建設業許可の新規申請時に許可業種を1業種に絞って申請した会社様でも、許可取得後に業種を追加したいというお問い合わせが多くあります。
例えば、内装仕上工事のみで建設業許可を取得していたが、その後に屋根工事や大工工事単体でも500万円を超えるような案件を受注するようなこともあります。最初から多くの業種について建設業許可が取得できれば良いのですが、要件が揃わないと許可となりません。
業種追加申請は、建設業許可業者様の事業の拡張にも繋がる大事なお手続きです。
建設業許可の業種追加とは?
業種追加とは、建設業許可を受けている者が違う業種の許可を取得することをいいます。
ただし、注意しなければならないのは、業種追加をできるのは同じ許可区分だけであることです。建設業許可は「一般」と「特定」という区分けをされていますが、「一般」のみ建設業許可を受けている場合は、一般の業種追加のみ申請することができます。
一般建設業許可のみを受けていて、他の業種について「特定」の業種追加をする場合は、新規申請扱いとなり、「般・特新規」という手続きとなります。
建設業許可業種追加の申請実績
一般建設業許可の業種追加について
特定建設業許可に比べて多いのが一般建設業許可における業種追加です。
一般建設業許可の業種追加をする際にも、新規申請と同程度の要件をクリアする必要があります。
- 常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)がいること
- 営業所ごとに置く専任技術者がいること
- 財産的基礎または金銭的信用を有する
- 誠実性の要件
- 欠格要件に該当しないこと
既に建設業許可を受けているから業種追加は簡単に認めてくれる訳ではありません。ただ、逆説的に言えば、これらの要件さえ満たしていれば業種追加できるのでチャレンジする価値は大いにあります。
当事務所でお手続きした業者様の多くは、新規許可取得後半年~1年で業種追加していただいています。もちろん要件が揃うことが前提ですが、新規申請時から将来の業種追加まで見越したサポートをさせて頂いてます。
ここでは、当事務所で取り扱った案件を例に一般建設業許可の業種追加をする方法を見ていきましょう。
常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)がいること
一般建設業許可の業種追加するために必要な要件の1つ目は常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)が在籍していること。
会社の代表取締役社長が常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)となることが多いですが、求めてくる要件としては、社長自身の建設業を営んだ実務経験の年数で確認されます。新規申請時に実務経験5年として申請し許可を受けているパターンが多いですが、これは【建設業法第7条第1号イ】に規定されている、「許可を受けようとする建設業に関して、5年以上常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者) (法人の役員、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人)としての経験を有していること」が、これに当たります。
そして、建設業許可後1年以上経過した時点で、【建設業法第7条第1号ロ】に規定される許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、6年以上常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)としての経験を有していることが適用されます。いわゆるイ該当からロ該当に代わることを意味しています。例えば、内装仕上工事の仕事について取締役として6年間継続して切り盛りしていれば、他の屋根工事の仕事についても経営判断ができるだろうということです。この1年間については建設業許可業者となってからの実務経験ですので、改めて実務経験を証明する資料を提出することはありません。
営業所ごとに置く専任技術者がいること
一般建設業許可の業種追加するために必要な要件の2つ目は営業所ごとに置く専任技術者がいることです。
社長自身が二級建築施工管理技士(仕上げ)の資格を持ち、内装仕上工事について建設業許可を新規取得していた場合、常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)としての実務経験が6年に達した時点で、大工工事業、左官工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、熱絶縁工事業、建具工事業について業種追加することができます。
また、電気工事業や消防施設工事業を業種追加したい場合は、社長自身が第一種電気工事士、消防設備士等の資格を取得するか、有資格者を雇用することになります。
財産的基礎または金銭的信用を有する
一般建設業許可の業種追加するために必要な要件の3つ目は財産的基礎または金銭的信用を有することです。
既に建設業許可業者となっていても、業種追加する際には財産的基礎についても確認されます。
一般建設業許可の場合の財産的基礎は、つぎのいずれかをクリアしていることが必要です。
- 純資産の額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること
建設業許可を1度でも更新しているのであれば、上記の3に該当します。
まだ一度も更新していない状態で建設業許可の業種追加する場合は、上記の1もしくは2について証明することになります。
業種追加したら建設業許可更新時に許可の一本化をする
建設業許可の業種追加をすると、最初に受けた許可業種と追加した許可業種の有効期限に違いが生まれます。許可番号は同じでも業種によって有効期限がバラバラという状態となります。そうすると建設業許可の有効期限管理が煩雑になってしまいますし、業種毎の更新のたびに手数料として5万円を納付しなくてはなりません。
このような有効期限のバラツキを調整するのが「建設業許可の一本化」です。
業種追加後、先に有効期限の満了となる許可業種の更新申請の際に他の有効期限が残っている許可業種についても同時に1件の更新として申請してしまいます。この手続きであれば更新手数料は5万円となります。
業種追加と更新申請を同時に申請することで更新期間を揃えることも可能ですが、この場合は業種追加5万円+更新5万円の計10万円の手数料を納付します。
※「業種追加申請の際の一本化」の場合は、既存の許可業種(更新したい許可業種)の有効期間が、知事許可で30日以上、大臣許可で6カ月以上残っていなければなりません。
建設業許可取得後のお手続きもお任せください
増村行政書士事務所では、東京都を中心に千葉県・埼玉県・神奈川県への建設業許可新規申請、更新申請、変更届を代行しております。
建設業許可の業種追加以外にも、毎年の決算変更届(事業年度報告)、各変更届の作成と提出も対応しておりますので、「建設業許可の更新忘れ」や「決算変更届(事業年度報告)・その他変更届の未提出」といったリスクも減らすことが出来ます。
将来的には、一般建設業許可から特定建設業許可への般特新規申請、知事許可から大臣許可への許可換え新規申請や、更に公共工事への入札に必要となる経営事項審査申請をご検討されることもあるでしょう。
また、建設業のお仕事に付随して発生するお仕事の中には許認可が必要なケースもあります。(産業廃棄物収集運搬業許可、電気工事業者登録、建築士事務所登録、宅建業免許、古物商許可等)
増村行政書士事務所では、建設業許可取得後も、お客様のお仕事を「許認可」面で全力でサポートさせていただきます。