東京都足立区の新設法人について、一般建設業許可(土木一式工事業・とび・土工工事業・舗装工事業・解体工事業)を取得した事例です。
こちらの会社様は、建設業許可を保有する会社で取締役を務めた経験のある方が代表取締役として就任していました。
そのため、まずは社長様の過去の取締役経験を使って、常勤役員等の要件を満たせるかを確認しました。
取締役としての在任期間は5年2か月ありましたが、そのうち前職会社が建設業許可を保有していた期間は4年6か月でした。
そのため、許可実績だけでは必要な経験期間に6か月不足していました。
そこで、不足する6か月分について、前職会社から工事請求書や入金確認資料を取り寄せ、実際に建設業を営んでいたことを資料で補足することで、常勤役員等として必要な経営経験を整理しました。
営業所技術者等については、社長様が二級土木施工管理技士(土木)の資格を保有していたため、その資格を使って複数業種の要件を確認しました。
また、新設法人として設立時の資本金は300万円でしたが、建設業許可申請前に増資を行い、登記上の資本金は500万円となっていました。
しかし、東京都の新規申請では開始貸借対照表上の資本金額を確認するため、今回のケースでは500万円以上の預金残高証明書も準備しました。
前職での経営経験の不足期間、営業所技術者等の資格、新設法人の財産的基礎などを一つずつ整理したうえで、東京都へ一般建設業許可4業種の新規申請を行った事例です。
第1章 前職会社の許可保有期間だけでは6か月不足していた
今回の会社様は、東京都足立区で設立されたばかりの新設法人です。
代表取締役には、以前勤務していた建設会社で取締役を務めた経験があり、その経歴を使って常勤役員等の要件を満たせるかを確認しました。
社長様の取締役としての在任期間は、合計で5年2か月ありました。
一見すると、常勤役員等に必要な5年以上の経営経験を満たしているように見えます。
しかし、詳しく確認すると、前職会社が建設業許可を保有していた期間は、そのうち4年6か月でした。
つまり、取締役としての在任期間は5年以上あっても、建設業許可業者としての実績だけで証明できる期間は4年6か月しかなく、6か月分が不足していたことになります。
そこで、不足する6か月について、前職会社が実際に建設業を営んでいたことを別の資料で補う方針をとりました。
具体的には、その期間に対応する工事請求書と、工事代金の入金を確認できる資料を前職会社から取り寄せました。
こうした資料を確認することで、建設業許可を取得する前の期間についても、実際に建設工事を請け負っていたことを整理することができました。
今回のケースでは、
・取締役としての在任期間
・前職会社の建設業許可保有期間
・許可取得前の工事実績
・工事代金の入金状況
をそれぞれ確認し、不足していた6か月分を補うことで、常勤役員等として必要な5年以上の建設業の経営経験を証明することができました。
取締役経験が5年以上あっても、その会社の建設業許可の保有期間と完全に一致しているとは限りません。
そのため、過去の経歴を使って常勤役員等の要件を確認する場合は、在任期間だけでなく、建設業許可の保有期間まで確認することが重要です。
第2章 二級土木施工管理技士(土木)で4業種の営業所技術者等を確認
今回の会社様では、代表取締役ご本人を営業所技術者等として配置することになりました。
社長様は、二級土木施工管理技士(土木)の資格を保有していました。
この資格によって、今回申請する土木一式工事業、とび・土工工事業、舗装工事業、解体工事業について、営業所技術者等の要件を満たせるかを確認しました。
新設法人で複数業種の建設業許可を同時に取得する場合には、それぞれの業種について営業所技術者等の要件を確認する必要があります。
今回のケースでは、社長様が保有する二級土木施工管理技士(土木)の資格をもとに、4業種について技術者要件を整理することができました。
また、営業所技術者等として配置するためには、資格だけでなく、その方が申請会社に常勤していることも確認する必要があります。
社長様は新設法人の代表取締役として常勤していたため、資格内容とあわせて常勤性についても確認しました。
今回の会社様では、
・常勤役員等は、前職会社での取締役経験と不足期間の実務資料で証明
・営業所技術者等は、社長様の二級土木施工管理技士(土木)の資格で確認
という形で、代表取締役ご本人が両方の人的要件を担う体制を整えました。
その結果、土木一式工事業、とび・土工工事業、舗装工事業、解体工事業の4業種について、一般建設業許可の申請を進めることができました。
第3章 設立時資本金300万円のため預金残高証明書で財産的基礎を確認
今回の会社様は、設立されたばかりの新設法人でした。
一般建設業許可を取得するためには、人的要件だけでなく、財産的基礎についても確認する必要があります。
会社設立時の資本金は300万円でした。
その後、建設業許可の新規申請前に約200万円を増資し、登記上の資本金は500万円となっていました。
一見すると、資本金500万円以上となったことで財産的基礎の要件を満たしているようにも見えます。
しかし、新設法人の新規申請では、開始貸借対照表上の資本金額を確認します。
今回の会社様では、開始貸借対照表に記載された資本金が設立時の300万円であったため、申請前に増資して登記上の資本金が500万円となっていても、それだけでは財産的基礎の確認をすることができませんでした。
そこで、取引金融機関から500万円以上の預金残高証明書を取得していただきました。
これにより、一般建設業許可に必要な財産的基礎を確認することができました。
新設法人の場合、建設業許可申請前に増資を行えば必ず残高証明書が不要になるわけではありません。
特に設立後間もなく、まだ決算期を迎えていない会社では、開始貸借対照表の内容を確認したうえで、必要に応じて預金残高証明書を準備することが重要です。
今回のケースは、登記上の資本金額だけではなく、開始貸借対照表まで確認したことで、申請直前になって財産的基礎の資料不足が生じることを避けることができました。
第4章 本店所在地の営業所要件を確認
今回の会社様では、登記上の本店所在地と、実際に建設業の営業を行う営業所所在地が同じ場所でした。
そのため、本店とは別の営業所を設けているケースのように、別途賃貸借契約書を用意する必要はありませんでした。
建設業許可上の営業所として認められるためには、単に法人登記上の所在地になっているだけでは足りません。
実際にその場所で建設業の営業活動を行うことができる事務所としての実態が必要です。
今回の営業所については、
・事務机
・複合機などの事務設備
・打ち合わせスペース
・建設業の営業を行うための事務所としての使用状況
を確認しました。
また、営業所技術者等として配置する社長様が、実際にこの営業所に常勤していることもあわせて確認しました。
新設法人の場合、会社設立時に登記した本店所在地をそのまま建設業許可上の営業所として使用するケースも多くあります。
その場合でも、登記があることだけで判断するのではなく、実際に営業所として使用できる状態になっているかを確認しておくことが重要です。
今回の会社様では、本店所在地に営業所としての設備と実態が整っていたため、一般建設業許可の営業所要件についても問題なく整理することができました。
第5章 4業種の一般建設業許可を東京都へ新規申請
常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所の各要件を確認したうえで、東京都へ一般建設業許可の新規申請を行いました。
今回申請した業種は、
・土木一式工事業
・とび・土工工事業
・舗装工事業
・解体工事業
の4業種です。
常勤役員等については、社長様の前職会社での取締役経験をもとに確認しました。
取締役在任期間は5年2か月ありましたが、前職会社の建設業許可保有期間は4年6か月だったため、不足する6か月分については工事請求書や入金資料を使って建設業の経営経験を補足しました。
営業所技術者等については、社長様が保有する二級土木施工管理技士(土木)の資格をもとに、今回申請する4業種の技術者要件を整理しました。
また、新設法人としての財産的基礎については、設立時の開始貸借対照表上の資本金が300万円だったため、申請前に増資して登記上の資本金が500万円となっていたものの、500万円以上の預金残高証明書を準備しました。
営業所についても、本店所在地に実際の営業所を設け、事務所としての実態を確認しました。
こうして必要な資料をすべて整え、東京都へ一般建設業許可4業種の新規申請を行い、無事に受理されました。
今回の事例では、単に「取締役経験が5年以上ある」「登記上の資本金が500万円ある」という表面的な確認だけでは足りませんでした。
前職会社の許可保有期間や、新設法人の開始貸借対照表まで確認したうえで、不足する部分を別の資料で補うことが重要な案件でした。
建設業許可の新規申請では、経験年数や資本金の数字だけで判断せず、その数字をどの資料で証明できるのかまで確認しておくことが重要です。









