東京都で消防施設工事業の建設業許可を取得するためには、消防施設工事業を営む営業所ごとに、要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。
営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた人です。
消防施設工事業では、他の多くの建設業種と比べて、資格の有無が特に重要です。
代表的な資格としては、甲種消防設備士、乙種消防設備士などがあります。
そのため、次のようなご相談があります。
・消防設備士があれば営業所技術者等になれるのか
・甲種と乙種では取扱いが違うのか
・消防設備士の種類によって対応できる工事が違うのか
・消防設備点検資格者は建設業許可に使えるのか
・電気工事士の資格だけで消防施設工事業を取得できるのか
・消防設備工事の経験が10年以上あれば、資格がなくても営業所技術者等になれるのか
最後の点は、消防施設工事業では特に注意が必要です。
消防施設工事業については、資格を持たずに10年以上の実務経験だけで営業所技術者等になる方法は認められていません。
そのため、「消防設備工事を長年やってきたから要件を満たす」という考え方ではなく、まず本人がどの消防設備士資格等を持っているかを確認する必要があります。
消防施設工事業には、火災報知設備、スプリンクラー設備、消火設備、避難設備などを設置する工事が含まれます。
また、消防設備の保守点検や機器の販売だけを行っている場合は、建設業法上の消防施設工事に該当しないことがあります。
そのため、営業所技術者等の要件を確認するときは、資格の種類だけでなく、実際にどのような消防施設工事を施工しているのかも整理しておくことが重要です。
この記事では、東京都で消防施設工事業の建設業許可を申請する場合を前提に、営業所技術者等(旧専任技術者)になれる資格、実務経験だけでは認められない理由、一般建設業と特定建設業の違い、常勤性について解説します。
第1章 消防施設工事業の営業所技術者等とは
東京都で消防施設工事業の建設業許可を取得するためには、消防施設工事業を営む営業所ごとに、要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。
営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた人です。
消防施設工事業では、他の多くの建設業種のように、資格を持たずに10年以上の実務経験だけで営業所技術者等になることはできません。
そのため、まず本人がどの資格を持っているかを確認することが重要です。
消防施設工事業で代表的な資格は、消防設備士です。
主に、
・甲種消防設備士
・乙種消防設備士
などが営業所技術者等の要件を確認する際の中心になります。
消防設備士は、類によって取り扱うことのできる消防用設備等が異なります。
そのため、「消防設備士を持っている」というだけで判断するのではなく、甲種・乙種の別や、どの類の免状を持っているかまで確認する必要があります。
消防施設工事業には、例えば次のような工事が含まれます。
・屋内消火栓設備工事
・スプリンクラー設備工事
・水噴霧消火設備工事
・泡消火設備工事
・不活性ガス消火設備工事
・粉末消火設備工事
・自動火災報知設備工事
・非常警報設備工事
・避難器具設置工事
一方で、消防設備に関係する業務であっても、保守点検や法定点検、消防機器の販売だけを行っている場合は、建設業法上の消防施設工事には該当しません。
消防施設工事業の建設業許可を検討するときは、資格だけでなく、会社が実際に消防用設備等の設置工事や改修工事を請け負っているかも確認する必要があります。
また、消防施設工事業の営業所技術者等は、申請する営業所に常勤していることが必要です。
代表取締役や取締役が営業所技術者等を兼ねることもできますが、その場合も申請会社における常勤性などの要件を満たさなければなりません。
消防施設工事業では、まず保有している消防設備士等の資格を確認し、その資格によって一般建設業または特定建設業の営業所技術者等の要件を満たせるかを整理することが基本になります。
第2章 国家資格等で消防施設工事業の営業所技術者等になる場合
消防施設工事業では、営業所技術者等になるための資格として、消防設備士が中心になります。
また、消防施設工事業では無資格者の実務経験は原則として認められていません。東京都の手引でも、電気工事業と消防施設工事業について、無資格者の実務経験は原則認められないとされています。
そのため、消防施設工事業の営業所技術者等を検討する場合は、まず本人が消防設備士免状を持っているかを確認します。
第1節 甲種消防設備士
甲種消防設備士は、消防施設工事業の営業所技術者等として使用できる代表的な資格です。
消防設備士には類がありますが、東京都の建設業許可申請では、営業所技術者等の資格確認にあたり、会社が実際に施工する消防施設工事と消防設備士免状の類まで厳密に対応させて判断しているわけではありません。
そのため、甲種消防設備士免状を持っている場合は、消防施設工事業の営業所技術者等として使用できます。
申請時には、消防設備士免状によって資格要件を確認します。
第2節 乙種消防設備士
乙種消防設備士についても、消防施設工事業の営業所技術者等として使用できます。
消防設備士制度上は、甲種・乙種や類によって取り扱うことのできる消防用設備等が異なります。
ただし、東京都の建設業許可申請における営業所技術者等の資格確認では、実際の施工内容と免状の類を個別に対応させて判断しているわけではありません。
そのため、例えば乙種第6類の消防設備士免状であっても、消防施設工事業の営業所技術者等として使用できます。
消防施設工事業の許可を検討する際は、「何類を持っているか」ということよりも、まず消防設備士免状を保有しているかを確認することが重要です。
第3節 消防設備点検資格者は営業所技術者等の資格ではない
消防設備に関係する資格として、消防設備点検資格者があります。
ただし、消防設備点検資格者は消防用設備等の点検を行うための資格であり、それだけで建設業許可における消防施設工事業の営業所技術者等になることはできません。
消防設備の点検業務を長年行っていたとしても、消防設備士など建設業許可上認められる資格を持っていなければ、営業所技術者等として申請することはできません。
第4節 一般建設業と特定建設業では要件が異なる
消防施設工事業は指定建設業ではありません。
一般建設業許可では、消防設備士などの資格によって営業所技術者等の要件を満たします。
一方、特定建設業許可では、一般建設業の営業所技術者等となる資格要件を満たしたうえで、一定の指導監督的実務経験によって要件を満たせる場合があります。
消防施設工事業の営業所技術者等を選任する場合は、まず消防設備士免状の有無を確認し、一般建設業と特定建設業のどちらの許可を取得するのかに応じて要件を整理することが重要です。
第5章 消防施設工事業では実務経験だけで営業所技術者等にはなれない
消防施設工事業では、他の多くの建設業種のように、資格を持たずに10年以上の実務経験だけで営業所技術者等になることはできません。
そのため、消防施設工事会社で長年勤務していた場合や、消防設備工事に10年以上従事していた場合でも、それだけで営業所技術者等の要件を満たすことはありません。
まず確認するのは、本人が次のような資格を持っているかどうかです。
・甲種消防設備士
・乙種消防設備士
・登録消火設備基幹技能者
また、消防設備に関する業務であっても、保守点検、法定点検、機器の販売、設備管理などは、建設業法上の消防施設工事そのものとは別に考える必要があります。
消防施設工事業では、「何年間経験があるか」よりも、「建設業許可上認められる資格を持っているか」を先に確認することが重要です。
したがって、営業所技術者等の要件を確認する場合は、実務経験年数から検討するのではなく、保有資格を確認したうえで、その資格によって一般建設業または特定建設業の要件を満たせるかを判断します。









