東京都台東区の建築会社様から、石工事業と内装仕上工事業の一般建設業許可を取得したいとのご相談をいただきました。
今回の大きなポイントは、常勤役員等を誰にするかという点でした。
申請会社には取締役が3名在籍していましたが、いずれも就任から約3年で、常勤役員等として必要な建設業の経営経験を満たしていませんでした。
そこで検討したのが、建設業許可業者であるグループ会社で長年取締役を務めていた方を申請会社の取締役として迎え、常勤役員等に配置する方法です。
この方は、建設業許可業者であるグループ会社において約14年間の役員経験があり、経営経験については十分に確認できる状況でした。
一方で、現在は親会社の取締役にも就任しており、その役職を辞任することが難しいという事情がありました。
そこで、親会社の取締役を続けたまま申請会社へ出向し、申請会社の取締役として常勤役員等に配置する形を検討しました。
さらに、この方は75歳を超える後期高齢者であったため、通常の社会保険関係資料だけでは常勤性を確認できないという別の論点もありました。
そのため、出向契約の内容や報酬の支払い、勤務実態などを整理し、申請会社に常勤していることを確認できる資料を準備しました。
また、営業所技術者等については、従業員の方が二級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を保有していたため、石工事業と内装仕上工事業の技術者要件を確認しました。
この記事では、既存の取締役では常勤役員等の経験年数が不足していた会社様について、グループ会社での役員経験がある後期高齢者の取締役を出向で配置し、石工事業・内装仕上工事業の一般建設業許可を取得した事例をご紹介します。
第1章 ご相談の内容
今回ご相談いただいたのは、東京都台東区で建築工事を行っている会社様です。
石工事業と内装仕上工事業の一般建設業許可を取得したいとのことで、まずは会社の役員構成や技術者資格、営業所、財産的基礎などを確認するところからスタートしました。
今回の申請で最も大きな課題となったのは、常勤役員等を誰にするかという点でした。
申請会社にはすでに3名の取締役が在籍していましたが、いずれも就任から約3年程度で、常勤役員等として必要となる建設業の経営経験を満たしていませんでした。
そこで、建設業許可業者であるグループ会社で役員経験のある方を、申請会社の常勤役員等として配置できないか検討しました。
その結果、建設業許可業者であるグループ会社で約14年間、取締役として建設業の経営に携わっていた方が候補となりました。
経営経験については十分に確認できる状況でしたが、この方は現在、親会社の取締役にも就任していました。
しかも、親会社側の事情から、その役職を辞任することは難しい状況でした。
そのため今回の申請では、親会社の取締役を続けながら、申請会社へ出向し、申請会社の取締役として常勤役員等に配置できるかを慎重に検討することになりました。
さらに、この方は75歳を超える後期高齢者であったため、通常の社会保険関係資料だけでは常勤性を確認できないという点も大きな論点となりました。
今回の申請では、
・建設業許可業者であるグループ会社での約14年間の役員経験
・申請会社への取締役就任
・親会社からの出向という勤務形態
・後期高齢者であることを踏まえた常勤性の確認
・営業所技術者等の資格
・営業所や財産的基礎などその他の許可要件
を一つずつ整理し、石工事業と内装仕上工事業の一般建設業許可取得に向けて準備を進めました。
第2章 建設業許可業者であるグループ会社での役員経験を活用
今回の会社様では、申請会社に在籍していた既存の取締役3名では、常勤役員等として必要となる建設業の経営経験を満たしていませんでした。
そこで候補となったのが、建設業許可業者であるグループ会社で長年取締役を務めていた方です。
この方は、グループ会社において約14年間、取締役として建設業の経営に携わっていました。
そのため、常勤役員等に必要となる建設業の経営経験については、十分な期間を確認することができました。
一方で、今回の申請では、単に過去に取締役を務めていたという事実だけでは足りません。
その会社が実際に建設業を営んでいたことや、その方が取締役として在任していた期間を、確認資料によって裏付けていく必要があります。
今回については、役員として在任していた会社が建設業許可業者であったため、その許可状況と役員在任期間を確認しながら、常勤役員等としての経営経験を整理しました。
また、申請会社の常勤役員等として配置するためには、この方自身が申請会社の役員に就任する必要があります。
そこで、申請会社の取締役に新たに就任していただき、役員変更の登記手続を進めてもらいました。
ここまでは比較的整理しやすい部分でしたが、今回の案件にはもう一つ大きな問題がありました。
この方は、すでに親会社の取締役にも就任しており、その役職を辞任することが難しい状況だったのです。
建設業許可の常勤役員等には、申請会社に常勤していることが求められます。
そのため、親会社の取締役を続けたまま、申請会社の常勤役員等として認められるのかが、今回の申請における重要な検討事項となりました。
そこで、親会社との役員関係を維持しながら、申請会社へ出向する形を取り、申請会社での勤務実態と常勤性を明確にする方向で準備を進めることになりました。
第3章 親会社の取締役を続けたまま申請会社へ出向
今回の案件で特に慎重な検討が必要となったのが、常勤役員等に配置する方の勤務形態です。
この方は、建設業許可業者であるグループ会社で約14年間の取締役経験があり、建設業に関する経営経験については問題ありませんでした。
しかし、現在は親会社の取締役に就任しており、親会社側の事情から、その役職を辞任することが難しい状況でした。
建設業許可の常勤役員等は、申請会社に常勤していることが必要です。
そのため、他社の取締役を兼ねている場合には、肩書だけを見るのではなく、実際にどの会社で勤務し、どのような勤務体制になっているのかを確認する必要があります。
今回については、親会社の取締役という地位を残したまま、申請会社へ出向する形で勤務してもらうことになりました。
申請会社では新たに取締役へ就任してもらい、あわせて親会社と申請会社との間で出向契約を締結しました。
出向者を常勤役員等として配置する場合には、「出向している」という説明だけではなく、申請会社における実際の勤務状況を確認できる状態にしておくことが重要です。
そのため今回の申請では、
・申請会社の取締役に就任していること
・親会社から申請会社へ出向していること
・出向契約の内容
・申請会社で常勤していること
・出向に伴う費用負担や給与関係
などを整理しました。
グループ会社間では、役員や従業員が複数の会社に関係していることも珍しくありません。
しかし、建設業許可では、グループ会社であるという理由だけで常勤性が認められるわけではありません。
申請会社の常勤役員等として、実際にその会社で勤務していることを説明できる資料と勤務実態が必要になります。
今回の会社様では、親会社の取締役を辞任させるのではなく、出向という形を採ることで、グループ内の役員体制を維持しながら申請会社の常勤役員等を確保する方向で手続を進めました。
第4章 75歳を超える後期高齢者の常勤性を確認
今回の案件では、出向という勤務形態に加えて、常勤役員等に配置する方が75歳を超える後期高齢者であることも重要な確認事項となりました。
建設業許可では、常勤役員等について、申請会社に常勤していることを確認できる資料が必要になります。
しかし、75歳を超える後期高齢者の場合、一般的な社会保険加入者とは確認方法が異なるため、通常と同じ資料だけで常勤性を説明することができません。
そのため今回は、出向契約の内容とあわせて、申請会社で実際に常勤していることを確認できる資料を準備しました。
また、住民税についても申請会社で特別徴収を行う形に切り替え、申請会社との勤務関係が明確になるよう整理しました。
今回のような出向者の場合には、
・申請会社の取締役として就任していること
・親会社から申請会社への出向契約があること
・申請会社で実際に常勤していること
・出向に伴う費用負担が確認できること
・給与や住民税などから申請会社との勤務関係を確認できること
などを総合的に整理することが重要です。
特に、後期高齢者であることだけを理由に常勤役員等になれないわけではありません。
年齢ではなく、申請会社において実際に常勤し、常勤役員等として職務を行っていることを確認できるかがポイントになります。
今回の会社様では、親会社の取締役という立場を維持しながら申請会社へ出向し、さらに75歳を超える後期高齢者という状況でした。
そこで、通常の役員就任だけで判断するのではなく、出向契約や勤務実態、給与関係などを一つずつ整理し、申請会社の常勤役員等としての常勤性を確認できる形を整えました。
第5章 二級建築施工管理技士(仕上げ)で営業所技術者等の要件を確認
今回の会社様では、常勤役員等の要件とあわせて、石工事業と内装仕上工事業の営業所技術者等を誰にするかについても確認しました。
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに、許可を受けようとする業種について一定の資格または実務経験を有する営業所技術者等を配置する必要があります。
今回、申請会社の従業員の方が、二級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を保有していました。
そのため、石工事業と内装仕上工事業について、営業所技術者等の要件を資格で満たすことができるかを確認しました。
今回の申請では、この従業員の方を営業所技術者等として配置する形で手続を進めました。
常勤役員等については、グループ会社で長年役員を務めていた方を出向によって配置しましたが、営業所技術者等については、申請会社に在籍する有資格者を配置することで、それぞれの人的要件を分けて整理することができました。
今回の会社様では、
・常勤役員等は、建設業許可業者であるグループ会社で約14年間の役員経験がある出向取締役
・営業所技術者等は、二級建築施工管理技士(仕上げ)を保有する従業員
という体制で申請しました。
建設業許可では、常勤役員等と営業所技術者等を同じ人物が兼ねるケースもありますが、必ずしも一人で両方を満たす必要はありません。
今回のように、それぞれの要件を満たす人材を社内やグループ内から適切に配置することで、許可要件を整えることができます。
こうして人的要件を整理したうえで、営業所や財産的基礎、社会保険の加入状況などその他の要件も確認し、石工事業と内装仕上工事業の一般建設業許可申請へ進みました。
第6章 石工事業・内装仕上工事業の一般建設業許可を取得
常勤役員等、営業所技術者等、営業所、財産的基礎、社会保険の加入状況など、建設業許可に必要となる要件を一つずつ確認し、申請書類を整えました。
今回の会社様では、特に常勤役員等の配置が大きなポイントとなりました。
既存の取締役では建設業の経営経験が不足していたため、建設業許可業者であるグループ会社で約14年間の取締役経験がある方を、新たに申請会社の取締役として迎えました。
さらに、その方は親会社の取締役を続ける必要があったため、親会社から申請会社へ出向する形を取りました。
また、75歳を超える後期高齢者であったことから、通常とは異なる形で常勤性を確認できる資料を整えました。
営業所技術者等については、二級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を保有する従業員の方を配置しました。
財産的基礎についても、直近の決算内容から一般建設業許可に必要となる要件を満たしていることを確認しました。
こうしてすべての許可要件を整理したうえで、東京都へ石工事業と内装仕上工事業の一般建設業許可を新規申請しました。
申請は無事に受理され、その後、石工事業と内装仕上工事業の一般建設業許可を取得することができました。
今回の事例では、単に建設業の経営経験がある人を探すだけではなく、
・グループ会社での役員経験を活用する
・親会社の役員を辞任させずに出向という形を取る
・後期高齢者であることを踏まえて常勤性を確認する
・営業所技術者等は別の従業員を配置する
という形で、会社の実情に合わせて人的要件を組み立てました。
建設業許可では、最初に見た時点では要件を満たしていないように見える会社でも、グループ会社での役員経験や社内の有資格者などを確認することで、申請可能な体制を整えられる場合があります。
今回の会社様についても、会社の組織やグループ内の人員配置を一つずつ確認することで、石工事業と内装仕上工事業の建設業許可取得につなげることができました。









