元請業者や施主から言われたから、建設業許可を急いで取りたいという建設会社の社長様も多いと思います。
しかし、残念ながら全ての建設会社が建設業許可を取得できる訳ではありません。
建設業許可は様々な許可要件を満たしていることが必要となり、そのうち1つでも欠けてしまうと許可にはなりません。
当事務所へも建設業許可取得について多くのお問い合わせをいただきますが、実際に建設業許可を取得できるのは全体の半分にも満たしません。
建設業許可を取れない理由は各社それぞれ理由がありますが、その中でも多いケースについてご説明いたします。
建設業許可を取れない理由 1 常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)がいない
「建設会社を設立して5年経過したから」や「個人事業主としての経験は10年以上あるから」ということだけでは、建設会社の常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)の実務経験として認めてもらえません。
常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)とは、個人事業主として建設業を営む、若しくは建設会社の取締役として5年以上在任していることは大前提ですが、その期間に実際に建設工事を受注・施工していることを証明する必要があるのです。
※建設工事を受注・施工しているということは、単に作業員として人工出しをしていたりすることとは違います。
また個人事業主として建設工事を請け負っていたけど、確定申告を全く申請していないというケースもあります。この場合は、遡って申告することになるのでコストも時間もかかります。
そして最も多いのが、発注書や請求書が残っていないケースです。日々の仕事に関わる書類は、多くなってくると廃棄してしまうことがあるでしょうが、実務経験を証明する書類が全く残っていないとなると建設業許可の取得は難しくなります。
もし、ご自身や他の取締役の方で常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)となれる方が居ない場合は、経験を積むか要件を満たす方を取締役へ迎え入れることになります。
建設業許可を取れない理由 2 専任技術者がいない
常勤の役員等(旧経営業務の管理責任者)とともに専任技術者も設ける必要がありますが、この専任技術者が不在であることも建設業許可が取れない理由として多いケースです。
建設業許可の専任技術者となるには、実務経験10年もしくは国家資格等を保有していることが求められます。
最も良いのは、建築士や1級建築施工管理技士等の資格があれば、その資格証を提示することで専任技術者として認めらます。
何も資格を持っていないが、10年間という実務経験を証明する事ができれば専任技術者になることも可能です。(消防施設工事と電気工事を除きます)
しかしながら、10年間の実務経験の証明は困難を極めます。先にも言いましたように証明書類を捨ててしまっていたり、経験を積んだ会社と連絡を取ることができず実務経験証明書を作成できないこともあります。
建設業許可を取れない理由 3 財産的基礎を満たしていない
建設業許可を初めて取得する場合、多くの会社様は一般建設業許可の取得を目指すことになります。
一般建設業許可の場合、設けられている財産的基礎は500万円です。
新規設立して最初の事業年度を終えていない場合は資本金額が500万円以上であれば要件を満たしています。
設立してから数年が経過している会社様であれば、決算書の自己資本が500万円以上である必要があります。もし、決算内容が赤字の場合は、金融機関が発行する500万以上の額の残高証明書で資金調達能力があることを証明します。
この500万円を用意できないで、建設業許可申請が伸びてしまうことがあるのも事実です。
取引先からの入金のタイミングを見計らって残高証明書を取得していただいたり、融資等の借り入れをして500万円を確保してください。
これら3つの理由で建設業許可を取得できない会社様が多いですが、逆に考えると「その理由」をクリアすることで建設業許可取得できる可能性が高くなります。
もし、「うちの会社でも建設業許可が取れる?取れない?」と複雑な要件確認でお困りでしたら、当事務所へお気軽にご相談ください。
貴社の現在の状況を確認しながら建設業許可取得に向けてご提案することも可能です。