東京都で屋根工事業の建設業許可を取得するためには、屋根工事業を営む営業所ごとに、要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。
営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた人です。
屋根工事業の営業所技術者等になれるかどうかは、保有している資格だけで決まるわけではありません。
建築施工管理技士や建築士などの国家資格、一定の技能検定、登録基幹技能者、指定学科の卒業歴と実務経験、屋根工事業についての実務経験など、複数のルートがあります。
そのため、次のようなご相談があります。
・建築施工管理技士の資格で営業所技術者等になれるのか
・建築士の資格は屋根工事業の建設業許可に使えるのか
・かわらぶき技能士などの資格で営業所技術者等になれるのか
・指定学科を卒業している場合、実務経験は何年必要なのか
・資格がなくても、屋根工事の実務経験10年で申請できるのか
・板金屋根工事や屋根一体型の太陽光パネル設置工事は屋根工事業の実務経験として認められるのか
屋根工事業には、瓦、スレート、金属薄板などによって屋根をふく工事が含まれます。
東京都の手引でも、屋根工事業の例として、屋根ふき工事や屋根一体型の太陽光パネル設置工事が挙げられています。
また、建設業許可上の業種区分では、工事に使用する材料だけで判断するわけではありません。
例えば、板金屋根工事は板金工事業ではなく屋根工事業に該当し、屋根一体型の太陽光パネル設置工事も屋根工事業として扱われます。一方、太陽光発電設備そのものを設置する工事は、工事内容によって電気工事業に区分されます。
そのため、実務経験で申請する場合は、単に「屋根関係の仕事を長くしてきた」というだけではなく、実際にどのような屋根工事に従事してきたのかを確認する必要があります。
この記事では、東京都で屋根工事業の建設業許可を申請する場合を前提に、営業所技術者等(旧専任技術者)になれる国家資格、技能検定、登録基幹技能者、指定学科、実務経験の考え方について解説します。
目次
第1章 屋根工事業の営業所技術者等とは
東京都で屋根工事業の建設業許可を取得するためには、屋根工事業を営む営業所ごとに、要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。
営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた人です。
営業所技術者等になるためには、屋根工事業に対応する国家資格、一定の技能検定、登録基幹技能者、指定学科と実務経験、または一定期間の実務経験など、いずれかの技術要件を満たす必要があります。
主なルートは次のとおりです。
・屋根工事業に対応する国家資格を持っている
・屋根工事業に対応する技能検定を持っている
・登録基幹技能者として要件を満たしている
・指定学科を卒業し、所定の実務経験がある
・屋根工事業について10年以上の実務経験がある
資格を持っていない場合でも、指定学科や実務経験によって営業所技術者等になれる可能性があります。
一方で、屋根工事会社や建築会社に長期間勤務していたことだけでは、屋根工事業の実務経験を満たすとは限りません。
東京都の手引では、屋根工事業について、瓦、スレート、金属薄板などによって屋根をふく工事とされており、例として屋根ふき工事や屋根一体型の太陽光パネル設置工事が挙げられています。
また、工事業種の区分にも注意が必要です。
例えば、板金屋根工事は「板金工事」ではなく「屋根工事」に該当します。
一方、太陽光発電設備の設置工事は、屋根一体型のものを除き、電気工事に該当する場合があります。
そのため、実務経験で申請する場合は、単に「屋根工事をしていた」というだけではなく、実際にどのような材料を使用し、どのような施工を行っていたのかを確認する必要があります。
また、営業所技術者等は、申請する営業所に常勤していることが必要です。
代表取締役や取締役が営業所技術者等を兼ねることもできますが、その場合も営業所における常勤性などの要件を満たさなければなりません。
屋根工事業の営業所技術者等になれるかを確認するときは、まず保有している資格を確認し、資格によって要件を満たせるかを整理します。
そのうえで、資格で要件を満たせない場合に、技能検定、登録基幹技能者、指定学科、実務経験による方法を検討していきます。
第2章 国家資格等で屋根工事業の営業所技術者等になる場合
屋根工事業に対応する国家資格等を持っている場合は、10年間の実務経験によらず、営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
代表的な資格は、建築施工管理技士や建築士です。
屋根工事業の営業所技術者等を資格で選任する場合は、資格名称だけでなく、施工管理技士については級や種別、さらに一般建設業と特定建設業のどちらに対応できるのかを確認する必要があります。
第1節 一級建築施工管理技士
一級建築施工管理技士は、屋根工事業の営業所技術者等として使用できる代表的な国家資格です。
一般建設業許可だけでなく、特定建設業許可についても、この資格によって営業所技術者等の要件を満たします。
一級建築施工管理技士であれば、屋根工事業について10年間の実務経験を証明する必要はありません。
屋根工事業には、瓦、スレート、金属薄板などによる屋根ふき工事のほか、屋根一体型の太陽光パネル設置工事などが含まれています。
屋根工事会社で資格によって営業所技術者等を選任する場合には、一級建築施工管理技士は一般・特定の双方に対応できる資格となります。
第2節 二級建築施工管理技士(仕上げ)
二級建築施工管理技士のうち「仕上げ」の種別についても、一般建設業許可における屋根工事業の営業所技術者等として使用できます。
資格によって一般建設業の技術者要件を満たすため、屋根工事業について10年間の実務経験を証明する必要はありません。
ただし、二級建築施工管理技士には種別があります。
屋根工事業について使用する場合は、「仕上げ」に対応する資格であることを、合格証明書などによって確認する必要があります。
単に「二級建築施工管理技士を持っている」というだけで判断せず、資格の種別まで確認しておくことが重要です。
また、二級建築施工管理技士(仕上げ)の資格だけでは、特定建設業許可の営業所技術者等になることはできません。
第3節 一級建築士・二級建築士
建築士資格についても、屋根工事業の営業所技術者等として使用できます。
一級建築士は、一般建設業許可だけでなく、特定建設業許可についても営業所技術者等の資格として使用できます。
二級建築士については、一般建設業許可における屋根工事業の営業所技術者等として使用できます。
建築士というと、建築物の設計や工事監理を行う資格という印象がありますが、建設業許可では一定の専門工事について営業所技術者等の資格として認められています。
そのため、屋根工事業の許可を検討するときは、建築施工管理技士だけでなく、社内に一級建築士や二級建築士が在籍していないかも確認しておくとよいでしょう。
第4節 一般建設業と特定建設業では要件が異なる
一般建設業許可では、二級建築施工管理技士(仕上げ)や二級建築士などによって、屋根工事業の営業所技術者等の要件を満たすことができます。
一方、特定建設業許可では、一級建築施工管理技士や一級建築士など、特定建設業に対応する資格であれば、資格によって営業所技術者等の要件を満たします。
また、屋根工事業は指定建設業ではありません。
そのため、一般建設業の営業所技術者等となる要件を満たしたうえで、一定の元請工事について指導監督的実務経験を証明することにより、特定建設業許可の営業所技術者等になれる場合もあります。
屋根工事業の営業所技術者等を資格で選任するときは、資格名称だけでなく、建築施工管理技士の級や種別、建築士の級、一般建設業と特定建設業のどちらに対応できる資格なのかまで確認したうえで判断する必要があります。
第3章 技能検定・登録基幹技能者で屋根工事業の営業所技術者等になる場合
屋根工事業では、前章で説明した建築施工管理技士や建築士などの国家資格のほか、一定の技能検定や登録基幹技能者によっても、一般建設業許可の営業所技術者等になれる場合があります。
屋根工事業には、瓦、スレート、金属薄板などによって屋根をふく工事が含まれます。
そのため、屋根工事の現場で長く働いている職人の方が、営業所技術者等として使用できる技能資格を持っているケースもあります。
第1節 屋根工事業に対応する技能検定
屋根工事業の営業所技術者等として使用できる代表的な技能検定には、かわらぶきがあります。
かわらぶきは、瓦を使用して屋根をふく工事と直接関係する技能検定です。
また、屋根工事業では金属薄板を使用した屋根工事も含まれるため、技能検定の種類や作業区分によっては、建築板金関係の資格が関係する場合もあります。
実際の申請では、単に技能士資格を持っているというだけで判断するのではなく、
・技能検定の職種
・作業区分
・等級
・合格年月日
まで確認したうえで、東京都の資格表上で屋根工事業に対応しているかを判断します。
第2節 1級技能士と2級技能士では取扱いが異なる
技能検定を使用する場合は、1級技能士と2級技能士で取扱いが異なります。
対象となる1級技能士であれば、その資格によって一般建設業許可における屋根工事業の営業所技術者等として使用できます。
一方、2級技能士については、合格後に一定期間の屋根工事に関する実務経験が必要となる場合があります。
そのため、2級技能士を使用する場合は、
・技能検定の職種
・作業区分
・合格年月日
・合格後の屋根工事に関する実務経験
まで確認する必要があります。
資格名称だけを見て判断せず、合格証書の内容まで確認しておくことが重要です。
第3節 登録基幹技能者で営業所技術者等になる場合
屋根工事業では、一定の登録基幹技能者についても、一般建設業許可の営業所技術者等として使用できる場合があります。
東京都の手引では、登録基幹技能者について、講習修了証に記載された建設業の種類について、建設業法第26条第1項に定める主任技術者の要件を満たすことが確認できる場合に使用する取扱いとなっています。
また、登録基幹技能者によって取得できる許可は一般建設業許可に限られます。
第4節 登録基幹技能者は講習修了証の記載内容を確認する
登録基幹技能者を営業所技術者等として使用する場合は、資格名称だけで判断することはできません。
重要なのは、講習修了証によって屋根工事業について主任技術者の要件を満たしていることを確認できるかどうかです。
登録基幹技能者の資格を持っていても、講習修了証で屋根工事業について主任技術者要件を満たすことが確認できなければ、その資格だけで屋根工事業の営業所技術者等として使用することはできません。
複数の建設業種について営業所技術者等として使用する場合も、それぞれの業種について要件を満たしているかを確認する必要があります。
第5節 技能検定・登録基幹技能者で対応できるのは一般建設業許可
技能検定や登録基幹技能者によって営業所技術者等となる場合は、基本的に一般建設業許可を対象とします。
これらの資格だけで、特定建設業許可の営業所技術者等になることはできません。
屋根工事業の特定建設業許可を取得する場合は、一級建築施工管理技士や一級建築士など、特定建設業に対応する資格を使用する方法のほか、一般建設業の営業所技術者等となる要件を満たしたうえで、一定の指導監督的実務経験を証明する方法などを検討します。
屋根工事業で技能検定や登録基幹技能者を使用する場合は、資格名称だけではなく、技能検定の職種・作業区分・等級、必要となる実務経験の有無、登録基幹技能者の講習修了証の記載内容まで確認したうえで判断する必要があります。
第4章 指定学科の卒業歴と実務経験で営業所技術者等になる場合
屋根工事業では、対象となる指定学科を卒業し、その後に所定の実務経験を積んでいる場合、10年間の実務経験を証明しなくても、一般建設業許可の営業所技術者等になれることがあります。
屋根工事業に対応する指定学科は、建築学です。
ただし、学校によって学科名称が異なるため、学科名だけで指定学科に該当するか判断できない場合があります。
その場合は、卒業証明書のほか、必要に応じて成績証明書や履修証明書などによって、指定学科に該当するかを確認します。東京都の手引でも、指定学科・類似学科について確認するための資格表が設けられています。
第1節 大学・短期大学・高等専門学校を卒業した場合
大学、短期大学または高等専門学校で建築学に関する指定学科を卒業した場合は、卒業後3年以上の屋根工事に関する実務経験によって、一般建設業許可の営業所技術者等の要件を満たすことができます。
例えば、大学の建築学科を卒業した後、屋根工事会社で3年以上にわたり屋根ふき工事などに従事していた場合です。
ただし、建設会社や屋根工事会社に3年以上勤務していたというだけでは足りません。
必要となるのは、屋根工事業に該当する工事についての実務経験です。
第2節 高等学校・中等教育学校を卒業した場合
高等学校または中等教育学校で建築学に関する指定学科を卒業した場合は、卒業後5年以上の屋根工事に関する実務経験が必要です。
例えば、工業高校の建築科などを卒業し、その後5年以上にわたり屋根工事に従事している場合は、10年間の実務経験によらず営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。
学校や卒業年度によって学科名称が異なることもあるため、学科名だけで判断できない場合は、卒業証明書や履修内容を確認して判断します。
第3節 専修学校を卒業した場合
専修学校の専門課程で建築学に関する指定学科を卒業した場合も、卒業歴と実務経験を組み合わせて営業所技術者等の要件を満たせることがあります。
専門士または高度専門士の称号を付与されている場合は、卒業後3年以上の屋根工事に関する実務経験が必要です。
これらに該当しない専修学校の専門課程を卒業した場合は、卒業後5年以上の実務経験が必要となります。
東京都の手引でも、指定学科卒業者について、大学・短期大学・高等専門学校等は3年、高等学校等は5年、専修学校は専門士・高度専門士の有無によって3年または5年の実務経験が必要とされています。
第4節 実務経験は屋根工事業に関するものが必要
指定学科を卒業していても、必要となる実務経験は屋根工事業に関するものでなければなりません。
屋根工事業には、瓦、スレート、金属薄板などによって屋根をふく工事が含まれます。
また、材料の種類だけで工事業種が決まるわけではありません。
例えば、金属薄板を使用する板金屋根工事も、建設業許可上は板金工事ではなく屋根工事に該当します。
さらに、断熱処理を施した材料によって屋根をふく屋根断熱工事も屋根工事の一類型とされ、屋根一体型の太陽光パネル設置工事も屋根工事業に該当します。
そのため、建築関係の会社に勤務していたとしても、外壁板金工事や太陽光発電設備の電気工事など、屋根工事業以外の工事に従事していた期間をそのまま屋根工事の実務経験として使用できるわけではありません。
実際にどのような屋根を施工し、どのような工事に携わっていたのかを確認する必要があります。
第5節 卒業歴と実務経験の両方を確認する
指定学科の卒業歴を使って申請する場合は、学歴だけでなく、卒業後の屋根工事に関する実務経験も確認します。
主な確認資料は次のとおりです。
・卒業証明書
・必要に応じて成績証明書や履修証明書
・実務経験証明書
・屋根工事に従事したことを確認できる工事資料
・実務経験期間中の在籍を確認できる資料
屋根工事業について指定学科による実務経験年数の短縮を利用する場合は、学校の種類、指定学科への該当性、卒業年月日、卒業後の実務経験の内容と期間を確認したうえで判断する必要があります。
第5章 10年以上の実務経験で営業所技術者等になる場合
屋根工事業に対応する国家資格や技能検定、指定学科の卒業歴がない場合でも、屋根工事業について10年以上の実務経験を証明できれば、一般建設業許可の営業所技術者等になれる場合があります。
ただし、屋根工事会社や建設会社に10年以上勤務していることだけでは足りません。
実際に屋根工事業に該当する工事に従事していた期間について、10年以上の実務経験を確認する必要があります。
東京都の手引では、屋根工事業について、瓦、スレート、金属薄板などによって屋根をふく工事とされており、屋根ふき工事や屋根一体型の太陽光パネル設置工事などが例示されています。
第1節 屋根工事業に関する10年以上の経験が必要
実務経験として検討できる代表的な工事には、次のようなものがあります。
・瓦屋根工事
・スレート屋根工事
・金属屋根工事
・板金屋根工事
・屋根断熱工事
・屋根一体型の太陽光パネル設置工事
屋根工事業では、材料の販売、営業、設計、清掃、単なる現場補助などを行っていた期間が、そのまま建設業法上の実務経験になるわけではありません。
実際に屋根をふく工事や、その施工に関する技術上の業務に携わっていたことが必要です。
また、使用する材料だけで建設業種が決まるわけではありません。
例えば、金属薄板を使用する板金屋根工事は、板金工事ではなく屋根工事に該当します。
一方、建築物の外壁などに金属薄板を取り付ける工事は、板金工事に該当する場合があります。
第2節 複数の勤務先での経験を合算できる場合がある
10年間の実務経験は、一つの会社だけで積んだものである必要はありません。
例えば、前職会社で6年間、現在の会社で4年間、屋根工事に従事していた場合は、それぞれの経験を確認したうえで合算できる場合があります。
この場合は、各勤務先について、
・屋根工事を行っていたこと
・本人がその期間に在籍していたこと
・本人が実際に屋根工事の技術上の業務に従事していたこと
を確認します。
前職会社での経験を使用する場合は、実務経験証明書への証明を受けられるか、当時の工事資料や在籍資料が残っているかを早めに確認しておく必要があります。
第3節 許可業者での経験を証明する場合
屋根工事業の建設業許可を受けていた会社での経験を使用する場合は、その会社が証明する期間に屋根工事業の許可を受けていたことを確認します。
あわせて、本人がその会社に在籍していた期間についても確認します。
勤務先が屋根工事業の許可を持っていたというだけで、本人の実務経験が自動的に認められるわけではありません。
証明する実務経験期間と本人の在籍期間が対応していることが必要です。
また、実務経験証明書には、本人が実際に屋根工事に関する技術上の業務に従事していた期間を記載します。
第4節 建設業許可を受けていない事業者での経験
建設業許可を受けていない会社や個人事業主のもとで経験を積んだ場合でも、軽微な屋根工事を継続して請け負っていたことを証明できれば、実務経験として検討できる場合があります。
この場合は、工事請負契約書、注文書、請求書などによって、実際に屋根工事を継続して行っていたことを確認します。
例えば、
・瓦屋根葺き替え工事
・スレート屋根改修工事
・金属屋根工事
・屋根カバー工法
・屋根断熱改修工事
など、具体的な施工内容が確認できる資料があると判断しやすくなります。
一方、
「屋根工事一式」
「改修工事一式」
「外装工事」
などの記載だけでは、屋根工事業に該当する工事かどうか判断できない場合があります。
その場合は、見積書や工事明細などによって、具体的な施工内容を確認することがあります。
第5節 個人事業主としての経験も使用できる場合がある
個人事業主として屋根工事を請け負ってきた期間についても、実務経験として使用できる場合があります。
この場合は、確定申告書などによって個人事業を行っていた期間を確認し、注文書や請求書などによって実際に屋根工事を請け負っていたことを確認します。
個人事業から法人化している場合は、
個人事業主としての経験
+
法人設立後の経験
を合算して10年間を証明することもあります。
例えば、個人事業主として4年間、その後法人を設立して6年間にわたり屋根工事を続けている場合、それぞれの期間について証明資料を揃えることができれば、合計10年間の実務経験として検討できます。
第6節 太陽光パネル設置工事は工事内容を確認する
屋根工事業の実務経験を証明するときは、太陽光パネル設置工事の取扱いにも注意が必要です。
東京都の手引では、屋根一体型の太陽光パネル設置工事は屋根工事に該当するとされています。
一方、太陽光発電設備そのものの設置工事は電気工事に該当します。
そのため、「太陽光パネル工事を長年行っていた」というだけでは、そのすべてを屋根工事業の実務経験として使用できるとは限りません。
屋根材と一体となった施工なのか、既存屋根の上に太陽光発電設備を設置する工事なのかなど、具体的な施工内容を確認する必要があります。
第7節 10年の経験があっても証明できるとは限らない
屋根工事業の実務経験による申請では、実際に10年以上屋根工事に携わっていることと、その10年間を建設業許可申請上の資料で証明できることは別の問題です。
例えば、
・昔の注文書や請求書が残っていない
・前職会社から実務経験の証明を受けられない
・本人の在籍期間を確認できない
・請求書を見ても屋根工事の施工内容が分からない
・屋根工事と板金工事、塗装工事などが混在している
といった場合は、実際の経験が10年以上あっても、申請に使用できる期間が不足することがあります。
そのため、屋根工事業の営業所技術者等を実務経験10年で申請する場合は、勤務先ごとの経験期間、具体的な工事内容、証明資料の有無を早い段階で整理しておくことが重要です。
第6章 営業所技術者等の常勤性と申請時の確認資料
屋根工事業に対応する国家資格、技能検定、登録基幹技能者、指定学科または実務経験の要件を満たしていても、それだけで営業所技術者等として申請できるわけではありません。
営業所技術者等は、屋根工事業を営む営業所に常勤している必要があります。
そのため、申請時には技術者としての要件を確認する資料と、申請会社における常勤性を確認する資料の両方を準備します。
第1節 申請する営業所に常勤していることが必要
営業所技術者等は、申請する営業所に常勤している人でなければなりません。
一級・二級建築施工管理技士や建築士、技能検定などの資格を持っていても、他社に常勤している場合や、申請会社での勤務実態を確認できない場合は、営業所技術者等として使用できません。
代表取締役や取締役が営業所技術者等を兼ねることもできますが、その場合も申請会社に常勤していることが必要です。
従業員を営業所技術者等とする場合も、資格や実務経験だけでなく、申請会社との雇用関係や勤務状況を確認します。
東京都の手引でも、営業所技術者等は、その営業所に常勤し、専らその職務に従事する者とされています。
第2節 複数の営業所を1人で兼任することはできない
本店だけで屋根工事業を営む場合は、本店に要件を満たす営業所技術者等を配置します。
本店と支店の両方で屋根工事業を営む場合は、それぞれの営業所に営業所技術者等を配置する必要があります。
本店に資格者が1名いるからといって、その人を本店と支店の両方の営業所技術者等として届け出ることはできません。
一方、同じ営業所の中であれば、複数の建設業について技術者要件を満たしている人が、複数業種の営業所技術者等を兼ねることは可能です。
また、営業所技術者等と常勤役員等の双方の要件を満たしている場合は、同一営業所内で兼務することもできます。
第3節 国家資格等で申請する場合の確認資料
国家資格等によって営業所技術者等の要件を満たす場合は、その資格を確認できる資料を用意します。
主なものは次のとおりです。
・建築施工管理技士の合格証明書等
・建築士の免許証等
・技能検定の合格証書
・登録基幹技能者の講習修了証
資格によっては、資格名称だけでなく、級や種別まで確認する必要があります。
例えば、二級建築施工管理技士を屋根工事業で使用する場合は、「仕上げ」に対応していることを確認します。
技能検定を使用する場合も、職種や作業区分、等級によって取扱いが異なるため、合格証書の内容まで確認します。
登録基幹技能者を使用する場合は、講習修了証によって屋根工事業について主任技術者の要件を満たしていることを確認できるかが重要です。
第4節 指定学科や実務経験で申請する場合の確認資料
指定学科と実務経験を組み合わせる場合や、10年以上の実務経験によって申請する場合は、屋根工事に従事していたことを確認できる資料が必要です。
主な資料には、次のようなものがあります。
・卒業証明書
・必要に応じて成績証明書や履修証明書
・実務経験証明書
・工事請負契約書
・注文書
・請求書
・実務経験期間中の在籍を確認できる資料
屋根工事業では、単に屋根工事会社や建設会社に勤務していたことだけでは、実務経験を証明したことにはなりません。
瓦屋根工事、スレート屋根工事、金属屋根工事、板金屋根工事など、屋根工事業に該当する工事に実際に従事していたことを確認します。
特に、「外装工事」「改修工事」「住宅リフォーム工事」などは、工事名だけでは屋根工事業に該当するか判断しにくいことがあります。
その場合は、見積書や工事明細などによって具体的な施工内容を確認することがあります。
第5節 常勤性を確認する資料
東京都の建設業許可申請では、営業所技術者等について技術者要件だけでなく、申請日現在の常勤性も確認されます。
法人の場合は、社会保険関係の資料などによって申請会社との関係を確認します。
申請者が役員なのか従業員なのか、勤務形態がどのようになっているのかによって必要となる資料は異なります。
そのため、申請時点の東京都の取扱いを確認したうえで、常勤性を証明できる資料を準備します。
資格や実務経験の要件を満たしていても、申請会社に常勤していることを確認できなければ、営業所技術者等として申請することはできません。
屋根工事業の営業所技術者等を選任するときは、資格の種類、技能検定や登録基幹技能者の内容、実務経験の内容、申請する営業所における常勤性まで確認したうえで判断する必要があります。









