【東京都】管工事業の営業所技術者等(旧専任技術者)|資格・指定学科・実務経験

東京都で管工事業の建設業許可を取得するためには、管工事業を営む営業所ごとに、要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。

営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた人です。

管工事業の営業所技術者等になれるかどうかは、保有している資格だけで決まるわけではありません。

管工事施工管理技士などの国家資格、一定の技能検定、指定学科の卒業歴と実務経験、管工事業についての実務経験など、複数のルートがあります。

そのため、次のようなご相談があります。

・管工事施工管理技士の資格で営業所技術者等になれるのか
・給水装置工事主任技術者の資格は建設業許可に使えるのか
・配管技能士は何級から使えるのか
・指定学科を卒業している場合、実務経験は何年必要なのか
・資格がなくても、管工事の実務経験10年で申請できるのか
・給排水設備工事や空調設備工事の経験は、管工事業の実務経験として使えるのか

管工事業には、給排水・給湯設備工事、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、浄化槽工事など、幅広い工事が含まれます。

そのため、実務経験で申請する場合は、単に「設備工事を長くしてきた」というだけではなく、実際にどのような設備工事に従事してきたのかを確認する必要があります。

この記事では、東京都で管工事業の建設業許可を申請する場合を前提に、営業所技術者等(旧専任技術者)になれる資格、技能検定、指定学科、実務経験の考え方について解説します。

第1章 管工事業の営業所技術者等とは

東京都で管工事業の建設業許可を取得するためには、管工事業を営む営業所ごとに、要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。

営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた人です。

営業所技術者等になるためには、管工事業に対応する国家資格、技能検定、指定学科と実務経験、または一定期間の実務経験など、いずれかの技術要件を満たす必要があります。

主なルートは次のとおりです。

・管工事業に対応する国家資格を持っている
・配管などの技能検定に合格している
・指定学科を卒業し、所定の実務経験がある
・管工事業について10年以上の実務経験がある

資格を持っていない場合でも、指定学科や実務経験によって営業所技術者等になれる可能性があります。

一方で、設備会社に長期間勤務していたことや、配管作業を長く経験していたことだけでは、管工事業の実務経験を満たすとは限りません。

管工事業には、給排水・給湯設備工事、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、浄化槽工事などが含まれます。

そのため、実務経験で申請する場合は、実際にどのような設備工事に従事していたのか、その内容と期間を確認する必要があります。

また、営業所技術者等は、申請する営業所に常勤していることが必要です。

代表取締役や取締役が営業所技術者等を兼ねることもできますが、その場合も営業所における常勤性などの要件を満たさなければなりません。

管工事業の営業所技術者等になれるかを確認するときは、まず保有資格や技能検定を確認し、資格で要件を満たせない場合に指定学科や実務経験を検討していくと整理しやすくなります。

第2章 国家資格等で管工事業の営業所技術者等になる場合

管工事業に対応する国家資格等を持っている場合は、10年間の実務経験によらず、営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。

東京都の手引では、管工事業に対応する資格として、管工事施工管理技士、一定の技術士資格、給水装置工事主任技術者、建築設備士、一級計装士などが定められています。

ただし、資格によっては、資格を取得しているだけでは足りず、資格取得後に一定期間の管工事に関する実務経験が必要です。

また、管工事業は指定建設業に該当するため、一般建設業許可と特定建設業許可では、営業所技術者等の要件に大きな違いがあります。

第1節 一級管工事施工管理技士

一級管工事施工管理技士は、管工事業の営業所技術者等として使用できる代表的な国家資格です。

一般建設業許可だけでなく、特定建設業許可についても、この資格によって営業所技術者等の要件を満たします。

一級管工事施工管理技士であれば、管工事業について10年間の実務経験を証明する必要はありません。

空調設備工事、給排水・給湯設備工事、衛生設備工事、ガス管配管工事などを主に行う会社では、管工事業の営業所技術者等を資格によって選任する場合の中心となる資格です。

第2節 二級管工事施工管理技士

二級管工事施工管理技士も、一般建設業許可における管工事業の営業所技術者等として使用できます。

二級管工事施工管理技士の場合も、資格によって一般建設業許可の技術者要件を満たすため、10年間の実務経験を証明する必要はありません。

ただし、二級管工事施工管理技士の資格だけでは、特定建設業許可の営業所技術者等になることはできません。

一般建設業の管工事業を取得する場合と、将来的に特定建設業まで取得する場合とでは、必要となる資格のレベルが異なるため注意が必要です。

第3節 技術士

技術士のうち、管工事業に対応する部門・選択科目の資格を持っている場合も、営業所技術者等として使用できます。

東京都の資格表では、技術士について、部門や選択科目ごとに対応する建設業種が定められています。

そのため、技術士資格を使用する場合は、「技術士」という資格名称だけで判断するのではなく、登録証などによって部門と選択科目を確認する必要があります。

管工事業に対応する技術士資格であれば、一般建設業許可だけでなく、特定建設業許可の営業所技術者等として使用できる場合があります。

第4節 給水装置工事主任技術者

給水装置工事主任技術者についても、一定の実務経験を加えることで、一般建設業許可における管工事業の営業所技術者等として使用できます。

給水装置工事主任技術者は、水道法に基づく資格であり、給水装置工事を行う事業者では保有者がいることの多い資格です。

ただし、資格者証を持っているだけでは、直ちに管工事業の営業所技術者等になれるわけではありません。

給水装置工事主任技術者の場合は、資格者証の交付後1年以上の管工事に関する実務経験が必要です。

そのため、

・資格者証の交付年月日
・交付後の実務経験期間
・実際に従事した工事内容

を確認します。

管工事業には、給排水・給湯設備工事のほか、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、衛生設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事などが含まれます。

第5節 建築設備士

建築設備士についても、一定の実務経験を加えることで、一般建設業許可における管工事業の営業所技術者等として使用できます。

建築設備士は、建築物の空調、給排水、電気などの建築設備について専門的な知識を持つ資格です。

ただし、建築設備士の資格を持っているだけで営業所技術者等になれるわけではありません。

資格取得後1年以上の管工事に関する実務経験が必要です。

そのため、建築設備士を使用する場合は、資格取得年月日と、その後に空調設備工事や給排水設備工事などの管工事に従事した期間を確認します。

建築設備士は、設備会社や設計・施工を一体で行う会社では保有者がいることもあるため、管工事施工管理技士だけでなく確認しておきたい資格です。

第6節 一級計装士

一級計装士についても、一定の実務経験を加えることで、一般建設業許可における管工事業の営業所技術者等として使用できます。

一級計装士の場合は、合格後1年以上の管工事に関する実務経験が必要です。

計装工事は、建築設備やプラント設備などの計測・制御に関する工事ですが、施工内容によって管工事、電気工事、電気通信工事など複数の建設業種が関係することがあります。

そのため、一級計装士を管工事業の営業所技術者等として使用する場合は、

・一級計装士の合格時期
・合格後の実務経験期間
・その実務経験が管工事業に該当する内容か

まで確認する必要があります。

単に「計装工事を1年以上している」というだけではなく、実際に空調設備や給排水設備など、管工事業に該当する工事についての経験であることを確認します。

第7節 一般建設業と特定建設業では要件が異なる

管工事業で特に注意したいのが、一般建設業と特定建設業の違いです。

一般建設業許可であれば、

・二級管工事施工管理技士
・給水装置工事主任技術者+1年以上の実務経験
・建築設備士+1年以上の実務経験
・一級計装士+1年以上の実務経験

などによって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。

一方、管工事業は、土木工事業、建築工事業、電気工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業とともに指定建設業に指定されています。

指定建設業について特定建設業許可を取得する場合は、指導監督的実務経験だけで営業所技術者等の要件を満たすことはできません。

一級管工事施工管理技士、管工事業に対応する一定の技術士資格、または国土交通大臣の認定を受けた者などが必要です。

東京都の手引でも、指定建設業の特定営業所技術者については、資格表の「◎」に該当する資格者または大臣認定者に限るとされています。

これは、電気通信工事業など指定建設業ではない業種との大きな違いです。

管工事業の営業所技術者等を資格で選任する場合は、管工事施工管理技士だけを確認するのではなく、給水装置工事主任技術者、建築設備士、一級計装士なども含めて保有資格を確認し、その資格が一般建設業だけに対応するものなのか、特定建設業まで対応できるものなのか、さらに資格取得後の実務経験が必要なのかまで整理することが重要です。

第3章 技能検定・登録基幹技能者で管工事業の営業所技術者等になる場合

管工事業では、前章で説明した管工事施工管理技士などの国家資格等のほか、一定の技能検定や登録基幹技能者によっても、一般建設業許可の営業所技術者等になれる場合があります。

管工事業は、給排水設備、空調設備、冷凍冷蔵設備、ガス管配管、ダクト工事など施工分野が幅広いため、現場で働いている技術者や職人の方が対象となる技能資格を持っているケースもあります。東京都の手引でも、管工事業には冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事などが含まれています。

第1節 管工事業に対応する技能検定

管工事業の営業所技術者等として使用できる代表的な技能検定には、次のようなものがあります。

・冷凍空気調和機器施工
・配管

冷凍空気調和機器施工は、冷凍冷蔵設備や空気調和設備などを施工する技術者に関係する技能検定です。

配管は、給排水設備、給湯設備、衛生設備、ガス管配管など、管工事業と直接関係する代表的な技能検定です。

管工事業の営業所技術者等を検討するときは、管工事施工管理技士の有無だけではなく、こうした技能検定を取得している人が社内にいないかも確認する価値があります。

第2節 1級技能士と2級技能士では取扱いが異なる

技能検定を利用する場合は、1級と2級で取扱いが異なります。

1級技能士については、対象となる技能検定に合格していれば、一般建設業許可における管工事業の営業所技術者等として使用できます。

一方、2級技能士については、資格を取得しただけで直ちに要件を満たすとは限らず、合格後に一定期間の管工事に関する実務経験が必要となる場合があります。

そのため、2級技能士を営業所技術者等として使用する場合は、

・技能検定の職種
・作業区分
・合格年月日
・合格後の管工事に関する実務経験

まで確認する必要があります。

資格証だけを見て判断せず、東京都の資格表上で管工事業に対応している資格かを確認することが重要です。

第3節 登録基幹技能者で営業所技術者等になる場合

管工事業では、一定の登録基幹技能者についても、一般建設業許可の営業所技術者等として使用できる場合があります。

東京都の手引では、登録基幹技能者について、講習修了証に記載された建設業の種類について、建設業法第26条第1項に定める主任技術者の要件を満たすことが確認できる場合に使用する取扱いとなっています。

管工事に関係する登録基幹技能者としては、

・登録配管基幹技能者
・登録冷凍空調基幹技能者
・登録ダクト基幹技能者

などがあります。

東京都の手引では、登録基幹技能者ごとに主任技術者として認められる建設業の種類が整理されており、登録基幹技能者によって取得できるのは一般建設業許可に限られます。

第4節 登録基幹技能者は講習修了証の記載内容を確認する

登録基幹技能者を営業所技術者等として使用する場合は、資格名称だけで判断することはできません。

重要なのは、講習修了証に管工事業について主任技術者の要件を満たすことが確認できる記載があるかどうかです。

例えば、登録基幹技能者の資格を持っていても、その修了証によって管工事業について主任技術者要件を満たすことが確認できなければ、その資格だけで管工事業の営業所技術者等として使用することはできません。

複数の建設業種について営業所技術者等として使用する場合も、それぞれの業種について要件を満たしているかを確認する必要があります。

第5節 技能検定・登録基幹技能者で対応できるのは一般建設業許可

技能検定や登録基幹技能者を利用して営業所技術者等となる方法は、基本的に一般建設業許可を対象とするものです。

管工事業は指定建設業に該当するため、特定建設業許可では、技能検定や登録基幹技能者だけで営業所技術者等の要件を満たすことはできません。

特定建設業の管工事業を取得する場合は、一級管工事施工管理技士や管工事業に対応する一定の技術士資格などを検討することになります。

管工事業で技能検定や登録基幹技能者を使用する場合は、資格名称だけではなく、技能検定の等級、必要となる実務経験の有無、登録基幹技能者の講習修了証の記載内容まで確認したうえで判断する必要があります。

第4章 指定学科の卒業歴と実務経験で営業所技術者等になる場合

管工事業では、対象となる指定学科を卒業し、その後に所定の実務経験を積んでいる場合、10年間の実務経験を証明しなくても、一般建設業許可の営業所技術者等になれることがあります。

東京都の手引では、管工事業に対応する指定学科として、主に次の学科が挙げられています。

・土木工学
・建築学
・機械工学
・都市工学
・衛生工学

ただし、学校によって学科名が異なるため、学科名だけで指定学科に該当するか判断できない場合があります。

その場合は、卒業証明書のほか、成績証明書や履修証明書などによって、実際にどのような科目を履修していたのかを確認します。

第1節 大学・短期大学・高等専門学校を卒業した場合

大学、短期大学または高等専門学校で指定学科を卒業した場合は、卒業後3年以上の管工事に関する実務経験によって、一般建設業許可の営業所技術者等の要件を満たすことができます。

例えば、大学の機械工学科を卒業した後、空調設備工事や給排水設備工事などに3年以上従事していた場合です。

ただし、設備会社に3年以上勤務していたというだけでは足りません。

必要なのは、管工事業に該当する工事について技術上の実務経験を積んでいたことです。

第2節 高等学校・中等教育学校を卒業した場合

高等学校または中等教育学校で指定学科を卒業した場合は、卒業後5年以上の管工事に関する実務経験が必要です。

工業高校の機械科、建築科、土木科など、指定学科に該当する可能性のある学科は複数あります。

ただし、実際に指定学科として認められるかは、学校名や学科名だけでは判断できないことがあります。

特に古い卒業年度や、現在とは異なる名称の学科を卒業している場合は、履修内容まで確認して判断することがあります。

第3節 専修学校を卒業した場合

専修学校の専門課程で指定学科を卒業した場合も、卒業歴と実務経験を組み合わせて営業所技術者等の要件を満たせることがあります。

専門士または高度専門士の称号を付与されている場合は、卒業後3年以上の管工事に関する実務経験が必要です。

これらに該当しない専修学校の専門課程を卒業した場合は、卒業後5年以上の実務経験が必要となります。

東京都の手引でも、指定学科を卒業した場合の必要な実務経験年数は、学校の種類や専門士・高度専門士の有無によって整理されています。

第4節 実務経験は管工事業に関するものが必要

指定学科を卒業していても、必要となる実務経験は管工事業に関するものでなければなりません。

東京都の手引では、管工事業について次のような工事が例示されています。

・冷暖房設備工事
・冷凍冷蔵設備工事
・空気調和設備工事
・給排水・給湯設備工事
・厨房設備工事
・衛生設備工事
・浄化槽工事
・水洗便所設備工事
・ガス管配管工事
・ダクト工事
・管内更生工事

そのため、設備会社に勤務していたとしても、機器の販売、保守点検、営業などだけを行っていた期間が、そのまま管工事業の実務経験になるわけではありません。

実際に管工事に該当する設備の設置工事や配管工事などに従事していたことを確認します。

第5節 第一次検定合格者の実務経験短縮は管工事業では使えない

令和5年7月1日から、施工管理技術検定の第一次検定合格者について、一定の実務経験年数を短縮できる制度が設けられています。

1級第一次検定合格者は大学の指定学科卒業者と同等、2級第一次検定合格者は高等学校の指定学科卒業者と同等として扱う仕組みです。

ただし、この取扱いには例外があります。

管工事業は「指定建設業」に該当するため、この実務経験年数の短縮制度を利用することはできません。

そのため、管工事業では、第一次検定に合格しているというだけで、指定学科卒業者と同様に3年または5年へ実務経験を短縮することはできません。

これは管工事業の記事では特に注意しておきたいポイントです。

第6節 卒業歴と実務経験の両方を確認する

指定学科の卒業歴を使って申請する場合は、学歴だけでなく、卒業後の管工事に関する実務経験も確認します。

主な確認資料は次のとおりです。

・卒業証明書
・必要に応じて成績証明書や履修証明書
・実務経験証明書
・管工事に従事したことを確認できる工事資料
・実務経験期間中の在籍を確認できる資料

管工事業について指定学科による実務経験年数の短縮を利用する場合は、学校の種類、指定学科への該当性、卒業年月日、卒業後の実務経験の内容と期間まで確認したうえで判断する必要があります。

第5章 10年以上の実務経験で営業所技術者等になる場合

管工事業に対応する国家資格や技能検定、指定学科の卒業歴がない場合でも、管工事業について10年以上の実務経験を証明できれば、一般建設業許可の営業所技術者等になれる場合があります。

ただし、設備会社や配管会社に10年以上勤務していることだけでは足りません。

実際に管工事業に該当する工事に従事していた期間について、10年以上の実務経験を確認する必要があります。

東京都の手引では、管工事業について、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、空気調和設備、給排水・給湯設備、衛生設備、ガス管配管、ダクトなどを設置する工事が例示されています。

第1節 管工事業に関する10年以上の経験が必要

実務経験として検討できる代表的な工事には、次のようなものがあります。

・冷暖房設備工事
・冷凍冷蔵設備工事
・空気調和設備工事
・給排水・給湯設備工事
・厨房設備工事
・衛生設備工事
・浄化槽工事
・水洗便所設備工事
・ガス管配管工事
・ダクト工事
・管内更生工事

管工事業では、設備機器の販売、保守点検、清掃、営業などを行っていた経験が、そのまま建設業法上の実務経験になるわけではありません。

実際に設備の設置や配管工事など、管工事業に該当する工事に携わっていたことが必要です。

また、同じ「設備工事」という名称でも、工事内容によっては管工事業以外の業種に該当する場合があります。

例えば、建築物の中に設置する通常の空調機器は管工事に該当しますが、トンネルや地下道などに設置する給排気機器は機械器具設置工事に区分されます。

第2節 複数の勤務先での経験を合算できる場合がある

10年間の実務経験は、一つの会社だけで積んだものである必要はありません。

例えば、前職会社で6年間、現在の会社で4年間、継続して管工事に従事していた場合は、それぞれの経験を確認したうえで合算できる場合があります。

この場合は、各勤務先について管工事を行っていたことと、本人がその期間に在籍していたことの両方を確認します。

前職会社での経験を使用する場合は、

・実務経験証明書への証明を受けられるか
・当時の工事資料が残っているか
・在籍期間を確認できる資料があるか

を早めに確認しておく必要があります。

実際には、経験年数そのものよりも、過去の勤務先から必要な証明を受けられるかどうかが問題になるケースもあります。

第3節 許可業者での経験を証明する場合

管工事業の建設業許可を受けていた会社での経験を使用する場合は、その会社が証明する期間に管工事業の許可を受けていたことを確認します。

あわせて、本人がその会社に在籍していた期間についても確認します。

勤務先が管工事業の許可を持っていたからといって、本人の実務経験が自動的に認められるわけではありません。

証明する実務経験期間と、本人の在籍期間が対応していることが必要です。

また、実務経験証明書には、本人が実際に管工事に関する技術上の業務へ従事していた期間を記載します。

第4節 建設業許可を受けていない事業者での経験

建設業許可を受けていない会社や個人事業主のもとで経験を積んだ場合でも、軽微な管工事を継続して請け負っていたことを証明できれば、実務経験として検討できる場合があります。

この場合は、工事請負契約書、注文書、請求書などによって、実際に管工事を行っていたことを確認していきます。

例えば、請求書に、

「給排水設備改修工事」
「空調設備工事」
「給湯設備工事」

などと具体的に記載されていれば工事内容を判断しやすくなります。

一方、

「設備工事一式」
「改修工事」
「配管作業」

などの記載だけでは、管工事業に該当する工事かどうか判断できないことがあります。

その場合は、見積書や工事明細などによって、具体的な施工内容を確認することがあります。

第5節 個人事業主としての経験も使用できる場合がある

個人事業主として管工事を請け負ってきた期間についても、実務経験として使用できる場合があります。

この場合は、確定申告書などによって個人事業を行っていた期間を確認し、注文書や請求書などによって実際に管工事を請け負っていたことを確認します。

個人事業から法人化している場合は、

個人事業主としての経験

法人設立後の経験

を合算して10年間を証明することもあります。

例えば、個人事業主として4年間、その後法人を設立して6年間にわたり管工事を続けている場合、それぞれの期間について証明資料を揃えることができれば、合計10年間の実務経験として検討できます。

第6節 工事業種の区分には注意が必要

管工事業の実務経験を証明するときは、過去に行った工事が本当に管工事業に該当するのかも確認する必要があります。

特に上下水道関係の工事は、工事場所や施工内容によって業種が異なります。

家屋その他の施設の敷地内の配管工事や、上水道等の配水小管を設置する工事は管工事に該当します。

一方、公道下等の下水道の配管工事は土木一式工事、上水道等の取水・浄水・配水施設や下水処理場内の処理設備を設置する工事は水道施設工事に区分されます。

そのため、「水道工事を10年以上やってきた」というだけでは、すべての期間を管工事業の実務経験として使用できるとは限りません。

過去の工事内容を確認し、管工事業として使用できる実績を整理する必要があります。

第7節 10年の経験があっても証明できるとは限らない

管工事業の実務経験による申請では、実際に10年以上管工事に携わっていることと、その10年間を建設業許可申請上の資料で証明できることは別の問題です。

例えば、

・昔の注文書や請求書が残っていない
・前職会社から実務経験の証明を受けられない
・本人の在籍期間を確認できない
・請求書を見ても管工事の施工内容が分からない
・管工事以外の工事が混在している

といった場合は、実際の経験が10年以上あっても、申請に使用できる期間が不足することがあります。

そのため、管工事業の営業所技術者等を実務経験10年で申請する場合は、勤務先ごとの経験期間、具体的な工事内容、証明資料の有無を早い段階で整理しておくことが重要です。

第6章 営業所技術者等の常勤性と申請時の確認資料

管工事業に対応する国家資格、技能検定、登録基幹技能者、指定学科または実務経験の要件を満たしていても、それだけで営業所技術者等として申請できるわけではありません。

営業所技術者等は、管工事業を営む営業所に常勤している必要があります。

そのため、申請時には技術者としての要件を確認する資料と、申請会社における常勤性を確認する資料の両方を準備します。

第1節 申請する営業所に常勤していることが必要

営業所技術者等は、申請する営業所に常勤している人でなければなりません。

一級・二級管工事施工管理技士や、管工事業に対応する技能資格を持っていても、他社に常勤している場合や、申請会社での勤務実態を確認できない場合は、営業所技術者等として使用できません。

代表取締役や取締役が営業所技術者等を兼ねることもできますが、その場合も申請会社に常勤していることが必要です。

従業員を営業所技術者等とする場合も、資格や実務経験だけでなく、申請会社との雇用関係や勤務状況を確認します。

東京都の手引でも、営業所技術者等は、その営業所に常勤し、専らその職務に従事する者とされています。

第2節 複数の営業所を1人で兼任することはできない

本店だけで管工事業を営む場合は、本店に要件を満たす営業所技術者等を配置します。

本店と支店の両方で管工事業を営む場合は、それぞれの営業所に営業所技術者等を配置する必要があります。

本店に資格者が1名いるからといって、その人を本店と支店の両方の営業所技術者等として届け出ることはできません。

一方、同じ営業所の中であれば、複数の建設業について技術者要件を満たしている人が、複数業種の営業所技術者等を兼ねることは可能です。

また、営業所技術者等と常勤役員等の双方の要件を満たしている場合は、同一営業所内で兼務することもできます。

第3節 国家資格等で申請する場合の確認資料

国家資格等によって営業所技術者等の要件を満たす場合は、その資格を確認できる資料を用意します。

主なものは次のとおりです。

・管工事施工管理技士の合格証明書等
・技術士の登録証等
・給水装置工事主任技術者の資格者証
・技能検定の合格証書
・登録基幹技能者の講習修了証

給水装置工事主任技術者や2級技能士など、資格取得後の実務経験が必要となる資格を使用する場合は、資格証だけでは足りません。

資格の取得時期と、その後に管工事へ従事した期間を確認し、必要な実務経験を証明します。

登録基幹技能者を使用する場合は、講習修了証に管工事業について主任技術者の要件を満たすことが確認できる記載があるかも確認します。

第4節 指定学科や実務経験で申請する場合の確認資料

指定学科と実務経験を組み合わせる場合や、10年以上の実務経験によって申請する場合は、管工事に従事していたことを確認できる資料が必要です。

主な資料には、次のようなものがあります。

・卒業証明書
・必要に応じて成績証明書や履修証明書
・実務経験証明書
・工事請負契約書
・注文書
・請求書
・実務経験期間中の在籍を確認できる資料

管工事業では、単に設備会社や配管会社に勤務していたことだけでは、実務経験を証明したことにはなりません。

空調設備、給排水・給湯設備、衛生設備、ガス管配管、ダクトなど、管工事業に該当する工事に実際に従事していたことを確認します。

工事名だけでは内容を判断できない場合は、見積書や工事明細などによって具体的な施工内容を確認することがあります。

第5節 常勤性を確認する資料

東京都の建設業許可申請では、営業所技術者等について技術者要件だけでなく、申請日現在の常勤性も確認されます。

法人の場合は、社会保険関係の資料などによって申請会社との関係を確認します。

申請者が役員なのか従業員なのか、勤務形態がどのようになっているのかによって必要となる資料は異なります。

そのため、申請時点の東京都の取扱いを確認したうえで、常勤性を証明できる資料を準備します。

資格や実務経験の要件を満たしていても、申請会社に常勤していることを確認できなければ、営業所技術者等として申請することはできません。

管工事業の営業所技術者等を選任するときは、資格の種類、資格取得後の実務経験、技能検定や登録基幹技能者の内容、実務経験の内容、申請する営業所における常勤性まで確認したうえで判断する必要があります。

 

管工事業の建設業許可要件や工事内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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