉県へ申請を行い、大工工事業の一般建設業許可を取得することができました。









