行政書士のメイン業務である許認可申請を取り扱っていると、ある許可取得をされてお仕事をしている会社様が、新規事業を展開するために別の許認可取得をご検討されるケースを良く耳にします。
例えば、建設業許可を持っている会社が、現場で排出される産業廃棄物を運搬するために「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得したり、さらに産業廃棄物収集運搬業者様が古物商許可を持っているようなケースです。
不動産会社様が建設業許可を取得されるケースも多くあります。不動産会社として土地を購入し、その上に一戸建て住宅を自社で建てて販売するようなこともあります。また、管理しているマンションの現状回復工事は行っているが、それ以外でも工事単体で仕事を受注して業務を幅を広げるといったこともあります。
東京都港区にある不動産会社様の一般建設業許可(内装仕上工事)を新規申請
当事務所で宅建業免許の変更届け(営業所を新宿から港区へ移転)と更新申請をサポートさせていただいた会社様からのご依頼で一般建設業許可の内装仕上工事業の取得を目指すことになりました。
もともと自社で管理業務を行っていたマンションやオフィスの原状回復工事を他の会社へ発注していたのを、従業員を増やして原状回復工事を自社で行うようになり、さらに業務を拡大するために大きな内装仕上工事案件を受注する目的で一般建設業許可(内装仕上工事業)の取得をしたいとのことでした。
新規で建設業許可を取得するためには、事前準備として会社内の組織や登記上の内容を変更する必要がありますので、それらを1つ1つクリアしていきました。
会社の目的に内装仕上工事を追加
不動産会社として設立した会社なので、建設業に関わる文言が入っていませんでした。
まず、目的に「内装仕上工事の設計、施工および請負」と追加します。
登記項目である目的の内容については都庁は厳しく判断する傾向にあるので、先に変更登記を済ませてしまいます。
常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)となる外国籍の取締役の就任
こちらの会社が内装仕上工事を受注していたのは過去に数件程度だったため、社長自身の常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)としての実務経験が足りません。そこで、建設業許可の内装仕上工事を持っている他社で取締役として14年の経験の有る方を取締役として就任してもらい、さらに社会保険にも加入していただきました。
外国籍の方でも常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)に就任することも可能です。その場合、国籍や在留資格等が省略されていない住民票と登記されていないことの証明書を用意します。ちなみに外国籍の方の場合は身分証明書の添付が不要となります。
社長自身が専任技術者に
専任技術者は、社長自身が二級建築施工管理技士(仕上げ)を取得されていたので問題ありませんでした。
財産的基礎
一般建設業許可の新規申請の際に確認される財産的基礎は500万円です。会社の決算は赤字だったため、現預金が500万円を超えたタイミングで残高証明書を取得してもらいます。
宅建業免許の変更手続きも同時に進行
登記関係が完了して新しい履歴事項全部証明書が取得できたら、建設業許可に先立って宅建業免許の役員変更手続きも済ませておきました。
建設業許可を申請する際に要件が足りなくて困るのが、常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)と専任技術者のポストを担う方が居ないというケースです。しかし今回の会社様はどちらもスムーズに配置することができました。おかげで申請も一発受理となりました。