東京都で建設業許可を受けている会社では、営業所技術者等が退職した場合や、別の技術者に交代した場合、変更が生じた日から2週間以内に変更届を提出する必要があります。
営業所技術者等は、建設業許可を維持するために必要な人的要件の一つです。そのため、単に後任者を決めればよいわけではなく、後任者が許可業種に対応する資格や実務経験を備え、営業所に常勤していることが求められます。
特に注意したいのは、現在の営業所技術者等が突然退職した場合や、複数の許可業種を一人の技術者が担当している場合です。後任者の要件によっては、一部の許可業種を維持できなくなるおそれがあります。
この記事では、東京都知事許可を受けている建設業者を対象に、営業所技術者等の変更届の提出期限、必要書類、後任者への交代時に確認すべき事項、退職時の注意点について、実務上のポイントを解説します。
第1章 営業所技術者等の変更届が必要になるケースと提出期限
1-1.営業所技術者等の変更届が必要になるケース
東京都で建設業許可を受けている会社では、営業所技術者等が交代した場合、変更届を提出する必要があります。
営業所技術者等は、建設業許可を受けた営業所ごとに、許可業種に対応する資格や実務経験を備えた人を配置する必要がある人的要件の一つです。
そのため、営業所技術者等の退職や異動によって担当者が変わる場合には、後任者の要件を確認したうえで変更手続きを行います。
主に、次のようなケースが該当します。
- 現在の営業所技術者等が退職し、別の従業員が後任になる場合
- 営業所技術者等が他の営業所へ異動し、後任者を配置する場合
- 新たに国家資格者を採用し、営業所技術者等を交代する場合
- 現在の営業所技術者等から、別の資格や実務経験を有する従業員に変更する場合
- 複数の許可業種を担当している営業所技術者等について、担当する業種を変更する場合
なお、従業員が退職した場合でも、その従業員が営業所技術者等として届け出られていなければ、営業所技術者等の変更届が必要になるわけではありません。
重要なのは、東京都に届け出ている営業所技術者等に変更が生じたかどうかです。
1-2.変更届の提出期限は変更後2週間以内
営業所技術者等の変更届の提出期限は、変更が生じた日から2週間以内です。
例えば、営業所技術者等が10月1日付で退職し、同日付で別の従業員が後任となった場合には、その変更日を基準に提出期限を管理する必要があります。
建設業許可の変更届には、変更後30日以内に提出するものもありますが、営業所技術者等の変更届は2週間以内と短く設定されています。
また、営業所の新設・廃止や営業所で取り扱う業種の変更など、通常は30日以内の届出事項であっても、営業所技術者等の変更を伴う場合には、2週間以内の届出が必要になることがあります。
営業所技術者等の交代を伴う変更では、30日以内ではなく2週間以内の期限に注意が必要です。
1-3.後任者がいない場合は許可の維持に影響する
営業所技術者等の変更で特に注意したいのは、現在の担当者が退職した際に、後任者を確保できるかという点です。
営業所技術者等は、建設業許可を取得したときだけでなく、許可を受けている期間中も継続して配置する必要があります。
そのため、現在の営業所技術者等が退職し、後任者がいない場合には、許可要件を満たせなくなるおそれがあります。
例えば、電気工事業と管工事業の2業種を、一人の営業所技術者等が担当している会社を考えてみましょう。
その担当者が退職した場合、後任者が電気工事業の要件しか満たしていなければ、管工事業については別の要件を満たす技術者を確保する必要があります。
一人の営業所技術者等が複数の許可業種を担当している場合には、退職による影響が複数の業種に及ぶことがあります。
変更届を提出すれば自動的に許可要件の欠如が解消されるわけではないため、退職前に後任者の確保と担当業種の確認を行うことが重要です。
1-4.資格の取得だけでは変更届が必要になるとは限らない
現在の営業所技術者等が新しい国家資格を取得した場合でも、それだけで必ず変更届が必要になるわけではありません。
例えば、すでに届け出ている資格で現在の許可業種を担当できており、営業所技術者等や担当業種に変更がない場合には、資格を取得した事実だけで直ちに交代の変更届が必要になるわけではありません。
一方、新たに取得した資格によって担当業種を変更する場合や、一般建設業から特定建設業への変更を検討する場合には、必要な手続きが異なります。
このように、営業所技術者等に関する手続きは、単に資格の有無だけでなく、実際にどの許可業種を誰が担当しているかによって判断する必要があります。
次章では、営業所技術者等を交代する前に確認しておきたい後任者の資格、担当業種、常勤性について解説します。
第2章 営業所技術者等の交代前に確認すべきポイント
営業所技術者等を変更する場合には、後任者が必要な資格や実務経験を有しているだけでなく、現在の許可業種を引き続き担当できるかを確認する必要があります。
また、後任者が交代日から営業所に常勤できることも重要です。
営業所技術者等の変更では、後任者の資格だけでなく、担当業種と交代時期をあわせて確認することが重要です。
2-1.後任者が現在の許可業種を担当できるか
まず確認するのは、後任者が現在の営業所で取り扱っている許可業種に対応できるかという点です。
例えば、電気工事業と管工事業の許可を受けている営業所で、現在の営業所技術者等が両方の業種を担当している場合を考えてみましょう。
その技術者が退職し、後任者が電気工事業の要件しか満たしていなければ、管工事業については別の営業所技術者等を確保する必要があります。
このように、一人の営業所技術者等が複数の許可業種を担当している場合には、交代によってどの業種に影響が生じるかを確認する必要があります。
後任者が一つの業種を担当できても、前任者が担当していたすべての業種を引き継げるとは限りません。
交代前には、現在の営業所技術者等が担当している許可業種と、後任者が担当できる業種を照合しておくことが重要です。
2-2.一般建設業と特定建設業の区分を確認する
後任者の要件を確認する際には、許可業種だけでなく、一般建設業と特定建設業の区分にも注意が必要です。
例えば、特定建設業の許可を受けている業種については、一般建設業の営業所技術者等に求められる要件を満たすだけでは、後任者として認められない場合があります。
そのため、国家資格を有している人を後任者にする場合でも、その資格が現在の許可区分に対応しているかを確認する必要があります。
また、実務経験によって要件を満たす場合も、一般建設業と特定建設業では確認すべき内容が異なります。
現在の許可が一般建設業なのか、特定建設業なのかによって、後任者に求められる要件が変わることがあります。
なお、営業所技術者等に必要な国家資格や実務経験の詳しい要件については、別記事「営業所技術者等の要件」で解説しています。
2-3.後任者が交代日から常勤できるか
営業所技術者等の後任者には、必要な資格や実務経験に加えて、営業所への常勤性が求められます。
そのため、新たに採用する人や、他社から転職してくる人を後任者にする場合には、実際にいつから申請会社に常勤できるかを確認する必要があります。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 後任者がまだ前の勤務先に在籍している
- 入社予定日は決まっているが、実際の勤務開始日が後になる
- 別の営業所に勤務している従業員を後任にする
- 他社の常勤役員や技術者を兼ねている
- 営業所までの通勤が現実的に難しい
例えば、前任者が3月31日付で退職し、後任者が4月10日から入社する場合には、その間の営業所技術者等の配置に問題が生じるおそれがあります。
後任者の入社予定日だけでなく、交代日時点で実際に常勤できる状態にあるかを確認することが重要です。
また、他の営業所から後任者を異動させる場合には、異動元の営業所でも必要な技術者の配置が維持できるかを確認する必要があります。
2-4.実務経験を使用する場合は証明資料を確認する
後任者が国家資格ではなく実務経験によって要件を満たす場合には、変更前に証明資料がそろうかを確認しておく必要があります。
実際に長期間工事に従事していたとしても、その経験を必要な期間分、客観的な資料で証明できなければ、変更手続きを進めるうえで支障が生じます。
例えば、次のような場合には注意が必要です。
- 過去に勤務していた会社での実務経験を使用する
- 以前の勤務先がすでに廃業している
- 工事の契約書や注文書、請求書などが十分に残っていない
- 複数の会社での経験を合算する必要がある
特に、前任者の退職が決まってから実務経験の資料を集め始めると、変更届の提出期限に間に合わないおそれがあります。
実務経験を使用する後任者については、経験年数だけでなく、必要な証明資料を用意できるかを交代前に確認しておくことが重要です。
2-5.前任者と後任者の交代日に空白期間がないか
後任者が必要な資格や実務経験を満たしていても、前任者の退職日と後任者の配置日に空白期間が生じる場合には注意が必要です。
営業所技術者等は、建設業許可を受けている期間中、営業所に継続して配置する必要があります。
そのため、変更届の提出期限内であっても、後任者が配置されるまで営業所技術者等が不在となる期間を設けてよいわけではありません。
交代前には、次の事項を確認しておきましょう。
- 前任者が営業所技術者等を退く日
- 後任者が申請会社に常勤する日
- 後任者が担当できる許可業種
- 一般・特定の許可区分への対応
- 他の営業所に配置する技術者への影響
特に、複数の営業所を設けている会社では、一人の技術者の異動によって、異動元と異動先の両方で配置状況が変わることがあります。
営業所技術者等の変更では、前任者から後任者への交代時に、許可要件を途切れさせないことが重要です。
次章では、東京都に提出する営業所技術者等の変更届に必要な書類について解説します。
第3章 営業所技術者等の変更届に必要な書類
東京都で営業所技術者等を変更する場合には、変更届出書などの所定様式に加えて、後任者の資格や実務経験、常勤性を確認するための資料が必要です。
また、後任者だけでなく、前任者についても交代時点の常勤性を確認できる資料が求められます。
必要書類は、後任者の資格、実務経験の証明方法、変更内容によって異なります。
3-1.営業所技術者等の変更届で提出する基本書類
営業所技術者等を変更する場合、主に次の書類を提出します。
| 書類名 | 様式・内容 |
|---|---|
| 変更届出書(第一面) | 様式第22号の2 |
| 営業所技術者等一覧表 | 別紙4 |
| 別とじ表紙 | 東京都指定様式 |
| 営業所技術者等証明書 | 様式第8号 |
| 後任者の資格・実務経験を証明する書類 | 資格証明書、実務経験証明書等 |
| 前任者・後任者の確認資料 | 交代日時点の常勤性を確認する資料 |
| 後任者の技術者要件の確認資料 | 実務経験に関する裏付け資料等 |
なお、営業所技術者等証明書(様式第8号)は、単純な交代なのか、担当業種の変更なのか、営業所の異動なのかによって記載方法や必要枚数が異なります。
同じ人が引き続き営業所技術者等を担当する場合でも、担当業種や有資格区分を変更するときは、所定の変更手続きが必要です。
また、後任者を配置できず、一部の許可業種を廃止する場合には、通常の交代とは異なる書類が必要になります。
3-2.後任者の資格を証明する書類
後任者が国家資格によって営業所技術者等の要件を満たす場合には、その資格を確認できる書類を提出します。
例えば、施工管理技士などの資格を使用する場合には、該当する資格者証や合格証明書などの写しを用意します。
一方、資格によっては、資格を取得していることに加えて、一定期間の実務経験が必要になる場合があります。
その場合には、資格を確認する書類だけでなく、実務経験証明書なども必要です。
主な確認事項は次のとおりです。
- 後任者の資格が、担当する許可業種に対応しているか
- 一般建設業・特定建設業の許可区分に対応しているか
- 資格取得後の実務経験が必要な資格ではないか
- 資格者証などに記載された氏名が現在の氏名と一致しているか
国家資格者を後任にする場合でも、資格証の写しだけですべての変更手続きが完了するとは限りません。
なお、営業所技術者等に必要な国家資格や実務経験の詳しい要件については、別記事「営業所技術者等の要件」で解説しています。
3-3.実務経験によって後任者の要件を証明する場合
後任者が国家資格ではなく、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たす場合には、実務経験証明書と、その内容を裏付ける資料が必要です。
経験の内容によって、主に次のような書類を使用します。
- 実務経験証明書(様式第9号)
- 指導監督的実務経験証明書(様式第10号。該当する場合)
- 指定学科の卒業証明書など(該当する場合)
- 経験期間中の工事内容や実績を確認できる契約書・注文書・請求書など
- 経験期間中に証明会社に在籍していたことを確認できる資料
実務経験を使用する場合には、経験年数だけでなく、実際に従事した工事が該当業種の工事に当たるかを確認する必要があります。
また、以前勤務していた会社での実務経験を使用する場合には、その会社での在籍期間を確認する資料も必要となります。
例えば、過去に勤務していた会社が廃業している場合や、当時の工事資料が十分に残っていない場合には、経験の証明が難しくなることがあります。
実務経験による後任者の変更では、変更届の作成前に、必要な期間を証明できる資料がそろうかを確認しておくことが重要です。
3-4.後任者の常勤性を確認する資料
営業所技術者等の後任者については、交代日時点で申請会社に常勤していることを確認できる資料が必要です。
法人の場合、申請会社への所属を証明する資料として、主に次のような書類が使用されます。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写し
- 健康保険・厚生年金保険資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し
- 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票の写し
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写し
- 健康保険組合等が発行する申請会社への在籍を証明する資格証明書
- 一定額の役員報酬を確認できる法人税確定申告書等
これらをすべて提出するわけではなく、後任者の雇用形態や加入状況などに応じて必要な資料を選択します。
新たに採用した従業員の場合には、社会保険の資格取得に関する書類を使用することもあります。
また、他社からの出向者を営業所技術者等にする場合には、出向契約書や発令通知書、出向費用の負担状況を確認できる資料などが必要になることがあります。
後任者が国家資格を持っていても、申請会社への常勤性を確認できなければ、営業所技術者等として届け出ることはできません。
3-5.本人確認資料と常勤性確認資料の違い
営業所技術者等の変更では、本人の住所や生年月日などを確認する資料として、次の書類が使用されます。
- 有効期限内の健康保険の資格確認書の写し
- 有効期限内の運転免許証の写し(両面)
- 発行後3か月以内の住民票(個人番号・住民票コードを省略したもの)
法人の場合、申請会社への所属を証明する資料に生年月日が記載されていなければ、これらの資料もあわせて必要になります。
ここで注意したいのは、本人確認資料と常勤性を証明する資料は、必ずしも同じではないという点です。
例えば、運転免許証や住民票で本人の住所や生年月日を確認できても、それだけで申請会社に常勤していることを証明できるわけではありません。
また、健康保険の「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」は異なる書類です。
従来の健康保険証の写しについても、営業所技術者等の変更における常勤性の確認資料として使用することはできません。
3-6.前任者の常勤性を確認する資料
営業所技術者等の変更届では、後任者だけでなく、前任者についても交代時点の常勤性を確認できる資料が必要です。
前任者が退職している場合には、通常の常勤性確認資料に代えて、次のいずれかを用意します。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の写し(受付印付き)
- 健康保険・厚生年金保険の資格喪失通知の写し
70歳以上の場合には、厚生年金保険70歳以上被用者不該当届の写し(受付印付き)、または不該当のお知らせの写しが対象になります。
例えば、前任者がすでに退職しており、後任者の資格や常勤性の確認資料がすべてそろっている場合でも、前任者の退職に関する資料が不足していると、変更届の準備に支障が生じます。
営業所技術者等の交代では、後任者の資料だけでなく、前任者の退職・資格喪失に関する資料も忘れずに準備することが重要です。
なお、同一人物について有資格区分や担当業種だけを変更する場合には、通常の交代とは確認資料の取扱いが異なります。
3-7.後任者がいない場合や一部の業種を廃止する場合
営業所技術者等が退職し、後任者を確保できない場合には、通常の交代とは異なる対応が必要になります。
例えば、電気工事業と管工事業の許可を受けている会社で、管工事業を担当できる後任者がいない場合には、管工事業の許可を維持できなくなる可能性があります。
このように、一部の許可業種について営業所技術者等を確保できない場合には、該当業種の一部廃業届が必要になることがあります。
後任者がいないことを理由として営業所技術者等を削除する場合には、届出書(様式第22号の3)を使用し、必要な廃業届をあわせて提出します。
営業所技術者等を削除するだけで、必要な技術者がいない業種の許可をそのまま維持できるわけではありません。
複数の許可業種を持つ会社では、前任者の退職によってどの業種に影響が生じるかを確認してから手続きを進める必要があります。
次章では、営業所技術者等の退職・交代時に注意すべきポイントについて解説します。
第4章 営業所技術者等の退職・交代時に注意すべきポイント
営業所技術者等の変更では、後任者の資格や実務経験を確認するだけでなく、前任者の退職日、後任者の入社日、担当業種などを正確に把握する必要があります。
特に、営業所技術者等は建設業許可を維持するために必要な人的要件であるため、変更届の提出期限内であっても、技術者が不在となる期間を設けてよいわけではありません。
ここでは、営業所技術者等の退職や交代に伴い、実務上注意しておきたいポイントを解説します。
4-1.退職日と後任者の配置日に空白期間を生じさせない
営業所技術者等が退職する場合には、前任者が営業所技術者等を退く日と、後任者が配置される日を確認する必要があります。
例えば、前任者が3月31日付で退職し、後任者が4月1日から入社する場合には、後任者が4月1日から必要な資格や常勤性の要件を満たしているかを確認します。
一方、後任者の入社日が4月10日になる場合には、4月1日から4月9日まで営業所技術者等が不在となるおそれがあります。
変更届を2週間以内に提出したとしても、その間の技術者不在が認められるわけではありません。
そのため、後任者を新たに採用する場合には、前任者の退職日と後任者の勤務開始日を調整することが重要です。
また、後任者がすでに在籍している従業員であっても、必要な資格や実務経験を満たしていることを、交代前に確認しておく必要があります。
4-2.同じ会社の従業員でも、営業所を異動する場合は注意する
複数の営業所を設けている建設会社では、営業所技術者等を別の営業所へ異動させるケースがあります。
例えば、本店の営業所技術者等を支店へ異動させる場合には、異動先で必要な要件を満たしているかだけでなく、異動元の本店でも営業所技術者等の配置が維持されるかを確認する必要があります。
本店で複数の許可業種を一人の営業所技術者等が担当していた場合、その人の異動によって、本店の複数業種に影響が生じることもあります。
また、営業所技術者等は、原則として所属する営業所でその職務を行う必要があります。
同じ会社に在籍しているからといって、一人の営業所技術者等を複数の営業所に同時に配置できるわけではありません。
営業所間の異動を予定している場合には、異動元と異動先の両方について、担当業種と技術者の配置状況を確認することが重要です。
4-3.前任者の退職前に常勤性確認資料を整理する
営業所技術者等の変更届では、後任者の資格や常勤性に関する資料だけでなく、前任者についても交代時点の確認資料が必要です。
前任者が退職した場合には、健康保険・厚生年金保険の資格喪失に関する資料などを使用することがあります。
ただし、退職日と社会保険の資格喪失手続きには時間差が生じる場合があります。
例えば、退職後すぐに変更届を提出しようとしても、社会保険の資格喪失手続きが完了していなければ、必要な確認資料がそろわないことがあります。
そのため、前任者の退職が予定されている場合には、会社の人事・総務担当者とも連携し、必要な資料を事前に確認しておくことが重要です。
後任者の資料だけを準備して、前任者の退職に関する確認資料を見落とさないよう注意が必要です。
4-4.担当業種や有資格区分だけを変更する場合
営業所技術者等の変更は、前任者と後任者が別人になる場合だけではありません。
同じ従業員が引き続き営業所技術者等を務める場合でも、担当業種や有資格区分を変更するときには、変更手続きが必要になることがあります。
例えば、現在届け出ている資格とは別の資格を取得し、その資格によって担当業種や有資格区分を変更するケースです。
この場合には、前任者の退職を伴う交代とは異なり、通常の交代で必要となる前任者・後任者の常勤性確認資料を省略できる取扱いがあります。
ただし、新たに届け出る資格や実務経験については、必要な確認資料を用意する必要があります。
同じ人が担当する場合と、別の人に交代する場合とでは、届出書の記載方法や添付資料が異なります。
単に資格を取得しただけなのか、実際に担当業種や有資格区分を変更するのかを整理してから手続きを進めることが重要です。
4-5.変更届を提出していないまま更新時期を迎えた場合
営業所技術者等が交代したにもかかわらず、変更届を提出しないまま建設業許可の更新時期を迎えるケースもあります。
例えば、営業所技術者等が数か月前に退職し、別の有資格者が後任になっていたものの、変更届を提出していなかった場合です。
このような場合には、まず、前任者の退職日と後任者の配置日を確認し、交代時点で許可要件を継続して満たしていたかを整理する必要があります。
後任者が必要な要件を満たしており、交代時に空白期間がなかった場合でも、変更届の提出義務がなくなるわけではありません。
未提出の変更届について必要な対応を行ったうえで、更新申請を進めることになります。
一方、退職後に後任者がいない期間があった場合には、単に変更届を遡って提出するだけでは解決できない問題が生じます。
変更届の提出漏れと、営業所技術者等の要件を欠いていた問題は、区別して考える必要があります。
営業所技術者等の変更届を長期間提出していなかった場合には、当時の配置状況と確認資料を整理することが重要です。
4-6.後任者を確保できない場合は許可業種への影響を確認する
営業所技術者等が突然退職し、後任者を確保できない場合には、その技術者が担当していた許可業種について、許可要件を満たせなくなることがあります。
特に、一人の営業所技術者等が複数の業種を担当している場合には、影響する業種を正確に確認する必要があります。
一部の業種について別の技術者を配置できる場合には、残せる業種と廃業が必要になる業種を整理することになります。
一方、必要な技術者をまったく確保できない場合には、すべての許可業種に影響する可能性があります。
後任者が不在となった場合の許可維持や廃業の判断については、別記事「突然、営業所技術者が退職した場合、建設業許可は維持できる?」で詳しく解説しています。
営業所技術者等の退職・交代は、変更届の提出だけでなく、会社が保有する建設業許可の維持にも関わる問題です。
そのため、退職が予定されている場合には、後任者の確保、担当業種の確認、交代日の調整を事前に進めておくことが重要です。
次章では、東京都への変更届の提出方法と手続きの流れについて解説します。
第5章 東京都への変更届の提出方法と手続きの流れ
営業所技術者等の変更届は、後任者の資格や実務経験、常勤性を確認し、必要書類をそろえたうえで東京都に提出します。
提出期限は変更後2週間以内と短いため、営業所技術者等の交代が決まってから準備を始めるのではなく、後任者の要件確認と書類の収集を交代前に進めておくことが重要です。
また、営業所技術者等の変更には、別の人への交代だけでなく、同じ人の担当業種や有資格区分の変更、営業所間の異動などもあります。
変更内容によって届出書の記載方法が異なるため、実際の変更内容を整理してから手続きを進める必要があります。
5-1.営業所技術者等の変更届の手続きの流れ
東京都で営業所技術者等を変更する場合、一般的には次の順序で手続きを進めます。
① 現在の営業所技術者等の配置状況を確認する
まず、変更前の営業所技術者等が、どの営業所で、どの許可業種を担当しているかを確認します。
一人で複数の許可業種を担当している場合には、交代によって影響する業種を整理します。
② 後任者の資格・実務経験・常勤性を確認する
後任者が担当予定の許可業種について、必要な資格や実務経験を備えているかを確認します。
あわせて、一般建設業・特定建設業の許可区分に対応しているか、交代日から営業所に常勤できるかも確認します。
③ 前任者と後任者の交代日を確認する
前任者が営業所技術者等を退く日と、後任者が配置される日を確認します。
特に、新たに従業員を採用する場合や、別の営業所から異動させる場合には、営業所技術者等が不在となる期間が生じないよう注意が必要です。
④ 必要書類を収集・作成する
営業所技術者等証明書(様式第8号)などを作成し、資格証明書や実務経験証明書、常勤性の確認資料を準備します。
前任者が退職する場合には、退職に伴う確認資料も必要となります。
⑤ 東京都へ変更届を提出する
変更内容に応じた提出方法を確認し、変更後2週間以内に届出を行います。
提出後に資料の追加や補正を求められる場合もあるため、届出書の控えや確認資料は適切に保管しておきましょう。
5-2.様式第8号は変更内容によって記載区分が異なる
営業所技術者等の変更届では、営業所技術者等証明書(様式第8号)を使用します。
この書類は、営業所技術者等の変更内容によって記載区分が異なります。
主な区分は次のとおりです。
| 区分 | 変更内容 |
|---|---|
| 2 | 担当業種または有資格区分の変更 |
| 3 | 営業所技術者等の追加 |
| 4 | 交代に伴う営業所技術者等の削除 |
| 5 | 営業所のみの変更 |
例えば、現在の営業所技術者等が退職し、別の従業員が後任となる場合には、原則として、前任者の削除と後任者の追加をそれぞれ届け出ます。
この場合、様式第8号は区分ごとに作成するため、通常は2枚必要です。
一方、同じ営業所技術者等が新たな資格を取得し、有資格区分を変更する場合には、区分「2」を使用します。
また、営業所間の配置変更など、営業所のみが変更になる場合には、区分「5」を使用するケースがあります。
営業所技術者等の変更では、同じ様式第8号を使用していても、変更内容によって記載区分や作成枚数が異なります。
なお、後任者を配置せず、許可業種の廃止などに伴って営業所技術者等を削除する場合には、様式第8号ではなく、届出書(様式第22号の3)を使用するケースがあります。
5-3.窓口提出と郵送提出の違い
東京都では、営業所技術者等の変更届について、窓口での審査のほか、一定の条件を満たす場合には郵送による提出も認められています。
ただし、営業所技術者等の変更届がすべて郵送できるわけではありません。
後任者が国家資格によって要件を満たす場合と、実務経験によって要件を満たす場合とでは、提出資料や審査方法が異なります。
特に、工事の契約書・注文書・請求書などを使用して実務経験を証明する場合には、窓口での確認が必要となることがあります。
また、証明資料の内容によっては、追加の説明や資料の提出が必要になる場合もあります。
そのため、郵送提出を予定している場合には、変更内容と証明方法が郵送受付の対象になっているかを事前に確認することが重要です。
5-4.営業所の変更や業種廃止を伴う場合
営業所技術者等の変更が、営業所の新設・廃止や許可業種の変更と同時に発生する場合には、営業所技術者等の変更届だけでは手続きが完了しないことがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 新たな営業所を設置し、営業所技術者等を配置する
- 営業所を廃止し、技術者を本店へ異動させる
- 営業所で取り扱う許可業種を変更する
- 後任者を確保できず、一部の許可業種を廃止する
このような場合には、営業所に関する変更届や、一部廃業届などが必要になることがあります。
また、営業所技術者等の変更を伴う営業所の新設・廃止、業種の変更、一部廃業については、変更後2週間以内の届出が必要となる場合があるため、提出期限にも注意が必要です。
単に営業所技術者等を入れ替える手続きなのか、営業所や許可業種そのものにも変更が生じるのかを整理しておきましょう。
5-5.変更届の提出前に確認したいこと
営業所技術者等の変更届を提出する前には、次の事項を確認しておきましょう。
- 前任者が担当していた許可業種を把握しているか
- 後任者が必要な資格や実務経験を満たしているか
- 一般建設業・特定建設業の区分に対応しているか
- 後任者の常勤性を確認できるか
- 前任者と後任者の交代日に空白期間がないか
- 前任者の退職関係資料を準備できているか
- 様式第8号の記載区分が変更内容と一致しているか
- 営業所の変更や一部廃業など、関連する届出が必要ではないか
- 変更後2週間以内の提出期限に間に合うか
営業所技術者等の変更届では、書類を作成すること以上に、後任者が現在の許可業種を引き続き担当できること、交代時点で許可要件を満たしていることが重要になります。
特に、複数の許可業種を一人の営業所技術者等が担当している場合や、実務経験によって後任者の要件を証明する場合には、準備に時間がかかることがあります。
営業所技術者等の退職や異動が予定されている場合には、変更後に慌てて手続きを進めるのではなく、事前に配置状況と必要書類を確認しておくことをおすすめします。
まとめ|営業所技術者等の変更は後任者の確保と事前準備が重要
東京都で営業所技術者等が退職・異動・交代した場合には、変更が生じた日から2週間以内に変更届を提出する必要があります。
営業所技術者等は建設業許可を維持するために必要な人的要件であり、後任者を決めるだけでなく、資格や実務経験、常勤性を確認することが重要です。
特に、次の点に注意が必要です。
- 後任者が現在の許可業種をすべて担当できるか確認すること
- 一般建設業・特定建設業の許可区分に対応していること
- 後任者の資格・実務経験・常勤性を証明する資料を準備すること
- 前任者の退職に関する確認資料も忘れずに用意すること
- 前任者と後任者の交代時に、技術者が不在となる期間を生じさせないこと
- 営業所の異動や一部廃業など、関連する届出の要否も確認すること
営業所技術者等の変更で最も重要なのは、変更届を提出することだけでなく、建設業許可の要件を継続して満たすことです。
特に、一人の営業所技術者等が複数の許可業種を担当している場合には、その人の退職によって複数の業種に影響が及ぶことがあります。
また、後任者が実務経験によって要件を満たす場合には、証明資料の収集に時間がかかることもあるため、退職・交代が決まる前から準備を進めておくことが重要です。
当事務所では、東京都の建設業許可に関する営業所技術者等の変更届について、後任者の要件確認から必要書類の収集、変更届の作成・提出まで対応しています。
営業所技術者等の退職・交代を予定している建設業者様は、変更前の段階でご相談ください。









