東京都の建設会社様から、経営事項審査(経審)のご依頼をいただきました。
今回の会社様は、とび・土工工事業を中心に9業種で経営事項審査を受けており、技術者は5名。防災協定への加入、建設業退職金共済制度(建退共)への加入、建設機械6台の保有など、社会性等の評価につながる体制も整えていました。
前回の総合評定値(P点)は664点でしたが、今回の経営事項審査では694点となり、30点上昇しました。
経営事項審査では、完成工事高だけでなく、自己資本や利益額、経営状況、技術職員の資格・人数、社会性等のさまざまな項目が総合的に評価されます。そのため、単に売上が増えればP点も上がるというものではありません。
今回は、9業種という比較的多くの業種について、5名の技術者をどのように配置して評価につなげるかを整理するとともに、防災協定・建退共・建設機械など、すでに会社が取り組んでいる内容を経審に正しく反映させました。
この記事では、東京都の建設会社様について、P点が664点から694点へ上昇した経営事項審査の事例をご紹介します。
第1章 ご相談の概要
東京都の建設会社様から、経営事項審査(経審)のご依頼をいただきました。
今回の会社様は、とび・土工工事業を中心に複数の建設業許可を保有しており、経営事項審査では9業種について申請しています。
技術者は5名在籍しており、それぞれの資格や実務経験を確認しながら、各業種についてどの技術者を技術職員として配置するかを整理する必要がありました。
また、防災協定への加入、建設業退職金共済制度(建退共)への加入、建設機械6台の保有など、経営事項審査の社会性等の評価につながる取組みも行っていました。
前回の経営事項審査では、総合評定値(P点)は664点。
今回の審査では694点となり、30点上昇しました。
経営事項審査は、完成工事高だけで評価されるものではありません。
経営規模、経営状況、技術力、社会性等の複数の項目を総合して評価されます。
そのため今回は、9業種の完成工事高だけでなく、5名の技術者の配置、防災協定、建退共、建設機械など、会社がすでに保有している評価要素を一つずつ確認し、経審に正しく反映させることが重要なポイントとなりました。
第2章 今回の経営事項審査の結果
今回の経営事項審査では、総合評定値(P点)が前回の664点から694点となり、30点上昇しました。
各評価項目の推移は、次のとおりです。
- P 664 → 694 +30
- X1 637 → 679 +42
- X2 607 → 618 +11
- Y 954 → 974 +20
- Z 573 → 629 +56
- W 533 → 542 +9
今回、特に大きく伸びたのがX1とZです。
X1は完成工事高に関する評価で、前回637点から今回679点へ42点上昇しました。
また、技術力を評価するZは573点から629点へ56点上昇しています。
9業種について経営事項審査を受ける中で、5名の技術者の資格や実務経験を確認し、各業種にどの技術者を配置するかを整理したことがポイントとなりました。
そのほか、経営規模を評価するX2は607点から618点、経営状況を示すYは954点から974点、社会性等を評価するWは533点から542点へそれぞれ上昇しています。
経営事項審査では、どれか一つの項目だけで総合評定値が決まるわけではありません。
今回も、完成工事高、技術者、経営状況、防災協定、建退共、建設機械など、複数の評価項目の積み上げによって、最終的にP点が664点から694点へ改善する結果となりました。
第3章 9業種・技術者5名の技術職員名簿を整理
今回の経営事項審査では、9業種について申請する一方、技術者は5名という体制でした。
経営事項審査の技術力(Z)では、単純に技術者の人数だけを見るのではなく、各技術者がどの業種について評価対象となるのかを整理する必要があります。
そのため今回は、5名それぞれについて、
・保有している国家資格
・実務経験
・どの業種で技術職員として評価できるか
を確認し、9業種との組み合わせを整理しました。
複数の資格を持つ技術者や、複数業種で評価対象となる技術者がいる場合でも、経営事項審査上の扱いを踏まえて技術職員名簿を作成する必要があります。
特に、申請業種が多い会社では、「資格者がいるから大丈夫」と考えるだけでは不十分です。
どの技術者を、どの業種で評価させるのかを事前に整理しておかないと、せっかくの資格や経験を経営事項審査に十分反映できないことがあります。
今回の会社様では、こうした技術者の整理を行った結果、技術力を示すZ点は前回の573点から629点へ、56点上昇しました。
9業種を5名の技術者でカバーする会社だからこそ、技術職員名簿の作り方が経審結果に大きく影響する事例となりました。
第4章 防災協定・建退共・建設機械6台を経審に反映
今回の会社様では、技術者や完成工事高だけでなく、社会性等の評価につながる取組みも複数ありました。
具体的には、
・防災協定への加入
・建設業退職金共済制度(建退共)への加入
・建設機械6台の保有
です。
経営事項審査では、こうした会社の取組みも社会性等の評価対象となります。
ただし、実際に制度へ加入していたり、建設機械を保有していたりしても、経営事項審査の申請時に必要な資料を整え、正しく申告しなければ評価には反映されません。
そのため今回は、会社様がすでに行っている取組みについて、経審上どの項目で評価できるかを確認し、必要資料を整理して申請に反映しました。
特に建設機械については、保有していれば自動的に評価されるわけではなく、経審上の対象となる機械かどうかを確認する必要があります。
今回の会社様では6台の建設機械を保有しており、これらを含めて社会性等の評価項目を整理しました。
その結果、W点は前回の533点から542点へ9点上昇しました。
経営事項審査では、売上や技術者だけに目が向きがちですが、防災協定、退職金制度、建設機械など、会社がすでに取り組んでいる内容を漏れなく拾うことも重要です。
特に毎年経審を受けている会社では、前年と同じ内容で申請するだけではなく、「今年新たに評価できる項目はないか」「すでに取り組んでいるのに申告できていないものはないか」を確認することが、点数改善につながる場合があります。
第5章 P点は664点から694点へ
今回の経営事項審査では、総合評定値(P点)が前回の664点から694点へ上昇しました。
30点の上昇という結果だけを見ると、何か一つの大きな改善要因があったように見えますが、実際にはそうではありません。
今回の会社様では、
・完成工事高に関するX1
・経営規模を評価するX2
・経営状況を示すY
・技術力を評価するZ
・社会性等を評価するW
の各項目がそれぞれ上昇しています。
特に、X1は637点から679点、Zは573点から629点へ大きく改善しました。
一方で、X2・Y・Wについてもそれぞれ着実に上昇しており、最終的にはこれらの積み重ねによってP点が664点から694点となりました。
経営事項審査では、特定の項目だけを見て対策するよりも、会社全体の状況を確認し、「どの項目に改善余地があるのか」を把握することが重要です。
今回のように、完成工事高、技術者、経営状況、防災協定、建退共、建設機械などを一つずつ確認していくことで、結果として総合評定値の改善につながるケースがあります。
毎年経営事項審査を受けている会社であっても、前年と同じ申請を繰り返すのではなく、その年の会社の状況をあらためて確認することが大切です。
第6章 経審は申請前の整理で結果が変わることがある
経営事項審査では、会社の現在の状況を正しく把握し、それを申請内容へ漏れなく反映することが重要です。
今回の会社様でも、9業種の完成工事高、5名の技術者、防災協定、建退共、建設機械6台など、複数の評価要素を整理したうえで申請を行いました。
経審では、会社側が「これは評価対象にならないだろう」と思っていた内容が、実際には加点対象となることもあります。
反対に、以前から加入している制度や保有している設備であっても、必要な確認資料が揃っていなかったり、申請内容に反映されていなかったりすれば、評価につながりません。
また、技術者についても、人数だけではなく、保有資格や実務経験、どの業種で評価できるのかを整理することが必要です。
今回の事例では、こうした内容を一つずつ確認した結果、総合評定値(P点)は664点から694点へ上昇しました。
経営事項審査は、単に書類を作って提出するだけの手続ではありません。
毎年の申請内容を確認しながら、
・技術者の資格状況に変化はないか
・新たに評価できる建設機械はないか
・防災協定や退職金制度などで追加できる項目はないか
・完成工事高の内容に変化はないか
といった点を確認していくことで、今後の点数改善につながる可能性があります。
東京都で経営事項審査を受けている建設会社様で、「毎年同じように申請しているが、点数の見方がよく分からない」「今の会社の状況で改善できる項目があるか確認したい」という場合には、申請前に一度全体を整理してみることをおすすめします。









