建設業許可における営業所とは?要件・判断基準を行政書士が解説(東京都基準)

① 結論(現行制度)

建設業許可における営業所とは、単なる所在地や登記上の住所ではなく、実際に建設業の営業活動を行う拠点を指します。東京都手引(令和7年度版)では、営業所には「実体性」が求められており、事務作業や契約行為を継続的に行える環境が整っていることが前提となります。具体的には、独立したスペース、事務設備、使用権限、人的配置などが必要とされ、形式的な住所の存在だけでは営業所とは認められません。したがって、「その場所で実際に事業が行われているか」を説明できるかが、営業所該当性の判断において最も重要なポイントとなります。また、営業所には常勤役員等および営業所技術者等の配置が必要となり、人的要件も含めて総合的に判断されます。

② 旧制度との違い

建設業許可における営業所の考え方自体は、旧制度から大きく変更されたわけではありませんが、現在は実体性の確認がより重視される運用となっています。旧制度では、専任技術者や経営業務管理責任者といった人的要件の充足に重点が置かれる傾向がありましたが、現行制度ではそれに加えて、営業所としての物理的・外形的な実態がより厳格に確認されるようになっています。
また、制度改正により用語も変更されており、専任技術者は「営業所技術者等」、経営業務管理責任者は「常勤役員等」となりました。これに伴い、営業所にはこれらの者が適切に配置されていることが前提となり、単に名義上配置されているだけでは足りず、実際にその営業所に常勤しているかどうかが重要な判断要素となります。
特に東京都の実務では、書面上の整合性だけでなく、写真や配置状況を含めた実態確認が行われるため、形式的な要件を満たすだけでは足りません。営業所の判断は、人的要件と物理的要件の双方を踏まえ、「継続的に営業活動が行われているか」という観点から総合的に判断される点が、現行制度の大きな特徴といえます。

営業所技術者等の要件について詳しくはこちら

常勤役員等の要件について詳しくはこちら

③ 現在の要件

建設業許可において営業所として認められるためには、単に住所が存在するだけでは足りず、物理的要件・使用権限・外形的要素・人的要件といった複数の観点から総合的に判断されます。
まず物理的要件として、営業所には独立したスペースが必要です。自宅兼営業所であっても認められますが、その場合は居住スペースと業務スペースが明確に区分されていることが求められます。また、机や椅子、パソコンなどの事務設備が備えられており、契約書の作成や書類の保管など、継続的に事務作業を行える環境が整っている必要があります。
次に使用権限については、賃貸借契約書や使用承諾書などにより、当該場所を営業所として使用できる権限が確認できなければなりません。単なる名義貸しや一時的な利用では認められません。
さらに外形的要素として、商号や屋号の掲示、郵便物の受領が可能であることなど、第三者から見て営業所として認識できる状態であることが求められます。
人的要件としては、当該営業所に常勤役員等および営業所技術者等が配置されている必要があります。これらの者は形式的に所属しているだけでは足りず、実際に当該営業所に常勤し、業務に従事していることが前提となります。
これらの要件は個別に判断されるものではなく、「その場所で継続的に建設業の営業活動が行われているか」という観点から総合的に判断される点が重要です。

④ 実務上の判断ポイント

営業所の判断において最も重要なのは、「実体性」があるかどうかです。形式的に要件を満たしているように見えても、実際に営業活動が行われていないと判断されれば、営業所としては認められません。
まず自宅兼営業所については、現在でも認められていますが、居住スペースと業務スペースが明確に区分されていることが前提となります。例えば、生活空間と同一の場所で業務を行っている場合や、業務専用スペースが確認できない場合は、実体性に欠けると判断される可能性があります。写真提出の段階で判断されることも多く、見た目で説明できる状態にしておくことが重要です。
次にコワーキングスペースやバーチャルオフィスについては、専有スペースが確保されていない場合は原則として認められません。自由席や共有デスクのみの契約では、営業所としての独立性や継続性が認められないためです。一方で、個室や固定席など専用区画が確保されている場合には、条件付きで認められる余地があります。
また、共用会議室の扱いについては誤解が多いポイントですが、東京都の実務では、営業所内に商談スペースがなくても、共用会議室を補助的に利用すること自体は否定されていません。ただし、これはあくまで営業所自体に実体があることが前提であり、営業所機能そのものを共用スペースに依存している場合は認められません。
さらに、現場事務所については、一時的な施設とみなされるため、原則として営業所とは認められません。継続性の観点から、本店や支店としての実態を有しているかが厳しく判断されます。
このように、営業所の判断は個別の形式ではなく、実体性・継続性・独立性といった観点から総合的に行われるため、事前に実務運用を踏まえた設計を行うことが重要です。

■ 写真審査で見られるポイント

東京都の実務では、営業所の実体性は写真によって判断されることが多く、提出する写真の内容が重要となります。具体的には、業者票の掲示状況、机や椅子などの事務設備、書類保管の状況、業務スペースの独立性などが確認されます。
特に自宅兼営業所の場合、生活感が強く出ている状態では実体性に疑義が生じることがあるため、業務スペースとしての区分が視覚的に明確であることが重要です。例えば、業務用デスクや書棚が設置されているか、私物と業務用書類が混在していないかといった点も判断材料となります。

■ よくある補正・不受理パターン

実務上よく見られるのが、営業所の実体性が不十分と判断されるケースです。例えば、机や椅子が設置されていない、書類保管場所が確認できない、業者票が掲示されていないといった場合には、補正を求められる可能性があります。
また、バーチャルオフィスやコワーキングスペースを利用している場合に、専有スペースが確認できないケースでは、不受理となることもあります。事前に実務基準を踏まえた準備を行うことが重要です。

自宅を営業所として使用する場合の具体的な要件については、
自宅兼営業所の要件と注意点について詳しくはこちらをご確認ください。

営業所要件で問題となるケースについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください

⑤ よくある誤解

建設業許可における営業所については、制度の理解不足から誤った認識を持たれているケースが少なくありません。
まず多いのが、「住所があれば営業所として認められる」という誤解です。しかし実際には、営業所は実体性が求められるため、単に住所が存在するだけでは足りず、事務作業や契約行為が継続的に行われていることが必要です。
また、「登記されていれば問題ない」という理解も誤りです。登記上の本店所在地であっても、実際に営業活動が行われていなければ営業所とは認められません。登記と営業所の判断は別の基準で行われます。
さらに、「バーチャルオフィスでも許可が取れる」と考えるケースもありますが、専有スペースが確保されていない場合は、営業所としての独立性や継続性が認められないため、原則として認められません。
加えて、「人が常駐していなくてもよい」という誤解も見られますが、営業所には常勤役員等および営業所技術者等が配置され、実際にその場所で業務に従事していることが必要です。名義上の配置では足りません。
このような誤解を前提に準備を進めてしまうと、申請時に補正や不受理となるリスクが高まるため、制度の正確な理解が重要です。

⑥ まとめ

建設業許可における営業所は、単なる所在地ではなく、実際に営業活動が行われる拠点であることが求められます。東京都では特に、実体性・継続性・独立性の観点から厳格に判断されるため、形式的に要件を整えるだけでは不十分です。
自宅兼営業所やコワーキングスペースの利用など、個別の事情によって判断が分かれるケースも多いため、実務運用を踏まえた準備が重要となります。営業所の設計段階から適切に対応しておくことで、申請時の補正リスクを回避することができます。

許可取得後の管理体制について詳しく知りたい方は、建設業許可取得後の管理についてもあわせてご覧ください。

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