建設業許可の更新時期になって履歴事項全部証明書を確認したところ、役員の就任や退任を建設業許可上で届け出ていなかったことが判明する場合があります。
この場合、
「役員変更届を出していなくても更新できるのか」
「役員変更届と更新申請を同時に提出できるのか」
「先に役員変更届を提出しなければならないのか」
と不安になる会社様も少なくありません。
結論から申し上げます。
役員変更届が未提出であっても、それだけで直ちに建設業許可を更新できなくなるわけではありません。
未提出となっている役員変更届を整理し、更新申請書の役員情報と現在の登記内容を一致させたうえで、更新申請を進めます。
東京都知事許可では、役員変更届を更新申請に先立って提出する場合もあれば、更新申請と同じ時期に提出する場合もあります。
ただし、単なる取締役の就任や退任だけでなく、代表取締役の交代や、常勤役員等を務める役員の変更が含まれている場合は注意が必要です。
特に、常勤役員等となっていた役員が退任している場合は、役員変更届だけを提出すれば済むとは限りません。
後任者が常勤役員等の要件を満たしているか、要件に空白期間が生じていないかを確認したうえで、人的要件に関する変更届も整理する必要があります。
また、登記上は同じ役員が続投していても、任期満了後の重任登記が未了となっていることがあります。
この場合は、役員変更届とは別に、登記内容を整えるための対応が必要です。
この記事では、東京都の建設業許可更新時に役員変更届が未提出だった場合の進め方、更新申請との同時提出、代表取締役や常勤役員等が変更している場合の注意点について解説します。
建設業許可の更新期限、必要書類、更新申請全体の流れについては、「【東京都】建設業許可の更新申請|期限・必要書類・30日前を過ぎた場合」をご確認ください。
第1章 建設業許可の更新と役員変更届は同時に提出できる
建設業許可の更新時に役員変更届が未提出であることが判明した場合でも、必要な変更内容を整理すれば、更新申請と同じ時期に提出できることがあります。
役員変更が未提出であることだけを理由に、直ちに更新できなくなるわけではありません。
ただし、更新申請書には現在の役員を記載するため、履歴事項全部証明書、役員変更届、更新申請書の内容を一致させる必要があります。
例えば、前回の更新後に取締役が退任し、新たな取締役が就任していたにもかかわらず、建設業許可の役員変更届を提出していなかった場合は、その就任・退任について変更届を作成します。
そのうえで、変更後の役員構成を反映した更新申請書を提出します。
役員変更届と更新申請を同じ日に提出する場合でも、手続き上は別の届出です。
更新申請書に現在の役員を記載するだけでは、過去に発生した役員変更を届け出たことにはなりません。
そのため、未提出となっている役員変更届を省略して、更新申請だけで現在の状態へ書き換えることはできません。
また、役員変更の内容によって、確認すべき事項は異なります。
単なる取締役や監査役の就任・退任であれば、役員変更届を整理して更新申請を進められることが多いでしょう。
一方、代表取締役や常勤役員等を務めていた役員が退任している場合は、役員変更届だけでなく、建設業許可の人的要件に関する変更手続きが必要になることがあります。
役員変更届と更新申請を同時期に提出する場合は、登記上の変更内容だけで判断せず、その役員が建設業許可上でどの立場にあったのかも確認します。
第2章 更新前に役員変更の有無を確認する
建設業許可の更新申請を行う前に、前回の新規申請または更新申請以降、役員に変更がなかったかを確認します。
確認の基準となるのは、現在の履歴事項全部証明書、前回の建設業許可申請書の副本、過去に提出した役員変更届です。
主に確認するのは、次の事項です。
・取締役の就任や退任
・監査役の就任や退任
・代表取締役の変更
・役員の氏名変更
・任期満了後の重任登記
登記簿に現在の役員が記載されていても、建設業許可上の役員変更届が提出されているとは限りません。
法務局で行う役員変更登記と、東京都へ提出する建設業許可の役員変更届は別の手続きです。
そのため、履歴事項全部証明書と過去の建設業許可申請書を照合し、役員構成に違いがある場合は、変更届の提出状況を確認します。
役員の就任や退任が複数回行われている場合は、現在の役員だけでなく、それぞれの変更日も整理します。
例えば、前回の更新後に取締役が就任し、その後に退任している場合は、現在の履歴事項全部証明書だけでは途中の経過を確認できないことがあります。
このような場合は、閉鎖事項証明書や過去の履歴事項全部証明書、株主総会議事録などを確認し、役員変更の経過を整理します。
また、役員変更が建設業許可の人的要件に影響していないかも確認します。
退任した役員が常勤役員等であった場合や、新たに就任した役員を常勤役員等とする場合は、通常の役員変更届とは別に、人的要件に関する変更届が必要です。
更新前の役員確認では、登記上の就任・退任だけでなく、その役員が建設業許可上でどのような立場にあったかまで確認します。
建設業許可上の役員変更届の提出期限や、未提出のままにした場合の影響については、「建設業許可の役員変更をしていないとどうなる?未提出のリスクと影響を解説」で詳しく解説しています。
第3章 役員変更届が未提出の場合の進め方
建設業許可の更新時に役員変更届が未提出であることが判明した場合は、まず変更の内容と時期を整理します。
確認するのは、役員の就任日、退任日、代表者変更の有無、建設業許可上の立場です。
そのうえで、未提出となっている役員変更届を作成し、現在の役員構成を反映した更新申請書を準備します。
役員変更届と更新申請を同じ時期に提出する場合でも、変更届には変更が発生した当時の内容を記載します。
現在の役員だけを記載して、途中の就任や退任を省略することはできません。
例えば、前回の更新後に取締役が就任し、その後に退任している場合は、現在その役員が登記されていなくても、就任と退任の経過を整理する必要があります。
役員変更届では、変更届出書のほか、新たに就任した役員に関する調書、身分証明書、登記されていないことの証明書などが必要になることがあります。
一方、退任のみの場合は、就任時とは必要書類が異なります。
また、変更から時間が経過している場合は、現在の履歴事項全部証明書だけでは過去の役員構成を確認できないことがあります。
その場合は、閉鎖事項証明書、過去の履歴事項全部証明書、株主総会議事録などから変更の経過を確認します。
役員変更届を提出した後、または更新申請と同じ時期に提出する場合は、更新申請書の役員等の一覧表や許可申請者の調書にも、現在の役員情報を反映します。
変更届と更新申請書で、氏名、役職、就任日などに不一致があると、補正や追加確認が必要になることがあります。
なお、退任した役員が常勤役員等を務めていた場合は、通常の役員変更届だけでは対応できません。
後任者の要件や変更時期を確認し、常勤役員等に関する変更届もあわせて整理します。
役員変更届が未提出の場合は、登記上の変更を届け出るだけでなく、建設業許可の人的要件に影響していないかまで確認したうえで、更新申請につなげます。
第4章 代表取締役が変更している場合の注意点
建設業許可の更新時に代表取締役が変更している場合は、通常の役員変更届だけでなく、建設業許可上の申請者や人的要件への影響も確認します。
代表取締役が交代していても、建設業許可が直ちに失効するわけではありません。
ただし、代表取締役の変更登記を済ませただけでは、建設業許可上の変更手続きは完了していません。
更新申請前に、代表者変更に関する届出が提出されているかを確認し、未提出であれば更新申請とあわせて整理します。
特に確認が必要なのは、前代表者が常勤役員等を務めていた場合です。
代表取締役を退任した人が、同時に取締役も退任している場合は、常勤役員等の変更が必要になることがあります。
この場合は、新しい代表取締役が自動的に常勤役員等になるわけではありません。
後任者が建設業の経営業務について必要な経験を有しているか、申請会社で常勤しているかを確認し、常勤役員等の要件を満たしていることを証明する必要があります。
一方、代表取締役だけが交代し、従前の常勤役員等が取締役として引き続き在任している場合は、代表者変更があっても常勤役員等の変更が生じないことがあります。
そのため、代表取締役の変更があった場合は、役職名だけで判断せず、次の事項を確認します。
・旧代表取締役が取締役として残っているか
・旧代表取締役が常勤役員等であったか
・新代表取締役を常勤役員等とする必要があるか
・常勤役員等の変更時期に空白がないか
・更新申請書の申請者情報を現在の代表者へ変更しているか
また、代表者が変更していても、建設業許可申請上の代表者欄に変更が生じていない場合など、具体的な登記内容によっては変更届の取扱いが異なることがあります。
更新申請では、履歴事項全部証明書、前回申請書、提出済みの変更届を照合し、代表者変更と常勤役員等の変更を分けて整理します。
代表取締役の変更は、単に役員名を書き換えるだけではなく、建設業許可の経営体制に影響していないかまで確認する必要があります。
常勤役員等として認められるための経験や常勤性の確認については、「【東京都対応】常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件を徹底解説」をご確認ください。
第5章 重任登記と役員変更届の違い
建設業許可の更新時には、取締役や監査役の重任登記が済んでいるかも確認します。
役員の重任とは、任期満了後も同じ人が引き続き役員に就任することです。
役員の顔ぶれが変わっていなくても、任期が満了した場合は、株主総会等で再任し、法務局で重任登記を行う必要があります。
一方、建設業許可上の役員変更届は、役員の就任や退任などによって役員構成に変更が生じた場合に提出する手続きです。
同じ役員が引き続き在任する重任では、通常、建設業許可上の役員そのものに変更はありません。
そのため、重任登記を行ったことだけを理由に、建設業許可の役員変更届が必要になるとは限りません。
ただし、重任登記が未了のまま更新時期を迎えると、履歴事項全部証明書に現在の役員任期が正しく反映されていないことがあります。
この場合は、役員変更届の問題ではなく、会社登記が未了となっている問題です。
更新申請では履歴事項全部証明書を提出するため、重任登記が未了であれば、登記手続きを進めたうえで現在の役員状況を確認できるようにします。
また、重任登記を長期間行っていなかった場合は、その間に役員の就任、退任、代表取締役の変更などがなかったかも確認します。
単なる重任登記の未了と思っていたものが、実際には役員変更届の未提出を伴っていることもあります。
更新申請前には、次の2点を分けて確認します。
・任期満了後の重任登記が済んでいるか
・役員の就任や退任に関する建設業許可の変更届が提出されているか
重任登記と役員変更届は、それぞれ法務局と東京都へ行う別の手続きです。
更新時には、履歴事項全部証明書と建設業許可上の届出内容を照合し、登記と許可の双方が現在の役員構成と一致している状態に整えます。
更新前に重任登記未了が判明した場合の対応や、登記完了が更新期限に間に合わない場合の進め方については、「【東京都】建設業許可の更新前に重任登記未了が判明した場合」をご確認ください。
第6章 更新時に役員情報を整理しておく
建設業許可の更新申請は、現在の役員情報と過去の届出状況を確認する機会でもあります。
役員変更届が未提出となっている場合は、就任日、退任日、代表者変更の有無を整理し、履歴事項全部証明書と建設業許可上の届出内容を一致させます。
また、役員の変更が常勤役員等に影響している場合は、通常の役員変更届だけでなく、人的要件に関する変更手続きも必要です。
更新申請書に現在の役員を記載するだけでは、過去の役員変更を届け出たことにはなりません。
そのため、前回の新規申請または更新申請以降の役員異動を確認し、未提出となっている変更届を整理したうえで更新申請を進めます。
今後の提出漏れを防ぐためには、役員変更登記が完了した時点で、建設業許可上の変更届が必要かどうかも確認する体制を整えておくと安心です。
当事務所では、東京都の建設業許可更新だけでなく、未提出となっている役員変更届、代表者変更、常勤役員等の変更についても対応しています。
更新時に役員変更の未提出が判明した場合や、どの変更届が必要か分からない場合は、許可期限に余裕があるうちにご相談ください。
役員変更届の整理中に許可満了日の30日前を過ぎていることが判明した場合は、「【東京都】建設業許可の更新申請が30日前を過ぎた場合|まだ間に合う?」もあわせてご確認ください。









