東京都内の建物の解体をビジネスとして請け負うためには、東京都庁へ解体工事業登録もしくは建設業許可の申請が必要となります。
建設業許可(解体工事業)は、営業所が東京都内(都知事許可)であっても全国の解体工事を請け負うことが可能ですが、解体工事業登録では解体する建物が東京以外の場合には、その都道府県ごとに解体工事業登録をしなければなりません。
増村行政書士事務所では、これまで東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の解体工事業登録の申請代行を請け負ってきました。
各都道府県ごとに独自のローカルルールを設けて審査しておりますが、ここでは主に、東京都における解体工事業登録について解説しています。
そして、解体工事業登録を当事務所が代行した際の行政書士報酬や手数料等の費用についても記載しています。
解体工事業登録とは?
解体工事業とは、建築物等を除去するための解体工事を請負うことをさしており、請負金額が500万円未満(消費税含む)の解体工事業を営もうとする者は、元請・下請の別に関わらず、その業を行おうとする区域を管轄する知事の登録を受けなければなりません。
例えば、営業所が東京都内にあり、東京都でも埼玉県でも解体工事を行うのであれば、東京都と埼玉県の両方に解体工事業登録が必要となります。
請負金額が500万円以上の解体工事を請け負う場合には、建設業許可の土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれかの許可を受けなければなりません。
なお、既に土木工事業、建築工事業、解体工事業の建設業許可を受けている者は解体工事業者登録の必要はありません。
解体工事業登録の実績
解体工事業の登録と建設業許可の比較表
解体工事業の登録 | 建設業許可(3業種) | |
営業可能工事 | 500万円未満の工事のみ | 500万円以上の工事 |
施工可能場所 | 登録を受けた都道府県のみ | 全国可能 |
申請書提出先 | 施工場所を管轄する都道府県 | 本店営業所がある都道府県 |
解体工事業登録の要件
解体工事業登録の手続き内容は、建設業許可の申請よりも書類の点数をみても少ないですが、それでも解体工事業登録が認められるにはいくつかの要件をクリアしなければなりません。
法で定める不適格要件に該当しないこと
- 解体工事業の登録を取り消された日から、2年を経過していない者
- 解体工事業の業務停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
- 解体工事業の登録を取り消された法人において、その処分日の前30日以内に役員であり、かつその処分日から2年を経過していない者
- 建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑罰を受け、その執行が終わってから2年を経過していないもの
- 解体工事業者が法人の場合で、役員の中に、1~4のいずれかに該当する者がいるとき
- 解体工事業者が未成年で、法定代理人を立てている場合、法定代理人が上記1~4のいずれかに該当するとき
- 技術管理者を選定していない者
主務省令で定める基準に適合する技術管理者を選任していること
解体工事業者は、解体工事現場における解体工事の施工について技術管理を行う「技術管理者」を選任しなければなりません。
技術管理者は、とても重要なポジションであり、建築物等の構造・工法、周辺の土地利用状況等を踏まえた解体方法や機械操作等に関する知識・技術等の必要最低限の知識・技術を持っていることが要求されます。そのため、技術管理者には、主務省令で定める基準に適合する者を選任することと定められています。
技術管理者の要件
A.実務経験等
- 大学で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
- 高等専門学校で土木工学科を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
- 高等学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する者
- 中等教育学校で土木工学科を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する者
- 解体工事に関し8年以上の実務経験を有する者
B.国家資格等
- 1級建設機械施工技士
- 2級建設機械施工技士(種別「第1種」又は「第2種」に限る)
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士(種別「土木」に限る)
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士(種別「建築」又は「躯体」に限る)
- 1級建築士
- 2級建築士
- 1級のとび・とび工の技能検定に合格した者
- 2級のとび又はとび工の技能検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 技術士(2次試験のうち建設部門に合格した者に限る)
C.次のいずれかに該当する者で国土交通大臣が実施する講習を受講した者
- 大学で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 高等専門学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 高等学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
- 中等教育学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
- 解体工事に関し7年以上の実務経験を有する者
D.国土交通大臣の登録を受けた試験に合格した者
E.国土交通大臣が上記A~Dと同等以上の知識・技能を有すると認定した者
解体工事業登録に必要な書類
- 解体工事業登録申請書
- 誓約書
- 登録申請者の略歴書(法人の場合は、法人分と役員分が必要)
- 実務経験証明書
- 法人の場合は、履歴事項全部証明書と役員全員の住民票
- 個人の場合は、事業主の住民票
- 技術管理者の住民票
- 技術管理者の資格証の写し(原本も提示)
解体工事業登録の申請先である各都道府県庁ごとに必要な書類が違う場合があります。
実務経験証明書の証明者が個人事業主(申請者本人を含む)の場合は、その個人の印鑑証明書が必要となる場合があります。
実務経験に解体工事業の無登録期間が含まれていると、始末書の提出を求められる場合があります。
解体工事業登録の更新
登録の有効期間は5年です。
引き続き解体工事業を営もうとする者は、有効期間満了の2か月前から30日前までに更新の手続をする必要があります。更新申請を忘れてしまうと解体工事業登録は失効となります。
更新の申請書類については、新規(登録)の申請の場合と同じです。
解体工事業登録の変更届
解体工事業者は、法第22条第1項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から30日以内に、その旨を都道府県知事に届出なければなりません。
具体的な変更事項としては
- 商号、名称又は氏名及び住所
- 営業所の名称及び所在地
- 法人である場合は、その役員氏名
- 未成年者の場合は、その法定代理人の氏名及び住所
- 技術管理者の氏名
解体工事業登録の廃業等の届出
解体工事業者が、次の各号の一に該当することになった場合は、30日以内に、その旨を知事に届出なければなりません。
ア 死亡した場合 届出者 その相続人
イ 法人が合併により消滅した場合 届出者 その役員であった者
ウ 法人が破産により解散した場合 届出者 その破産管財人
エ 法人が合併又は破産以外の事由により解散した場合 届出者 その清算人
オ 解体工事業を廃止した場合 届出者 解体工事業者であった個人又は解体工事業者であった法人の役員
解体工事業登録の抹消の届出
解体工事業者の登録を受けた後、建設業許可の土木工事業、建築工事業、解体工事業の許可を受けた場合は、「建設業許可取得通知書」を提出してください。
解体工事業登録の費用
解体工事業登録を当事務所で代行した際の報酬や手数料等の費用について
解体工事業登録代行の行政書士報酬(税別)
解体工事業登録申請代行報酬(新規) | ¥50,000 |
解体工事業登録申請代行報酬(更新) | ¥40,000 |
※ 複数の都道府県に同時に解体工事業登録申請を行う際には報酬を割引いたします。
※技術管理者の要件を実務経験で証明する際には別途お見積りいたします。
解体工事業登録の手数料(東京都の場合)
東京都で解体工事業を営む場合には、東京都庁へ解体工事業登録申請書を提出します。
その際に納付する手数料は次の通りです。
登録手数料(新規) | ¥45,000 |
登録手数料(更新) | ¥26,000 |