東京都渋谷区で新たに設立された会社様から、一般建設業許可(内装仕上工事業)と解体工事業者登録を取得したいとのご相談をいただきました。
こちらの会社様は、大手ハウスメーカーで勤務経験のある社長様が独立して設立した新設法人でした。
事業を始めるにあたり、内装仕上工事を請け負うための建設業許可と、解体工事を行うための解体工事業者登録を同時に進めたいとのご希望でした。
ただし、建設業許可については、社長様ご本人に常勤役員等として使える取締役経験がありませんでした。
そこで候補となったのが、社長様のお母様です。
お母様は、実家の有限会社で20年以上にわたり取締役として在任していました。
もっとも、その有限会社は建設業許可を取得していない会社だったため、過去の許可実績だけで経営経験を確認することはできません。
そのため、以前の会社が実際に建設業を営んでいたことを確認するため、工事請求書や入金資料を取り寄せ、必要な期間について一つずつ内容を確認していきました。
その結果、お母様について常勤役員等として必要な建設業の経営経験を証明することができ、新会社の取締役として就任していただくことで人的要件を整えることができました。
営業所技術者等については、2級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を持つ従業員を配置し、解体工事業者登録の技術管理者については、社長様の解体工事に関する実務経験を確認しました。
新設法人の財産的基礎や営業所要件についても確認したうえで、東京都へ一般建設業許可(内装仕上工事業)と解体工事業者登録を同時に申請した事例です。
第1章 社長本人に経営経験がなく母親を常勤役員等として配置
今回の会社様は、東京都渋谷区で新たに設立された会社様です。
社長様は大手ハウスメーカーでの勤務経験があり、独立後に内装仕上工事を中心とした事業を始めるため、一般建設業許可の取得を検討されていました。
ところが、建設業許可の要件を確認したところ、社長様ご本人には常勤役員等として使用できる取締役経験がありませんでした。
そこで候補となったのが、社長様のお母様です。
お母様は、実家の有限会社で20年以上にわたり取締役として在任しており、建設業の経営に長く携わっていました。
今回の新会社では、お母様に取締役として就任していただき、常勤役員等として配置する方針をとりました。
ただし、ここで一つ大きな確認事項がありました。
お母様が長年在籍していた有限会社は、建設業許可を取得していない会社だったのです。
そのため、過去の建設業許可の申請書や許可通知書などを使って経営経験を確認することはできません。
無許可会社での取締役経験を常勤役員等の経験として使用するためには、その会社が実際に建設業を営んでいたことを、工事請負の実績などから確認していく必要があります。
そこで、以前の有限会社から工事請求書や入金確認資料を取り寄せ、お母様が取締役として在任していた期間について、建設業の経営経験を証明できるかを詳しく確認することになりました。
今回の申請では、この無許可会社での取締役経験をどのように証明するかが、建設業許可取得における最も重要なポイントとなりました。
第2章 無許可会社の請求書と入金資料で経営経験を証明
今回の申請で最も重要だったのが、お母様の建設業に関する経営経験をどのように証明するかという点です。
お母様は、実家の有限会社で20年以上にわたり取締役として在任していました。
ただし、その有限会社は建設業許可を取得していなかったため、許可通知書や過去の建設業許可申請書を使って経営経験を確認することはできません。
そこで、実際にその会社が建設工事を請け負っていたことを確認するため、過去の工事請求書と入金確認資料を取り寄せることになりました。
他社の建設業許可申請のために、以前在籍していた会社から何年分もの請求書や通帳などを提供してもらうことは、実務上そう簡単ではありません。
今回は幸い、以前の有限会社から必要な資料を比較的スムーズに取り寄せることができました。
取り寄せた資料は6年分に及びました。
その請求内容を一つずつ確認し、実際に建設工事を請け負っていたこと、あわせて工事代金の入金状況を確認しながら、常勤役員等として必要な建設業の経営経験を整理していきました。
さらに、お母様がその期間に取締役として在任していたことも登記記録から確認しました。
このように、
・有限会社での取締役在任期間
・会社が実際に建設業を営んでいたこと
・工事請負の実績
・工事代金の入金状況
を資料で確認した結果、お母様について常勤役員等として必要な経営経験を証明することができました。
建設業許可を持っていない会社での取締役経験であっても、実際に建設業を営んでいたことを客観的な資料で確認できれば、常勤役員等の経営経験として使用できる場合があります。
今回のケースでは、無許可会社での20年以上の取締役経験のうち、必要な期間について建設業の実態を資料で証明できたことが、新設法人で建設業許可を取得する大きなポイントとなりました。
第3章 2級建築施工管理技士(仕上げ)を営業所技術者等として配置
常勤役員等については、お母様の無許可会社での取締役経験を資料で証明することで要件を整えることができました。
次に確認したのが、内装仕上工事業の営業所技術者等の要件です。
今回の会社様では、2級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を持つ従業員が在籍していました。
内装仕上工事業については、この資格を営業所技術者等の要件として使用することができます。
そこで、資格証の内容を確認するとともに、その従業員が会社に常勤していることもあわせて確認しました。
今回のように、新設法人で社長様本人が営業所技術者等の要件を満たしていない場合でも、必要な資格を持つ従業員を常勤で配置できれば、技術者要件を満たすことができます。
建設業許可では、常勤役員等と営業所技術者等を必ず同じ人物が兼ねなければならないわけではありません。
今回の会社様では、
・常勤役員等は、お母様
・営業所技術者等は、2級建築施工管理技士(仕上げ)の従業員
という体制で人的要件を整理しました。
社長様ご本人に常勤役員等として使える経営経験がなくても、社内全体で必要な人員構成を整えることで、一般建設業許可(内装仕上工事業)の取得につなげることができたケースです。
第4章 社長の実務経験で解体工事業者登録の技術管理者要件を確認
今回の会社様では、一般建設業許可(内装仕上工事業)とあわせて、解体工事業者登録も同時に進めることになっていました。
解体工事業者登録では、建設業許可とは別に、解体工事に関する技術管理者の要件を確認する必要があります。
今回のケースでは、社長様ご本人が解体工事について8年以上の実務経験を有していました。
そのため、過去の業務内容や実務経験の期間を確認し、社長様を解体工事業者登録上の技術管理者として配置する方針としました。
建設業許可の人的要件では、
・常勤役員等は、お母様
・営業所技術者等は、2級建築施工管理技士(仕上げ)の従業員
という体制でした。
一方、解体工事業者登録については、社長様ご本人の解体工事に関する実務経験を使って技術管理者の要件を満たしています。
このように、建設業許可と解体工事業者登録を同時に進める場合でも、それぞれの制度で求められる人的要件は別々に確認する必要があります。
今回の会社様では、それぞれの役割を複数の人員で分担することで、内装仕上工事業の建設業許可と解体工事業者登録の両方について人的要件を整えることができました。
第5章 新設法人の財産的基礎と営業所要件を確認
今回の会社様は、設立からまだ数か月の新設法人でした。
そのため、建設業許可の財産的基礎については、直前決算ではなく開始貸借対照表をもとに確認しました。
会社設立時の資本金は500万円を大きく上回っていたため、一般建設業許可に必要な財産的基礎については問題なく要件を満たしていました。
また、営業所は登記上の本店所在地とは別の場所に設けていました。
建設業許可上の営業所として使用している場所は賃貸物件であったため、賃貸借契約書を確認し、会社がその場所を営業所として使用できることを確認しました。
営業所内部についても、
・事務机
・複合機などの事務設備
・打ち合わせスペース
・建設業の営業を行うための事務所としての実態
を確認しました。
建設業許可では、本店所在地と実際の営業所が異なる場合でも、営業所としての使用権原と事務所としての実態を確認できれば申請することができます。
今回の会社様では、
・開始貸借対照表上の資本金による財産的基礎
・賃貸借契約による営業所の使用権原
・営業所内部の事務所としての実態
をそれぞれ確認することで、財産的基礎と営業所の要件も整えることができました。
これにより、常勤役員等、営業所技術者等、解体工事業者登録の技術管理者、財産的基礎、営業所という主要な要件が揃い、一般建設業許可(内装仕上工事業)と解体工事業者登録の申請準備が整いました。
第6章 内装仕上工事業の建設業許可と解体工事業者登録を同時に申請
今回の会社様では、一般建設業許可(内装仕上工事業)と解体工事業者登録の両方について必要な要件を確認し、東京都へ同時に申請しました。
建設業許可については、社長様ご本人に常勤役員等として使える経営経験がなかったため、実家の有限会社で20年以上取締役を務めていたお母様に新会社の取締役へ就任していただきました。
ただし、その有限会社は建設業許可を持っていなかったため、過去の許可実績を使うことはできませんでした。
そこで、6年分の工事請求書や入金資料を確認し、実際に建設業を営んでいたことを証明することで、お母様の建設業に関する経営経験を整理しました。
営業所技術者等については、2級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を持つ従業員を配置しました。
一方、解体工事業者登録については、社長様の解体工事に関する8年以上の実務経験を確認し、技術管理者としての要件を整えました。
さらに、新設法人の開始貸借対照表、賃借している営業所の使用権原や事務所としての実態なども確認しました。
こうして、
・無許可会社での取締役経験による常勤役員等の証明
・2級建築施工管理技士(仕上げ)による営業所技術者等の配置
・社長様の実務経験による解体工事業者登録の技術管理者要件
・新設法人の財産的基礎
・本店とは別に設けた営業所
を一つずつ整理し、一般建設業許可(内装仕上工事業)と解体工事業者登録を申請することができました。
今回の事例では、社長様一人ですべての人的要件を満たしたわけではありません。
お母様、資格を持つ従業員、社長様それぞれの経験や資格を組み合わせることで、新設法人として必要な許認可の体制を整えています。
特に、建設業許可を持っていない会社での取締役経験であっても、実際に建設業を営んでいたことを客観的な資料で証明できれば、常勤役員等の経営経験として使用できる場合があります。
新しく会社を設立したばかりで社長自身の経営経験が不足している場合でも、役員構成や社内の資格者、過去の経験を確認することで、建設業許可取得の可能性を検討できるケースがあります。









